14.6 丁寧さが、長さになる — 一文四十四語の別れ — Epoché
この篇でできるようになること ★ 十八世紀の公の散文の長さ に慣れる。 ★ セミコロンで願いを並べる形 が読める。 ★ 長い文のあとの短い文 が節目だと分かる。 ★ 情ではなく利で説く 運びが追える。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ この文書がなぜ大事か ——★ 人気のあるうちに 自分から辞めた から です。★ 王のいない国で、 権力を手渡す手本を作った 文書 です。★ 背景は 12.12 知編 にあります 。 ★ 読むときに気をつけること ——★ この文章は やたらに長い 。★ けれども 難しいことを言っているのではありません 。★ 長いのは 丁寧だから ——★ 言いにくいことを言うときに、 前置きと言い添えが増えます 。 何を見るか この篇 八年前の論説 ★ 一文の語数 ★ 平均 43.9 語(最短 4・最長 171) ★ 平均 32.1 語 ★ セミコロン ★ 23 個 ★ 20 個 ★ 文の数 ★ 44 本(1932 語で) ★ 61 本(1957 語で) ★ 同じ語数で、文の数が 44 本と 61 本 です。★ つまり この篇の文は前の篇のおよそ 1.4 倍の長さ です。★ 論説より演説のほうが長い ——★ これは この二篇で実際に測れます 。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1932 語、段落は 15 、文は 44 本、一文の平均は 43.9 語です。 ★ 冒頭から、 連合を守るべき理由を説き終わるところまで を切ってあります 。★ よく引かれる 外国との同盟についての警告 は、この先にあります ——★ この抜き出しには入っていません 。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 友人であり同胞である市民の皆さん 合衆国の行政府を担う市民を新たに選ぶ時期がもう遠くなく、その重い任務を委ねる人物を決めることに皆さんが思いをめぐらさねばならない時が実際に来ています。そこで、とりわけ世論がよりはっきりと表れる助けにもなりうることから、私が選ばれる人々の数のうちに加えられるのを辞退するという決心を固めたことを、いまお知らせするのが適切だと私には思われます。 同時に、どうか私を正しく受けとめ、次のことを信じていただきたいのです。この決心は、忠実な市民を祖国に結びつける関係にかかわるあらゆる事柄を厳格に考え合わせたうえで下したものです。また、私の立場で黙っていれば奉仕を申し出ているとも受け取られかねないその申し出を取り下げるにあたって、私は皆さんの将来の利益への熱意が少しも衰えたからでも、皆さんのこれまでの厚意への感謝と敬意が欠けたからでもなく、この一歩はその両方と両立するという十分な確信に支えられているのです。 皆さんの票が二度にわたって私を招いたこの職を引き受け、今日まで務めてきたことは、終始、自分の望みを義務についての考えと、皆さんの望みと思われたものへの敬意とに捧げることでした。私は、無視することの許されない動機と矛盾しない形で、心ならずも引き出されてきた隠退の暮らしへもっと早く戻れるようになることを、絶えず願っていました。そうしたいという気持ちの強さから、前回の選挙の前には、それを皆さんに表明するための挨拶文を用意するところまで行きました。しかし、当時の外国との関係が混乱し危うい状態にあったことを熟慮し、また私が信頼を寄せるに足る人々が一致して助言してくれたことから、その考えを捨てざるをえませんでした。 皆さんの事情が、外に対しても内においても、もはや望みを追うことを義務や礼節の感覚と両立しないものにはしていないことを、私は喜んでいます。そして、私の務めにどれほどひいきの気持ちが残っていようとも、わが国の現在の状況のもとでは、皆さんは私の隠退の決意をよしとしないことはないだろうと確信しています。 私がこの骨の折れる任務を初めて引き受けたときの思いは、しかるべき折に述べました。この任務を果たすにあたっては、ただこう言うにとどめます。私は善意をもって、ひどく誤りやすい判断力の及ぶかぎりの最善の努力を、政府の組織と運営のために捧げてきました。初めから自分の資質が劣っていることに気づかないわけではありませんでしたが、経験は、私自身の目には、そしておそらく他の人の目にはなおさら、自分を疑う理由を強めてきました。そして日ごとに増す年齢の重みが、隠退の陰が私にとってありがたいものであるのと同じく必要なものであることを、ますます私に諭しています。