8.50 黒馬物語(2)— 意味が分からないまま見る — Epoché
この篇でできるようになること ★ 意味が分からないまま見る 書き方に気づける。 読者が自分で意味を組み立てる、という読み方ができる。 音と動きの語を、束としてまとめて受け取れる。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 前提 : 8.49 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に イギリスの きつね狩り (この篇ではうさぎ狩り)は、犬の群れと馬に乗った人々が、野を越えて獲物を追う遊びです。当時の地主階級の楽しみでした。 けれども、そういう説明は 本文にはありません 。語り手は子馬で、何も知らないからです。読者は、書かれていることから 自分で意味を組み立てる ことになります。 固有名詞 何を指すか hounds 猟犬の群れ huntsmen 狩りをする人々 hare 野うさぎ colts 若い馬たち。語り手もその一頭 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 516 語、段落は 7 つです。 Before I was two years old a circumstance happened which I have never forgotten. 読むときに一つ試してください。 何が起きているかを、読みながら当てて いく。語り手より先に分かるはずです。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 私が二歳になる前に、ある出来事がありました。私はそれを一度も忘れたことがありません。春の早い時期のことでした。夜のうちに少し霜が降りていて、森や牧草地の上にはまだうすい霧がかかっていました。私とほかの子馬たちが野原の下のほうで草を食べていると、ずっと遠くのほうで、犬の鳴き声のようなものが聞こえてきました。子馬のうちでいちばん年上の馬が頭を上げ、耳をぴんと立てて、「猟犬だ!」と言うと、すぐに駆け出しました。残りの私たちもそのあとについて野原の上のほうへ行きました。そこからは生け垣ごしに、向こうのいくつもの畑を見わたせるのです。母と、私たちの主人の年取った乗用馬もそばに立っていて、何もかも分かっているようでした。 「うさぎを見つけたのよ」と母が言いました。「こちらへ来たら、狩りが見られるわ」 まもなく犬たちはみな、私たちの野原の隣の、若い麦の畑を勢いよく駆け下りてきました。あんな騒がしい音は聞いたことがありません。犬たちは吠えるのでも、遠吠えするのでも、くんくん鳴くのでもなく、声をかぎりに「ヨー! ヨー、オー、オー! ヨー! ヨー、オー、オー!」と鳴きつづけていました。そのあとから、馬に乗った男たちが何人もやってきました。緑の上着を着ている人もいて、みな精いっぱいの速さで駆けていました。年取った馬は鼻を鳴らし、熱心にそのあとを見送りました。私たち若い子馬はいっしょに駆けて行きたくなりましたが、一行はすぐに下のほうの畑へ行ってしまいました。そこで一行は立ち止まったようでした。犬たちは吠えるのをやめ、鼻を地面につけてあちこち走り回りました。 「においを見失ったな」と年取った馬が言いました。「うさぎは逃げおおせるかもしれん」 「どのうさぎ?」と私は言いました。 「さあ! どのうさぎかは知らんよ。たぶん森から出てきた、このあたりのうさぎだろう。犬や人間が追いかけるには、見つけたうさぎなら何でもいいのさ」。まもなく犬たちはまたあの「ヨー! ヨー、オー、オー!」を始め、みないっしょに全速力で戻ってきました。高い土手と生け垣が小川の上に張り出しているあたりをめがけて、まっすぐ私たちの牧草地へ向かってきたのです。 「さあ、うさぎが見られるわ」と母が言いました。ちょうどそのとき、おびえきったうさぎが一匹、そばを駆け抜け、森のほうへ向かいました。犬たちが迫ってきました。土手を勢いよく越え、小川を跳び越え、狩人たちを従えて野原を突っ切ってきました。六人から八人の男が、犬のすぐあとについて、馬ごとひらりと跳び越えました。うさぎは垣根をくぐり抜けようとしましたが、垣根は茂りすぎていました。うさぎはくるりと向きを変えて道のほうへ逃げようとしましたが、もう遅すぎました。犬たちが荒々しい声をあげて襲いかかったのです。悲鳴が一つ聞こえ、それでうさぎはおしまいでした。狩人の一人が馬で駆け寄り、鞭で犬たちを追い払いました。そうしなければ、犬たちはすぐにうさぎをずたずたに引き裂いていたでしょう。その人はうさぎの脚をつかんで高く持ち上げました。うさぎは引き裂かれて血を流していました。紳士たちはみな、たいへん満足しているようでした。 語釈 帯の外の語は 41 語です。下に 全部 出します。 犬と馬と音の語 が多いことに気づいてください。 語(品詞) 意味 注 Oh en 間 おや Oh! The rain finally stopped after three long days. おや、三日も続いた雨がついにやみました。 altogether en 副 みないっしょに The plan was altogether different from what we had expected. その計画は私たちが予想していたものとすっかり違っていました。 bark en 動 ほえる The sharp bark of the dog echoed across the quiet farmyard. その犬の鋭いほえ声が静かな農家の庭に響きました。 barking en 動 ほえている The dog kept barking loudly at every car that passed. その犬は通り過ぎるすべての車に向かって大きくほえ続けました。 bleeding en 動 血を流している His hand was bleeding slightly after he touched the sharp fence wire. 彼の手は鋭い柵の針金に触れて少し血を流していました。 brook en 名 小川 The horses splashed happily through the shallow brook. 馬たちは浅い小川を楽しそうにはねながら渡りました。 burst en 動 どっと現れた A sudden burst of laughter came from the children's room. 子どもたちの部屋から突然どっと笑い声が現れました。 cantered en 動 軽く駆けた The rider cantered gently along the quiet forest trail. 乗り手は静かな森の小道を軽く駆けました。 colts en 名 若い馬(複数) The young colts followed their mother closely across the field. 若い馬たちは母馬のすぐ後ろについて野原を渡りました。 