8.70 さる — 教えるために書かれた文 — Epoché
この篇でできるようになること ★ 教科書の文 が物語の文とどう違うかを言える。 末尾の語釈についた記号が、何を示しているかを説明できる。 書き手が「これは本当ではない」と断る一節を見つけられる。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 前提 : 8.69 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に 『マガフィー読本』は、1836 年から百年あまり使われたアメリカの 国語の教科書 です。読本は程度べつに六冊あり、ここで読むのは 第四読本 ——十歳前後の子どもが使ったものです。 ★ これまでの 29 篇とは、目的が違います。 これまでは、 読ませるため に書かれた文でした。これからの 3 篇は、 教えるため に書かれた文です。 どこを見るか 何が分かるか 段落に番号がある 末尾の語釈が、どの段落の語かを示すため 末尾に DEFINITIONS がある 難しい語をその場で説明している 途中で書き手が口をはさむ うわさを正すため 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文と語釈を合わせて 536 語です。 The monkey is a very cunning little animal, and is found in many parts of the world. ★ 一文めから、もう説明です。 物語なら「あるところに、さるがいました」と始まるところです。けれども、この文は さるという動物そのもの の話から入ります。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 サルはとてもずるがしこい小さな動物で、世界の多くの地方にいます。 ある婦人が、以前、贈り物として連れてこられたサルを一匹飼っていました。このサルは、ほかのサルと同じように、いたずらが大好きで、ほかの者がするのを見たことは何でもまねするのが大好きでした。 ある日、飼い主の婦人は、サルが自分の化粧台の上に座っているのを見つけました。サルは片手に水の入った小さな陶器のカップを、もう一方の手に婦人の歯ブラシを持ち、それで歯をみがいていました。そのあいだずっと鏡をのぞきこんでいたのです。 婦人の小さな娘のマリアは、とてもきれいな頭と顔をした大きな人形を持っていました。ある日、マリアはこの人形をゆりかごに置いたまま、部屋を出ていきました。サルが入ってきて、人形を腕に抱き、洗面台の上に飛び乗ると、その顔を洗い始めました。 サルはまず人形の顔じゅうを石けんでこすりました。それからタオルをつかんで洗面器の水にひたし、あまりに強くこすったので、人形の顔はすっかりだめになってしまいました。塗ってあった絵の具がすっかり洗い落とされてしまったのです。 サルが棒を手に持ち、集まって戦をしたり、敵に立ち向かって大きな成果を上げたりしたという話は、これまでたくさんありました。けれども、それは本当ではありません。もともとの野生の状態では、サルは武器というものをまったく知らないことがわかっているからです。 旅人が木の枝の下を通るときに投げつけられるという棒やそのほかの飛び道具は、たいていは枯れ枝などが偶然折れたものです。サルたちが、その仲間に生まれつきの好奇心から、下にいる人間のふるまいを見ようと木のてっぺんを伝っていくときに折れるのです。 けれども、サルに棒の使い方を教えこむことはできますし、上手に使えるようにもなります。少し前のこと、二人のイタリア人が、手回しオルガンとサルを一匹、いっしょに持っていて、それで暮らしを立てていました。ある見世物の最中に、一匹の犬がその小さなサルに飛びかかり、それで持ち主たちはたいそう腹を立てました。 二人は犬の持ち主とそのことで言い争い、とうとう、犬とサルに決着がつくまで戦わせることになりました。サルは体が小さいので、棒を持つことを許されることになりました。 サルは、するべきことを次のようなやり方で教わりました。イタリア人の一人が犬のようにほえながら四つんばいではい回り、もう一人がその背中に乗って髪をつかみ、棒で頭をたたいたのです。 サルはたいそうまじめな顔で見ていました。そして教えが終わると、自分の仕事を心得ていて、それをやるつもりでいる人のような様子で棒を受け取りました。 すべての準備が整うと、犬は口を開けてサルに飛びかかりました。サルはすぐに犬の背中に飛び乗り、犬の耳をつかんで、その頭をたいそう熱心にたたき続けたので、相手はたちまち降参しました。けれどもサルは、ただ勝っただけでは満足せず、犬の頭をなおもたたき続け、とうとう犬は地面にのびて気を失ってしまいました。 語の意味——1. Cun'ning :ずるい。3. Toi'let ta'ble :化粧台。6. Re-sist'ed :立ち向かった。7. Mis'siles :投げつけられる武器。8. Ex-hi-bi'tions :人前で見せる出し物。11. Grav'i-ty :まじめさ。 In-struc'-tion :教え。12. Sense'less :見たところ生きている様子のない。 語釈 帯の外の語は 61 語です。★このうち十数語は、 語ではなく語の切れはし です。末尾の語釈が、語を 音のかたまりに区切って 書いているからです。 語(品詞) 意味 注 Italians en 名 イタリア人(複数) Many Italians enjoy drinking coffee after their meals. 多くのイタリア人は食後にコーヒーを飲むのを楽しみます。 Maria en 名 マリア。女の子の名 accidentally en 副 たまたま He accidentally dropped the plate while washing the dishes. 彼は皿洗いをしているときにうっかりお皿を落としてしまいました。 adversary en 名 相手 The young boxer faced a strong adversary in the ring. 若いボクサーはリングで手ごわい相手と対戦しました。 apparent en 形 目に見える Her surprise was apparent the moment she opened the box. 箱を開けた瞬間、彼女の驚きは目に見えて分かりました。 barking en 動 ほえている The dog kept barking loudly at the strange noise outside. 犬は外の変な物音に向かって大声でほえ続けました。 bi'tions en 名 Ex-hi-bi'tions の区切りの一部 bowl en 名 はち She placed a bowl of soup on the table. 彼女はテーブルにスープの入ったはちを置きました。 china en 名 瀬戸物 The old cabinet was filled with delicate pieces of china. その古い戸棚には繊細な瀬戸物がたくさん入っていました。 