自由と状況、他者――サルトルとボーヴォワール — Epoché
解説 自由は、万能の力ではない サルトルの自由は、何でも実現できる力ではない。生まれや過去などの事実的な状況の中で、何を目指し、どう行動するかに関わる。状況だけで反応が一つに決まるとは考えない。 願うだけでは自由は実現しない。困難や抑圧を、全て本人のせいにする説明でもない。 出典2 役割は、自己の全てではない 自己欺瞞とは、事実だけに自分を閉じ込めたり、逆に事実を無視して可能性だけとしたりするあり方。サルトルのカフェの給仕の例では、職業上の役割は現実でも、その人の全てではない。 役割を果たすこと全てが悪いのではない。内省で純粋な本当の自分を発見すれば終わる話でもない。 出典2 他者の自由を支える条件 ボーヴォワールは、自分の自由を生きるには他者の自由も認め、最低限の生活や政治的な条件を支える必要があると論じた。自由を自覚するだけでは、倫理的に行為するのに十分ではない。 他者との関係を全て敵対とせず、何でも許されるという結論にもしない。 出典1 社会の中で、他者とされること 『第二の性』は、男性を基準とする社会で、女性が他者として位置づけられる歴史的・社会的条件を分析する。生まれつきの特徴だけで生き方が一つに決まるとせず、自由を行使しにくくする状況を問う。 性差を全て消す説ではない。政治・経済が改善しても、育ちの中で身につく役割や期待の問題は残りうる。 出典1 観点と、その射程を分けて読む。 観点 見ること 短絡しないこと 状況内の自由 事実の中での目標と行動 何でも実現できる力ではない 自己欺瞞 事実と可能性の片側だけを見る 職業役割そのものが悪いのではない 他者の自由 生活・政治・社会化の条件 本人の選択だけに責任を負わせない 表は本文の区別をまとめたもので、因果の機構や全学説の一覧ではない。 参考文献 [1] Bergoffen, Debra; Burke, Megan「Simone de Beauvoir」。 出典 [2] Reynolds, Jack; Renaudie, Pierre-Jean「Jean-Paul Sartre」。 出典