6.25 物語を語る — 続けて三行しゃべる — Epoché
この課で言えるようになること ★ 続けて三行 語れる。途中で相手を待たない。 ★ 時制を初めにそろえる ( 3.19 型編 )。 ★時と場所の語も 引かれて動く ことが分かる。 語り出しと締めくくりの言い方を持てる。 前提 : 6.24 まで。型は 3.32 まで。時制の一致は 3.19、完了形は 3.25。 場面と話し手 この課の場面は、 知り合いに、あったことを話す ところです。職場の休みどき、食事のあと、帰り道。★ 相手はこちらの話を待っています。 だから こちらが持ちこたえないと、会話が止まります 。 ★交替が止まるということ 第 3 期までの話編では、 相手が必ず一行返してくれました 。たずねれば答えが来る。頼めば返事が来る。★ 返ってくるあいだに、次の一行を考えられました。 どんな話か 交替の仕方 考える間 たずねる・頼む ★ 一行ずつ ★ ある ★ 語る ★ 三行から五行こちらが続ける ★ ない 議論する 二行ずつ 少しある ★ これが、語ることの難しさのすべてです。 語彙でも文法でもありません。 考える間が無い ことです。 ★ だから、考えなくてよいところを先に決めておきます。 それが 時制 です。 時制は初めにそろえる 3.19 型編 で時制の一致を置きました。過去のことを語ると、 あとの動詞も過去に引かれます 。「彼は来ると言った」は said と would になります。 ★ これを「規則」として覚えると、毎回考えることになります。 語るときにはその間がありません。★ そうではなく、「この話は過去だ」と初めに決めてしまう 。決めたら、 あとは全部その形で出せばよい 。 ★ そろえるのは、相手のためではありません。 ★ 自分が迷わないためです。 一行ごとに「ここは現在か過去か」と考えていたら、三行続けてしゃべることはできません。 時と場所も引かれる ★ 引かれるのは動詞だけではありません。 時と場所を指す語も動きます。 いま言うなら 過去の話の中では この課での出どころ 明日 ★ the next day 5.19 聞編 の台本にも出た形 一週間前 ★ a week before 対話 B の三行め ここ there 語り手がその場にいないとき ★ これは形の話ではなく、立つ場所の話です。 語っているいまから見れば「明日」ではありません。 その日から見た「次の日」 です。★ 語るとは、自分をいったんその時に置くこと です。 ★ 置いてしまえば、あとは迷いません。 その日に立っているのだから、 そこから見える形で言えばよい 。★時制の一致も、時の語も、 同じ一つのこと です。 対話 A 話者 英文 日本語訳 学習者 You won't believe what happened. [1] あり得ないことがあったのよ。 相手 What happened this time? [2] 今度は何があった? 学習者 He told me he would be here about seven. [3] 彼は、7時ごろここに来ると私に言った。 相手 Is that so? [4] そうなの? 学習者 I waited an hour. [5] 私は1時間待った。 相手 That's too bad. [6] それは困ったね。 これは まだ一行ずつ交替する形 です。第 3 期までと同じ進み方をしています。 三行めに時制の一致が出ます。★ 「七時ごろここに来る」と言ったのは過去のこと なので、「来る」が引かれています。★ ここを現在のままにすると、「いまもそう言っている」ように聞こえます。 五行めで 数を出しています 。★ 物語では、数が一つ入ると急に現実味が出ます。 「待った」だけでは伝わりません。 どれだけ待ったか を言うと、聞き手は情景を持てます。 六行めは 聞き手の返し です。★ これが来たら、その話は終わってよい合図 です。返しが来ないうちは、まだ続けることを期待されています。 対話 B 話者 英文 日本語訳 相手 What happened on Monday? [7] 月曜日って、何があったの? 学習者 At first, I couldn't make out what he was saying. [8] 最初私は彼が言っていることが理解できなかった。 学習者 He said that he had met her a week before. [9] 彼は彼女に1週間前に会ったといった。 学習者 At first I didn't like him, but I do now. [10] 最初は彼のことが好きではなかったけれど今は好きです。 