8.11 Meeting an Old Friend — 友だちと会う — Epoché
この篇でできるようになること 英語だけで書かれた 311 語の文章を、辞書を引かずに最後まで読める。 say ・ tell ・ ask ・ talk の後ろに何が来るかを、原文の中で見分けられる。 that が接続詞のときと、代名詞のときと、後ろから説明するときを読み分けられる。 311 語を 1 分あたり 120 語(2 分 36 秒)で読み切れる。 前提 : 8.10 まで。 読編「読」の第 11 篇です。語り手は 8.1 読編 〜 8.7 読編 と同じケン。こんどは学校の友だちと会う話で、311 語あります。第 7 篇は 300 語でしたから、11 語ぶん長くなりました。第 16 篇では 350 語ほどになります。 この篇で宣言した帯の外の語は 5 語です—— park (657 番)・ station (709 番)・ college (739 番)・ river (1,176 番)・ bridge (1,546 番)。 この篇で新しく足した語は一つもありません。 5 語とも 8.3 の町の語と 8.5 の学び場の語をそのまま引き継いだものです。同じ町・同じ人の話を続けているので、篇が進んでも宣言の数は増えません。題の「友だち」にあたる語が宣言に入っていないことにも気づいてください。 friend は帯 600 の中にあります。 面白いのは、この篇の題材が 会話 なのに、かぎ括弧つきの台詞が一つも出てこないところです。話したことは全部、語り手が後から伝える形で書かれています。「彼はこう言った」と中身を並べる形——これが第 1 期の読み物でいちばん多く出会う形で、第 2 期以降の物語でも、台詞と同じくらいの割合で出てきます。 言うこと・思うこと・知ることを表す語を 8 語並べてみます。どれも帯 600 の中で、しかもかなり上のほうにあります。この篇には 22 回出てきますが、顔ぶれは say ・ tell ・ ask の三つに片寄っていて、2 語は一度も出てきません。 言う・思う語 帯の順位 原文での形と回数 say 30 番 said 7 回・ say 2 回 know 41 番 knew 1 回・ know 1 回 think 47 番 thought 2 回 tell 103 番 told 4 回・ tell 1 回 ask 134 番 asked 3 回 talk 137 番 talked 1 回 hear 178 番 — speak 284 番 — いちばん多いのが say で 9 回、次が tell で 5 回、 ask が 3 回です。日本語ではどれも「言う」「話す」「たずねる」でまかなえますが、英語ではこの三つを取り違えると文が立ちません。表の下の 2 語( speak と hear )は、この篇に一度も出てきません。日本語の「話す」「聞く」から真っ先に思いつくのはこの二つですが、実際の文章では、どの語を選ぶかは訳語ではなく 後ろに何を置きたいか で決まります。この篇では、その置き場所がいつも相手か中身だったので、二つとも出番がありませんでした。 宣言した 5 語の顔ぶれも見ておきます。5 語とも カタカナの相棒が語彙表に載っている語 で、CEFR-J でもいちばんやさしい A1 です。順位が 600 の外だということと、読み手にとって新しい語だということは、別のことです。「カレッジ」も「ステーション」も、耳には十分なじんでいます。 park en 帯の順位 657 番 カタカナとの差 パーク → ● (3 拍を 1 音節に) We sat in the park on the other side of the bridge. 橋の向こう側の公園にすわりました。 May I park my car here? [1] ここに車をとめてもよろしいですか。 station en 帯の順位 709 番 カタカナとの差 ステーション → ●○ (5 拍を 2 音節に) We stood at the station and did not say much. わたしたちは駅に立って、あまり話しませんでした。 The station is on the right. [2] 駅は右側です。 college en 帯の順位 739 番 カタカナとの差 カレッジ → ●○ (4 拍を 2 音節に) He went to a college in the city two years ago. 二年前に市の大学へ行った友だちです。 College is a waste of time. [3] 大学なんて時間の無駄だ。 river en 帯の順位 1,176 番 カタカナとの差 リバー → ●○ (3 拍を 2 音節に) I closed the shop at seven, and we walked down to the river. 七時に店を閉め、わたしたちは川へ下りていきました。 The river was not so clean. [4] その川はあまりきれいではなかった。 bridge en 帯の順位 1,546 番 カタカナとの差 ブリッジ → ● (4 拍を 1 音節に) Then I walked home over the bridge, and I did not feel that I was waiting. それから橋を渡って歩いて帰りました。待っているという気は、もうしませんでした。 What a long bridge it is! [5] それは何と長い橋だろう。 読む前に 語り手はケン、二十歳。山にはさまれた小さな市で母・父と三人で住み、駅から川へ下りていく通りの本屋で働いています( 8.1 読編 〜 8.7 読編 の続きです)。店は週に六日開いていて、休みは日曜だけ。二年前に学校を出て、そのまま本屋に入りました。 8.5 でケンは、学校の友だちのことをこう語っていました——みんな市の大学へ行った、帰ってくると店のことを聞く、自分にはうまい答えが無い、あの人たちはわたしが何かを待っていると思っている。この篇はその友だちの一人が、店へ来る話です。同じ問いをもう一度されて、こんどはケンに答えがあります。 起こることはこれだけです。土曜の店に男の人が入ってきて、うしろのほうで長く立っている。学生かと思ったら、学校の友だちだった。店を閉めて川へ下り、橋の向こうの公園ですわって話す。これからの二年のことを聞かれ、ケンは夜に読んでいる本のことを長く話す。友だちは十時の終電で帰る。 読みどころは 人の言ったことを伝える形 です。日本語なら「〜と言った」「〜と思った」と、中身の後ろに「と」を一つ足せばどんな動詞にもつながります。