8.12 A Letter to a Friend — 手紙(メール) — Epoché
この篇でできるようになること 英語だけで書かれた 315 語の文章を、辞書を引かずに最後まで読める。 手紙の六つの部分(呼びかけ・書き出し・用件・たのみ・締め・署名)を原文の中で言い当てられる。 手紙の中では you 、外では he と、人称が入れ替わることが分かる。 315 語を 1 分あたり 120 語(2 分 38 秒)で読み切れる。 前提 : 8.11 まで。 読編「読」の第 12 篇です。語り手は 8.1 読編 〜 8.11 読編 と同じケン。こんどは手紙の話で、315 語あります。第 1 篇は 251 語、前の篇は 311 語でしたから、第 1 篇より 64 語ぶん長くなりました。篇が進むほど少しずつ長くなります。 この篇で宣言した帯の外の語は 6 語で、うち二つは人名です( Ken と Taro )。ケンは第 1 篇からの語り手、タロウは 8.11 読編 で店に来た学校の友だちで、いま市の大学にいます。残りは四語だけ——手紙の呼びかけに置く dear (1,401 番)、電子の手紙 email (1,169 番)、そして river ・ college は 8.3 読編 と 8.5 読編 で宣言した語をそのまま引き継いだものです。同じ町・同じ人の話を続けているので、新しく足した語は二つしかありません。 ここがこの篇のいちばんの見どころです。 手紙を一通書くのに、帯の外から借りた語はたった二つでした。手紙の形を作る語のほうは 17 語とも帯 600 の中にあります—— write 121 番・ ask 134 番・ hear 178 番・ question 181 番・ name 206 番・ friend 208 番・ thank 244 番・ hope 250 番・ line 274 番・ send 323 番・ soon 325 番・ answer 355 番・ letter 358 番・ paper 425 番・ please 471 番・ sign 500 番・ address 558 番。いちばん上は write の 121 番、いちばん下でも address の 558 番です。つまり 手紙の骨は、いちばんよく使われる語だけで組める ということです。 8.5 読編 で見た「どの分野の文章にも顔を出す語ほど上に来る」という並び方を思い出してください。手紙は分野ではなく、どの分野の人も書くものです。だから骨の語が全部上に来ます。 帯の外へ落ちた二語のほうにも理由があります。 dear は呼びかけの決まり文句で、手紙のいちばん上にしか出てきません。文章の中で何度も使う語ではないので、数の上では上に来ないのです。 email のほうは新しい語で、紙の郵便を指す mail (1,643 番)よりもさらに下にあります。 形は帯の中に残り、あいさつと道具の名前だけが外へ落ちる ——この落ち方は、 8.9 読編 で天気の語を数えたときと同じ形をしています。 dear en 帯の順位 1,401 番 カタカナとの差 — Dear Taro, Thank you for your emails. タロウへ。メールをありがとう。 She is dear to me. [1] 彼女は私の大切な人です。 email en 帯の順位 1,169 番 カタカナとの差 メール → ○● (3 拍を 2 音節に) Now he sends me an email every week. いまは毎週メールをくれます。 I read your last email three times. この前のメールは三度読んだ。 Ken en 帯の順位 人名(順位なし) カタカナとの差 — Ken's dog is very big. [2] 健の犬はとても大きい。 This is Ken's dog. [3] これは健が飼っている犬です。 Taro en 帯の順位 人名(順位なし) カタカナとの差 — Dear Taro, Thank you for your emails. タロウへ。メールをありがとう。 river en 帯の順位 1,176 番 カタカナとの差 リバー → ●○ (3 拍を 2 音節に) It was good to see you at the shop, and I am still thinking about what you said at the river. 店で会えてよかった。それに、きみが川で言ったことを、わたしはまだ考えている。 The river was not so clean. [4] その川はあまりきれいではなかった。 college en 帯の順位 739 番 カタカナとの差 カレッジ → ●○ (4 拍を 2 音節に) Is the college work hard this year? 大学の勉強は今年きついか 読む前に 語り手はケン、二十歳。山にはさまれた小さな市で母・父と三人で住み、駅から川へ下りていく通りの本屋で働いています( 8.1 読編 〜 8.11 読編 の続きです)。母は同じ通りの学校の先生、父は隣の市の会社へ電車で通っていて、家では新聞を読んでいます。町には川と橋と公園があります。 起こることはこれだけです。市の大学へ行った学校の友だちが、毎週みじかいメールをよこす。ある日曜、ケンはメールではなく紙の手紙を書く。書き上げて、署名して、月曜に出す。それだけです。けれども、その手紙の中身がこの篇のまん中に丸ごと置かれています。 だから段落の作りが今までと違います。この篇は 6 段落あり、第 1 段落と第 6 段落だけが地の文——ケンが読者に向かって語っているところです。第 2 段落から第 5 段落までは 手紙そのもの で、ケンが友だちに向かって書いた文がそのまま出てきます。読みながら、いまどちらを読んでいるのかに気をつけてください。 読みどころは 手紙の形 です。日本語の手紙にも「拝啓」「敬具」のような決まった置きものがあります。英語にも同じものがあり、しかも日本語より数が少なくて覚えやすい。この篇には呼びかけ・書き出し・用件・たのみ・締め・署名の六つが順に出てきます。はじめの一行と終わりの二行だけ見つけられれば、あとは普通の文章です。 もう一つ、人称に目を向けてください。手紙は 目の前にいない相手に向かって書く文章 なので、 you が急に増えます。この篇の手紙の部分には you と your が合わせて 15 回出てきますが、地の文には一度も出てきません。逆に地の文には he ・ him ・ his が 7 回出てきて、手紙の中には一度も出てきません。同じ人のことを、外からは「彼」、中では「きみ」と呼んでいるからです。使われている型は型編の 8 課の範囲だけです。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。6 段落・29 文・315 語です。冒頭はこう始まります。 