dashing en 動 勢いよく走っている A dashing young rider led the group across the open meadow. 勢いよく走る若い乗り手が広い牧草地を先頭に渡りました。 eagerly en 副 しきりに The children eagerly waited for the fireworks to begin. 子どもたちは花火が始まるのをしきりに待ちました。 fence en 名 囲い The horse jumped smoothly over the low wooden fence. その馬は低い木の囲いをなめらかに飛び越えました。 fright en 名 おびえ The loud thunder gave the small kitten quite a fright. 大きな雷鳴が小さな子猫をかなりおびえさせました。 frost en 名 霜 A thin layer of frost covered the grass this morning. 今朝、薄い霜の層が草を覆っていました。 galloping en 動 全速力で走っている The wild horses came galloping across the open plain. 野生の馬たちが広い平原を全速力で走ってやってきました。 gentlemen en 名 紳士(複数) Several gentlemen gathered near the fireplace to discuss business. 何人かの紳士が仕事の話をするために暖炉のそばに集まりました。 hare en 名 野うさぎ A quick hare darted suddenly across the quiet country road. すばやい野うさぎが突然静かな田舎道を横切りました。 hares en 名 野うさぎ(複数) Wild hares often hide among the tall grass near the hedge. 野うさぎたちは生け垣の近くの背の高い草の中によく隠れます。 hedge en 名 生け垣 A tall green hedge separated the two neighboring gardens. 高い緑の生け垣が隣り合う二つの庭を分けていました。 horseback en 名 on horseback で「馬に乗って」 They traveled through the mountains on horseback for three days. 彼らは三日間馬に乗って山を旅しました。 hounds en 名 猟犬(複数) A pack of hounds ran barking through the misty field. 猟犬の群れがもやのかかった野原をほえながら走りました。 howl en 動 遠ぼえする A long, lonely howl echoed through the dark forest at night. 長く寂しいうなり声が夜の暗い森に響きました。 hunt en 名 狩り Every autumn, the villagers gather for the annual fox hunt. 毎秋、村人たちは恒例の狐狩りのために集まります。 huntsmen en 名 狩りをする人(複数) The huntsmen rode swiftly across the misty meadow at dawn. 狩人たちは夜明けにもやのかかった牧草地をすばやく馬で渡りました。 leaped en 動 飛び越えた The frightened deer leaped over the fence and disappeared into the woods. おびえた鹿は柵を飛び越え、森の中へ消えていきました。 meadow en 名 牧草地 Cows grazed quietly in the wide green meadow all afternoon. 牛たちは午後じゅう広い緑の牧草地で静かに草を食んでいました。 meadows en 名 牧草地(複数) Golden sunlight spread across the meadows early in the morning. 朝早く、金色の日差しが牧草地一面に広がりました。 mist en 名 もや A soft mist covered the valley just before sunrise. 日の出の直前、柔らかいもやが谷を覆いました。 noses en 名 鼻(複数) The horses pressed their noses gently against the stable door. 馬たちはそっと鼻を馬小屋の扉に押し当てました。 o en 間 おー(猟犬の鳴き声 yo , o , o !) overhang en 動 覆いかぶさる Thick tree branches overhang the narrow path near the river. 太い木の枝が川の近くの細い道に覆いかぶさります。 pricked en 動 (耳を)ぴんと立てた The dog's ears pricked up the moment it heard a noise. その犬は物音を聞いた瞬間、耳をぴんと立てました。 scent en 名 におい。獲物のにおい跡 The hound followed the fox's scent through the misty field. その猟犬はもやのかかった野原で狐のにおいの跡をたどりました。 shriek en 名 かん高い叫び A sudden shriek from the garden startled everyone in the house. 庭からの突然のかん高い叫びが家の中の皆を驚かせました。 snorted en 動 鼻を鳴らした The tired horse snorted loudly after the long, steep climb. その疲れた馬は長く急な坂を登った後、大きく鼻を鳴らしました。 stream en 名 小川 A narrow stream flowed quietly through the shaded forest. 細い小川が日かげの森を静かに流れていました。 thick en 形 密生した The path disappeared into thick woods beyond the old bridge. その道は古い橋の向こうの密生した森の中へ消えていきました。 wheat en 名 小麦 Golden wheat swayed gently in the warm summer breeze. 金色の小麦が暖かい夏の風にそっと揺れていました。 whine en 動 くんくん鳴く The puppy gave a soft whine when it was left alone. その子犬は一人にされると柔らかい鼻にかかった鳴き声を上げました。 whipped en 動 む