もし何かの事情が私の務めに特別な価値を与えたのだとしても、それは一時的なものだったと得心しており、選択と分別が私に政治の舞台を去るよう促しているいま、愛国心もそれを禁じてはいないと信じられることを、私は慰めとしています。 公の生涯を終えることになっているその時を前にして、私は愛する祖国に負っている感謝の借りを深く表さずにはいられません。祖国が私に授けてくれた数多くの栄誉に対して、さらには私を支えてくれた揺るぎない信頼に対して、そしてそこから得た、熱意には及ばないながらも忠実で粘り強い務めによって、私の決して変わらぬ愛着を示す機会に対して、感謝しています。もしこれらの務めから祖国に利益がもたらされたのなら、それはいつまでも皆さんの誉れとして、また私たちの歴史の教訓となる手本として記憶されますように。あらゆる方向に揺さぶられた情熱が人を誤らせかねない状況のもとで、ときに疑わしい形勢のなかで、しばしば気力をくじく運の移り変わりのなかで、成功しないことが批判の気風を後押しすることも少なくない局面で、皆さんの変わらぬ支えこそが努力を支える欠かせない柱であり、その努力を実らせた計画の保証だったのだということを。私はこの思いに深く打たれ、それを墓まで持っていくでしょう。それは、絶えず次のことを祈るための強い励ましとなるでしょう。天が皆さんに恵みのもっともすぐれたしるしを与え続けてくださいますように。皆さんの連合と兄弟の情愛がとこしえに続きますように。皆さんの手の業である自由な憲法が神聖に守られますように。そのあらゆる部門の運営に知恵と徳の刻印が押されますように。そして要するに、これらの州の人々の幸福が、自由の加護のもとで、この恵みをきわめて注意深く守り、きわめて賢明に用いることによって完全なものとなり、まだそれを知らないすべての国々にそれを薦め、その喝采と情愛を得て、取り入れてもらうという栄誉を、人々が手にすることができますように。 ここで、おそらく私は話を止めるべきなのでしょう。しかし、私の命が尽きるまで終わることのない皆さんの幸福への気づかいと、その気づかいにつきものの危険への懸念とが、今日のような折に、いくつかの所感を皆さんの真剣な考察に供し、たびたび振り返っていただくよう薦めるよう私を促すのです。それは多くの熟慮と、少なからぬ観察から生まれたものであり、一つの国民としての皆さんの幸福が長く続くために、何よりも大切だと私には思われるものです。皆さんはそこに、自分の助言をゆがめる個人的な動機などありえない、別れゆく友の私心のない忠告しか見ないでしょうから、私はそれだけいっそう遠慮なくこれを申し上げます。また、そうする励みとして、以前の、これと似ていなくもない折に、皆さんが私の所感を寛大に受けとめてくださったことも忘れられません。 自由への愛は皆さんの心のあらゆる筋に織りこまれていますから、その愛着を強めたり固めたりするのに、私の勧めは要りません。 皆さんを一つの国民にしている統治の一体性も、いまでは皆さんにとって大切なものです。それは当然のことです。それは皆さんの真の独立という建物を支える主な柱であり、国内の平穏と国外との平和の、皆さんの安全の、皆さんの繁栄の、そして皆さんがあれほど高く評価するまさにその自由の支えだからです。しかし、さまざまな原因から、またさまざまな方面から、皆さんの心のうちでこの真理への確信を弱めるために多くの骨折りがなされ、多くのたくらみが用いられることは容易に予見できます。そしてここは、皆さんの政治の砦のなかで、内外の敵の砲列が(しばしばひそかに、陰険にではあっても)もっとも絶えず、もっとも活発に向けられる箇所です。ですから、皆さんが国の連合の計り知れない価値を、皆さん全体の幸福と一人ひとりの幸福にとって正しく見積もることは、限りなく重要です。皆さんは連合に対して、心からの、身についた、揺るがない愛着を抱くべきです。連合を、政治的な安全と繁栄のよりどころとして考え、語ることに慣れ、その維持を油断なく気づかって見守り、どんなことがあっても連合を捨ててよいのではないかという疑いをほのめかすようなものさえ、すべて退けるべきです。そして、わが国のどこかの部分を残りから引き離そうとしたり、いまさまざまな部分を結びつけている神聖な絆を弱めようとしたりする企てが、少しでも兆したら、そのたびに憤りをもって顔をしかめるべきです。 そうするために、皆さんには共感の点でも利益の点でも、あらゆる動機があります。生まれによってであれ選択によってであれ、共通の国の市民である皆さんの情愛を、その国は一つに集める権利を持っています。国民として皆さんのものであるアメリカ人という名は、土地ごとの区別から生まれたどんな呼び名にもまして、愛国心の正当な誇りを常に高めるはずです。