14.21 動詞が六行めに来る — 韻を踏まない十音節 — Epoché
この篇でできるようになること ★ 目的語を先に置いて動詞を遅らせる 作りが追える。 ★ 韻を踏まない詩(無韻詩) があると分かる。 ★ 古い二人称の語尾 ( -st )が読める。 ★ 行の切れ目と文の切れ目がずれる のを追える。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は どの篇から読んでもかまいません 。★ 前の篇を読んでいなくても通じるように書いてあります。 ★ これは 千六百六十七年 の詩 で、★ アダムとエバが楽園を失う話 を 十二巻かけて語る 長い詩の いちばん頭 です。 どちらのことか 確かめること ★ 素材のこと ★ この詩が下敷きにしている本( 12.17 知編 ) ★ ことばのこと ★ 英語にラテン語の語順が入った経緯( 12.1 知編 ) ★ 読む前に一つだけ心得ておくと楽です。 ★ 長い詩の冒頭は、 「何を歌うか」を先に言い、そのあと 女神に「歌え」と頼む 型 です。★ 古代からの決まった形 で、★ ミルトンはそれを 英語でやってみせて います。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。★ 韻文なので 一行が一段落 です。本文は 199 語、行は 26 行、一行の語数は平均 7.7 語です。 ★ 文は 2 本しかありません 。★ 26 行が たった 2 文 ——★ はじめの文が 122 語、次が 77 語 です。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 人の最初のそむきと、その木の実について—— あの禁じられた木の、死をもたらす味わいが この世に死と、我らのあらゆる嘆きをもたらし、 エデンを失わせた。やがて一人のより偉大な人が 我らを回復し、至福の座を取り戻すまで—— 歌え、天の女神よ。ひそやかな頂、 ホレブの、あるいはシナイの頂で、 あの羊飼いに霊感を与え、選ばれた民に初めて教えさせた女神よ、 はじめに天と地が 混沌からいかに立ち上がったかを。あるいは、シオンの丘と、 神の託宣の場のすぐそばを流れていた シロアの小川が、よりお前を喜ばせるのなら、私はそこから 私の大胆な歌に、お前の助けを呼び求める。 この歌は、中ほどの飛翔ではなく、 アオニアの山の上高くへ舞い上がろうとしている。 散文でも韻文でも、まだ誰も試みなかったことを追うのだから。 そして何よりもお前、おお聖霊よ、 どの神殿よりも、まっすぐで清らかな心を好むお前よ、 私に教えよ。お前は知っているのだから。お前ははじめから そこにいて、力強い翼を広げ、 鳩のように、果てしない深淵の上に座って抱き温め、 それを身ごもらせた。我が内の暗いところを 照らし、低いところを引き上げ、支えよ。 この大いなる主題の高みにふさわしく、 永遠の摂理を説き明かし、 そして神のふるまいを人に向けて弁明することができるように。 語釈 帯の外の語は 42 語です。★ 三つに分かれます ——★ 聖書の山と泉の名 ( Oreb ・ Sinai ・ Sion )、★ ギリシアの詩の語 ( Muse ・ Aonian )、★ 古い二人称の動詞 ( didst ・ know’st )です。★ 一つめと二つめが 混ざっている のが要 です——★ 聖書の神に、 ギリシアの女神への頼み方で頼んで います。 語(品詞) 意味 注 Abyss en 名 底なしの深み The old records describe a bottomless abyss beneath the frozen valley. その凍った谷の下には底なしの深みがあると古い記録に書かれています。 Aonian en 形 アオニアの。ギリシアの詩の女神が住む山のあたり Dove en 名 鳩。 Dove-like で鳩のように A gentle dove landed softly on the wooden fence outside. 外の木の柵に、優しい鳩がそっと降り立ちました。 Eden en 名 エデン(園の名) Eternal en 形 永遠の She spoke of an eternal friendship that no distance could break. どんな距離も壊せない永遠の友情について、彼女は語りました。 Heavenly en 形 天の The choir filled the hall with a heavenly and gentle sound. 聖歌隊は天のような優しい音でホールを満たしました。 Illumine en 動 照らせ。命令の形 Illumine this dim room with the small lamp beside the door. 戸口のそばの小さなランプで、この薄暗い部屋を照らせ。 Invoke en 動 呼び求める The old sailor would invoke the wind before every long voyage. その老いた船乗りは長い航海の前にいつも風を呼び求めました。 Muse en 名 詩の女神。詩人が歌を頼む相手 The painter often thanked his quiet muse for every finished canvas. 画家はいつも、仕上がった作品ごとに静かな詩の女神に感謝しました。 Oreb en 名 ホレブ。モーセが神に会った山 Providence en 名 神の摂理 He trusted that providence would guide the ship safely home. 彼は神の摂理が船を無事に家へ導くと信じていました。 Siloa’s en 名 シロアの。エルサレムの泉の名 Sinai en 名 シナイ。十戒が与えられた山 Sion en 名 シオン。エルサレムの丘 Wast en 動 were の古い二人称の形 Where wast thou when the storm first reached our village? 嵐が最初に私たちの村に着いたとき、あなたはどこにいましたか。 adventurous en 形 思い切った The adventurous boy climbed the tallest tree in the orchard. その思い切った少年は果樹園でいちばん高い木に登りました。 blissful en 形 至福の They spent a blissful afternoon walking along the quiet river. 彼らは静かな川辺を歩く至福の午後を過ごしました。 brooding en 動 卵を抱くように覆っている The hen kept brooding over her eggs through the cold night. めん鳥は寒い夜のあいだ、卵を抱くように覆い続けました。 