3.11 無母音で読む ③ — 型から母音を組み立てる — Epoché
この 課 か でできるようになること 無母音 むぼいん の 語 ご から、 型 かた の 候補 こうほ を 挙げ あげ られる。 文脈 ぶんみゃく を 使っ つかっ て 候補 こうほ をひとつに 絞れる しぼれる 。 母語 ぼご 話者 わしゃ が 無母音 むぼいん の 文章 ぶんしょう をどう 読ん よん でいるかを、 自分 じぶん の 言葉 ことば で 説明 せつめい できる。 前提 ぜんてい : 3.10( 弱い よわい 語根 ごこん ② 語頭 ごとう ・ 重なる かさなる 子音 しいん ・ハムザ) 同じ おなじ 3 字 じ が、3 通り とおり に 読める よめる 0.1 課 か で、 書く かく ことの 3 つの 子音 しいん が「 彼 かれ は 書い かい た」「それは 書か かか れた」「 本 ほん ( 複数 ふくすう )」の 3 通り とおり に 読める よめる と 書き かき ました。あのときは 読め よめ なくて 当然 とうぜん でしたが、いまなら 型 かた が 分かり わかり ます。 「 彼 かれ は 書い かい た」は 第 だい I 形 がた の 過去 かこ 。 母音 ぼいん はアとア。「それは 書か かか れた」は 受け身 うけみ で、 母音 ぼいん はウとイ。「 本 ほん ( 複数 ふくすう )」は 語根 ごこん 編 へん 8 課 か で 扱っ あつかっ た 不規則複数 ふきそくふくすう の 型 かた で、 母音 ぼいん はウとウ。 3 つとも 字 じ の 並び ならび は 同じ おなじ です。 では 母語 ぼご 話者 わしゃ はどう 読ん よん でいるのか。 答え こたえ は 文脈 ぶんみゃく です。 前後 ぜんご に 主語 しゅご があるか、 目的 もくてき 語 ご があるか、 数詞 すうし があるか、 前置詞 ぜんちし があるか。それによって、どの 型 かた がふさわしいかが 決まり きまり ます。 たとえば「 彼 かれ は 手紙 てがみ を」という 語 ご のあとに 来れ くれ ば 動詞 どうし で、「 三 さん 冊 さつ の」という 語 ご のあとに 来れ くれ ば 複数 ふくすう の 名詞 めいし です。 文 ぶん の 骨組み ほねぐみ が 決まれ きまれ ば、その 位置 いち に 来 こ られる 型 かた は 限ら かぎら れます。 型 かた は 候補 こうほ を 絞る しぼる 道具 どうぐ で、 決める きめる のは 文脈 ぶんみゃく ——これが 読む よむ という 行為 こうい の 実体 じったい です。 この 読み よみ 方 かた は、 慣れる なれる と 速く はやく なります。 母語 ぼご 話者 わしゃ は 無 む 意識 いしき にやっていて、 意識 いしき するのは 知ら しら ない 語 ご に 出会っ であっ たときだけです。 学習 がくしゅう 者 しゃ も 同じ おなじ 道 みち をたどります。 最初 さいしょ は 一 いち 語 ご ずつ 考え かんがえ 、やがて 考え かんがえ なくなります。 この 課 か では、その 最初 さいしょ の 段階 だんかい を 練習 れんしゅう します。 語 ご を 見 み て 型 かた の 候補 こうほ を 挙げ あげ 、 文脈 ぶんみゃく で 絞る しぼる 。 手順 てじゅん を 意識 いしき してやってみてください。 型 かた の 表 ひょう 同じ おなじ 字 じ の 並び ならび が、 型 かた によって 別 べつ の 語 ご になる 例 れい です。どれも 実際 じっさい に 使わ つかわ れる 語 ご です。 無母音 むぼいん の 綴り つづり 候補 こうほ كتب 候補 こうほ 1 كَتَبَ カタバ。 彼 かれ は 書い かい た/ 候補 こうほ 2 كُتِبَ クティバ。 書か かか れた/ 候補 こうほ 3 كُتُب クトゥブ。 本 ほん ・ 複数 ふくすう علم 候補 こうほ 1 عَلِمَ アリマ。 彼 かれ は 知っ しっ た/ 候補 こうほ 2 عَلَّمَ アッラマ。 彼 かれ は 教え おしえ た/ 候補 こうほ 3 عِلْم イルム。 学問 がくもん درس 候補 こうほ 1 دَرَسَ ダラサ。 彼 かれ は 学ん まなん だ/ 候補 こうほ 2 دَرَّسَ ダッラサ。 彼 かれ は 教え おしえ た/ 候補 こうほ 3 دَرْس ダルス。 授業 じゅぎょう حسن 候補 こうほ 1 حَسَن ハサン。 良い よい / 候補 こうほ 2 حُسْن フスン。 美し うつくし さ/ 候補 こうほ 3 حَسَّنَ ハッサナ。 