0.1 アルファベット 24 字 — Epoché
この 課 か でできるようになること ギリシア 文字 もじ 24 字 じ を、 名前 なまえ ・ 音 おん ・ 書き分け かきわけ の 三 みっ つで 言える いえる 。 ローマ 字 じ に 似 に ていて 音 おと が 違う ちがう 七 なな つの 字 じ を、 見 み た 瞬間 しゅんかん に「 罠 わな だ」と 気づける きづける 。 数学 すうがく や 物理 ぶつり で 覚え おぼえ た「アルファ・ベータ」の 読み よみ と、 現代 げんだい ギリシア 語 ご の 実際 じっさい の 音 おと がどこで 食い違う くいちがう かを 知る しる 。 前提 ぜんてい : なし。ここが 最初 さいしょ の 課 か です。 この 課程 かてい は、 日本 にっぽん 語 ご を 母語 ぼご とする 人 ひと が 現代 げんだい ギリシア 語 ご を「 一般 いっぱん 現代 げんだい レベル」( Ελληνομάθεια B1 相当 そうとう )まで 運ぶ はこぶ ために 組ん くん であります。 最初 さいしょ の 字音 じおん 編 へん は 10 課 か で、 文字 もじ と 音 おと を 閉じ とじ ます。 字 じ は 24 しかなく、 母音 ぼいん は 日本 にっぽん 語 ご と 同じ おなじ 五 いつ つ、 長い ながい 短い みじかい の 区別 くべつ もありません。 ヨーロッパの 言語 げんご のなかで、 音 おと の 骨組み ほねぐみ が 日本 にっぽん 語 ご にいちばん 近い ちかい のがギリシア 語 ご です。 楽 らく なぶんこの 編 へん は 短く みじかく し、あとに 続く つづく 「 形 かたち 」( 曲用 きょくよう と 活用 かつよう )と「 型 かた 」( 相 そう と 格 かく )に 時間 じかん を 残し のこし ます。 半分 はんぶん はもう 知っ しっ ている 字 じ ギリシア 文字 もじ を「はじめて 見る みる 」 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ は、ほとんどいません。 α は 角度 かくど 、 β は 係数 けいすう 、 π は 円周 えんしゅう 率 りつ 、 Σ は 総和 そうわ 、 Ω は 抵抗 ていこう の 単位 たんい 、 μ はマイクロ、 λ は 波長 はちょう 、 θ は 角 かど 、 φ は 位相 いそう 、 δ は 微小 びしょう 量 りょう 、 ρ は 密度 みつど 、 σ は 標準 ひょうじゅん 偏差 へんさ 。 中学 ちゅうがく と 高校 こうこう の 教科 きょうか 書 しょ に 出 で てくる 字 じ だけで、24 字 じ の 半分 はんぶん を 超え こえ ます。 ところが、その 知識 ちしき は 半分 はんぶん だけ 正しい ただしい のです。 字 じ の 形 かたち は 知っ しっ ていても、 名前 なまえ の 読み よみ は「ベータ」「ミュー」「エータ」という 古典 こてん 語 ご の 再建 さいけん 音 おん にもとづく 英語 えいご 式 しき の 読み よみ で 固まっ かたまっ ています。 現代 げんだい ギリシア 語 ご で β の 名前 なまえ は「ヴィータ」、 μ は「ミ」、 η は「イータ」。そして β の 音 おと は「 バ行 ばぎょう 」ではなく 「ヴァ 行 ぎょう 」 です。「ベータ」と 読ん よん だ 瞬間 しゅんかん 、 現代 げんだい 語 ご としては 二 に か所 かしょ ずれています。 ですから、この 課 か でやることは 二 ふた つあります。ひとつは 24 字 じ を 全部 ぜんぶ そろえること。もうひとつは、 すでに 頭 あたま にある 読み よみ を、 現代 げんだい 語 ご の 音 おと に 上書き うわがき すること です。 上書き うわがき のほうが 難しい むずかしい 。 知っ しっ ているつもりの 字 じ ほど、 古い ふるい 読み よみ が 口 くち から 出 で てきます。 24 字 じ を 三 みっ つに 分ける わける 24 字 じ をひとつの 表 ひょう で 眺め ながめ ても、 何 なん から 手 て をつければよいのか 見え みえ ません。そこで、 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ にとっての 手間 てま で 三 みっ つに 分け わけ ます 。 母音 ぼいん の 字 じ が 七 なな つ、 日本 にっぽん 語 ご の 音 おと でほぼ 間に合う まにあう 子音 しいん が 十 じゅう 二 に 、 新しく あたらしく 作る つくる 必要 ひつよう のある 子音 しいん が 五 いつ つです。 