相手 Really? I didn't know that. [11] へえ、知らなかった。 ★ こちらが、この課の本体です。 相手は 最初と最後にしか出てきません 。★ あいだの三行は、学習者がひとりで続けています。 二行めが 語り出し です。「初めは」と言うことで、★ 「これから順に話す」と宣言しています 。★ この一語があるだけで、聞き手は口を挟まずに待ってくれます。 三行めに 過去の中のさらに前 が出ます( 3.25 型編 )。★ 語っているのは過去のことで、その中でさらに一週間さかのぼっています。 ★ a week before であって a week ago ではありません。 いまから数えていない からです。 四行めで いまに戻ってきます 。「初めは好きではなかったが、いまは好きだ」。★ 語りの終わりでいまに戻るのは、話に落ちをつけるいちばん簡単なやり方 です。 ★ 三行の形をもう一度見てください。 初めは → そのときの中身 → いまは 。★ この三つを並べるだけで、物語になります。 覚えるのはこの並びだけでよい。 言い回し 語るときにそのまま使える言い方を六つ挙げます。上の三つが 話を進める ため、真ん中の二つが 時制をそろえる ため、下の一つが 聞き手の返し です。 英文 日本語訳 どんなときに You won't believe what happened. [1] あり得ないことがあったのよ。 ★語り出し。これから話があると知らせる At first, I couldn't make out what he was saying. [8] 最初私は彼が言っていることが理解できなかった。 順の初めを示す。★ここから話が始まると分かる Then twelve o'clock came. [12] そうすると12時になりました。 つなぐ。★時が進んだことだけを言う He told me he would be here about seven. [3] 彼は、7時ごろここに来ると私に言った。 ★時制の一致。「来る」が過去に引かれる He said that he had met her a week before. [9] 彼は彼女に1週間前に会ったといった。 ★過去の中のさらに前( 3.25 型編 ) That's too bad. [6] それは困ったね。 聞き手が返す。★話が終わった合図にもなる ★ 一つめに印を付けたのは、これが「場所取り」だからです。 ★ 語り出しを言うと、聞き手は待つ構えになります。 何も言わずに話し始めると、 二行めで口を挟まれます 。★ 語る権利は、初めの一行で取っておくものです。 言い換えと丁寧さ ★ 時制の一致は、いつでもそろえるわけではありません。 話し言葉では、そろえないことがよくあります。★ そして、そろえるかどうかが丁寧さの段になります。 どの段か どうするか どんなときに くだけた ★ そろえない ことがある 友だちと。いまも同じだと言いたいとき ふつう ★ そろえる 職場・初対面。 He told me he would be here about seven. [3] の形 書くとき ★ 必ずそろえる 報告・記録。そろえないと誤りとされる ★ ここを誤解しないでください。 「そろえなくてよい」のではありません。★ そろえないのは、「その話はいまも本当だ」と言いたいとき です。★意味が変わるので、 手を抜いてよいという話ではありません 。 ★ 迷ったらそろえてください。 そろえて困る場面はほとんどありません。★ そろえないのは、そろえられる人が選んでやること です。第 4 期のあいだは、 いつもそろえる と決めておいてかまいません。 この課で使う型 — 型編の復習 この課の十一行は、第 3 編で立てた型だけでできています。 型の名 この課での出方 戻る課 時制の一致と間接話法 ★語りの骨。 told と would 3.19 型編 完了形 ★過去の中のさらに前 3.25 型編 wh 節と間接疑問 何が起きたかをたずねる 3.20 型編 接続詞と副詞節 「初めは〜だが、いまは〜」 3.16 型編 もっと深く — 時間のあるときに じっくり取り組みたい人向けの、長めの講義や原典の解説です。この課を進めるのに見る必要はありません。長さを見て、興味のあるところだけ選んでください。 Live English Class: how to tell a story using narrative tenses BBC Learning English (32:38, 2022) 物語の時制で語る。32 分の公開授業 練習 対話 A と対話 B を、行を押して音を聞いてから 役を決めて音読 する。相手の役と学習者の役を両方やる。3 周する。