9.1 ギリシアの地図と島 — Epoché
この 課 か でできるようになること ギリシアがどんな 形 かたち の 国 くに かを、 地図 ちず の 上 うえ で 言える いえる 。 島 しま がいくつあり、なぜ 島 しま の 名前 なまえ が 地名 ちめい として 重い おもい のかが 分かる わかる 。 地名 ちめい の 綴り つづり から、その 土地 とち の 性格 せいかく をおおよそ 読める よめる 。 前提 ぜんてい : 5.9( 誘い さそい と 予定 よてい )。 知 ち 編 へん の 最初 さいしょ の 課 か です。 知 ち 編 へん は 知 ち の 編 へん です。 文法 ぶんぽう でも 語彙 ごい でもなく、ギリシア 語 ご を 使う つかう 土地 とち と 人 ひと について 知る しる 編 へん です。この 編 へん を 置い おい たのには 理由 りゆう があります。 語 ご が 分かっ わかっ ても、 話 はなし が 分から わから ないことがある からです。 読 どく 編 へん 第 だい 1 期 き 5 課 か で 食卓 しょくたく の 習わし ならわし を 読ん よん だときに、そのことは 一 いち 度 ど 出 で てきました。 第 だい 1 期 き ではこの 編 へん を 二 に 課 か だけ 置き おき ます。 一 ひと つ 目 め が 地図 ちず 、 二 ふた つ 目 め が 暦 こよみ です。この 二 ふた つは、 日常 にちじょう の 会話 かいわ にいちばんよく 出 で てくる 知識 ちしき だからです。 細長い ほそながい 半島 はんとう と、たくさんの 島 しま ギリシアは 半島 はんとう と 島 しま でできた 国 くに です。 本土 ほんど はバルカン 半島 はんとう の 南端 なんたん で、そこから 無数 むすう の 島 しま が 海 うみ に 散らばっ ちらばっ ています。 国土 こくど の 面積 めんせき は 日本 にっぽん の 三 さん 分 ぶん の 一 いち ほどですが、 海岸 かいがん 線 せん の 長 なが さは 日本 にっぽん とほぼ 同じ おなじ です。それだけ 入り組ん いりくん でいるということです。 島 しま の 数 かず は 数え かぞえ 方 かた によりますが、およそ 六千 ろくせん 。 人 ひと が 住ん すん でいる 島 しま は 二百 にひゃく ほど です。 残り のこり は 無人 むじん 島 とう で、 羊 ひつじ が 放し はなし てあったり、 小さな ちいさな 教会 きょうかい が 一 ひと つ 建っ たっ ているだけだったりします。 この 地形 ちけい が、ギリシア 語 ご のあり 方 かた を 決め きめ ました。 山 やま と 海 うみ で 細かく こまかく 仕切ら しきら れているので、 土地 とち ごとに 言葉 ことば が 分かれ わかれ た のです。いまでも 島 しま ごとに 訛り なまり があり、クレタ 島 とう の 言葉 ことば は 本土 ほんど の 人 ひと にも 聞き取り ききとり にくいことがあります。 第 だい 2 期 き の 5.12 でフェリーの 場面 ばめん を 扱い あつかい ますが、そこで 少し すこし ふれます。 地名 ちめい の 表 ひょう 会話 かいわ によく 出る でる 地名 ちめい を 挙げ あげ ます。 表 ひょう は 六 ろく 行 ぎょう で、 左 ひだり がギリシア 語 ご 、 真ん中 まんなか が 日本 にっぽん 語 ご での 言い いい 方 かた 、 右 みぎ がその 土地 とち についてです。 ギリシア 語 ご 日本 にっぽん 語 ご では その 土地 とち について η Αθήνα アテネと 言う ゆう 首都 しゅと 。 国 くに の 人口 じんこう の 三 さん 分 ぶん の 一 いち が 集まっ あつまっ ている η Θεσσαλονίκη テッサロニキと 言う ゆう 北 きた の 第 だい 二 に の 都市 とし 。ビザンツの 色 いろ が 濃く こく 残る のこる η Κρήτη クレタと 言う ゆう いちばん 大きな おおきな 島 しま 。 訛り なまり も 料理 りょうり も 独特 どくとく η Σαντορίνη サントリーニと 言う ゆう 火山 かざん の 島 しま 。 白い しろい 家 いえ と 青い あおい 屋根 やね で 知ら しら れる η Πελοπόννησος ペロポネソスと 言う ゆう 本土 ほんど の 南 みなみ の 大きな おおきな 半島 はんとう 。 古い ふるい 遺跡 いせき が 多い おおい το Αιγαίο エーゲ 海 かい と 言う ゆう 本土 ほんど とトルコのあいだの 海 うみ 。 