14.18 一行を二人で分ける — バルコニーの場 — Epoché
この篇でできるようになること ★ 一行を二人で分ける ことが分かる。 ★ 話し手の名と舞台の指示 を詩行と分けられる。 ★ 傍白 (相手に聞かれていない台詞)が見える。 ★ 名前をめぐる問い の組み立てが読める。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は 順番に読む必要がありません 。★ 1 篇が 1 作品 で、★ どの篇から始めてもかまいません。 ★ シェイクスピアは 英語の教養の二本柱の一つ です( 12.17 知編 )。★ この場は いちばん知られた恋の場面 ですが、★ 形のうえで見ると ここまでの七篇と違う ところが★ 一つあり ます——★ 話し手が 二人 です。 読む前に確かめること どこで置いたか ★ シェイクスピアが英語に残したもの ★ 12.17 知編 ★ 古い英語の六つの違い ★ 3.63 型編 指す先が一つに決まるときだけ 3.47 型編 ★ 場面を一行で。 ★ 二人の家は 敵同士 です。★ 前半は男が 見上げて一人で喋り 、★ 途中から 娘も一人で喋り 、★ 最後にやっと 言葉が交わり ます 。 ★ 読編にも 同じ作者の芝居 があります ——★ 8.195 読編 ・ 8.196 読編 (『ハムレット』の独白と墓掘り) 。★ そちらは 韻文と散文が入れ替わるところ を見る篇 で、★ この篇は 別の芝居 です——★ 同じ見方がそのまま使えます 。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 438 語、★ 61 行 です。★ ただし ぜんぶが詩行ではありません 。 どんな行か 行の数 数え方 ★ 詩行 ★ 54 ★ 音節を数える ★ 話し手の名 ★ 6 ★ 数えない 舞台の指示 1 数えない ★ 詩行のうち 45 行の音節を数えられました ——★ 2 から 14 です。★ 十音節が 31 行 と いちばん多い のは変わりません。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 傷を負ったことのない者は、傷あとを笑うものだ。 ジュリエットが上の窓に現れる。 待て、あちらの窓から差すあの光は何だ。 あれは東だ、そしてジュリエットは太陽だ。 昇れ、美しい太陽よ、そして妬み深い月を殺せ。 月はもう悲しみで病み、青ざめている、 侍女のお前のほうが、自分よりずっと美しいので。 月の侍女でいるのはやめよ、月は妬み深いのだから。 月の処女の装いは病んだ緑色にすぎず、 愚か者しか着はしない。脱ぎ捨ててしまえ。 あれは僕の思う人だ、ああ、僕の恋人だ。 ああ、彼女がそうだと知っていてくれたら。 何か話している、けれど何も言ってはいない。それがどうした。 彼女の目が語っている、僕はそれに答えよう。 僕は図々しすぎる、彼女が話しかけているのは僕ではない。 空じゅうでいちばん美しい星のうち二つが、 用事があって、彼女の目に頼んでいるのだ、 自分たちが戻るまで、天球の持ち場で代わりにきらめいていてくれと。 もし彼女の目があそこにあり、星が彼女の顔にあったらどうだろう。 彼女の頬の輝きは、あの星たちを恥じ入らせるだろう、 昼の光がランプを恥じ入らせるように。天にある彼女の目は 大空いっぱいにあまりに明るく光を注ぐので、 鳥たちは夜ではないと思って歌いだすだろう。 ほら、彼女が頬を手にもたせかけている。 ああ、僕があの手の手袋だったら、 あの頬に触れられるのに。 ジュリエット ああ。 ロミオ 何か言っている。 ああ、もう一度言ってくれ、輝く天使よ。君は 僕の頭上にいて、この夜にまばゆく輝いている、 翼のある天の使いが 白目を見せて上を向き、驚きに見開いた目に、 のけぞって見上げる人間たちの目に、輝いて見えるように。 その使いが、ゆるやかに流れる雲にまたがり、 大気の胸の上を帆走するときに。 ジュリエット ああロミオ、ロミオ、なぜあなたはロミオなの? お父さまを否んで、その名を捨てて。 それがいやなら、ただ私を愛すると誓って。 そうすれば、私はもうキャピュレットではなくなるわ。 ロミオ もっと聞いていようか、それともこれに答えようか。 ジュリエット 私の敵なのは、あなたの名前だけ。 あなたはあなた自身よ、モンタギューでなくても。 モンタギューって何? 手でも足でもない、 腕でも顔でもない、人のからだの ほかのどの部分でもない。ああ、何かほかの名前になって。 名前に何があるというの? 私たちがばらと呼んでいるものは、 ほかのどんな名前で呼んでも、同じように甘く香るでしょう。 だからロミオも、ロミオと呼ばれなくなっても、 持ち前のあのすてきな完璧さはそのまま持ちつづけるはず、 その呼び名がなくても。ロミオ、その名を脱ぎ捨てて、 あなたの一部でもないその名の代わりに、 私のすべてを受け取って。 ロミオ そのおことばどおりにいただこう。 ただ「恋人」と呼んでくれ、そうすれば僕は洗礼を受け直す。 これからはもう、決してロミオではない。 語釈 帯の外の語は 44 語です。★ 人と家の名 ( Romeo ・ Juliet ・ Montague ・ Capulet )と、★ 空のものの名 ( angel ・ daylight ・ twinkle )が多いです——★ 娘を 太陽と星と天使にたとえて いるからです。 語(品詞) 意味 注 Capulet en 名 キャピュレット。ジュリエットの家の名 Henceforth en 副 これから先は Henceforth all visitors must sign the guest book at the door. これから先は、訪問者はみな入り口の来客帳に署名しなければなりません。 Juliet en 名 ジュリエット Montague en 名 モンタギュー。ロミオの家の名 Romeo en 名 ロミオ Thou en 代 あなたは(古い二人称) Thou art welcome to rest beneath this roof tonight. あなたは今夜、この屋根の下で休むことを歓迎されています。 Tis en 句 it is を詰めた形 Grandfather always said that 'tis better to give than to receive. 祖父はいつも、受けるより与えるほうがよいと言っていました。 Unto en 前 〜へ( to の古い形) Unto his youngest son he left the house and the fields. いちばん下の息子へ、彼は家と畑を残しました。 airy en 形 空の( the airy region =大空) The new office has tall windows and an airy feel. その新しいオフィスは窓が高く、風通しのよい感じがします。 angel en 名 天使 Our little daughter was dressed as an angel for the school play. 