0.1 音節とリズム — 語でなく句で強める — Epoché
この 課 か でできるようになること フランス 語 ご の 文 ぶん を 聞い きい て、 拍 はく ではなく 音節 おんせつ で 数え かぞえ られる。 文 ぶん を 句 く ( ひと息 ひといき のまとまり)に 切り きり 、 強める つよめる のは 語 ご ではなく 句 く の 最後 さいご の 音節 おんせつ だと 分かる わかる 。 日本語 にほんご の 高低 こうてい アクセントを 語 ご に 載せ のせ てしまう 癖 くせ を、 自分 じぶん で 聞き取っ ききとっ て 直せる なおせる 。 前提 ぜんてい : なし。ここが 最初 さいしょ の 課 か です。 この 課 か だけは、 文字 もじ や 文法 ぶんぽう より 先 さき に「フランス 語 ご の 音 おと は、どういう 単位 たんい で 流れ ながれ ているか」を 確かめ たしかめ ます。 日本語 にほんご を 母語 ぼご とする 人 ひと にとって、フランス 語 ご は 読み よみ は 近い ちかい のに、 音 おと が 遠い とおい 言語 げんご だからです。 読み よみ は 近く ちかく 、 音 おと は 遠い とおい 日本語 にほんご には、フランス 語 ご から 入っ はいっ た 外来語 がいらいご が 165 語 ご あります。アトリエ、デッサン、クレヨン、アンサンブル、コンクール、グルメ。 英語 えいご を 経由 けいゆ して 入っ はいっ た 国際語 こくさいご まで 数えれ かぞえれ ば、 綴り つづり を 見れ みれ ば 意味 いみ が 推測 すいそく できる 語 ご は 千 せん の 桁 けた になります。 restaurant 、 musique 、 important 、 possible 。 初日 しょにち から、 読ん よん で 分かる わかる 語 ご がたくさんあるのです。 ところが、その 語 ご をどう 発音 はつおん するかは、ほとんど 知り しり ません。 restaurant は「レストラン」とは 聞こえ きこえ ず、 croissant は「クロワッサン」の 半分 はんぶん の 長 なが さで 終わり おわり ます。 読める よめる ぶん、 読め よめ た 気 き になって、 音 おと を 素通り すどおり してしまう 。これが 日本語話者 にほんごわしゃ のいちばん 多い おおい 躓き つまずき かたです。 そこで、この 課程 かてい は 音 おと から 始め はじめ ます。 音 おん 編 へん の 8 課 か でフランス 語 ご の 音 おと を 一巡 いちじゅん し、その 最初 さいしょ に 置く おく のがこの 課 か の「リズム」です。 一 ひと つ 一 ひと つの 音 おと が 正しく ただしく ても、リズムが 日本語 にほんご のままだと 通じ つうじ にくい 。 逆 ぎゃく に、リズムが 合っ あっ ていれば、 多少 たしょう の 音 おと の 崩れ くずれ は 聞き手 ききて が 補っ おぎなっ てくれます。 つまずきの 正体 しょうたい — 高低 こうてい を 語 ご に 載せ のせ てしまう 日本語 にほんご には、 語 ご ごとに 決まっ きまっ た 高 たか さの 型 かた があります。「はし」が 橋 はし か 箸 はし か 端 はし かは、どこで 声 こえ が 下がる さがる かで 決まり きまり ます。 一 いち 語 ご 一 いち 語 ご に 高 たか さの 山 やま があり、 文 ぶん はその 山 やま の 連なり つらなり として 聞こえ きこえ ます。 フランス 語 ご には、 語 ご ごとの 高 たか さの 型 かた がありません 。 辞書 じしょ のどの 語 ご にも「ここで 上げる あげる 」という 印 しるし は 付い つい ていません。その 代わり かわり 、 声 こえ の 動き うごき は 句 く —— ひと息 ひといき で 言う いう まとまり——に 一 ひと つだけ 付き つき ます。 句 く の 最後 さいご の 音節 おんせつ が 少し すこし 長く ながく 、 少し すこし 高く たかく (または 低く ひくく )なる。それだけです。 句 く の 途中 とちゅう の 語 ご は、どれも 同じ おなじ 高 たか さ、 同じ おなじ 長 なが さで、 平ら たいら に 並び ならび ます。 日本語話者 にほんごわしゃ がフランス 語 ご を 話す はなす と、この 平ら たいら な 並び ならび に 語 ご ごとの 山 やま を 載せ のせ てしまいます。 restaurant の「レ」を 高く たかく 、 chocolat の「ショ」を 高く たかく 。 