3 周目は対話 B を、音声に重ねて シャドーイング する。★ 対話 B の三行は、止まらずに続けて 読む。息継ぎの場所を決めておくとよい。 ★ 三行の並びで作る練習 。自分にあった出来事を一つ選び、 「初めは → そのときの中身 → いまは」 の三行にする。★ 日本語で先に書いてから英語にすること。 英語で考えると、三行の形が崩れます。 ★ 時をずらす練習 。いま言うなら「明日」「一週間前」「ここ」になるところを、 過去の話の中の形 に直す。直したら、 声に出して 言ってみる。★ 口が覚えていないと、語っている最中には出てきません。 この課のまとめ ★ 語るとは、相手が口を挟まないあいだに話を進めきること。 第 3 期までの一行ずつの交替とは違う。 ★ 語ることの難しさは、語彙でも文法でもなく、考える間が無いこと。 ★ だから時制は初めにそろえてしまう。 そろえるのは相手のためではなく、自分が迷わないため( 3.19 型編 )。 ★ 時と場所を指す語も引かれる。 the next day ・ a week before 。 ★ 語るとは、自分をいったんその時に置くこと。 置いてしまえば、そこから見える形で言えばよい。 ★ 物語の骨は三行——初めは / そのときの中身 / いまは。 覚えるのはこの並びだけでよい。 ★ 語る権利は、初めの一行で取っておく。 語り出しを言わずに話し始めると、二行めで口を挟まれる。 ★ 数を一つ入れると、急に現実味が出る。 「待った」ではなく「一時間待った」。 次の課へ 次の課は 6.26 、 議論の入り口 です。★この課では、 相手は待っていてくれました 。議論では待ってくれません。★ 賛成か反対かを、一行めで出すことになります 。★そして、 反対するときほど、先に相手を認めます —— 5.24 聞編 で聞いた「やわらかい前置き」を、こんどは自分で言う側です。 答え 「練習」の三つの答えです。 ★ 息継ぎは、行の切れめに置いてください。 行の途中で切ると、★ 聞き手は「話が終わった」と受け取って口を挟みます。 三周して 同じところで息を継げるようになったら 、それが自分の語りの速さです。★ 止まらずに読めたかどうかではなく、止まる場所を自分で決められたかどうか を見てください。 ★ 二行めが「そのときの中身」になっているかを確かめてください。 日本語で書くと、たいてい「初めは〜だった。〜があった。いまは〜だ」の三行に落ちます。★ 英語にしたとき、一行めと二行めの時制がそろっているか。 ★ 三行めだけは現在でよい ——そこが いまに戻るところ だからです。★ この課でそろえないのは、その一行だけ です。 ★ 答えは、明日 → the next day 、一週間前 → a week before 、ここ → there です。 ★ 二つめに気をつけてください。 a week ago ではありません。 ago は いまから数える語 で、 before は 話の中のその時から数える語 です。★ 三つめは、条件が付きます。 there になるのは、★ 語り手が その場にいないとき だけ です。★ この課の対話 B は here のまま —— 待っていたのがその場所だから です( He told me he would be here about seven. )。★ いま自分がどこで話しているかで決まります。 ★ 口に出して詰まったところが、語っている最中にも詰まるところ です。 参考文献 Tatoeba 文 #2712955(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2712955 Tatoeba 文 #3129342(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/3129342 Tatoeba 文 #287957(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/287957 Tatoeba 文 #1120776(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1120776 Tatoeba 文 #2549386(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2549386 Tatoeba 文 #433625(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/433625 Tatoeba 文 #5851979(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeb