8.17 Market — 市場(Simple English Wikipedia) — Epoché
この篇でできるようになること 本物の英文を、辞書を引かずに最後まで通せる。 長い一文を、意味の塊に切って前から読める。 知らない語で止まらず、 語釈は読んだあとで 見られる。 段落ごとの要旨を、一文で言える。 前提 : 7.4 まで。 読 A と読 B のいちばん大きな違いは、語数でも語彙でもありません。 書き手が学習者のことを考えていない ことです。読 A の十六篇は、読みやすくなるように書かれていました。一文の長さも、出てくる語も、加減してありました。 この篇は、百科事典の「市場」という項目です。書いたのは百科事典の書き手で、読むのは市場について知りたい人です。そこに手加減はありません。実際、この篇でいちばん長い文は 45 語あります。読 A の最長の倍以上です。 それでも読めます。理由は二つ。一つ、 語彙は帯の中に収まっている こと(範囲外の語は下の語釈に全部出します)。二つ、 切る道具を持っている こと。長い文は、短い文の連なりです( 7.3 訳編 )。 読む前に 題材は 市場 です。物を売り買いする場所という意味と、経済の中での「市場」という意味の二つが扱われます。日本語でも同じ二つの意味があるので、 内容そのものは新しくありません 。知っている内容を英語で読む——これが読 B の第 1 篇にこの題を選んだ理由です。 気をつけるところを三つ置きます。 一つめ、 引用符の中の文 です。この篇には、例として挙げられた文が引用符に入って出てきます。引用符の中は 別の人の言葉 なので、地の文と区別して読んでください。 二つめ、 括弧の中の言い換え です。百科事典は、難しい語を使ったあとに括弧で言い換えます。括弧が出てきたら、 手前の語の説明 だと思ってください。知らない語が出ても、括弧を読めば分かることがあります。 三つめ、 長い文 です。この篇の最長は 45 語。下の「構文の骨」で切り方を見ますが、 先に切らずに一度通して ください。通してから切るほうが、切る場所が見つけやすくなります。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 260 語、二段落です。書き出しはこうです。 A market is a place where people go to buy or sell things. 先に原文だけを、 辞書も語釈も見ずに 最後まで読んでください。知らない語が出ても止まらないこと。訳編の 7.4 訳編 で置いた 一度目の読み方 です。意味が半分しか取れなくてかまいません。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 市場とは、人々が物を買ったり売ったりしに行く場所です。人々は売る品物があると、市場を開きます。市場のための特別な建物があることもあれば、市場が開けた場所で開かれ、売り手がそこに屋台(一種のテントのようなもの)を立て、一日の終わりに屋台をたたむこともあります。「市場」という言葉には、経済の中で、もっと広い意味もあります。物が売り買いされるしくみを意味することがあるのです。「食器洗い機には大きな市場がある」というのは、たくさんの人が食器洗い機を買いたがっている、という意味です。ですから、食器洗い機を作る会社は、たくさんのお金をもうけられる見込みが高いということになります。物が売られるとき、人々はその品物を買い、そのことが「経済を刺激する」(人々がお金を使ったり稼いだりするのを助ける)のです。市場は、供給と需要の釣り合いを取る必要があります。人々が食器洗い機を欲しがっていないなら、食器洗い機を供給する理由はありません。市場では、供給や需要が変われば、値段がすばやく変わることがあります。 ある品物の売り手が、客の求めるものを供給できなかったり、とても高い値段を求めたりすると、ほかの売り手がその品物を供給しようとすることがあります。ほかの売り手が競争の中でその品物の市場に入ってくると、それは需要を満たし、値段を下げる方向にはたらきます。競争を好まない売り手は、競争相手をつぶそうとすることがあります。競争が無くなると、独占ができあがります。多くの国には、自由な市場を独占から守るための法律があります。 語釈 この篇で帯の外にある語は 9 語です。下に 全部 出します。語釈を見るのは、原文を一度通したあとにしてください。 語(品詞) 意味 注 dishwashers en 名 食器洗い機(複数) Modern dishwashers use much less water than washing by hand. 現代の食器洗い機は手洗いよりずっと少ない水しか使いません。 fulfill en 動 満たす、果たす The new factory helped the company fulfill its large orders. その新しい工場は会社が大量の注文を果たす助けになりました。 monopolies en 名 独占(複数) Governments often pass laws to break up harmful monopolies. 政府はしばしば有害な独占を解体するための法律を作ります。 monopoly en 名 独占 The old company held a monopoly on train travel for decades. その古い会社は何十年もの間、鉄道旅行の独占を握っていました。 seller en 名 売る人、売り手 The seller agreed to lower the price after some discussion. その売り手は少し話し合った後、値段を下げることに同意しました。 sellers en 名 売る人たち Many sellers gathered in the market square early that morning. 多くの売り手がその朝早く市場の広場に集まりました。 stall en 名 屋台、売り台 She bought fresh strawberries from a small stall by the road. 彼女は道沿いの小さな屋台で新鮮なイチゴを買いました。 stimulates en 動 活気づける(三人称単数の形) A lower interest rate usually stimulates spending across the economy. 低い金利は通常、経済全体の支出を活気づけます。 tent en 名 テント They pitched their tent near the river before it got dark. 