14.31 倒置で始める求婚 — 断り方にも型がある — Epoché
この篇でできるようになること ★ 副詞句を前に出す倒置 が読める。 ★ if を使わない仮定法 が分かる。 ★ 礼の形で断る 言い方が言える。 ★ 地の文が「どう言ったか」を評する 作りに気づける。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ この場面は 小説の折り返し です 。★ ここで断られた男が、 あとで手紙を書き、二人の見方が入れ替わります ——★ 題の 高慢 と 偏見 がどちらのものか、この章から読み替えが始まります 。★ 背景は 12.11 知編 にあります 。 ★ 読編に 同じ本の第 1 章から第 3 章 があります ——★ 8.91 読編 から四篇 です。★ この篇は その先の第 34 章 ——★ 同じ二人が、 三十章ぶん進んだところ で向き合います 。 ★ 読むときに気をつけること ——★ この場面の二人は 丁寧語で喧嘩します 。★ 「ひどい」「嫌いだ」とは一度も言いません ——★ それでも 断りきっている 。★ どの語がそれをやっているかを見にいきます 。 何を見るか この篇での値 何が分かるか ★ 一文の語数 ★ 平均 20.1 語(最短 2・最長 90) ★ 台詞と地の文で長さが違う ★ 疑問符と感嘆符 ★ 10 個と 6 個 ★ 台詞の中だけに出る ★ had の倒置 ★ 4 か所 ★ if を使わない仮定 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1426 語、段落は 25 、文は 71 本、一文の平均は 20.1 語です。 ★ 設計では冒頭の一文を読む予定でした ——★ あの有名な一文は 読編で読みます 。★ 重ならないように、 第 34 章に替えてあります 。★ こちらのほうが 会話が長い ので、★ 話し方の型を見るには向いています 。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 「むなしく私は抗ってきました。もうだめです。私の気持ちは抑えきれません。私がどれほど熱烈にあなたを慕い、愛しているか、どうかお伝えさせてください」 エリザベスの驚きは言葉にできないほどでした。彼女は目を見張り、顔を赤らめ、自分の耳を疑い、黙っていました。彼はこれを十分な励ましと受け取り、彼女に対していま感じていること、そして長いあいだ感じてきたことのすべての告白が、すぐに続きました。彼の話しぶりは見事でした。けれども、心の思いのほかにも詳しく語られるべき気持ちがあり、彼は優しさについてと同じくらい、誇りについても雄弁でした。彼女が自分より下だという彼の思い、それが身を落とすことだという思い、判断がつねに好みの前に立ちはだからせてきた家柄の障りについての思いが、熱をこめて長々と語られました。その熱は、彼が傷つけようとしている自分の身分の重さにふさわしいものに見えましたが、彼の求婚を受け入れさせるにはとても向かないものでした。 深く根を張った嫌悪にもかかわらず、彼女はこのような人の愛情という賛辞に無感覚ではいられませんでした。そして彼女の心づもりは一瞬も揺らぎませんでしたが、はじめのうちは、彼がこれから受ける痛みを気の毒に思いました。けれども、その後の彼の言葉に恨みをかき立てられると、怒りのなかで、憐れみをすべて失いました。それでも彼女は、彼が話し終えたら辛抱強く答えられるよう、気を落ち着けようと努めました。彼は最後に、あらゆる努力にもかかわらず打ち勝つことのできなかったあの愛着の強さを彼女に訴え、それがいま、彼女が彼の手を受けることで報われるだろうという望みを述べました。彼がこう言ったとき、彼女には彼が好ましい答えを少しも疑っていないことがたやすく見てとれました。彼は不安や心配を口にしましたが、その顔つきは本当の安心を表していました。そのようなことは、なおいっそう彼女をいらだたせるばかりでした。そして彼が話をやめると、彼女の頬に赤みがさし、彼女は言いました。 「このような場合には、打ち明けられたお気持ちに対し、たとえそれにどれほど不釣り合いにしかお応えできなくても、恩義を感じていると申し上げるのが決まったやり方なのだと思います。恩義を感じるのは自然なことですし、もし私に感謝の気持ちが持てるのなら、いまお礼を申し上げるでしょう。でも私にはできません。私はあなたによく思われたいと望んだことは一度もありませんし、あなたも確かに、ひどく不本意ながらそうお思いになったのです。どなたであれ苦しみを与えてしまったのは申しわけなく思います。けれども、それはまったく知らずにしたことですし、長くは続かないことを願っています。