聞き手 ききて には 一 いち 語 ご ごとに 言い直し いいなおし ているように 聞こえ きこえ 、 音 おと は 正しい ただしい のに、どこまでがひとまとまりか 分から わから ない ——これがリズムの 躓き つまずき です。 もう 一 ひと つ、 数える かぞえる 単位 たんい の 違い ちがい があります。 日本語 にほんご は 拍 はく で 数え かぞえ ます。「ん」「ー」「っ」がそれぞれ 一 いち 拍 はく です。フランス 語 ご は 音節 おんせつ で 数え かぞえ ます。 母音 ぼいん を 一 ひと つ 含む ふくむ かたまりが 一 いち 音節 おんせつ で、 後ろ うしろ に 子音 しいん が 何 なん 個 こ ついても、 一 いち 音節 おんせつ のままです。この 差 さ が、 語 ご の 長 なが さの 感覚 かんかく をずらします。 拍 はく で 数える かぞえる か、 音節 おんせつ で 数える かぞえる か 日本語 にほんご で 写し うつし たときの 拍 はく の 数 かず と、フランス 語 ご の 音節 おんせつ の 数 かず を 並べ ならべ ます。IPA の 列 れつ は、この 課程 かてい の 音 おと ・ 綴 つづり の 編 へん だけに 書き かき ます。 点 てん (.)が 音節 おんせつ の 切れ目 きれめ です。 語 ご 日本語 にほんご で 写す うつす と 拍 はく と 音節 おんせつ restaurant [ʀɛs.to.ʀɑ̃] レストラン 5 拍 はく 、3 音節 おんせつ croissant [kʀwa.sɑ̃] クロワッサン 6 拍 はく 、2 音節 おんせつ bonjour [bɔ̃.ʒuʀ] ボンジュール 5 拍 はく 、2 音節 おんせつ mademoiselle [ma.də.mwa.zɛl] マドモワゼル 6 拍 はく 、4 音節 おんせつ monsieur [mə.sjø] ムッシュー 4 拍 はく 、2 音節 おんせつ table [tabl] タブル 3 拍 はく 、1 音節 おんせつ café [ka.fe] カフェ 2 拍 はく 、2 音節 おんせつ chocolat [ʃo.ko.la] ショコラ 3 拍 はく 、3 音節 おんせつ 差 さ が 出る でる ところは 三 みっ つに 絞れ しぼれ ます。 第 だい 一 いち に、 鼻母音 びぼいん は 一 いち 音節 おんせつ です。「ボン」「サン」「ラン」の「ン」は 独立 どくりつ した 拍 はく ではなく、 母音 ぼいん の 一部 いちぶ です。 第 だい 二 に に、 語末 ごまつ の 子音 しいん は 音節 おんせつ を 増やし ふやし ません 。 table の bl 、 restaurant の s は、 直前 ちょくぜん の 母音 ぼいん にくっついて 一 ひと つの 音節 おんせつ に 収まり おさまり ます。 日本語 にほんご の 耳 みみ は、ここに「ウ」を 足し たし て「タブル」と 聞き きき ます。 第 だい 三 さん に、 長音 ちょうおん の「ー」がありません 。「ボンジュール」の「ー」は、 日本語 にほんご の 側 がわ が 足し たし たものです。 逆 ぎゃく に、 café と chocolat のように 拍 はく と 音節 おんせつ が 一致 いっち する 語 ご もあります。 日本語 にほんご の 耳 みみ が 数え かぞえ 間違える まちがえる のは、 鼻母音 びぼいん ・ 語末 ごまつ の 子音 しいん ・ 長音 ちょうおん の 三 さん か所 かしょ だけです。 音 おと の 作り つくり かた — 句 く で 一息 ひといき 、 最後 さいご を 長く ながく フランス 語 ご のリズムは、 手順 てじゅん にすると 四 よん つです。 文 ぶん を 句 く に 切る きる 。 ひと息 ひといき で 言う いう まとまりで、ふつう 3〜7 音節 おんせつ です。 短い みじかい 文 ぶん は 文 ぶん 全体 ぜんたい が 一 ひと つの 句 く です。 句 く の 中 なか の 音節 おんせつ を、 同じ おなじ 長 なが さ、 同じ おなじ 高 たか さで 平ら たいら に 並べる ならべる 。 語 ご の 切れ目 きれめ で 声 こえ を 上げ下げ あげさげ しない。 句 く の 最後 さいご の 音節 おんせつ だけ を、 少し すこし 長く ながく 伸ばす のばす 。 長 なが さは 1.5 倍 ばい ほど。 強く つよく 叩く たたく のではなく、 引きずる ひきずる ように。 