彼 かれ は 改善 かいぜん した كبر 候補 こうほ 1 كَبُرَ カブラ。 大きく おおきく なった/ 候補 こうほ 2 كِبَر キバル。 大き おおき さ/ 候補 こうほ 3 كُبْر クブル。 偉大 いだい さ 候補 こうほ は 3 つとは 限り かぎり ません。よく 使う つかう 語根 ごこん では、5 つも 6 つも 候補 こうほ が 立ち たち ます。それでも 文 ぶん の 中 なか での 位置 いち で、たいてい 1 つか 2 つに 絞れ しぼれ ます。 絞れ しぼれ ないときは、 母語 ぼご 話者 わしゃ も 読み よみ 方 かた に 迷い まよい ます。 詩 し や 古い ふるい 文章 ぶんしょう では、 意図 いと 的 てき に 両方 りょうほう に 読める よめる 書き かき 方 かた をすることもあります。 母音 ぼいん を 書か かか ないという 選択 せんたく が、そういう 遊び あそび を 可能 かのう にしている とも 言え いえ ます。 読み よみ 方 かた 手順 てじゅん を 4 段 だん にまとめます。 無母音 むぼいん の 語 ご に 出会っ であっ たら、この 順 じゅん に 考え かんがえ てください。 第 だい 一 いち に、 字数 じすう を 数え かぞえ ます 。3 字 じ なら 第 だい I 形 がた の 動詞 どうし か 短い みじかい 名詞 めいし 。4 字 じ なら 派生形 はせいけい か、 語頭 ごとう にミームのある 名詞 めいし 。5 字 じ 以上 いじょう なら 派生形 はせいけい の 可能 かのう 性 せい が 高く たかく なります。 第 だい 二 に に、 足さ たさ れた 字 じ を 探し さがし ます 。 語頭 ごとう のミーム、 語頭 ごとう のアリフ、 語中 ごちゅう のターゥ、 長母音 ちょうぼいん のアリフ・ワーウ・ヤーゥ。これらの 位置 いち で 型 かた が 絞ら しぼら れます。 語根 ごこん 編 へん 4 課 か と 語根 ごこん 編 へん 7 課 か で 覚え おぼえ た 見分け みわけ 方 かた が、そのまま 使え つかえ ます。 第 だい 三 さん に、 文 ぶん の 中 なか での 位置 いち を 見 み ます 。 動詞 どうし が 来る きたる べき 場所 ばしょ なら 動詞 どうし の 型 かた 、 名詞 めいし が 来る きたる べき 場所 ばしょ なら 名詞 めいし の 型 かた 。 前置詞 ぜんちし の 後ろ うしろ なら 必ず かならず 名詞 めいし です。この 判断 はんだん には 型 かた 編 へん の 文法 ぶんぽう が 要り いり ますが、いまの 段階 だんかい でも「 主語 しゅご らしい 語 ご のすぐ 後ろ うしろ は 動詞 どうし 」くらいの 見当 けんとう はつきます。 第 だい 四 よん に、 意味 いみ が 通る とおる か 確かめ たしかめ ます 。 候補 こうほ のうち、 文 ぶん 全体 ぜんたい の 意味 いみ が 通る とおる ものを 選び えらび ます。 通ら とおら なければ 第 だい 一 いち 段 だん に 戻り もどり ます。 この 4 段 だん を、 実際 じっさい の 語 ご で 試し ためし てみます。 下 した の 表 ひょう は、 同じ おなじ 語 ご が 違う ちがう 文脈 ぶんみゃく でどう 読ま よま れるかを 並べ ならべ たものです。 文脈 ぶんみゃく 無母音 むぼいん の 語 ご 読み よみ と 理由 りゆう 「 学生 がくせい が」のあと كتب كَتَبَ ( 動詞 どうし )。 主語 しゅご のあとなので 動詞 どうし 。 第 だい I 形 がた の 過去 かこ 「 三 さん 冊 さつ の」のあと كتب كُتُب ( 名詞 めいし の 複数 ふくすう )。 数詞 すうし のあとなので 名詞 めいし 。 複数 ふくすう の 型 かた 「 机 つくえ の 上 うえ に」のあと كتب كُتُب ( 名詞 めいし の 複数 ふくすう )。 前置詞 ぜんちし 句 く のあとに 主語 しゅご が 来る くる 位置 いち 「 教師 きょうし が 学生 がくせい に」のあと درس دَرَّسَ ( 動詞 どうし の 第 だい II 形 がた )。 相手 あいて が 二 ふた つあるので「 教え おしえ た」 「 学生 がくせい が」のあと درس دَرَسَ ( 動詞 どうし の 第 だい I 形 がた )。 相手 あいて が 一 ひと つなので「 学ん まなん だ」 第 だい I 形 がた と 第 だい II 形 がた の 区別 くべつ が、 目的 もくてき 語 ご の 数 かず で 決まる きまる のが 分かり わかり ます。 