あなたのおっしゃるところでは、長いあいだあなたの好意を打ち明けるのを妨げてきたというそのお気持ちが、このご説明のあとでは、その好意に打ち勝つのにほとんど苦労はしないでしょう」 ダーシー氏は、炉棚にもたれ、目を彼女の顔にじっと注いでいましたが、彼女の言葉を、驚きに劣らぬ恨みをもって受けとめたようでした。彼の顔色は怒りで青ざめ、心の乱れが顔のどこにも見てとれました。彼は落ち着いた様子を保とうと抗っていて、それを取り戻したと思えるまでは口を開こうとしませんでした。その沈黙は、エリザベスの気持ちにとって恐ろしいものでした。とうとう、無理に落ち着かせた声で、彼は言いました。 「では、これが、私がいただけるものと期待すべきお返事のすべてなのですね。礼儀をこれほどわずかしか尽くさずに、なぜこのように私が拒まれるのか、ことによると知らせていただきたいと願ってもよいのかもしれません。けれども、それはたいしたことではありません」 「私のほうこそお尋ねしてもよさそうですわ」と彼女は答えました。「私を怒らせ、侮辱しようという、これほどはっきりしたおつもりで、なぜあなたは、ご自分の意志に反して、理性に反して、さらにはご自分の人柄にさえ反して私を好きになったとお告げになることを選んだのですか。もし私が無礼だったとしても、それは無礼の言いわけにいくらかはならないでしょうか。でも、私にはほかにも腹を立てる理由があります。ご存じのはずです。たとえ私自身の気持ちがあなたに反対と決まっていなかったとしても、たとえ気持ちがどちらでもなかったとしても、あるいは好ましいものでさえあったとしても、何よりも愛する姉の幸せを、ことによると永遠に、台なしにする手立てとなった人を受け入れる気に、どんな事情であれ私をさせるとお思いですか」 彼女がこの言葉を口にすると、ダーシー氏は顔色を変えました。けれどもその動揺は短く、彼女が続けるあいだ、彼はさえぎろうともせずに聞いていました。 「あなたを悪く思う理由なら、私にはこの世のありとあらゆるものがあります。あなたがあそこで演じた不当で狭量な役割は、どんな動機によっても言いわけできません。二人を互いに引き離し、一人を気まぐれと移り気のゆえに世間の非難にさらし、もう一人を望みの破れたことのゆえに世間のあざけりにさらし、二人ともをこのうえなく痛ましい不幸に巻きこんだ、ただ一人とは言わないまでも、その主な手立てがあなたであったことを、あなたは否定する勇気もなく、否定することもできないはずです」 彼女は言葉を切り、少なからぬ憤りとともに、彼が悔いの気持ちにまったく動かされていないことを示す様子で聞いているのを見ました。彼は、信じられないというふりの笑みを浮かべて彼女を見さえしました。 「あなたがそれをしたことを否定できますか」と彼女は繰り返しました。 装った落ち着きで、彼はそのとき答えました。「私が友人をあなたのお姉さんから引き離すために力の及ぶかぎりのことをすべてしたことも、その成功を喜んでいることも、否定するつもりはありません。彼に対しては、私は自分に対してよりも親切にしてきたのです」 エリザベスは、この礼儀正しい当てこすりに気づいた様子を見せることさえ潔しとしませんでした。けれどもその意味は彼女から逃れませんでしたし、それが彼女の気持ちをなだめそうにもありませんでした。 「でも、私の嫌悪のもとになっているのは、この件だけではありません」と彼女は続けました。「それが起こるずっと前から、あなたについての私の意見は決まっていました。あなたの人柄は、何か月も前にウィッカムさんからうかがったお話の中で明らかになったのです。このことについて、何かおっしゃることがありますか。ここで、どんな架空の友情の行いによってご自分を弁護なさるおつもりですか。あるいは、ここで、どんなこじつけによって人をだますおつもりですか」 「あなたはあの紳士の身の上に、ずいぶん熱心な関心をお持ちですね」とダーシーは、さっきほど落ち着いていない口調で、顔をいっそう赤くして言いました。 「あの方の不運がどんなものだったかを知っていて、あの方に関心を持たずにいられる人がいるでしょうか」 「あの男の不運ですって」とダーシーはさげすむように繰り返しました。「ええ、あの男の不運は、まことに大きなものでした」 「それも、あなたが負わせたものです」とエリザベスは力をこめて叫びました。「あなたはあの方をいまの貧しさに、ほかと比べての貧しさに追いやりました。あの方のために用意されていたとあなたがご存じのはずの利益を、あなたは与えずにおきました。あの方が受けて当然であり、それにふさわしくもあった独立を、あなたはあの方の人生のいちばんよい年月から奪いました。あなたはこれをみなしたのです。