2.7 語形成 — 1 語から 5 語へ — Epoché
この課でできるようになること 一つの根から広がる語族を見て、品詞ごとに読み分けられる。 知らない語に出会ったとき、 知っている根が隠れていないか を探せる。 綴りが同じで名詞と動詞になる語を、山の位置で言い分けられる。 語彙の覚え方を「一語ずつ」から「一族ずつ」に切り替えられる。 前提 : 2.6 まで。 英語の語彙を増やすとき、いちばん損な覚え方は 一語ずつ、ばらばらに覚える ことです。英語の語は一つの根から枝分かれしているので、ばらばらに覚えると同じ根を何度も覚え直すことになります。 たとえば、ある根から作れる語が五つあるとします。五つを別々に覚えれば五回ぶんの手間ですが、根を一つ覚えて部品を付け替えれば、 ほぼ一回ぶん で済みます。部品は前の課で三十入れました。残っているのは、根のほうを覚えることと、 一族としてまとめて見る癖 をつけることだけです。 一族で見る 下の十の一族は、どれも一つの根から広がっています。右の列の語は、 語彙表に在ることを機械で確かめて あります。 一族の根 同じ根から作られた語 一族の大きさ act action / active / activity / actor / activate 6 語 produce production / product / productive / producer / productivity 6 語 create creation / creative / creativity 4 語 differ difference / different / differently 4 語 inform information / informative 3 語 develop development / developer 3 語 relate relation / relative / relationship 4 語 compete competition / competitive / competitor 4 語 depend dependent / dependence / independent 4 語 decide decision 2 語 十の根から、合わせて 40 語が出ました。一語あたり三語から六語です。英語の語彙表の中で、 根が重なっている語はかなりの割合を占めます 。一族で覚えると、覚えた語数より実際に読める語数のほうが多くなります。 部品が品詞を決める 一族の中で何が変わっているかを見てください。 根は動いていません 。動いているのは語尾だけで、その語尾が品詞を決めています。前の課で置いた三十の部品が、そのまま効いています。 だから、一族の語を覚えるときに 意味を四回覚える必要はありません 。意味は根にあり、語尾は「名詞にする」「形容詞にする」と言っているだけです。辞書で一語引いたら、その下に並んでいる同じ根の語を 目で追うだけ にしてください。覚えようとしなくても、根が同じなら次に見たときに読めます。 部品を付けずに品詞が変わる語 英語にはもう一つ、部品を使わない品詞の変え方があります。 綴りをまったく変えずに、名詞にも動詞にもする やり方です。日本語には無い仕組みで、初めて見ると戸惑います。 ただし、話すときには違いが出ます。 名詞のときは山が前に、動詞のときは山が後ろに立つ のです。綴りは同じでも、音は違います。4.19 と 4.20 で object と content をこの形で見ました。同じ仲間がまだたくさんあります。 同じ綴り 名詞のとき 動詞のとき record 山は前( ●○ ) 山は後ろ( ○● ) present 山は前( ●○ ) 山は後ろ( ○● ) object 山は前( ●○ ) 山は後ろ( ○● ) increase 山は前( ●○ ) 山は後ろ( ○● ) contract 山は前( ●○ ) 山は後ろ( ○● ) permit 山は前( ●○ ) 山は後ろ( ○● ) 残りの六つも同じ形です—— export / import / conflict / contrast / progress / decrease 。どれも学術・実務の文で毎ページ出る語で、 名詞で出るか動詞で出るかは文の形で決まります 。主語の位置にあれば名詞、主語の後ろにあれば動詞。読むときは文の形から決めればよく、山を聞き分ける必要はありません。話すときだけ、山を動かしてください。 実文で確かめる 実際に使われた文で確かめます。行を押すと音が鳴ります。4 行めと 6 行めは、 同じ綴りで品詞が違う 例です。 英文 日本語訳 見るところ He is a man of action. [1] 彼は行動力のある人です。 action は act から作った名詞 We need action, not words. [2] 我々は言葉ではなく行動が必要なのだ。 同じ名詞。 act 一語から広がった The town was full of activity. [3] その街は活気にあふれていた。 activity も同じ一族 This record still stands. [4] この記録はまだ破られていません。 record が名詞。山は前に立つ She set a new world record. [5] 彼女は世界記録を出しました。 同じ名詞。 set a record は塊で覚える The price will increase. [6] 値上がりします。 increase が動詞。山は後ろに立つ Crime is on the increase. [7] 犯罪が増加している。 同じ綴りで名詞。山は前に戻る Is something different? [8] 何か違うの? different は differ から作った形容詞 八つの文で、根は四つしか出ていません。 act ・ record ・ increase ・ differ です。根の数より語の数のほうが多い——それが一族で覚えることの効きめです。 語表 十の一族の 根 を並べます。根を覚えれば、上の表の語はどれも読めるようになります。この表の語は作品辞書に入るので、読書ページで意味が引けます。 語(品詞・強勢の型) 意味 注 act en 動・名 ● カタカナとの差 アクト → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 take action produce en 動・名 ○● カタカナとの差 プロデュースは企画・演出。