目的と実践的な判断 — Epoché
解説 同じ行為を、目的から見る 作例として「仲間の食事を用意する」行為を考える。何のためかなら、仲間が食事をとれるようにするため、と説明できる。これは行為の目的という側面。 実際の史料の事例ではなく、教材上の架空の作例。目的は、材料や作り方とは別の問いに答える。 出典1 習慣と、その場の判断を見る 同じ行為でも、普段の感じ方・行い方と、今日の状況を考える力は区別できる。分量や分担を相談する作例なら、繰り返しだけでなく、何がふさわしいかの判断も関わる。 これは徳と実践的な知恵を区別するための説明。食事を用意しただけで、その人が徳を備えると確定しない。 出典2 活動を支える条件を見る 時間や食材、人の協力がなければ、同じ目的を実行しにくい。さらに、誰が参加でき、誰の利益が考えられているかも見る。共同体のよい生という問いは、参加の範囲とも関わる。 アリストテレスの政治論には、女性や奴隷などの排除を正当化する限界がある。条件の欠如を本人の徳の欠如とせず、古代の制度を現代へそのまま移さない。 出典2 ・ 出典3 同じ作例を、三つの側面から見る 側面 仲間の食事を用意する作例 目的 何のために行うか 習慣と判断 普段のあり方と、今日ふさわしい行為 共同体の条件 資源・協力・参加できる人の範囲 三つは代わり合わない。よい目的だけで行為のよさや正義が保証されるわけではない。 参考文献 [1] Andrea Falcon「Aristotle on Causality」。 出典 [2] Richard Kraut「Aristotle’s Ethics」。 出典 [3] Fred Miller「Aristotle’s Political Theory」。 出典