以下 いか 、 三 みっ つの 表 ひょう を 順 じゅん に 見 み ます。どの 表 ひょう も、 名前 なまえ と 音 おと とひとことの 三 みっ つを 読み上げ よみあげ ます。 母音 ぼいん の 字 じ — 七 なな つの 字 じ で、 音 おと は 五 いつ つ いちばん 先 さき に 気づい きづい てほしいのは、 母音 ぼいん の 字 じ は 七 なな つあるのに、 音 おと は 五 いつ つしかない ことです。イと 読む よむ 字 じ が 三 みっ つ、オと 読む よむ 字 じ が 二 ふた つあります。 読む よむ ぶんには 楽 らく で、 書く かく ときに 迷う まよう ——このずれが 第 だい 0.2 課 か の 主題 しゅだい になります。 次 つぎ の 表 ひょう は 七 なな 行 ぎょう です。 字 じ ( 名前 なまえ ) 音 おと ひとこと Α α άλφα 音 おと は ア 日本 にっぽん 語 ご のアがそのまま 使える つかえる Ε ε έψιλον 音 おと は エ 日本 にっぽん 語 ご のエがそのまま 使える つかえる Η η ήτα 音 おと は イ 形 かたち はエヌに 見える みえる が、イと 読む よむ Ι ι γιώτα 音 おと は イ 名前 なまえ はヨータ。アイオタではない Ο ο όμικρον 音 おと は オ 名前 なまえ は「 小さい ちいさい オ」という 意味 いみ Υ υ ύψιλον 音 おと は イ 形 かたち はワイに 見える みえる が、イと 読む よむ Ω ω ωμέγα 音 おと は オ 名前 なまえ は「 大きい おおきい オ」。オミクロンと 音 おと は 同じ おなじ で、 長く ながく もしない 日本 にっぽん 語 ご の 音 おと でほぼ 間に合う まにあう 子音 しいん — 十 じゅう 二 に この 十 じゅう 二 に は、 日本 にっぽん 語 ご の 音 おと をそのまま 当て あて ても 通じ つうじ ます。 手 て を 入れる いれる 場所 ばしょ があるものは、ひとことの 欄 らん に 書き かき ました。 細かい こまかい 調整 ちょうせい は 第 だい 0.5 課 か でまとめてやるので、ここでは 名前 なまえ と 音 おと だけ 覚え おぼえ てください。 次 つぎ の 表 ひょう は 十 じゅう 二 に 行 ぎょう です。 字 じ ( 名前 なまえ ) 音 おと ひとこと Ζ ζ ζήτα 音 おと は ザ行 ざぎょう 舌 した を 歯茎 はぐき につけず、こすったまま 出す だす Κ κ κάπα 音 おと は カ行 かぎょう 息 いき を 強く つよく 出さ ださ ない。 日本 にっぽん 語 ご のカより 静か しずか に Λ λ λάμδα 音 おと は ラ行 らぎょう 舌先 したさき を 上 うえ の 歯茎 はぐき につけたまま 離さ はなさ ない Μ μ μι 音 おと は マ行 まぎょう 名前 なまえ はミ。ミューではない Ν ν νι 音 おと は ナ行 なぎょう 形 かたち はブイに 見える みえる が、 ナ行 なぎょう と 読む よむ Ξ ξ ξι 音 おと は クス 一 いち 字 じ で 子音 しいん が 二 ふた つ 分 ぶん Π π πι 音 おと は パ 行 ぎょう 息 いき を 強く つよく 出さ ださ ない Ρ ρ ρο 音 おと は ラ行 らぎょう 形 かたち はピーに 見える みえる が、 ラ行 らぎょう と 読む よむ 。 舌 した を 一 いち 度 ど はじく 日本 にっぽん 語 ご のラとほぼ 同じ おなじ Σ σ ς σίγμα 音 おと は サ行 さぎょう 語 ご の 最後 さいご だけ 字 じ の 形 かたち が 変わる かわる Τ τ ταυ 音 おと は タ 行 いき 名前 なまえ はタフ。タウではない Φ φ φι 音 おと は ファ 行 ぎょう 上 うえ の 歯 は を 下唇 したくちびる に 当て あて て 出す だす 。 日本 にっぽん 語 ご のフより 歯 は を 使う つかう Ψ ψ ψι 音 おと は プス 一 いち 字 じ で 子音 しいん が 二 ふた つ 分 ぶん 新しく あたらしく 作る つくる 子音 しいん — 五 いつ つだけ この 五 いつ つが、この 課程 かてい の 発音 はつおん でいちばん 時間 じかん を 使う つかう ところです。 逆 ぎゃく に 言え いえ ば、 日本 にっぽん 語 ご に 無い ない 音 おと は 五 いつ つしかありません。 どれも 口 くち のどこかを 狭め せばめ て 息 いき をこすらせる 音 おと で、 作り つくり 方 かた は 第 だい 0.4 課 か で 手順 てじゅん にします。