英語の produce は「生産する」 連語 produce goods create en 動 ○● カタカナとの差 クリエート → ○● (5 拍を 2 音節に) 連語 create a new differ en 動 ●○ 連語 differ from inform en 動 ○● 連語 inform him of develop en 動 ○●○ 連語 develop a plan relate en 動 ○● 連語 relate to compete en 動 ○● 連語 compete with depend en 動 ○● 連語 depend on decide en 動 ○● 連語 decide to go record en 名・動 ○● カタカナとの差 レコード → ○● (4 拍を 2 音節に) 連語 set a record increase en 動・名 ○● 連語 increase in size 語彙の覚え方を切り替える この課で言いたいことは一つです。 覚える単位を語から一族へ上げる。 手順にすると三つになります。 一つめ、新しい語に出会ったら 根を探す 。前の課の部品を外していくと、真ん中に根が残ります。その根を知っていれば、意味に当たりがつきます。 二つめ、辞書を引いたら 同じ根の語を見わたす 。覚えようとしなくてかまいません。見ておくだけで、次に出会ったときに読めます。 三つめ、 語表を一族として読む 。第 4 編「語」の語表には、同じ根の語が別の課に散らばって出てきます。散らばっていても、根が同じなら同じ一族です。気づいたら、その場で結び直してください。結び直すことそのものが、いちばん強い覚え方になります。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Prefixes and Suffixes | English Language Learning Tips | Cambridge English English with Cambridge (3:06, 2013) 接頭辞と接尾辞の要点。ケンブリッジ大学出版 6 Minute Vocabulary: Forming words with the suffixes '-ment', '-ance' and '-ence' BBC Learning English (6:11, 2015) -ment / -ance などの接尾辞 練習 「実文で確かめる」の 8 行を、行を押して音を聞いてから続けて 音読 する。3 周する。3 周目は 6 行めと 7 行めの 2 行を、音声に重ねて シャドーイング する。この 2 行は同じ綴りで品詞が違うので、 山の位置 が動いているのを耳で確かめる。 「一族で見る」の表の根を十個とも見て、 それぞれの語尾が何をしているか を書く。名詞にする語尾、形容詞にする語尾、動詞にする語尾、人を表す語尾。前の課の部品の表と照らし合わせること。 自分が最近覚えた英語の語を五つ選び、 同じ根の語を辞書で探す 。一つの根から何語出てきたかを数える。出てこなかった語は、根が英語本来の短い語であることが多い。そういう語は一族が小さいので、一語ずつ覚えてよい。 この課のまとめ ★ 一語を覚えるのではなく、一族を覚える。 英語の語は一つの根から枝分かれしているので、ばらばらに覚えると同じ根を何度も覚え直す。 一族の中で 動いているのは語尾だけ 。意味は根にあり、語尾は品詞を決めているだけ。 だから意味を何度も覚える必要はない。辞書を引いたら 同じ根の語を目で追うだけ でよい。 部品を付けずに品詞が変わる語もある。 名詞のときは山が前、動詞のときは山が後ろ 。 読むときは 文の形 で品詞を決めればよい。主語の位置なら名詞、主語の後ろなら動詞。話すときだけ山を動かす。 覚え方の手順は三つ——根を探す/同じ根の語を見わたす/語表を一族として読む。 一族が小さい語もある。英語本来の短い語は枝分かれしないので、一語ずつ覚えてよい。 次の課へ 次の課は 2.8 、題は カタカナで知らない語の覚え方 — 実文・想起・間隔 です。第 2 編「橋」の最後の課になります。ここまでの七課で、 すでに知っている語 をどう使うかを扱ってきました。最後の課で扱うのは、 知らない語をどう入れるか です。第 4 編「語」の語表をどう使うか、なぜ単語帳を作らないほうがよいのか、辞書パネルとノートをどう使うか——これから何期も続く語彙の学習の、やり方を決める課です。 答え 6 行めは動詞なので山が後ろ、7 行めは名詞なので山が前に立ちます。綴りはまったく同じです。シャドーイングで違いが作れたなら、 山を動かすという動き が口に入っています。作れなかったら、二つを続けて 10 回言ってください。意味で考えず、音の形として入れるほうが速く済みます。 語尾のはたらきは前の課の表のとおりです。 -tion は名詞、 -ive は形容詞、 -ity は性質の名詞、 -or は人、 -ate は動詞。十の一族でこれだけの語尾が繰り返し出てきます。 語尾の種類は多くない ——それがこの課の眼目です。 一族が出てこなかった語は、英語本来の短い語(一音節の動詞や名詞)であることが多い。そういう語は枝分かれしないかわりに、 句動詞 として広がります。第 1 期の 3.5 型編 で扱った形です。根で広がるか、後ろに付ける語で広がるか——英語の語彙はこの二通りで増えています。 参考文献 Tatoeba 文 #296362(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/296362 Tatoeba 文 #23011(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/23011 Tatoeba 文 #48964(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/48964 Tatoeba 文 #59731(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/59731 Tatoeba 文 #315296(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/315296 Tatoeba 文 #11098378(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/11098378 Tatoeba 文 #282779(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/282779 Tatoeba 文 #2064646(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2064646