14.64 相手の言い分を置いて、そのまま打ち返す — Epoché
この篇でできるようになること ★ 相手の言い分を置いて打ち返す 型が読める。 ★ 自分で問いを立てて自分で答える のに気づける。 ★ 比喩を二つ積んで閉じる 結びが読める。 ★ 数を並べて反語にする 手つきが分かる。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は どの篇から読んでもかまいません 。★ 前の篇を読んでいなくても通じるように書いてあります。 ★ これは 党の大会の演壇から話された言葉 です。★ 聞いている人が 目の前にいます ——★ だから 呼びかけとくり返しが多い です( my friends が 5 回)。 ★ 争われていたのは お金の仕組み です。★ 金だけを本位貨にするか、 金と銀の両方にするか ——★ 話し手は 両方にする側 でした。★ 細かい中身は分からなくても読めます ——★ この篇で見るのは 話し方 だから です。 どちらのことか 確かめること ★ この国のこと ★ 合衆国がどう成り立ったか( 12.12 知編 ) ★ お金のこと ★ 通貨と数の言い方( 12.5 知編 ) 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1615 語、段落は 9 つ、文は 55 本、一文の平均は 29.4 語です。 ★ 数えてみると、 疑問符が 11 個 あります 。★ 55 文のうち 11 文が問い です——★ 五文に一つ 。★ けれども、 だれも答えません ——★ 話し手が 自分で答え ます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 二つ三つ、大事なことに注意を向けていただきたいと思います。ニューヨーク州から来た方は、我々の貨幣制度について提案されている変更が、すでに結ばれた契約には影響しないと定める修正を、綱領に加えるよう提案すると言っておられます。思い出していただきたいのですが、現行の法律にもとづいて金で支払うことになっている契約に影響を与えるつもりはまったくありません。しかし、もしあの方が、変更の前に金を貸した人々を守らずに我々の貨幣制度を変えることはできない、と言いたいのであれば、私はあの方に尋ねたいのです。いま債権者を守らなければならないと言い張るのなら、一八七三年の法律が成立したときに債務者を守らなかったことの正当な理由を、法の上で、あるいは道徳の上で、どこに見つけられるのか、と。 あの方はまた、我々が一年のうちに等価を保てなかった場合には自由鋳造を停止すると定める修正も提案すると言っておられます。我々はこう答えます。成功すると信じる政策を唱えるときに、失敗したらどうするかを言い出して、自分たちの誠実さに疑いを投げかけなければならない理由はない、と。私はあの方に尋ねます。その理屈を我々に当てはめるのなら、なぜ自分には当てはめないのか、と。あの方は、この国に国際的な取り決めを得る努力をしてほしいと言っておられます。では、なぜ国際的な取り決めを得られなかったらどうするつもりなのかを、我々に言わないのでしょうか。我々が等価を保てなかった場合に備えるよりも、あの方がそれを言うほうが、ずっと筋が通っています。我々の相手方は二十年にわたって国際的な取り決めを得ようとしてきました。そして、それをいちばん辛抱強く待っているのは、それをまったく望んでいない人々なのです。 さて、友人の皆さん、最も重要な問題に移らせてください。もし彼らが、なぜ我々は関税の問題より貨幣の問題について多くを語るのかと尋ねるなら、私はこう答えます。保護関税が幾千人を殺したのなら、金本位制は幾万人を殺したのだ、と。もし彼らが、なぜ我々は信じていることをすべて綱領に盛り込まないのかと尋ねるなら、我々はこう答えます。憲法の定める貨幣を取り戻せば、ほかに必要な改革はすべてできるようになる。しかし、それがなされるまでは、ほかにどんな改革も成し遂げることはできない、と。 なぜ三か月のうちに、国じゅうにこれほどの変化が起きたのでしょうか。三か月前、金本位制を信じる人々が我々の綱領を作り、我々の候補者を指名するだろうと自信たっぷりに言われていたころには、金本位制を唱える人々でさえ、我々が大統領を当選させられるとは思っていませんでした。そして彼らがそう疑うのには、もっともな理由がありました。今日ここで金本位制を求めている州のうち、共和党に完全に握られていない州は、ほとんど一つもないからです。しかし、その変化を見てください。マッキンリー氏は、国際的な取り決めによって複本位制に変えられるまで金本位制を維持すると宣言した綱領のもとで、セントルイスで指名されました。