それなのに、あの方の不運の話を、さげすみとあざけりで扱うことがおできになるのですね」 「そしてこれが」とダーシーは、すばやい足どりで部屋を横切りながら叫びました。「あなたの私についての意見なのですね。これがあなたの私に対する評価なのですね。それをこれほど詳しく説明してくださったことに感謝します。この勘定によれば、私の落ち度はまことに重いものです。けれども、ことによると」と彼は歩みを止め、彼女のほうを向いて言い添えました。「長いあいだ私に本気の心づもりを固めさせなかったためらいを、私が正直に打ち明けたことで、あなたの誇りが傷つけられなかったなら、こうした罪は見逃されていたのかもしれません。もし私がもっと抜け目なく自分の葛藤を隠し、まったく混じりけのない、ひたすらな好みに、理性にも、熟慮にも、あらゆるものに駆り立てられているのだと、あなたにおもねって信じこませていたなら、こうした苦い非難は抑えられていたのかもしれません。けれども、どのような偽りも私は忌み嫌います。それに私は、自分が語った気持ちを恥じてもいません。それは自然で、正当なものでした。あなたの縁者たちの身分の低さを私が喜ぶと期待できたのですか。暮らしの身分がはっきりと私のものより下である親類ができるという望みに、自分を祝えると期待できたのですか」 エリザベスは、刻一刻と自分がいっそう腹立たしくなってゆくのを感じました。それでも彼女は、こう言うとき、落ち着いて話そうと精いっぱい努めました。 「ダーシーさん、思いちがいをなさっています。あなたの打ち明けたやり方が私に及ぼした影響が、もしあなたがもっと紳士らしくふるまわれていたらお断りするのに感じたかもしれない気がかりを、私に感じずにすませてくれたということのほかに、何かあったとお考えなら」 彼女は、彼がこれにはっとするのを見ました。けれども彼は何も言わず、彼女は続けました。 「どのようなやり方であなたが私に結婚を申しこまれたとしても、私がそれを受ける気になるようなやり方は、一つとしてありえなかったでしょう」 またしても彼の驚きは明らかでした。そして彼は、信じられない思いと屈辱の入りまじった表情で彼女を見ました。彼女は続けました。 「いちばんはじめから、あなたと知り合ったほとんど最初の瞬間からと言ってもよいでしょう、あなたの態度は、あなたの傲慢さ、うぬぼれ、他人の気持ちへの身勝手な軽蔑を、このうえなく強く私に信じさせ、それが不賛成の土台を作りあげました。そしてその土台の上に、その後の出来事がこれほど動かしがたい嫌悪を築きあげたのです。あなたと知り合ってひと月もたたないうちに、私は、あなたが、私が結婚を承知させられる見込みのいちばん薄い人だと感じていました」 語釈 帯の外の語は 98 語です。★ ほとんどが 気持ちと態度の語 ( arrogance ・ incivility ・ remorse ・ incredulity )。★ 打ち消しの接頭辞が付いた語が多い のもこの篇の特徴です—— uncivil ・ ungenerous ・ unmoved ・ unalloyed 。★ 丁寧に言うために、 「〜でない」の形を選んでいます 。 語(品詞) 意味 注 Darcy en 名 ダーシー。ビングリーの友人 Elizabeth en 名 エリザベス。次女。愛称リジー Elizabeth’s en 名 エリザベスの(求婚される側の名) abhorrence en 名 忌み嫌うこと She felt sudden abhorrence toward the cruel, careless landlord. 彼女はその冷酷で無神経な地主に対して、突然の忌み嫌う気持ちを感じました。 acknowledgment en 名 (好意を)打ち明けること He sent a brief acknowledgment thanking her for the kind gift. 彼は親切な贈り物への感謝を伝える、短い受け取ったという合図を送りました。 acquaintance en 名 知り合い They were only a casual acquaintance from their college days. 彼らは大学時代からのただの知り合いに過ぎませんでした。 affection en 名 情愛 His quiet affection for the old dog surprised no one. 彼のその老犬への静かな情愛は誰も驚かせませんでした。 apprehension en 名 不安・懸念 A quiet apprehension crept over him as he confessed the mistake. 彼が過ちを告白する間、静かな後ろめたさが彼に忍び寄りま