教える おしえる という 動作 どうさ は、 教える おしえる 相手 あいて と 教える おしえる 内容 ないよう の 二 ふた つを 取り とり ます。 だから 目的 もくてき 語 ご が 二 ふた つあれば 第 だい II 形 がた 、と 判断 はんだん できます。この 判断 はんだん は 4.12 課 か で 改めて あらためて 扱い あつかい ます。 頻出 ひんしゅつ 語 ご で 通す とおす 練習 れんしゅう のために、 型 かた の 候補 こうほ を 挙げ あげ やすい 語 ご を 並べ ならべ ました。それぞれ 2 通り とおり 以上 いじょう の 読み よみ 方 かた があります。 無母音 むぼいん の 綴り つづり 読み よみ 方 かた 1 読み よみ 方 かた 2 كتب كَتَبَ ( 彼 かれ は 書い かい た) كُتُب ( 本 ほん ( 複数 ふくすう )) مدرس مُدَرِّس ( 教師 きょうし ) مَدْرَس ( 学ぶ まなぶ 場所 ばしょ ) عمل عَمِلَ ( 彼 かれ は 働い はたらい た) عَمَل ( 仕事 しごと ) ذهب ذَهَبَ ( 彼 かれ は 行っ いっ た) ذَهَب ( 金 きん ) سلم سَلِمَ ( 彼 かれ は 無事 ぶじ だった) سَلَام ( 平安 へいあん 、 挨拶 あいさつ ) حسن حَسَن ( 良い よい ) حُسْن ( 美し うつくし さ) قدم قَدَّمَ ( 彼 かれ は 差し出し さしだし た) قَدِيم ( 古い ふるい ) 行く いく という 動詞 どうし と 金 かね という 名詞 めいし が 同じ おなじ 字 じ の 並び ならび になるのは、たまたまではありません。 同じ おなじ 語根 ごこん です。 金 きん は「 行き いき 渡る わたる もの」という 捉え とらえ 方 かた から 来 き たと 言わ いわ れます。 意味 いみ のつながりが 遠い とおい ので、 現代 げんだい の 話者 わしゃ は 別 べつ の 語 ご として 使っ つかっ ています。 平安 へいあん を 意味 いみ する 語 ご は、 挨拶 あいさつ の 言葉 ことば としていちばん 使わ つかわ れます。 話 はなし 編 へん の 最初 さいしょ の 課 か で 扱い あつかい ます。 同じ おなじ 語根 ごこん から、イスラームという 語 ご もムスリムという 語 ご も 作ら つくら れています。 日本語話者 にほんごわしゃ がつまずくところ 候補 こうほ を 挙げ あげ ずに 一 ひと つに 決め きめ てしまう。 最初 さいしょ に 思いつい おもいつい た 読み よみ 方 かた が 正しい ただしい とは 限り かぎり ません。 候補 こうほ を 2 つ 3 つ 挙げ あげ てから 絞る しぼる という 手順 てじゅん を、 意識 いしき してやってください。 慣れれ なれれ ば 無 む 意識 いしき になります。 文脈 ぶんみゃく を 見 み ずに 型 かた だけで 決める きめる 。 型 かた は 候補 こうほ を 絞る しぼる 道具 どうぐ であって、 決める きめる のは 文脈 ぶんみゃく です。 文 ぶん を 最後 さいご まで 読ん よん でから 戻っ もどっ て 読み直す よみなおす 、ということもよくあります。 読め よめ ないことを 能力 のうりょく の 問題 もんだい だと 思う おもう 。 0.9 課 か でも 書い かい たとおり、 知ら しら ない 語 ご は 母語 ぼご 話者 わしゃ も 読め よめ ません。 読め よめ ないのは 語彙 ごい が 足り たり ないからで、 手順 てじゅん が 悪い わるい からではありません。 辞書 じしょ を 引い ひい てください。 練習 れんしゅう 練習 れんしゅう 1 — 型 かた の 候補 こうほ を 挙げる あげる 次 つぎ の 無母音 むぼいん の 語 ご について、 読み よみ 方 かた の 候補 こうほ を 2 つ 以上 いじょう 挙げ あげ てください。 意味 いみ も 添え そえ てください。 答え こたえ はこの 課 か の 最後 さいご にあります。 كتب علم عمل ذهب حسن 練習 れんしゅう 2 — 音読 おんどく 次 つぎ の 5 語 ご を、 母音 ぼいん を 補っ おぎなっ て 声 こえ に 出し だし て 読ん よん でください。どれも 2 通り とおり 以上 いじょう の 読み よみ 方 かた がありますが、ここでは 表 ひょう に