6.4 一日の予定 — 昼と夕方の名前が無い — Epoché
この課で言えるようになること 起きる時刻・家を出る時刻・帰る時刻を、数を添えて言える。 名前の無い時間帯を、数と朝・夜の組み合わせで言える。 相手の空いている日を曜日で聞き、都合が悪いときに断れる。 打ち合わせの始まりと長さを、仕事の相手に通る形で決められる。 前提 : 6.3 まで。 6.3 では、好きなもの・好きでないものを言いました。好き嫌いには正解がないので、食い違ってもどちらも間違いではありません。この課は自分を 時間の上に置き ます。何時に起きるか、何時に家を出るか、何時に帰るか。こちらには正解があり、数を 1 つ言い間違えると相手の一日が狂います。そのぶん言い方は決まっていて、覚える形は少なくて済みます。 ところがこの課にも、語の数から来るまっすぐな制約があります。一日を区切る名前のうち、この期の 600 語に残っているのは 2 つだけです。朝と夜。昼も夕方も、真昼も真夜中も、そして 「あす」と「きのう」も入っていません 。話の足場になる名前がほとんど無い、というところから始めます。 場面と話し手 対話 A は昼休みの休憩室で、同じ部署の 2 人がたがいの一日の流れを聞き合う場面です。毎日会う相手なので丁寧さは低めで足ります。 対話 B は取引先との電話で、次の打ち合わせの日と時刻を決める場面です。相手の時間を取り分けてもらう話なので、A より一段上の形を使います。 先に語の話を片づけます。一日を区切る名前で帯の中にあるのは morning と night の 2 つ。 afternoon ・ evening ・ noon ・ midnight ・ tonight ・ tomorrow ・ yesterday の 7 語は、どれも 600 番より外にあります。困るのは「午後」が無いことだけではありません。 きょう以外の日を 1 語で指すことができない のです。 落ちているのは時間帯の名前だけではありません。 breakfast ・ lunch ・ dinner ・ bed の 4 語は全部 600 番より外で、食事も就寝も名詞では言えません。予定を組み立てる語も、 plan ・ free ・ meet は残っている一方で、 busy ・ schedule ・ appointment ・ finish ・ wake ・ sleep ・ ready の 7 語は外です。「忙しい」も「終える」も無いということです。 そこでこの課では、足りない分を次の 3 手で埋めます。1 つ目は 時刻の数で言う 。時間帯に名前が付けられないなら、数そのものを言えばよい。「午後三時」は「三時」で足ります。2 つ目は 動きの語で刻む 。食事や就寝を名詞で言えないなら、起きる・出る・働く・帰るという動きで一日を刻む。3 つ目は 曜日で日を指す 。曜日名と月名は帯の中にあるので、「あす」の代わりに月曜・火曜と指せます。 対話 A 話者 英文 日本語訳 A What time do you get up? [1] あなたは何時に起きますか。 B I get up at six. [2] 六時に起きます。 A I get up early in the morning. [3] 私も朝は早く起きます。 A What time do you usually leave home? [4] 普段は何時に家を出ますか。 B I leave home before eight o'clock every morning. [5] 毎朝、八時前に家を出ます。 B What time do you leave your work? [6] あなたは何時に仕事を離れますか。 A I work from nine to six. [7] 私は九時から六時まで働きます。 B I can't leave work until five. [8] 私は五時まで職場を離れられません。 A I usually get home at about 7:00. [9] 私はたいてい7時頃うちに帰ります。 B See you in the morning. [10] では、また明日の朝。 10 行あり、上から下へ 時刻の順 に並んでいます。起きる・家を出る・働く・帰る・別れる。この順に置いておけば相手は迷いません。いちばん長い行でも 8 語で、短い行が続きます。 1 行目と 2 行目が 時刻をたずねて答える 基本の形です。問いは「何時」に当たる 2 語で始まり、答えは動きの語のうしろに at と数を置くだけ。この 2 語の問いが、この課のほとんどの行の入口になります。答えのほうに「時」に当たる語は要りません。 3 行目が 同じだと返す 行です。