暗くなる前に、彼らは川の近くにテントを張りました。 九語のうち、 monopoly と tent はカタカナで日本語に入っています( 2.1 橋編 )。 seller は sell に -er が付いた形で、部品で読み解ける語です( 2.6 橋編 )。 本当に初めての語は数語しかありません 。 構文の骨 ★ 45 語の一文を切る この篇でいちばん長い文を切ります。切れ目は訳編の五つ——前置詞の前・ to の前・分詞の前・接続詞の前・関係詞の前( 7.3 訳編 )。 切った塊 そこに置く日本語 どの規則で切ったか There may be a special building for the market place, / 特別な建物があるかもしれない、市場のための 接続詞の前 or the market may be held in an open space / あるいは市場は開かれるかもしれない、開けた場所で 関係詞の前 where the sellers can put up a stall / そこで売り手が屋台を立てられる 接続詞の前 (like a kind of tent) / (テントのようなもの) 括弧の終わり and then take the stall down at the end of the day. そしてその屋台をたたむ、一日の終わりに — 五つの塊に切れました。右の列を上から読むと、日本語としては不格好ですが 意味は取れています 。そして 返り読みが一度も起きていません 。 一つの塊はどれも十語以下です。十語以下の文なら、読 A で何度も読んできました。 長い文が読めないのではなく、切れていないだけ ——この篇でそれを確かめてください。 括弧は手前の語の説明 四つめの塊が括弧に入っています。手前の stall の説明です。屋台という語を知らなくても、括弧を読めば テントのようなもの だと分かります。 百科事典はこの書き方をよくします。同じ篇にもう一か所あって、 stimulates the economy のあとに括弧で言い換えが置いてあります。 括弧が出たら、手前を説明していると思って読む ——これだけで、知らない語で止まる回数が減ります。 訳 第 2 期の読み物では、 文ごとの訳は付けません 。かわりに 段落ごとの要旨 を置きます。文ごとの訳があると、そちらを読んでしまって原文を読まなくなるからです。 段落 その段落が言っていること 一つめ 市場とは物を売り買いする場所であり、建物の中にあることも、屋台を立てる開けた場所であることもある 二つめ 「市場」には経済の用語としての意味もあり、需要と供給の釣り合い、競争、独占と、その規制までが含まれる 要旨が自分の言葉で言えたなら、この篇は読めています。 一文ずつ訳せたかどうかは問いません 。読むとは、全体をつかむことだからです。 音読 訳編の 7.4 訳編 で置いた 三度読む やり方を、この篇で実地にやります。 一度目 ——切るだけ。切れ目に印を付けながら最後まで通す。知らない語が出ても引かない。意味は半分でよい。 二度目 ——声に出す。塊ごとに日本語を置く。つかえた場所に印を付ける。 辞書を引くのはここで初めて です。上の語釈を見るのも、この段階にしてください。 三度目 ——速く。切れ目を意識しない。時間を計って、語数 ÷ 分を書き留める。この篇は 260 語なので、三分で読めれば一分あたり九十語ほどになります。 この篇で使う型 型の名 この篇での出方 戻る課 関係副詞 where が場所を指してつなぐ。切れ目の目印 3.14 型編 助動詞 II may が「〜かもしれない」。この篇に何度も出る 3.11 型編 受動態の芽 be held ・ are bought 。第 3 期で正面から扱う 3.1 型編 接続詞と副詞節 or ・ if ・ when が節をつなぐ 3.16 型編 比較 more general 。長い語なので more が付く 3.15 型編 受動態だけは、まだ正面から扱っていません(第 3 期)。それでも読めます。 されている側が主語に立っている とだけ分かれば、この篇では足ります。 練習 原文を 三度読む 。一度目は切るだけ、二度目は声に出して置く、三度目は速く。三度目だけ時間を計り、語数 ÷ 分を書き留める。 「構文の骨」の 45 語の文を、 切れ目で息を置いて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。一息で読もうとしないこと。 二つの段落それぞれについて、 要旨を自分の日本語で一文 書く。上の「訳」の表と見比べて、取りこぼした点があれば書き足す。 この篇のまとめ ★ 読 B の書き手は学習者のことを考えていない。 長い文も知らない語も出る。そのための道具は訳編でそろえた。 それでも読めるのは、 語彙が帯の中に収まっている ことと、 切る道具を持っている こと。 この篇の最長は 45 語。切れば一つの塊は十語以下で、読 A で読んできた長さと変わらない。 長い文が読めないのではなく、切れていないだけ。 括弧は手前の語の説明。 百科事典はこの書き方をよくする。括弧を読めば知らない語で止まらずに済む。 引用符の中は 別の人の言葉 。地の文と区別して読む。 第 2 期の読み物に 文ごとの訳は無い 。段落ごとの要旨だけ。要旨が自分の言葉で言えたなら読めている。 帯の外の語は 9 語で、そのうち本当に初めての語は数語しかない。 次の篇へ 次の篇は 8.18 、題は Picture です。同じ百科事典からの一篇ですが、 段落が五つに増えます 。段落が増えると、段落どうしのつながりを追う必要が出てきます。この篇は二段落だったので、つながりを気にせず一つずつ読めました。次の篇からは、 段落の頭の一文 に気をつけてください。そこに、その段落が何の話かが書いてあります。 答え 三度目の速さが一分あたり九十語くらいなら、第 2 期の読み物としてはちょうどよい速さです。遅くても気にしないでください。 測り始めたことが大事 で、比べる相手は次の篇の自分です。 一息で読もうとして息が切れたなら、切れていません。切れ目は五つあるので、 五回息を置いて 読んでください。置いても不自然になりません。英語の話し手も、長い文では同じところで息を置いています。 要旨が一文で書けたなら十分です。書けなかった場合、段落を一文ずつ追ってしまっています。 段落の頭と終わりだけ をもう一度読んでください。要旨はたいていそこにあります。 参考文献 原文の出所: Simple English Wikipedia, "Market"。CC BY-SA 4.0。原文は 1 字も変えていない。https://simple.wikipedia.org/wiki/Market