わずかな違いはあっても、皆さんは同じ宗教、作法、習慣、そして政治の原則を持っています。皆さんは共通の大義のためにともに戦い、ともに勝利しました。皆さんが手にしている独立と自由は、ともに協議し、ともに努め、ともに危険と苦しみと成功を分かち合った成果なのです。 しかし、こうした考えは、どれほど強く皆さんの感情に訴えるとしても、皆さんの利益にもっと直接にかかわる考えのほうがはるかにまさります。ここでは、わが国のどの部分も、全体の連合を注意深く守り保つべき、何よりも有無を言わせぬ動機を見いだすのです。 北部は、共通の政府の公平な法に守られて南部と制限なく交わることで、南部の産物のうちに、海運と商業の事業のための大きな追加の資源と、製造業の貴重な材料を見いだします。南部は、同じ交わりのなかで北部の働きの恩恵を受け、自らの農業が育ち、商業が広がるのを目にします。北部の船乗りを一部自分の水路に迎え入れることで、南部は自らの航海が活気づくのを見いだします。そして、さまざまな形で国全体の航海の総量を養い増やすことに貢献しながら、自らはそれに向いていない海の力の保護を期待するのです。東部は、西部との同様の交わりのなかで、輸入する産品や国内で製造する品のための価値ある売り口をすでに見いだしており、陸と水の内陸の交通がしだいに改善されるにつれて、ますますそれを見いだすでしょう。西部は東部から、成長と暮らしの安らぎに必要な物資を得ます。そして、おそらくさらに重要なことに、自らの産物のための欠かせない出口を安全に享受できるのは、一つの国としての切っても切れない利益の共同体に導かれた、連合の大西洋側の重み、影響力、そして将来の海の力のおかげであるほかないのです。西部がこの不可欠な利点を保ちうる他のどんな手立ても、それが自らの単独の力から来るものであれ、外国との背信的で不自然な結びつきから来るものであれ、本質的に不安定なものであるにちがいありません。 このように、わが国のどの部分も連合に直接の特別な利益を感じているのですから、すべての部分が一つになれば、手段と努力を結集した全体のうちに、より大きな力、より大きな資源、それに応じたいっそう大きな外敵からの安全、そして外国による平和の妨げがより少なくなることを見いだせないはずがありません。そして計り知れない価値があることに、連合によって、互いのあいだの争いや戦争をまぬかれることができるはずです。そうした争いは、同じ政府で結ばれていない隣り合う国々をしばしば苦しめているもので、それらの国々の対抗心だけでも引き起こすのに十分ですが、相反する外国との同盟や愛着や陰謀がそれをあおり、いっそう激しくするのです。同じように、各部分は肥大した軍備の必要も避けられるでしょう。そうした軍備は、どんな形の政府のもとでも自由にとって不吉なものであり、とりわけ共和の自由には敵対するものとみなすべきです。こうした意味で、皆さんの連合は皆さんの自由を支える主な柱とみなされるべきであり、一方への愛が、皆さんにとって他方を守ることを大切なものにするはずなのです。 こうした考えは、思慮深く徳のあるすべての心に説得力をもって語りかけ、連合を保ち続けることを、国を思う願いの第一の目標として示します。共通の政府がこれほど広い範囲を包みこめるかどうか、疑いがあるでしょうか。経験にそれを解かせましょう。このような場合に単なる憶測に耳を傾けるのは、罪深いことでしょう。全体を適切に組織し、それぞれの区分のための政府の補助的な働きを添えれば、この試みは幸せな結果を生むと期待してよいはずです。それは公正で十分な試みに値します。わが国のあらゆる部分にかかわる、これほど強く明らかな連合への動機があるのですから、経験がそれを実行不可能だと示さないかぎり、どの方面であれその絆を弱めようと努める人々の愛国心は、常に疑ってかかる理由があるでしょう。 語釈 帯の外の語は 155 語です。★ 六篇でいちばん多い のですが、★ 覚える必要のある語はほとんどありません ——★ 大半が いまは使われない丁寧語 です( apprize ・ suffrages ・ vicissitudes )。★ いまも使う語は maritime ・ fortify ・ alienate あたり です。 語(品詞) 意味 注 American en 形 アメリカの An American friend sent me a book about baseball. アメリカの友人が、野球の本を送ってくれました。 Atlantic en 名 大西洋 Farewell en 名 別れの挨拶 He wrote a short farewell and left it on the table. 彼は短い別れの挨拶を書いて、机の上に置きました。 Heaven en