道徳の由来を問う――ニーチェの系譜 — Epoché
解説 当然の善悪にも、来歴がある 系譜は、今の道徳を当然とせず、評価の仕方がどう生まれ変化したかを問う。ニーチェは、優れた者の特徴を善いとする善い/劣ったという評価と、他者への害を悪とする善/悪の評価を区別した。 全ての道徳が一つの歴史法則で説明できるという意味ではない。 出典1 怨恨が、価値を転換するという診断 反撃できない人々の持続する怨恨を、ルサンチマンと呼ぶ。それが敵を悪とする評価の転換を動かしたと論じた。道徳の自己説明の背後に、異なる心理を探る。 本人の歴史的・心理的な診断。弱い立場の人や親切な行為の全てを怨恨と断定しない。転換の過程や意識性には研究上の論争がある。 出典1 診断の先に、価値の問いが残る 罪責感や禁欲が自分を罰する方向へ強まることにも、損傷を見た。既成の価値の批判だけでなく、新しい価値を作る課題を哲学に求めた。 由来を語るだけで禁欲の価値が論理的に反証されるわけではない。規律の全否定や加害の許可でもない。価値創造は気分で何でも決めることではなく、制約ある達成で、その意味には解釈差がある。 出典1 『道徳の系譜』の評価の対比 評価 出発点 対になるもの 善い/劣った 優れた者自身の特徴への肯定 通常の者・劣ったもの 善/悪 敵の害への否定 害を抑え他者へ配慮する善 ニーチェの分析の整理。全ての人の動機をこの表で決めつけない。 参考文献 [1] Anderson, R. Lanier「Friedrich Nietzsche」。 出典