cradle en 名 ゆりかご The mother gently rocked the cradle until the baby slept. 母親は赤ちゃんが眠るまでゆりかごをそっと揺らしました。 crawled en 動 四つんばいになった The baby crawled across the floor toward her favorite toy. 赤ちゃんはお気に入りのおもちゃに向かって床を四つんばいで進みました。 cun'ning en 形 Cun'ning 。区切りとアクセントの印つき cunning en 形 ずるがしこい The cunning fox tricked the farmer out of his chickens. そのずるがしこいキツネは農夫をだまして鶏を奪いました。 curiosity en 名 もの好き Pure curiosity led the child to open the locked drawer. 純粋なもの好きから、その子は鍵のかかった引き出しを開けてしまいました。 dipped en 動 ひたした She dipped her brush into the paint before starting. 彼女は始める前に筆を絵の具にひたしました。 doll en 名 人形 The little girl carried her favorite doll everywhere she went. その小さな女の子はどこへ行くにもお気に入りの人形を持ち歩きました。 doll's en 名 人形の The doll's dress was torn after the monkey grabbed it. さるにつかまれた後、人形のドレスは破れてしまいました。 etc en 略 など ex en 接頭 Ex-hi-bi'tions の区切りの一部 fond en 形 be fond of で「好きだ」 My little sister is fond of drawing pictures of cats. 私の妹はねこの絵を描くのが好きです。 grasped en 動 つかんだ He grasped the rope tightly before climbing up the wall. 彼は壁をよじ登る前にロープをしっかりとつかみました。 grasping en 動 つかんで The child kept grasping at the balloon floating overhead. その子は頭上に浮かぶ風船をつかもうとし続けました。 grav'i en 名 Grav'i-ty の区切りの一部 gravity en 名 まじめくさった顔つき The judge spoke with great gravity when announcing the verdict. 裁判官は判決を告げるとき、たいへんまじめくさった顔つきで話しました。 handsome en 形 りっぱな Everyone said the young prince was tall and handsome. みんなはその若い王子が背が高くてりっぱだと言いました。 knees en 名 ひざ(複数) The old man's knees ached after the long, steep climb. その老人のひざは、長く急な上り坂の後に痛みました。 leaped en 動 跳びついた The cat leaped onto the shelf to catch the bird. 猫は鳥を捕まえようと棚に跳びつきました。 mere en 形 ただの It took mere minutes for the whole cake to disappear. ケーキがすべて消えるのに、ほんのわずかな時間しかかかりませんでした。 mis'siles en 名 Mis'siles 。区切りとアクセントの印つき mischief en 名 いたずら The twins were always getting into some kind of mischief. その双子はいつも何かしらのいたずらをしていました。 missiles en 名 投げつけるもの(複数) The monkeys hurled coconuts as missiles at the startled visitors. さるたちは驚いた見学者たちに向かってココナツを投げつけました。 mistress en 名 飼い主の女性 The mistress called her dog inside before the storm began. 飼い主の女性は嵐が始まる前に犬を中に呼び入れました。 monkey en 名 さる A small monkey climbed onto the organ grinder's shoulder. 小さなさるがオルガン弾きの肩によじ登りました。 monkeys en 名 さる(複数) The monkeys chattered noisily as they swung from branch to branch. さるたちは枝から枝へ飛び移りながら、にぎやかに鳴き声を上げました。 mug en 名 取っ手つきのコップ He poured hot cocoa into a large mug for breakfast. 彼は朝食に取っ手つきの大きなコップに温かいココアを注ぎました。 organ en 名 手回しオルガン The street musician turned the handle of his little organ. その大道芸人は小さな手回しオルガンのハンドルを回しました。 quarreled en 動 言い争った The two brothers quarreled loudly over who owned the toy. その二人の兄弟はどちらがそのおもちゃの持ち主かで大声で言い争いました。 resisted en 動 ふせいだ The stubborn mule resisted every attempt to lead it forward. その頑固なラバは前へ引かれるあらゆる試みにふせぎました。 rubbed en 動 こすった She rubbed her eyes and yawned before getting out of bed. 彼女はベッドから出る前に目をこすってあくびをしました。 seizing en 動 つかんで The eagle dove suddenly, seizing the fish in its claws. ワシは急降下し、爪で魚をつかみました。 sense'less en 形 Sense'less 。区切りとアクセントの印つき senseless en 形 気を失った He fell senseless to the ground after hitting hi