11.16 人を採る・評する — 求人・面接・推薦状 — Epoché
★ はじめに断っておきます。 ★ この課は 語と書式の課 であって、 雇用の法についての助言ではありません 。 ★ 国によって、 聞いてよいことが大きく違います ——★ 年齢・家族・健康など。 ★ 実務では、 その国の決まりを先に確かめてください 。 この課でできるようになること ★ 腕と人柄を分けて書ける 。 ★ ほめ方の強さの段 が分かる。 ★ 評価を、記録した数から書ける 。 ★ 面接の問いを、行いで聞ける 。 前提 : 11.15 まで。作は 10.24 まで。論は 9.24 まで。語は 4.76 まで。 場面 ★ 同僚から、 推薦状を書いてほしい と頼まれました。 ★ 英語で。 ★ 日本語の推薦状の調子で書くと、 ほとんど効きません 。 ★ 理由は二つ です。 何が起きるか なぜか ★ ほめが弱く読まれる ★ ほめ方に段があり、中ぐらいは断りに読まれる ★ 根拠が無いと読まれる ★ 人柄の語だけで、行いの例が無い 語彙 腕と、人柄を分ける ★ 4.73 語編 で integrity を置きました ——★ 筋を曲げないこと 。★ これは 人柄 の語で、 腕の語ではありません 。 どちらの側か どんな語を使うか ★ 腕 ★ skilled ・ thorough ・ systematic ( 4.69 語編 ) ★ 人柄 ★ integrity ・ loyal ・ straightforward ( 4.73 語編 ) ★ 推薦状は、 両方に一段落ずつ 割きます。 ★ 片方しか書いていない推薦状は、 書かなかったほうに問題がある と読まれます。 ★ほめ方の、段 ★ これを知らずに書くと、 ほめたつもりで断って しまいます。 どんな言い方か どう読まれるか one of the best I have worked with ★ いちばん強い I recommend her without reservation ★ 強い I am happy to recommend him ★ ふつう She did her work satisfactorily ★ 弱い——断りに近い ★ 四つめに気をつけてください。 ★ satisfactorily は 「満足のいく」 という語ですが、★ 推薦状では 「それ以上は書けない」 と読まれます。 ★ 3.54 型編 の やわらげ が、ここでは逆に働きます ——★ 推薦状では、 やわらげると否定になります 。 行いの例を、一つ置く ★ どんな強いほめも、 例が一つ無いと 効きません。 Paul Grant will be that engineer [1] ★ 議事録のこの一行のように、 名前と仕事が結びついた記録 があれば、★ 推薦状はそこから書けます 。 どう書くか 読む人はどうするか ★ 「たいへん優秀です」 ★ 読み飛ばす ★ 「二度の訪いで据えつけを一人で完了した」 ★ 覚える 評価は、記録した数から ★ 8.172 読編 のテイラーは、 記録を取ること から始めよと言います。 accurate records are kept of the amount of work done by each man and of his efficiency [2] ★ 「各人の仕事の量とその効率について、狂いのない記録が取られる」。 ★ そして、 記録の使い方を誤ると何が起きるか も書いています。 their fear of making a record which will be used as a basis for piece work [2] ★ 「その記録が出来高払いの根拠に使われる、という恐れ」。 ★ 記録を取ると言われた人は、 記録に残る働き方をします 。 ★ だから、 何を測るかを先に言う ——★ 9.21 論編 の「数え方は始まる前に決める」と同じ です。 面接は、行いで聞く どんな問いか 何が返るか Are you good at working in a team ★ 「はい」 Tell me about a time when the team disagreed ★ 行いの話 What did you do next ★ その人の手 ★ 二つめと三つめを 組で使う のが要点 です。★ 一つめだけでは、 だれでも「はい」と答えます 。 日本の商慣習との差 ★ いちばん大きな差は、 推薦状をだれが読むか です。 推薦状の扱い どちらに多いか ★ 形式。中身は読まれない ★ 日本の組織に多い ★ 採否を分ける材料 ★ 相手方に多い ★ だから、 書き手の名前と連絡先 が要ります ——★ 読んだ人が 電話をかけてくる ことがあるから です。 ★ もう一つ、 自分で書く推薦状 という習わしがあります。 ★ 「下書きを書いてくれ」と頼まれることがある ——★ これは、 多くの国でふつう です。 ★ そのときは、 ほめ方の段を一つ下げて 書いてください。 ★ 署名する人が 上げるほうが自然 だから です。 ★ そして、 断り方 も覚えておいてください。 ★ I do not think I am the right person to write this ——★ 「私は書くのにふさわしい人ではないと思います」 。★ 弱い推薦状を書くくらいなら、 断るほうが相手のためです 。 やってみる ★ 推薦状を一通書く 。★ 腕に一段落、人柄に一段落、 行いの例を一つずつ 。 ★ 二百〜二百五十語。 ★ ほめ方の段を四つ書く 。★ 同じ人について、 いちばん強い形からいちばん弱い形まで 。 ★ 声に出して、違いを確かめる。 ★ 面接の問いを三つ作る 。★ どれも 「〜したときのことを聞かせてください」 の形にする。 ★ 「はい/いいえ」で答えられる問いは使わない。 ★ 自分の一年を、記録から書く 。★ 数の残っている仕事を三つ挙げ、 それぞれ一行 で書く。 ★ 数が残っていないなら、 来年は何を記録するか を決める。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Job offers - 61 - English at Work shows you how to offer and accept a job BBC Learning English (6:02, 2017) 採る側の言い方。条件を出す・受ける。面接に答える側は 5.20・6.30 で 練習 「語彙」に引いた三文(技師の名/記録/恐れ)を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ ほめ方の四つの形を 強い順に 音読する。 ★ without reservation は 一気に 読みます ——★ 切ると弱くなります。 ★ 面接の三つの問いを音読する。 ★ Tell me about a time when は、 time をいちばん強く 読んでください ——★ 「いつのことか」を聞いているから です。 この課のまとめ ★ 推薦状は、腕と人柄を分けて書く 。片方だけだと、書かなかったほうに問題があると読まれる。 ★ ほめ方には段がある 。 satisfactorily は、推薦状では断りに近い。 ★ 推薦状では、やわらげると否定になる ( 3.54 型編 の逆)。 ★ 強いほめにも、行いの例を一つ 。「優秀です」は読み飛ばされ、具体の一件は覚えられる。 ★ 評価は、記録した数から書く (テイラー 8.172 読編 )。 ★ 何を測るかは、先に言う 。記録を取ると言われた人は、記録に残る働き方をする( 9.21 論編 )。 ★ 面接は、行いで聞く —— Tell me about a time when … と What did you do next を組で。 ★ 推薦状は読まれる 。書き手の名前と連絡先が要る。電話が来ることがある。 ★ 下書きを頼まれたら、段を一つ下げて書く 。署名する人が上げるほうが自然。 ★ 弱い推薦状を書くくらいなら、断る —— I do not think I am the right person to write this 。 次の課へ 次の課は 11.17 、 物流と、納期のトラブル です。★ 8.189 読編 の 遅れの一通 を、こんどは 物の流れの側 から見ます。 ★ 危険はいつ移るのか、だれが運賃を持つのか、そして 遅れをいつ伝えるか 。 答え 「やってみる」の四つの答えです。 ★ 二段落書いてみると、 人柄の段落のほうが書きにくい と分かります。 ★ 腕は 仕事の結果 で書けますが、★ 人柄は 困ったときの話 でしか書けない から です。★ だから、 うまくいかなかった一件 を探してください ——★ そこにしか人柄は出ません。 ★ 四つ並べて声に出すと、 三つめと四つめの差 がいちばん大きいと分かります。 ★ 三つめ( I am happy to recommend him )までが 推薦 で、★ 四つめは 事実の報告 です。 ★ 推薦状を頼まれて四つめしか書けないなら、 断ってください 。 ★ 三つ作ってみると、 二つめの問い ( What did you do next )が いちばん効く と分かります。 ★ 最初の答えは 用意されている ことが多い ——★ 用意されていないのは、 その次 です。 ★ 数が残っていない仕事が 思ったより多い はずです。 ★ 「何件」「何日」「何割」のどれかが残っていれば書けます ——★ 残っていないなら、 来年の初めに数え方を決める ( 9.21 論編 )。 ★ 評価の季節に数を探しても、 もう残っていません 。 参考文献 原文の出所: Epoché, "会議の議事録と行動項目"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/ 原文の出所: Frederick Winslow Taylor『The Principles of Scientific Management』(1911), "taylor_scientific(4/4)"。パブリックドメイン(Project Gutenberg)。原文は 1 字も変えていない。https://www.gutenberg.org/ebooks/6435