6.3 では好き嫌いで返しましたが、ここでは自分の時刻を並べて返しています。この行に in the morning が入っているのを見てください。朝は帯の中に残った 2 つの名前の 1 つで、時間帯を名前で呼べる数少ない場面です。同じ話し手が 4 行目も続けて話しているのは、返してからすぐ次を聞いているからです。 5 行目と 6 行目が対話 A の折り返しです。5 行目には before が入っていて、ぴったりの時刻ではなく 「〜より前」 と幅を持たせています。6 行目で B が聞き返し、話が A の側に戻ります。 7 行目と 8 行目が 働く時間の幅 を言うところです。7 行目は from と to で始まりと終わりを挟む形、8 行目は until で終わりだけを言う形です。8 行目は打ち消しの形で「五時までは離れられない」と言っており、この期に「終える」の語が無いので、「五時に終わる」を裏返して言っています。 9 行目は「〜ごろ」とぼかす形で、数のすぐ前に 1 語が挟まります。10 行目は 5 語の別れの言葉ですが、訳を見てください。「明日の朝」と出ています。英語のほうに「あす」に当たる語は 入っていません 。夕方に別れて「朝に会いましょう」と言えば、それは翌朝のことだからです。帯に無い語を、場面が代わりに引き受けています。 対話 B 話者 英文 日本語訳 A I'd like to see you again next week. [11] 来週またお会いしたいです。 B Are you free on Monday? [12] 月曜日はお空きでしょうか。 A I can't go on Monday. [13] 月曜日はうかがえません。 A Are you free on Tuesday? [14] 火曜日はお時間がありますか。 B Let's meet on Tuesday. [15] 火曜日にお会いしましょう。 B What time would be good for you? [16] 何時がご都合よろしいですか? A I'd like to come at nine. [17] 九時にうかがいたいのですが。 B What time will the meeting be over? [18] 打ち合わせは何時に終わりますか。 A It'll take at least an hour. [19] 少なくとも一時間はかかります。 A I may be late. [20] 遅れるかもしれません。 B Come even if you'll be late. [21] 遅れてもかまいませんので、おいでください。 B See you then. [22] では、その時に。 12 行あり、対話 A より 2 行長くなっています。決めることが 日・時刻・長さ の 3 つあり、1 つずつ片づけていくからです。1 行目は会いたいと言うだけの行ですが、うしろに「来週」に当たる 2 語が付いていて、これで話が来週の枠に入ります。訪ねるのは A の側で、B は迎える側です。 2 行目から 5 行目が 日を決める ところです。2 行目で B が曜日を挙げ、3 行目で A が断り、4 行目で A が別の曜日を出し、5 行目で B が受けています。断りの 3 行目に注意してください。「忙しい」の語は帯の外なので、 行けないという言い方でしか断れません 。日本語の「あいにく忙しくて」に当たる柔らかい言い方はここには無く、そのぶん 4 行目ですぐ代わりの日を出すことが、断りの角を取っています。断ったら次の案を出す——この課で身につけてほしい運びです。 6 行目と 7 行目が 時刻を決める ところです。6 行目は対話 A の 1 行目と同じ 2 語で始まりますが、「よろしいでしょうか」に当たる 2 語が挟まっているぶん段が上がっています。7 行目は「九時に」と言い切らず、1 行目と同じ「〜したいのですが」の形に載せて希望として出しています。 8 行目から 12 行目が 長さを決めて締める ところです。8 行目は終わりの時刻をたずねる形で、「どれくらいかかるか」を聞いています。9 行目の答えは時刻ではなく 長さ で返しており、「少なくとも」に当たる 2 語が付いています。付けずに一時間と言い切ると、延びたときに約束を破ったことになります。10 行目で訪ねる側の A が遅れる可能性を先に断り、11 行目で迎える側の B がそれを引き受けます。12 行目は 3 語で、対話 A の別れの行より短い。日も時刻も決まったあとだからです。 言い回し 対話に出なかった言い方を足しておきます。時刻と予定は、どの場面の話にも割りこんできます。下の 7 つは、そのときに要るものを選びました。 