8.42 オズの魔法使い(2)— 音でいっぱいになる — Epoché
この篇でできるようになること ★ 場面が変わると語の顔ぶれが変わる ことに気づける。 音を表す語を、意味の束としてまとめて受け取れる。 動きの向き(下向き・上向き)が場面を作っていることが分かる。 長い文を切れ目で区切って読める。 前提 : 8.41 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に 前の篇の続きです。ヘンリーおじさんが空を見上げ、北から低いうなりが聞こえてきます。カンザスの竜巻です。 読む前に一つ置いておきます。 この篇には知らない語が多く出ます。 けれども、そのほとんどが 音か動き の語です。一語ずつ意味を取らなくても、 「何か大きな音がしている」 と分かれば話は追えます。 5.13 聞編 で置いた「捨てて先へ進む」が、ここで効きます。 固有名詞 何を指すか Dorothy ドロシー。主人公の少女 Toto トト。ドロシーの犬 Uncle Henry ヘンリーおじさん Aunt Em エムおばさん 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 596 語、段落は 14 つです。 From the far north they heard a low wail of the wind まず 最後まで通して 読んでください。音の語で止まらないこと。二度目に語釈を見ながら読みます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 はるか北のほうから、風の低いうなり声が聞こえてきました。ヘンリーおじさんとドロシーには、近づいてくる嵐の前で、長い草が波のようになびいているところが見えました。今度は南から、空気を切る鋭い音がしてきました。二人がそちらに目を向けると、その方角からも草にさざ波が寄せてくるのが見えました。 突然、ヘンリーおじさんが立ち上がりました。 「竜巻が来るぞ、エム」とおじさんは妻に呼びかけました。「家畜の様子を見てくる。」そして牛や馬を入れてある小屋のほうへ走っていきました。 エムおばさんは仕事の手を止めて戸口に出てきました。ひと目見ただけで、危険がすぐそこまで迫っていることがわかりました。 「早く、ドロシー!」とおばさんは叫びました。「地下室へ走って!」 トトはドロシーの腕から飛び出してベッドの下に隠れ、ドロシーはトトをつかまえに行きました。エムおばさんはひどくおびえて、床の上げ戸をぱっと開け、はしごを伝って小さな暗い穴へ降りていきました。ドロシーはやっとトトをつかまえ、おばさんの後を追おうとしました。部屋を半分ほど横切ったとき、風がものすごい叫び声を上げ、家がひどく揺れたので、ドロシーは足をとられて床にどしんと座りこんでしまいました。 それから、不思議なことが起こりました。 家は二、三度ぐるぐると回り、ゆっくりと空中へ昇っていきました。ドロシーは気球に乗って上がっていくような気がしました。 北の風と南の風が、ちょうど家の建っているところでぶつかり、家を竜巻のちょうど真ん中にしてしまったのです。竜巻の真ん中では、ふつう空気は静かなのですが、家の四方から風が強く押しつけたので、家はどんどん高く持ち上げられ、とうとう竜巻のいちばん上まで来ました。そして家はそこにとどまったまま、羽根を一枚運ぶのと同じくらいたやすく、何マイルも何マイルも運ばれていきました。 あたりは真っ暗で、風はドロシーのまわりで恐ろしくうなっていましたが、ドロシーは自分がずいぶん楽に乗っていることに気づきました。初めの何度かぐるぐる回ったのと、もう一度家がひどく傾いたのを過ぎると、ゆりかごの赤ちゃんのように、やさしく揺られているような気がしました。 トトはこれが気に入りませんでした。部屋の中をあちらこちらと走り回って大きな声でほえましたが、ドロシーは床の上にじっと座ったまま、何が起こるかを待っていました。 一度、トトが開いたままの上げ戸に近づきすぎて、落ちてしまいました。はじめ、ドロシーはトトをなくしてしまったと思いました。けれどもまもなく、トトの耳の片方が穴から突き出ているのが見えました。空気の強い圧力がトトを押し上げていて、落ちていかないようにしていたのです。ドロシーは穴のところまではっていき、トトの耳をつかんで、また部屋の中へ引きずり上げました。そのあと、もうこんな事故が起こらないように上げ戸を閉めました。 何時間も何時間も過ぎ、ドロシーは少しずつ怖さを忘れていきました。けれども、とても心細く、まわりでは風がひどく大きな声で叫ぶので、耳が聞こえなくなりそうでした。はじめは、家がまた落ちたら自分はこなごなになってしまうのではないかと思っていました。けれども時間がたっても何も恐ろしいことは起こらなかったので、心配するのをやめ、落ち着いて待って、この先どうなるかを見ようと心に決めました。とうとうドロシーは揺れる床をはってベッドまで行き、その上に横になりました。トトもついてきて、そばに横になりました。 家は揺れ、風はうなっていましたが、ドロシーはまもなく目を閉じ、ぐっすりと眠りこんでしまいました。 語釈 帯の外の語は 52 語です。下に 全部 出します。 音の語が多い ことに気づいてください。 語(品詞) 意味 注 Dorothy en 名 ドロシー Dorothy’s en 名 ドロシーの Henry en 名 ヘンリー Toto en 名 トト Uncle en 名 おじ。 Uncle Henry として名の一部 Uncle Bob repaired our old car last weekend. おじのボブは先週末、私たちの古い車を修理してくれました。 afterward en 副 そのあとで They went to the park and had lunch afterward. 彼らは公園へ行き、そのあとで昼食をとりました。 asleep en 形 眠って The tired child fell asleep during the movie. 疲れた子どもは映画の途中で眠り込みました。 aunt en 名 おば My aunt bakes delicious cookies every weekend. 私のおばは毎週末おいしいクッキーを焼きます。 badly en 副 ひどく He was badly injured in the car accident. 彼はその自動車事故でひどくけがをしました。 balloon en 名 気球 The colorful balloon floated high above the trees. その色鮮やかな気球は木々の上高く浮かんでいました。 barking en 動 (犬が)ほえている The neighbor’s dog kept barking loudly all night. 隣の犬は一晩中大きな声でほえ続けました。 beside en 前 〜のそばに She sat quietly beside her grandmother on the bench. 