10.4 短い描写 — 部屋と町 — Epoché
この課でできるようになること 描写の 順路 を自分で決められる。 位置の語 を使って、読む人の頭に絵を作れる。 There is と There are を使い分けられる。 最後に自分を置く と何が変わるかを言える。 前提 : 10.3 まで。 手本 手本は町の描写です。 87 語、 13 文。行を押すと音が鳴ります。 右の列は、どこを指しているか です。 英文 日本語訳 どこを指しているか I live in a small town. [1] 私は小さな町に住んでいる。 全体(何の話か) The town is an hour away by bus. [2] 町まではバスで1時間です。 全体(どこにあるか) There is a station in the center of the city. [3] 市の中心に駅があります。 町の中心 There is a park in the middle of the city. [4] 市の中央に公園がある。 町の中心 The streets are laid out quite well. [5] 街路はよく設計されている。 町の作り There are a lot of houses here. [6] ここには家がいっぱいあるなぁ。 近所 There is a school near my house. [7] 私の家の近くに学校があります。 近所 There is a shop in front of my house. [8] 私の家の前に店があります。 家のすぐ前 He lives next to me. [9] 彼は私の隣に住んでいる。 隣 Everyone knows each other. [10] みんな顔見知りなんです。 そこに住む人 My house is big. [11] 僕んち、大きいんだ。 自分の家 The window is open. [12] 窓が開いています。 その家の窓 I like sitting by the window. [13] 窓のそばに座るのが好きなんです。 自分 右の列を上から見てください。 全体 → 町の中心 → 近所 → 家のすぐ前 → 隣 → 自分の家 → 窓 → 自分 。 遠くから近くへ、一度も戻らずに寄って います。これがこの手本の 順路 です。 型 ★描写には順路が要る 部屋にも町にも、 もともと順序はありません 。どこから書いてもよいのです。だからこそ、 書く側が決めなければなりません 。 決めずに書くと、こうなります——「机がある。窓がある。となりに学校がある。本棚がある。駅は近い」。一つ一つは正しいのに、 読む人の頭に絵ができません 。遠いものと近いものが交互に出るからです。 順路は、三つのうちどれかを選べば足ります。 順路 どう進むか 向いているもの 遠くから近くへ 全体 → 中心 → 近所 → 自分 町 。手本はこれ 入口から回る 扉 → 右へ、壁づたいに一周 部屋 大きいものから いちばん大きいもの → 次 → 細かいもの どちらにも使える 8.20 読編 で「地図を作ってから読む」と置きました。書くほうは、その逆です—— 地図を渡す 。順路とは、読む人に渡す地図のことです。 ★位置の語が無いと絵にならない 手本に出る位置の語を、全部並べます。 位置の語 意味 手本での出方 in the center of 〜の中心に There is a station in the center of the city. [3] in the middle of 〜のまん中に There is a park in the middle of the city. [4] near 〜の近くに There is a school near my house. [7] in front of 〜の前に There is a shop in front of my house. [8] next to 〜のとなりに He lives next to me. [9] by 〜のそばに I like sitting by the window. [13] 6 通り あります。多いようですが、 描写ではこれくらい使います 。一文に一つ入れるつもりで書いてください。 日本語との差はここです。日本語は「駅がある。公園がある。学校がある」と並べるだけでも、 聞き手が勝手に並べてくれます 。英語は 並べてくれません 。位置の語が無いと、 ばらばらのものが宙に浮いたまま になります。 日本語では 英語では 「公園がある」で通じる どこの公園かを言う 。町の中か、家の前か、近くか 位置は 聞き手が補う 位置は 書き手が渡す There is と There are 手本には There is ・ There are が合わせて 5 回出ます。 描写の背骨 です。 その形 うしろに来るもの 手本での出方 There is 一つのもの There is a station in the center of the city. [3] There are 二つ以上 There are a lot of houses here. [6] 使い分けは うしろの名詞の数だけ で決まります。前の There は変わりません。日本語話者がよく間違えるのは、 うしろを見ずに There is と書き始める ことです。書く前に、 次に来るものが一つか二つ以上かを決めて ください。 ★最後に自分を置く 手本の最後の一文を見てください。 I like sitting by the window. [13] 町の話をしてきて、最後に 自分 が出ます。これで、 この描写が誰の目から見たものか が決まります。 無くても描写は成り立ちます。けれども、あると二つのことが起きます。一つ、 読む人が視点を得ます 。どこに立って見ているかが分かる。二つ、 描写が終わったことが分かります 。描写は終わりが見えにくいので、これは効きます。 10.2 作編 の日記と同じ作りです。あちらは 出来事を並べて、最後に感想を一文 でした。こちらは ものを並べて、最後に自分を一文 。 並べたあとの一文 が、書いたものを締めます。 課題 二本書いてください 。一本あたり七十〜九十語です。 自分の部屋 を描写する。順路は 入口から回る を使う。扉のところに立ったつもりで、右へ一周してください。 自分の住む町 を描写する。順路は 遠くから近くへ 。手本と同じ順路です。 どちらも、 一文に位置の語を一つ 入れる。入っていない文に印をつけて、あとから足す。 どちらも、 最後の一文に自分を置く 。「わたしはここが好きだ」でも、「わたしは窓のそばにすわる」でもかまいません。 一つめがこの課の山です。部屋は 毎日見ているのに、書けません 。見慣れたものは、 順路を決めないかぎり言葉になりません 。扉のところに立って、右から順に目で追ってください。