マッキンリー氏は共和党員の中で最も人気のある人物で、三か月前には、共和党のだれもが彼の当選を予言していました。今日はどうでしょうか。なんと、かつて自分はナポレオンに似ていると思って悦に入っていたあの人が――あの人が今日、自分がワーテルローの戦いの記念日に指名されたことを思い出しては身を震わせているのです。それだけではありません。耳を澄ませば、セントヘレナの寂しい岸に打ち寄せる波の音が、ますますはっきりと聞こえてくるのです。 なぜこの変化が起きたのでしょうか。ああ、友人の皆さん、この変化の理由は、事柄に目を向けようとする人ならだれにでも明らかではないでしょうか。この国に金本位制を縛りつけることに賛成だと言い放つ人、あるいは自治の権利を明け渡し、我々の事柄を法で決める力を外国の君主や列強の手に委ねようとする人を、憤った人民の報いの怒りから守れるものはありません。どれほど清らかであっても私人としての人柄は守れず、どれほど大きくても個人の人気は守れないのです。 我々は勝つと確信して出て行きます。なぜでしょうか。この選挙戦の最も重要な問題については、敵が戦いを挑む気になれるような足場が一つもないからです。もし彼らが、金本位制はよいものだと言うなら、我々は彼らの綱領を指して、あなたたちの綱領は党に金本位制を捨てて複本位制に置き換えることを約束させているではないか、と言うでしょう。金本位制がよいものなら、なぜそれを捨てようとするのでしょうか。注意していただきたいのですが、今日この大会に来ていて、我々は国際的な複本位制に賛成すると宣言すべきだと言っている人々――そう言うことで、金本位制は誤りであり、複本位制の原理のほうがよいと宣言している人々――そのまさに同じ人々が、四か月前には、金本位制をおおっぴらに公言して唱えており、そのころは、たとえ世界じゅうの助けを借りても二つの金属を法で結びつけることはできない、と我々に言っていたのです。金本位制がよいものなら、我々はそれを保つことに賛成すると宣言すべきであって、それを捨てることに賛成すると宣言すべきではありません。そして、金本位制が悪いものなら、なぜ手を放すのに、ほかの国々が手を貸してくれる気になるまで待たなければならないのでしょうか。ここが戦線です。そして我々は、彼らがどちらの問題で戦いを仕掛けてこようとかまいません。どちらの問題でも、あるいは両方でも、迎え撃つ用意ができています。もし彼らが、金本位制は文明の標準だと言うなら、我々はこう答えます。地上のすべての国の中で最も開けたこの国は、一度も金本位制を宣言したことがなく、今年は二大政党がどちらもそれに反対を宣言しているではないか、と。友人の皆さん、もし金本位制が文明の標準なら、なぜ我々がそれを持ってはいけないのでしょうか。もし彼らがその問題で我々を迎え撃ちに来るなら、我々は我が国の歴史を示すことができます。それだけではありません。どこの国の民衆であれ、金本位制に賛成すると自ら宣言したことのある例を一つでも見つけようとして歴史のページを探しても無駄だ、と彼らに言うことができます。固定した投資を持つ人々が金本位制に賛成すると宣言した例なら見つかるでしょうが、大衆がそうした例は見つからないのです。 カーライル氏は一八七八年に、これは「遊んでいる資本を遊ばせて持っている者たち」と「この国の富を生み出し、税を納めている、苦闘する大衆」との戦いだと言いました。そして友人の皆さん、我々が決めなければならない問いはこうです。民主党はどちらの側に立って戦うのか。「遊んでいる資本を遊ばせて持っている者たち」の側か、それとも「苦闘する大衆」の側か。これが、党がまず答えなければならない問いであり、そのあとは、一人ひとりが答えなければならない問いです。綱領が示すとおり、民主党の共感は、苦闘する大衆の側にあります。彼らこそ、いつも民主党の土台であった人々です。政治については二つの考え方があります。暮らし向きのよい人々を栄えさせるように法を作りさえすれば、その繁栄が下にいる人々にもしみ出していくと信じる人々がいます。しかし民主党の考えは、大衆を栄えさせるように法を作れば、その繁栄は、大衆の上に乗っているあらゆる階級を通って、上へと行き渡っていく、というものでした。 あなたたちは我々のところへ来て、大都市は金本位制に賛成していると言います。我々はこう答えます。大都市は、我々の広く肥えた大草原の上に乗っているのだ、と。あなたたちの都市を焼き払っても、我々の農場を残しておけば、都市は魔法のようにまた立ち上がるでしょう。しかし、我々の農場を滅ぼせば、この国のどの都市の街路にも草が生えるでしょう。 友人の皆さん、我々は宣言します。