彼女はベンチで祖母のそばに静かに座りました。 bowed en 動 (草が)なびいた The tall grass bowed gently in the breeze. 背の高い草がそよ風にそっとなびきました。 calmly en 副 静かに She calmly explained the situation to everyone present. 彼女はその場にいた全員に静かに状況を説明しました。 cellar en 名 地下室 They hid safely in the cellar during the storm. 彼らは嵐の間、地下室に安全に隠れていました。 cows en 名 牛(複数) The cows grazed peacefully in the green field. 牛たちは緑の野原で穏やかに草を食んでいました。 cradle en 名 ゆりかご The baby slept soundly in her wooden cradle. その赤ちゃんは木製のゆりかごの中でぐっすり眠っていました。 crawled en 動 はって進んだ The baby crawled quickly across the living room floor. その赤ちゃんは居間の床を素早くはって進みました。 crept en 動 そっと進んだ( creep の過去) The cat crept silently toward the sleeping bird. その猫は眠っている鳥に向かって静かにそっと進みました。 cyclone en 名 竜巻 A fierce cyclone tore through the small village. 激しい竜巻がその小さな村を襲いました。 dashed en 動 打ち砕かれる( be dashed to pieces =粉々になる) He dashed across the street to catch the bus. 彼はバスに乗るために通りを勢いよく走って渡りました。 deaf en 形 耳が聞こえない Her grandfather has been deaf since childhood. 彼女の祖父は子どもの頃から耳が聞こえません。 dorothy en 名 ドロシー( Dorothy と同じ語) dragged en 動 引きずった He dragged the heavy box across the room. 彼は重い箱を部屋の向こうへ引きずりました。 exact en 形 ちょうどの I need the exact time of the meeting. 私はその会議のちょうどの時間を知る必要があります。 feather en 名 羽根 A single feather floated gently to the ground. 一枚の羽根が地面へそっと舞い落ちました。 fright en 名 おびえ The loud bang gave him a terrible fright. その大きな音は彼をひどくおびえさせました。 frightened en 形 おびえた The frightened child hid behind her mother quickly. そのおびえた子どもはすぐに母親の後ろに隠れました。 gently en 副 そっと He gently closed the door so no one heard. 彼は誰にも聞こえないようそっとドアを閉めました。 glance en 名 ちらりと見ること She gave him a quick glance and smiled. 彼女は彼にちらりと目をやってほほえみました。 grass en 名 草 Morning dew covered the grass in the yard. 朝露が庭の草を覆っていました。 halfway en 副 半分のところまで We stopped to rest halfway up the mountain. 私たちは山を半分登ったところで休憩するために止まりました。 horribly en 副 ぞっとするほど The old house smelled horribly of mold and dust. その古い家はぞっとするほどかびとほこりのにおいがしました。 howled en 動 (風が)うなった The wind howled fiercely throughout the stormy night. 風は嵐の夜中激しくうなりました。 ladder en 名 はしご A tall wooden ladder leaned against the barn wall. 背の高い木のはしごが納屋の壁に立てかけられていました。 lonely en 形 ひとりぼっちの He felt lonely after his best friend moved away. 親友が引っ越した後、彼はひとりぼっちだと感じました。 loudly en 副 大きな音で The children laughed loudly during the funny movie. 子どもたちはその面白い映画の間大きな声で笑いました。 ripples en 名 さざ波 Small ripples spread across the calm lake surface. 小さなさざ波が穏やかな湖面に広がりました。 screamed en 動 悲鳴をあげた She screamed loudly when she saw the mouse. 彼女はそのネズミを見て大きな悲鳴をあげました。 sheds en 名 小屋(複数) Old wooden sheds stood behind the quiet farmhouse. 古い木造の小屋が静かな農家の裏に立っていました。 shriek en 名 かん高い叫び A sudden shriek echoed through the empty hallway. 突然のかん高い叫びが誰もいない廊下に響き渡りました。 shrieked en 動 かん高く叫んだ She shrieked loudly when the lights suddenly went out. 明かりが突然消えたとき、彼女はかん高く叫びました。 spite en 名 in spite of で「〜にもかかわらず」 He kept smiling in spite of his aching feet. 彼は足が痛むにもかかわらず、笑顔を絶やしませんでした。 storm en 名 あらし A heavy storm knocked down several old trees. 激しいあらしが何本もの古い木を倒しました。 swaying en 動 ゆれている The tall trees kept swaying in the strong wind. 背の高い木々が強風の中ゆれ続けていました。 toto en 名 トト( Toto と同じ語) trap en 名 は