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 How to improve your writing British Council | English (2:14, 2017) 書き方を良くする勘どころ もっと深く — 時間のあるときに じっくり取り組みたい人向けの、長めの講義や原典の解説です。この課を進めるのに見る必要はありません。長さを見て、興味のあるところだけ選んでください。 Writing Workshop: Describing a process British Council | English (49:45, 2023) 手順を書く公開講座。50 分 練習 手本の 13 文を、行を押して音を聞いてから 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 遠いものは低く、近いものは高く 読んでみる。寄っていく感じが声に出ます。 位置の語 6 つを、 それが出る文ごと 音読する。3 周する。 位置の語だけを強く 言う。そこが絵を作っている語だからです。 書いた自分の描写を音読して、 目をつぶった人に絵が浮かぶか を考える。浮かばない文には、 位置の語が無い はずです。 AI への頼み方 描写は、 できているかどうかを自分では判定しにくい ものです。書いた本人には、もともと絵が見えているからです。 何を頼むか 頼み方の型 絵にしてもらう 「この描写を読んで、 どんな部屋(町)が見えるかを言葉で説明して ください。あなたが思い浮かべたとおりに」 位置が分からない所を挙げさせる 「 位置が分からないもの があれば挙げてください」 順路を当てさせる 「この描写は どういう順で 書かれていますか」 一つめが強力です。返ってきた説明が 自分の部屋と違っていたら 、そこが伝わっていないところです。 直すべき場所が、そのまま分かります 。 三つめは、 順路が伝わっているか の検査です。AI が順路を言い当てられないなら、読む人も地図を受け取れていません。 自分では決めたつもりでも、書けていない ことがあります。 自己点検表 10.3 作編 の表に、 四つ足します (下の四行)。これで第 2 期の点検表はそろいます。 点検すること 合格の目安 語数(一本あたり) 七十〜九十語 文の数 十二文以上 いちばん長い文の語数 十語以下 ★位置の語の数 五つ以上 ★位置の語が入っていない文の数 三つ以下 ★順路が戻っているところ ゼロ ★最後の一文に自分がいるか いる 第 2 期の作編で積んだ点検の項目は、どれも 数えられるもの でした。語数・文の数・埋まった箱の数・過去形でない動詞の数・理由の数・位置の語の数。 数えられるものだけを自分で点検し、数えられないものを人と AI に聞く ——これが作編の運び方です。第 3 期からは書くものが長くなりますが、 この運び方は変わりません 。 この課のまとめ ★ 描写には順路が要る。 部屋にも町にも、もともと順序は無い。 書く側が決める 。 順路は三つのどれか—— 遠くから近くへ (町)、 入口から回る (部屋)、 大きいものから (どちらにも)。 読むときは 地図を作る ( 8.20 読編 )。書くときは 地図を渡す 。 ★ 英語は位置の語が無いと絵にならない。 日本語は聞き手が補ってくれるが、英語は補ってくれない。 一文に位置の語を一つ 入れるつもりで書く。 There is と There are の使い分けは うしろの名詞の数だけ 。 書く前に、次に来るものが一つか二つ以上かを決める 。 ★ 最後に自分を置く。 読む人が視点を得て、描写が終わったことも分かる。 並べたあとの一文が、書いたものを締める ( 9.2 論編 と同じ)。 ★作編の運び方—— 数えられるものだけを自分で点検し、数えられないものを人と AI に聞く 。 次の課へ 次の課は 12.4 、 知編 ——日本語で読む背景知識の続きです。第 2 期の知編は三課あり、 名前と敬称と挨拶の作法 、 数・時間・単位・通貨・日付 、 学校と暮らし を扱います。どれも 英語そのものではなく、英語の外にあること です。知らないと、 正しい英語を書いても失礼になります 。 答え よくある失敗を四つ 置きます。 順路が行ったり来たりしている。 机のことを書いて、窓の外の話をして、また机に戻る。 戻りたくなったら、その中身を正しい場所へ移して ください。順路は一度決めたら守ります。 位置の語が一つも無い。 「机がある。椅子がある。本がある」と並んでいる。日本語ならこれで通りますが、英語では 宙に浮いたまま です。「窓のそばに」「扉のとなりに」を足してください。 There is ばかり使っている。 うしろが二つ以上でも There is と書いている。 書く前にうしろを決める ——これだけで直ります。 最後に自分がいない。 ものを並べて終わっている。 終わったことが読む人に伝わりません 。一文でよいので、自分を置いてください。 参考文献 Tatoeba 文 #258639(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/258639 Tatoeba 文 #9981358(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/9981358 Tatoeba 文 #246113(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/246113 Tatoeba 文 #246112(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/246112 Tatoeba 文 #21765(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/21765 Tatoeba 文 #12740191(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/12740191 Tatoeba 文 #250498(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/250498 Tatoeba 文 #250511(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/250511 Tatoeba 文 #298017(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/298017 Tatoeba 文 #10527011(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/10527011 Tatoeba 文 #250554(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/250554 Tatoeba 文 #462988(CC BY 2.0 FR)。h