brook en 名 小川 A narrow brook ran gently past the old stone cottage. 細い小川が古い石造りの家のそばをゆるやかに流れていました。 chiefly en 副 主に The garden was chiefly planted with roses and a few herbs. その庭は主にバラといくつかの香草で植えられていました。 didst en 動 did の古い二人称の形 Why didst thou leave the gate open through the night? 夜のあいだ、なぜあなたは門を開けたままにしたのですか。 disobedience en 名 従わないこと The young soldier's disobedience surprised even his closest friends. その若い兵士の従わないことは、親しい友人たちさえ驚かせました。 dost en 動 do の古い二人称形( thou dost ) What dost thou seek among these quiet, empty hills? この静かな空っぽの丘の中で、あなたは何を求めているのですか。 heavens en 名 天 The heavens turned a deep orange as the sun finally set. 太陽がついに沈むと、天は深い橙色に変わりました。 know'st en 動 know の古い二人称の形 Thou know'st the path better than any map could show. あなたはどんな地図よりも、その道をよく知っています。 mad'st en 動 made の古い二人称の形 Thou mad'st a promise none of us have forgotten yet. あなたは私たちがまだ忘れていない約束をしました。 mighty en 形 力強い The old bridge was mighty old, yet it still held firm. その古い橋はひどく古かったが、それでもしっかりと持ちました。 mortal en 形 死をもたらす( mortal taste ) No mortal hand could have carved such delicate stone flowers. こんなに繊細な石の花を、人間の手で彫れたはずはありません。 oracle en 名 神託 Travelers once climbed the mountain to ask the ancient oracle. かつて旅人たちは、古い神託に問うためその山に登りました。 outspread en 形 広げた The eagle circled slowly with its wings fully outspread. その鷲は翼を大きく広げたまま、ゆっくり旋回しました。 prose en 名 散文 Her early notebooks were filled with plain, careful prose. 彼女の初期の帳面は、素朴で丁寧な散文で満ちていました。 rhyme en 名 韻 The children laughed at every silly rhyme in the old book. 子どもたちはその古い本のばかばかしい韻すべてに笑いました。 sat'st en 動 sat の古い二人称の形 Where sat'st thou when the letter finally arrived that morning? その朝ついに手紙が届いたとき、あなたはどこに座っていましたか。 shepherd en 名 羊飼い。ここではモーセ The tired shepherd counted his sheep before the sun went down. 疲れた羊飼いは日が沈む前に羊を数えました。 temples en 名 神殿 Ancient temples still stood among the quiet olive groves. 静かなオリーブ畑のあいだに、古い神殿がまだ立っていました。 th en 略 the の略( th' Aonian ・ th' upright ) thee en 代 あなたを。 you の古い形 I will always remember thee, whatever the years may bring. これからの年月がどうであれ、私はいつもあなたを覚えています。 thence en 副 そこから We walked to the river and thence toward the old mill. 私たちは川へ歩き、そこから古い水車小屋へ向かいました。 thou en 代 あなたは( you の古い形) Thou art welcome to rest here until the rain stops. 雨がやむまで、あなたはここで休んでかまいません。 thy en 代 あなたの( your の古い形) Keep thy promise, even when the road grows difficult. 道が険しくなっても、あなたの約束を守りなさい。 unattempted en 形 まだ誰も試していない The final chapter remained unattempted long after the others were done. 他の章が終わってからも、最後の章はまだ誰も試していないままでした。 upright en 形 まっすぐな・正しい He stood upright despite the strong wind pushing against him. 強い風が彼を押しても、彼はまっすぐに立っていました。 動詞が六行めに来る ★ 第一行から読んでください。 Of Man’s first disobedience, and the fruit ★ Of で始まります 。★ 主語でも動詞でもありません ——★ 「〜について」 です。★ では何が「〜について」なのか ——★ それが まだ書かれていません 。 ★ 五行めまで、 ずっと「何について」が続き ます。 Brought death into the World, and all our woe, With loss of Eden, till one greater Man ★ そして 6 行めに、 ようやく動詞が来ます 。 Sing, Heavenly Muse, that, on the secret top どの行か 何をしているか ★ 一〜五行 ★ 何を歌うか。ぜんぶ Sing の目的語 ★ 6 行 ★ Sing ——命令の動詞。呼びかける相手もここ ★ 七行以降 ★ その女神がどんな女神かの説明 ★ なぜこうするのでしょうか 。★ 3.58 型編 で 言いたい語を先に出す と置きました 。★ この詩がいちば