幼い娘は、学校の劇のために天使の格好をしていました。 ay en 間 ああ。嘆きの声 Ay, how quickly the warm days of summer have slipped away. ああ、夏の暖かい日々はなんと早く過ぎ去ったことでしょう。 baptis'd en 動 洗礼を受けた。 baptised を詰めた形 bestrides en 動 またいで乗る The young rider bestrides his horse before the morning race. その若い乗り手は、朝のレースの前に馬にまたがって乗ります。 bosom en 名 胸 She held the trembling kitten close against her bosom. 彼女は震える子猫を自分の胸に抱き寄せました。 brightness en 名 明るさ、輝き The brightness of the morning sun woke her early. 朝日の明るさが、彼女を早くに目覚めさせました。 call'd en 動 呼ばれた。 called を詰めた形 daylight en 名 昼の光 We packed the tent away while there was still daylight. まだ昼の光があるうちに、私たちはテントを片づけました。 doff en 動 脱ぐ、捨てる It was once polite to doff your hat when greeting a lady. かつては、婦人に挨拶するとき帽子を脱ぐのが礼儀でした。 doth en 動 does の古い形。詩の言い方 The old clock still doth ring each hour through the house. その古い時計は、いまも一時間ごとに家じゅうに鳴り響きます。 entreat en 動 頼む She began to entreat her father for one more chance. 彼女は父にもう一度だけ機会をくれるよう頼み始めました。 envious en 形 ねたんでいる He grew envious of his brother's easy success at school. 彼は、学校での兄の楽な成功をねたむようになりました。 glorious en 形 栄えある They remembered the parade as a glorious autumn afternoon. 彼らはそのパレードを、栄えある秋の午後として覚えていました。 glove en 名 手袋 She lost one glove somewhere on the crowded train platform. 彼女は混雑した駅のホームのどこかで、片方の手袋をなくしました。 grief en 名 深い悲しみ His grief over the loss lasted for many quiet months. その喪失に対する彼の深い悲しみは、静かな数か月のあいだ続きました。 heaven en 名 天 The old farmer thanked heaven for the sudden rain. その老いた農夫は、突然の雨に天に感謝しました。 jests en 動 冗談を言う。あざける He often jests about his own clumsy cooking at parties. 彼はパーティーで、自分の下手な料理をよく冗談の種にします。 lamp en 名 行灯 The innkeeper hung a paper lamp beside the door at dusk. 宿の主人は、夕暮れに戸口のそばへ紙の行灯を下げました。 livery en 名 お仕着せ、召使いの制服 The footman wore a green livery trimmed with gold buttons. その従僕は、金のボタンで飾られた緑のお仕着せを着ていました。 maid en 名 娘、仕える女。月の女神に仕える者 The young maid sang softly as she carried water from the well. その娘は、井戸から水を運びながら静かに歌いました。 mortals en 名 死すべき者(複数)。ふつうの人間 Even the wisest mortals cannot escape the passing of time. もっとも賢い人間でさえ、時の流れから逃れることはできません。 o'er en 前 〜の上に。 over を詰めた形 The weary travelers walked o'er the misty hills at dawn. 疲れた旅人たちは、夜明けに霧のかかった丘の上を歩きました。 perfection en 名 完全 She practiced the dance until it was close to perfection. 彼女はその踊りが完全に近づくまで練習しました。 puffing en 形 ふくらんで流れる( lazy-puffing clouds ) The old steam engine came puffing slowly into the station. その古い蒸気機関車は、煙を吐きながらゆっくりと駅に入ってきました。 scars en 名 傷あと The old sailor still carried scars from that terrible storm. その年老いた船乗りは、あのひどい嵐の傷あとをいまも残していました。 shame en 動 恥じ入らせる・顔色なからしめる He felt a quiet shame for forgetting his sister's birthday. 彼は妹の誕生日を忘れたことに静かな恥を感じました。 thee en 代 あなたを。 you の古い形 I promise thee that I shall return before the winter ends. 冬が終わる前に必ず戻ると、あなたに約束します。 thy en 代 あなたの( your の古い形) Keep thy promise, and thy honor shall remain unbroken. あなたの約束を守れば、あなたの誉れは損なわれないままでしょう。 thyself en 代 汝自身 Take care of thyself well during this long winter journey. この長い冬の旅のあいだ、あなた自身をよく大事にしなさい。 twinkle en 動 きらめく The distant harbor lights began to twinkle as night fell. 夜が更けるにつれ、遠くの港の明かり