英文 日本語訳 使いどころ What time is it? [23] 今、何時ですか。 いま何時かを聞く。この課でいちばん短い問い I'll see you at half past six. [24] 6時半に会おう。 時刻の「半」。数のうしろに置く I'll be back in half an hour. [25] 30分で戻るよ。 長さの「半」。同じ語だが、こちらは一時間の半分 It's eight o'clock at night. [26] 午後八時です。 夜の時刻。日本語訳は「午後」だが、英語は「夜」で言っている Do you have plans for next week? [27] 来週の計画が何かありますか。 相手の予定を聞く。「予定を持っているか」と組み立てる I'm not free today. [28] 今日は都合が悪いんだ。 都合が悪いと断る。空いていないという言い方しかない Be on time. [29] 時間に遅れないで。 時間を守れと言う。命令の形なので、身内にだけ使う 2 番目と 3 番目に印を付けておきます。どちらも「半」に当たる同じ語が入っていますが、2 番目は 時刻の半 、3 番目は 長さの半 です。時刻のほうは「六時を半分過ぎたところ」と組み立て、長さのほうは「一時間の半分」と組み立てます。日本語ではどちらも「半」の一字で済むので、ここは分けて覚えてください。4 番目の訳のずれも見ておいてください。日本語が一日を正午で分けるのに対し、英語は明るさで分けています。 帯の外の語を使わずに言う 上で挙げた語のうち 4 つ——あす・夕方・忙しい・終わる——を、600 語だけでどう言うかをまとめておきます。真ん中の列は Epoché の作例で、 間違いではありません 。英語として正しく、実際によく使われます。ただ、この期の 600 語には無いので、いま使うと聞き取れない語が増えます。 言いたいこと 帯の外の語で言う形 この期の 600 語で言う形 また明日 See you tomorrow. See you in the morning. [10] 夕方の八時に in the evening It's eight o'clock at night. [26] 今日は忙しいのです I'm busy today. I'm not free today. [28] 何時に終わりますか When does it finish? What time will the meeting be over? [18] 1 行目は場面に、2 行目は明るさの区切りに、3 行目は打ち消しに、4 行目は「終わっている状態」に置き換えて埋めています。遠回りに見えますが、600 語で話す人どうしなら、この形のほうが確実に通じます。 言い換えと丁寧さ 丁寧さを上げる型は 6.1 話編 で決めた 3 つと同じです。命令の形を頼む形へ、 can を could へ、単純過去を現在完了へ。この課では、その 3 つを時刻と予定の話題で組み直します。 1 つ目の 命令の形を頼む形へ は、時刻の話でとくによく効きます。相手の時間を取り分けてもらうのに、動詞から始めると「そうしろ」に近く届きます。下の表は、同じ用を足す 3 文を左から右へ段を上げて並べたものです。左は身内、真ん中は同僚、右は客や取引先——その見当で選んでください。 命令の形 頼む形 もっと丁寧な形 Come at two o'clock. (二時に来てください。) [30] Can you come at nine? [31] I'd like you to come at nine. [32] Wait a moment. (少し待ってください。) [33] Can you wait a minute? [34] Could you please wait a moment? [35] Call me at eight. (八時に電話してください。) [36] Can you call me later? [37] Could you call me later? [38] 1 行目を見てください。左は動詞から始まる命令の形、真ん中は 問いの形 で、右は「〜していただきたい」に当たる形です。内容はどれも「その時刻に来てほしい」で、変わっているのは頼み方だけです。2 行目と 3 行目が 2 つ目の型、 can を could へ にそのまま当たります。真ん中と右で替わっているのは文の頭の 1 語だけです。6.1 では名前を聞く 2 文で、6.3 では好みを聞く 2 文で同じ替え方を見ました。 ここで、対話 B の 11 行目に戻ってください。あの行は動詞から始まる