島 しま の 大半 たいはん がここにある 六 むい つのうち 五 いつ つが 女性名詞 じょせいめいし です。ギリシア 語 ご では、 島 しま と 町 まち の 名前 なまえ はたいてい 女性 じょせい になります。 土地 とち を 表す あらわす 語 ご が 女性 じょせい だからで、 名前 なまえ そのものの 形 かたち とは 関係 かんけい がありません。 海 うみ は 中性 ちゅうせい です。 型 かた 編 へん 1 課 か で 学ん まなん だとおり、どれにも 冠詞 かんし が 付き つき ます。 地名 ちめい の 綴り つづり が 教える おしえる こと ギリシアの 地名 ちめい には、 綴り つづり から 性格 せいかく が 読める よめる ものがあります。 表 ひょう は 四 よん 行 ぎょう です。 地名 ちめい の 一部 いちぶ その 意味 いみ どんな 土地 とち か 島 しま を 表す あらわす 語根 ごこん 島 しま 、という 意味 いみ ペロポネソスは「ペロプスの 島 しま 」。 半島 はんとう だが 島 しま と 呼ば よば れた 町 まち を 表す あらわす 語根 ごこん 町 まち 、という 意味 いみ 1.4 で 覚え おぼえ たポリ。 地名 ちめい の 後半 こうはん によく 出る でる 聖 ひじり を 表す あらわす 語 ご 聖 せい なる、という 意味 いみ 聖人 せいじん の 名 な が 付い つい た 地名 ちめい 。ギリシア 中 ちゅう にある 新しい あたらしい を 表す あらわす 語 ご 新しい あたらしい 、という 意味 いみ 移住 いじゅう してできた 土地 とち 。 元 もと の 町 まち の 名 な が 後ろ うしろ に 続く つづく 四 よん つ 目 め が 面白い おもしろい ところです。 新しい あたらしい 何々 なになに 、という 地名 ちめい がギリシアには 多い おおい 。 一 いち 九 きゅう 二 に 〇 年 ねん 代 だい に 小 しょう アジアから 百 ひゃく 万 まん 人 にん 以上 いじょう が 移っ うつっ てきたとき、 元 もと の 町 まち の 名 な に 新しい あたらしい を 付け つけ て 新しい あたらしい 土地 とち を 呼ん よん だからです。 地名 ちめい がそのまま 近代 きんだい 史 し の 記録 きろく になっています。 三 みっ つ 目 め の 聖人 せいじん の 名 な も 同じ おなじ で、 話 はなし 編 へん 第 だい 1 期 き 2 課 か で 学ん まなん だ 名の日 なのひ の 習わし ならわし と 同じ おなじ 根 ね から 出 で ています。 人 ひと の 名前 なまえ も 地名 ちめい も、 大半 たいはん が 聖人 せいじん の 名 な 。 ギリシアで 地図 ちず を 見る みる と、 同じ おなじ 名前 なまえ が 人 ひと にも 土地 とち にも 付い つい ていることに 気づき きづき ます。 なぜ 島 しま の 数 かず が 言葉 ことば を 分け わけ たのか 島 しま の 多 おお さが 訛り なまり を 生ん うん だ、と 書き かき ました。もう 少し すこし 立ち入っ たちいっ ておきます。 船 ふね でしか 行き来 いきき できない 土地 とち では、 隣 となり の 島 しま の 言葉 ことば が 別 べつ の 言葉 ことば になります。 陸続き りくつづき なら 人 ひと が 歩い あるい て 行き来 いきき し、 言葉 ことば はならされていく。 海 うみ は、その 均し ならし をさえぎります。 ギリシア 語 ご がここまで 長く ながく 続い つづい てきたのに、 方言 ほうげん に 割れ われ て 別々 べつべつ の 言語 げんご にならなかった のは、 書き言葉 かきことば が 一 ひと つあり 続け つづけ たからです。 話し言葉 はなしことば は 土地 とち ごとに 分かれ わかれ ても、 書く かく ときの 言葉 ことば は 共通 きょうつう していた。だから 三千 さんぜん 年 ねん つながっている 一 ひと つの 言語 げんご として 数え かぞえ られます。 第 だい 2 期 き の 9.3 で、その 書き言葉 かきことば をめぐって 近代 きんだい に 起き おき た 争い あらそい を 扱い あつかい ます。 逆 ぎゃく に、 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ にとって 助かる たすかる 点 てん もあります。 本 ほん 課程 かてい が 教える おしえる のは 標準 ひょうじゅん の 言葉 ことば で、これはアテネの 言葉 ことば を 土台 どだい にしています。