文 ぶん の 途中 とちゅう の 句 く なら、その 最後 さいご の 音節 おんせつ で 声 こえ を 少し すこし 上げる あげる 。 文 ぶん の 終わり おわり の 句 く なら 下げる さげる 。 短い みじかい 文 ぶん で 確かめ たしかめ ます。 表 ひょう の 2 列 れつ 目 め が 句 く と 音節 おんせつ 、 太い ふとい 縦線 たてせん (|)が 句 く の 切れ目 きれめ です。 音節 おんせつ の 数 かず を 数え かぞえ ながら、 最後 さいご の 音節 おんせつ を 伸ばし のばし て 読ん よん でください。 文 ぶん 音節 おんせつ 意味 いみ Merci beaucoup. [1] [mɛʀ.si.bo.ku] 4 どうもありがとう。 Je ne sais pas. [2] [ʒə.nə.sɛ.pa] 4 わかりません。 C'est une table. [3] [sɛ.tyn.tabl] 3 あれはテーブルです。 Il est étudiant. [4] [i.lɛ.te.ty.djɑ̃] 5 彼 かれ は 学生 がくせい です。 J'ai deux enfants. [5] [ʒe.dø.zɑ̃.fɑ̃] 4 私 わたくし には 子供 こども が 二人 ふたり います。 Bonjour, comment allez-vous ? [6] [bɔ̃.ʒuʀ | ko.mɑ̃.ta.le.vu] 2 と 5 こんにちは、お 元気 げんき ですか。 Pour le moment, cela suffit. [7] [puʀ.lə.mo.mɑ̃ | sə.la.sy.fi] 4 と 4 今 いま のところは 十分 じゅうぶん です。 気づい きづい てほしいことが 二 ふた つあります。 一 ひと つは、 語 ご の 切れ目 きれめ と 音節 おんせつ の 切れ目 きれめ が 一致 いっち しない ことです。 c'est une table は 三 さん 語 ご ですが、 音 おと は [sɛ.tyn.tabl] と 切れ きれ ます。 est の 最後 さいご の t が、 次 つぎ の une の 頭 あたま にくっついています。 il est étudiant でも、 il の l が est に、 est の t が étudiant に 移っ うつっ ています。これをリエゾンとアンシェヌマンと 呼び よび 、1.4 で 規則 きそく を 扱い あつかい ます。いまは、フランス 語 ご が 語 ご ではなく 音節 おんせつ で 流れる ながれる ことの 証拠 しょうこ として 見 み てください。 もう 一 ひと つは、 句 く の 切れ目 きれめ は 読点 とうてん の 位置 いち とほぼ 一致 いっち する ことです。 Bonjour, comment allez-vous ? は 読点 とうてん で 二 ふた つの 句 く に 分かれ わかれ 、 前 まえ の 句 く の 最後 さいご -jour で 声 こえ が 少し すこし 上がり あがり 、 後 あと の 句 く の 最後 さいご -vous で 下がり さがり ます( 疑問文 ぎもんぶん ですが、 疑問詞 ぎもんし のある 文 ぶん は 下げる さげる のが 基本 きほん です)。 Pour le moment, cela suffit. も 同じ おなじ 形 かたち で、4 音節 おんせつ と 4 音節 おんせつ のきれいな 二 ふた つの 句 く になります。 声 こえ の 高 たか さは 句 く の 終わり おわり で 動く うごく フランス 語 ご の 声 こえ の 高 たか さの 動き うごき は、 原則 げんそく として 句 く の 最後 さいご の 音節 おんせつ にしか 現れ あらわれ ません。だから、 同じ おなじ 語 ご の 並び ならび でも、 最後 さいご の 音節 おんせつ の 動き うごき だけで 文 ぶん の 種類 しゅるい が 変わり かわり ます 。 次 つぎ の 二 ふた つは、 綴り つづり の 違い ちがい は 句点 くてん と 疑問符 ぎもんふ だけです。 文 ぶん 最後 さいご の 音節 おんせつ 意味 いみ Ça va. [8] [sa.va]( 下げる さげる ) 元気 げんき です。 Ça va ? [9] [sa.va]( 上げる あげる ) 大丈夫 だいじょうぶ ですか。 Il pleut. [10] [il.plø]( 下げる さげる ) 雨 あめ が 降っ ふっ ている。 Tu dors ? [11] [ty.dɔʀ]( 上げる あげる ) 寝 ね てるの? On y va ? [12] [ɔ̃.ni.va]( 上