ここでは 五 いつ つあると 知っ しっ ていれば 十分 じゅうぶん です。 次 つぎ の 表 ひょう は 五行 ごぎょう です。 字 じ ( 名前 なまえ ) 音 おと ひとこと Β β βήτα 音 おと は ヴァ 行 ぎょう バ行 ばぎょう ではない。 上 うえ の 歯 は を 下唇 したくちびる に 当て あて て、 声 こえ を 出す だす Γ γ γάμα 音 おと は 喉 のど の 奥 おく でこすった ガ行 がぎょう エとイの 前 まえ では ヤ行 やぎょう になる Δ δ δέλτα 音 おと は 舌 した を 歯 は に 当て あて て 出す だす ザ行 ざぎょう ダ行 だぎょう ではない。 英語 えいご の this の 頭 あたま と 同じ おなじ 音 おと Θ θ θήτα 音 おと は 舌 した を 歯 は に 当て あて て 出す だす サ行 さぎょう サ行 さぎょう ではない。 英語 えいご の think の 頭 あたま と 同じ おなじ 音 おと Χ χ χι 音 おと は 喉 のど の 奥 おく でこすった ハ行 はぎょう クスではない。エとイの 前 まえ では 日本 にっぽん 語 ご のヒと 同じ おなじ 似 に て 非 ひ なる 七 なな つ ローマ 字 じ を 知っ しっ ている 目 め には、ギリシア 文字 もじ のいくつかが 別 べつ の 字 じ に 見え みえ ます 。いちばん 危ない あぶない のは、 形 かたち がローマ 字 じ と 同じ おなじ で 音 おと だけ 違う ちがう 字 じ です。 三 みっ つの 表 ひょう から 七 なな つを 抜き出し ぬきだし て、 対 たい にして 覚え おぼえ てください。この 七 なな つを 取り違える とりちがえる と、 以後 いご ずっと 読み違え よみちがえ ます。 字 じ 見 み た 目 め にだまされない 読み よみ 方 かた 例 れい の 語 ご ν ブイに 見える みえる が、 ナ行 なぎょう の 音 おと νερό は 水 みず ρ ピーに 見える みえる が、 ラ行 らぎょう の 音 おと ρολόι は 時計 とけい η エヌに 見える みえる が、イの 音 おと ημέρα は 日 ひ υ ワイに 見える みえる が、イの 音 おと ύπνος は 眠り ねむり ω ダブリューに 見える みえる が、オの 音 おと ώρα は 時間 じかん χ エックスに 見える みえる が、 喉 のど の ハ行 はぎょう の 音 おと χαρά は 喜び よろこび ψ 見覚え みおぼえ のない 字 じ で、プスの 音 おと ψωμί は パン 七 なな つに 入れ いれ ませんでしたが、 β と γ も 同じ おなじ 種類 しゅるい の 罠 わな です。 βιβλίο ( 本 ほん )はビブリオではなくヴィヴリオ。 γάλα ( 牛乳 ぎゅうにゅう )の 頭 あたま は、 日本 にっぽん 語 ご のガより 喉 のど の 奥 おく でこすった 音 おと です。 強勢 きょうせい の 印 しるし を 見落とさ みおとさ ない ギリシア 語 ご では、 二 に 音節 おんせつ 以上 いじょう の 語 ご に かならず 一 いち か所 かしょ 、 強勢 きょうせい の 印 しるし が 母音 ぼいん の 上 うえ に 付き つき ます。 νερό なら 最後 さいご の 母音 ぼいん 、 ώρα なら 最初 さいしょ の 母音 ぼいん がそれです。 印 しるし の 付い つい た 母音 ぼいん を 強く つよく 長め ながめ に、ほかを 短く みじかく 読む よむ —— 日本 にっぽん 語 ご の 高低 こうてい アクセントとは 仕組み しくみ が 違い ちがい ますが、どこか 一 いち か所 かしょ を 目立た めだた せるという 点 てん では 似 に ています。 この 印 しるし は 飾り かざり ではなく 語 ご の 一部 いちぶ です。 付ける つける 場所 ばしょ が 違え ちがえ ば 別 べつ の 語 ご になります。 詳しく くわしく は 第 だい 0.3 課 か で 扱う あつかう ので、いまは 印 しるし を 見落とさ みおとさ ないことだけ 心がけ こころがけ てください。なお、 語 ご の 全体 ぜんたい を 大 だい 文字 もじ で 書く かく とき—— 看板 かんばん や 見出し みだし ——は 印 しるし を 落とし おとし ます。 標識 ひょうしき に 印 しるし が 無い ない のを 見 み て、 強勢 きょうせい が 無い ない と 思わ おもわ ないでください。 もう 一 ひと つの 約束