テレビも 新聞 しんぶん も 学校 がっこう もこの 言葉 ことば なので、どの 島 しま へ 行っ いっ ても 通じ つうじ ます。 返っ かえっ てくる 言葉 ことば が 聞き取り ききとり にくいことはあっても、こちらの 言葉 ことば が 通じ つうじ ないことはありません。 そして、 訛り なまり を 聞き分け ききわけ られるようになるのは、ずっと 先 さき の 話 はなし です。 まずは 標準 ひょうじゅん の 言葉 ことば を 一 ひと つ ——この 課程 かてい はそこに 絞っ しぼっ ています。 アテネという 町 まち ギリシアの 人口 じんこう はおよそ 一千 いっせん 万 まん で、 そのうち 三 さん 分 ぶん の 一 いち がアテネとその 周り まわり に 住ん すん でいます 。 日本 にっぽん の 東京 とうきょう 圏 けん と 似 に た 集まり あつまり 方 かた ですが、 国 くに 全体 ぜんたい が 小さい ちいさい ぶん、 集中 しゅうちゅう の 度合い どあい はもっと 強い つよい 。 アテネという 名前 なまえ は、 女神 めがみ アテナから 来 き ています。ただし 現代 げんだい ギリシア 語 ご では 女神 めがみ の 名 な と 町 まち の 名 な で 綴り つづり がわずかに 違い ちがい 、 町 まち の 名 な のほうが 日常 にちじょう 語 ご らしい 形 かたち になっています。1.6 で 見 み た 層 そう の 違い ちがい が、 地名 ちめい にも 出 で ているわけです。 アテネの 中心 ちゅうしん には 古い ふるい 丘 おか があり、その 上 うえ に 神殿 しんでん が 建っ たっ ています。ただし 観光 かんこう の 話 はなし は 本 ほん 課程 かてい の 役目 やくめ ではありません。ここで 押さえ おさえ ておきたいのは、 ギリシアの 人 ひと にとってアテネは 古代 こだい の 町 まち ではなく、いま 暮らし くらし ている 町 まち だ ということです。 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ は 古代 こだい の 像 ぞう でギリシアを 見 み がちですが、 会話 かいわ の 相手 あいて にとっては 生活 せいかつ の 場 ば です。この 構え かまえ の 違い ちがい は、 話す はなす ときに 効き きき ます。 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ の 近道 ちかみち 地名 ちめい を 覚える おぼえる のに、いちばん 早い はやい のは 日本 にっぽん 語 ご での 呼び よび 方 かた とのずれを 先 さき に 押さえる おさえる こと です。アテネはアシナ、テッサロニキはセサロニキに 近い ちかい 音 おと です。 日本 にっぽん 語 ご のカタカナ 表記 ひょうき は 英語 えいご や 他 ほか の 言語 げんご を 経由 けいゆ しているので、ギリシア 語 ご の 音 おと とはずれています。 とくに 気 き をつけるのは、 θ の 音 おと と、 強勢 きょうせい の 位置 いち です。0.5 で 学ん まなん だ 舌 した を 歯 は に 当てる あてる 音 おと が 地名 ちめい にはよく 出 で てきます。そして 日本 にっぽん 語 ご の 地名 ちめい にはアクセントの 決まり きまり が 弱い よわい ので、つい 平ら たいら に 読ん よん でしまう。 地名 ちめい こそ 強勢 きょうせい をはっきり 出し だし てください。 通じ つうじ ないときの 原因 げんいん は、たいてい 強勢 きょうせい の 位置 いち です。 もう 一 ひと つ。 地名 ちめい には 必ず かならず 冠詞 かんし が 付き つき ます。アテネへ 行く いく 、と 言う いう ときも 冠詞 かんし が 要る いる 。 型 かた 編 へん 1 課 か で「 迷っ まよっ たら 置く おく 」と 言い いい ましたが、 地名 ちめい は 迷う まよう 必要 ひつよう すらありません。 必ず かならず 置き おき ます。 練習 れんしゅう 練習 れんしゅう 1 — 性 せい を 当てる あてる 次 つぎ の 地名 ちめい の 性 せい は 何 なん ですか。 答え こたえ はこの 課 か の 最後 さいご にあります。 アテネ クレタ エーゲ 海 かい テッサロニキ 練習 れんしゅう 2 — 地名 ちめい から 読み取る よみとる 次 つぎ のことについて、この 課 か で 読ん よん だことから 答え こたえ てください。 ギリシアに 島 しま はいくつあり、 人 ひと が 住ん すん