My friend from school came into the shop last month, and then he went back to the city. 先に原文だけを、辞書も訳も見ずに最後まで読んでください。分からないところがあっても止まらず、最後まで行ってから戻ります。それが済んでから、下の「語釈」「構文の骨」「訳」を見ます。この順を守ってください。訳を先に見ると、訳を読んで英語を読まない癖がつきます。 語釈 この篇に範囲外の語は 0 語です。下の 18 語のうち、はじめの 6 語が 宣言した語 ——読み手にとって本当に新しいのはこれだけです。残りの 12 語は 知っているのに文の中で意味が動く語 で、どれも帯 600 の中にあります。「この文ではこの意味」という形で確かめてください。 dear en 形容詞 手紙の呼びかけに置く語。 Dear Taro, で「タロウへ」。「親愛なる」と訳すと重くなるが、英語では友だちにも会社にも使う、ただの決まり文句。この篇でただ一つ、手紙の形に要るのに帯 600 の外にある語 Dear Taro, Thank you for your emails. タロウへ。メールをありがとう。 email en 名詞 電子の手紙。 he sends me an email every week で「毎週メールをくれる」。カタカナの「メール」は英語では二語に分かれていて、紙のほうの郵便は mail 、電子のほうが email But an email of four lines takes a minute, and this took me two hours. けれども四行のメールは一分で済み、これには二時間かかりました。 I clicked the email field once. [5] メール欄を一回クリックした。 river en 名詞 川。 what you said at the river で「川で言ったこと」。 8.3 読編 で宣言した町の語で、 8.11 読編 で二人がすわった場所 It was good to see you at the shop, and I am still thinking about what you said at the river. 店で会えてよかった。それに、きみが川で言ったことを、わたしはまだ考えている。 college en 名詞 大学。 Is the college work hard this year? で「大学の勉強は今年きついか」。 8.5 読編 で宣言した学び場の語 Is the college work hard this year? 大学の勉強は今年きついか Ken en 人名 語り手の名前。8.1 からずっと同じ。この篇では署名として最後に出る Ken's dog is white. [6] 健の犬は白い。 Ken's really got computers on the brain. [7] 健は本当にコンピューターに取り付かれているようだね。 Taro en 人名 手紙の相手の名前。 8.11 読編 で店に来た学校の友だちで、市の大学にいる Dear Taro, Thank you for your emails. タロウへ。メールをありがとう。 line en 名詞 行。 three or four lines は「三行か四行」で、線でも列でもない。カタカナの「ライン」は線や連絡の道を指すが、書かれた文章についてこの語を使うと「行」になる They are short: three or four lines, and always the same questions. 短いメールです——三行か四行で、いつも同じことをたずねてきます。 You asked me a question at the end of it, and I could not answer it in four lines. きみはその終わりでわたしに一つ質問をしていて、それには四行では答えられなかった。 paper en 名詞 紙。 a letter on paper で「紙に書いた手紙」。英語のこの語は新聞を指すこともあるが、ここは紙そのもので、電子と対にして置かれている Last Sunday I wrote him a letter on paper. この前の日曜日、わたしは彼に紙の手紙を書きました。 He tore the paper in two. [8] 彼はその紙を二つに裂いた。 front en 名詞 表。 with his address on the front で「表にあて名を書いて」。カタカナの「フロント」は宿の受付を指すことが多いが、この語の芯は「前の面」で、封筒なら宛名を書くほうの面 On Monday I sent it, with his address on the front. 月曜日に、表にあて名を書いて出しました。 He sat in front of me. [9] 彼は私の前に座った。 right en 形容詞 ふさわしい/正しい。 My father was right about it は「父は正しかった」、 the right one in the right hand は「ふさわしい一冊をふさわしい手に」。右という意味の語と同じ形で、この篇では右は一度も出てこない My father was right about it: you have to go on. あれについては父が正しかった——読みつづけるしかない。 I want to know books well enough to put the right one in the right hand. わたしは、ふさわしい一冊をふさわしい手に置けるくらい、本をよく知っていたい。 one en 代名詞 前に出た名詞の代わり。 here is a long one の one は answer のこと、 the right one は本のこと。数の一ではなく、同じ名詞をくり返さないための置き換え The students come in after school and stand at the back with the new books, and one of them asks me something every day. 生徒たちが学校のあとに入ってきて、新しい本を持って奥に立ち、そのうちの一人が毎日わたしに何かたずねる。 I do not have a short answer, so here is a long one. 短い答えは持っていないので、長いほうを書く。 take en 動詞 (時間が)かかる/使う。 a letter takes days は「手紙は日数がかかる」、 take more than four lines は「四行より多く使え」。手に取るという意味だけの語ではない Please write when you have time, and take more than four lines to do it. 時間があるときに書いてほしい。それも四行より多く使って。 He will