この国は、地上のほかのどの国の助けや同意も待つことなく、あらゆる問題について自国の人民のために法を作ることができる、と。そして、その問題によって、我々は合衆国のすべての州で勝つつもりです。私は、麗しいマサチューセッツ州の住民や、ニューヨーク州の住民をそしるつもりはありません。彼らがこの命題を突きつけられたときに、この国は自分のことを自分で処理できない、と宣言するだろうなどとは言いません。これは一七七六年の問題のくり返しです。我々の先祖は、わずか三百万人だったときに、ほかのどの国からも政治的に独立すると宣言する勇気を持っていました。その子孫である我々が、七千万人に増えたいまになって、先祖より独立していないと宣言するのでしょうか。いいえ、友人の皆さん、それが我々の人民の評決になることは決してありません。ですから、我々は、どんな線で戦いが行われようとかまいません。もし彼らが、複本位制はよいが、ほかの国々が助けてくれるまでそれを持つことはできない、と言うなら、我々はこう答えます。イングランドが金本位制だから我々も金本位制にするのではなく、我々が複本位制を取り戻し、そのうえで、合衆国が複本位制だからという理由で、イングランドに複本位制を持たせよう、と。もし彼らが思い切って開けた野に出てきて、金本位制をよいものとして擁護するなら、我々はとことんまで彼らと戦います。この国と世界の生産する大衆を後ろに持ち、商業の利益、労働の利益、そして至るところで働く人々に支えられて、我々は彼らの金本位制の要求に、こう言って答えます。あなたたちは労働の額にこのいばらの冠を押しつけてはならない。あなたたちは人類を金の十字架にかけてはならない、と。 語釈 帯の外の語は 50 語しかありません。★ 半分は 地名と人の名 です( Massachusetts ・ Napoleon ・ mckinley )。★ 残りは お金の語 ( bimetallism ・ coinage )と、★ 結びの比喩の語 ( crucify ・ thorns )。★ 覚えるのは 最後の二つだけ で足ります——★ この演説がいまも引かれるのは、 その二語のため です。 語(品詞) 意味 注 England en 名 イングランド Massachusetts en 名 マサチューセッツ。合衆国東部の州 Napoleon en 名 ナポレオン Republican en 形 共和党の Republicans en 名 共和党の人々 St en 略 Saint の略。地名の頭に付く Waterloo en 名 ワーテルロー。ナポレオンが敗れた戦場 York en 名 ヨーク(イングランドの都市。ニューヨークの名の元) ah en 感 ああ Ah, the old garden looks even more beautiful this spring. ああ、その古い庭は今年の春、さらに美しく見えます。 avenging en 形 報いを求める The knight rode out on an avenging quest to punish the raiders. その騎士は、襲撃者たちを罰する報いを求める旅に出ました。 avowed en 形 公に認めた He was an avowed opponent of the new factory law. 彼は、新しい工場法に公に反対を認めた人物でした。 bimetallism en 名 金銀複本位制。金と銀の両方を本位貨とする仕組み The senator gave a long speech in favor of bimetallism. その上院議員は、金銀複本位制を支持する長い演説をしました。 brow en 名 額(ひたい) Sweat gathered on his brow after the long climb. 長い登りのあと、彼の額には汗が浮かんでいました。 carlisle en 名 カーライル。ここで引かれている政治家 coinage en 名 貨幣の鋳造。 free coinage で自由鋳造 The new king ordered a reform of the national coinage. 新しい王は、国の貨幣の鋳造を改めるよう命じました。 confidently en 副 自信をもって The young captain confidently steered the ship through the narrow strait. その若い船長は、自信をもって狭い海峡を船で進みました。 courage en 名 勇気 It took great courage for the boy to speak before the crowd. その少年が大勢の前で話す