英語はそうではありません。中身の前に that を置き、しかも動詞ごとに「相手を後ろに置けるか」が決まっています。もう一つ、その that には別の顔もあります。この篇に that は十三回出てきますが、同じ顔をしているのは十回だけです。使われている型は型編の 8 課の範囲だけです。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。6 段落・25 文・311 語。冒頭はこう始まります。 On Saturday a man came into the shop and stood at the back with the new books. 先に原文だけを、辞書も訳も見ずに最後まで読んでください。分からないところがあっても止まらず、最後まで行ってから戻ります。それが済んでから、下の「語釈」「構文の骨」「訳」を見ます。この順を守ってください。訳を先に見ると、訳を読んで英語を読まない癖がつきます。 語釈 この篇に範囲外の語は 0 語です。下の 14 語は 知っているのに文の中で意味が動く語 で、どれも帯 600 の中にあります。「この文ではこの意味」という形で確かめてください。 say en 動詞 (言葉を)口に出す。 he said my name は「わたしの名前を口に出した」。後ろに相手を直に置かない語で、 He said that he will come back のように「言った中身」だけが続く He did not say more about it. それ以上は言いませんでした。 I can't say for sure. [6] 何とも言えないな。 tell en 動詞 (相手に)伝える。 I told him about the books で「彼に本のことを伝えた」。 say と違って、後ろに 必ず相手が来る 。 He did not tell me that I was right も相手が先 He did not tell me that I was right. それが正しいとは、彼は言ってくれませんでした。 I won't tell a soul. [7] 誰にも話さないよ。 ask en 動詞 たずねる。 He asked me about the shop で「店のことをわたしにたずねた」。相手を置かずに I asked about the city とも言える。「頼む」の意味もあるが、この篇は全部「たずねる」 He asked me about the shop, and I told him about the books. 彼は店のことをたずね、わたしは本のことを話しました。 I asked about the city, and he told me that it was too big. わたしは市のことをたずね、彼は大きすぎるとわたしに言いました。 first en 副詞 はじめのうちは。 At first I thought that he was a student は「はじめのうちは学生だろうと思った」で、あとでそれが変わることを先に告げている。「第一に」と数え上げる意味ではない At first I thought that he was a student. はじめのうちは、学生だろうと思っていました。 I was the first in line. [8] 列の先頭でした。 back en 名詞・副詞 奥/戻って。 stood at the back は店の奥のほう、 he will come back は「戻ってくる」。「背中」から「うしろ・もとの所」へ広がった語 On Saturday a man came into the shop and stood at the back with the new books. 土曜に、一人の男の人が店に入ってきて、新しい本を持って店のうしろのほうに立っていました。 He said that he will come back in three months, and I said that I will be here. 三か月したら戻ってくる、と彼は言い、わたしは、ここにいる、と言いました。 right en 形容詞 正しい。 He did not tell me that I was right で「正しいとは言わなかった」。 that was all right は「それでよかった」で、こちらは「差し支えない」。「右」ではない For a few minutes we said nothing, and with him that was all right. 数分のあいだ、わたしたちは何も言いませんでした。彼となら、それでよかったのです。 I'm right, aren't I? [9] 俺が正しいでしょ? own en 形容詞 自分の。 the people in his own building で「彼自身が住んでいる建物の人たち」。「彼の」だけでも意味は通るが、この語を足すと「ほかでもない自分の」と強くなる He said that he did not know the people in his own building. 自分の住んでいる建物の人たちを知らない、と彼は言いました。 He said that he was not sure about his own next year. 自分の来年のこともはっきりしない、と彼は言いました。 stop en 動詞 止まる/止める。 Then he stopped は口をつぐんだこと、 He did not stop me は「わたしをさえぎらなかった」。自分が止まるのにも、相手を止めるのにも同じ形を使う Then he stopped and looked at the street outside. それから彼は口をつぐみ、外の通りを見ました。 He did not stop me. 彼はさえぎりませんでした。 more en 副詞 それ以上。 He did not say more about it で「それ以上は言わなかった」。数や量が多いことではなく、話をそこで打ち切ったということ He did not say more about it. それ以上は言いませんでした。 last en 形容詞 最後の。 He took the last train は終電、 black in the last light は日が落ちるまぎわの明かり。「この前の」の意味もあるが、この篇はどちらも「最後の」 The water went by under us, black in the last light. 水が足もとを流れていき、最後の明かりの中で黒く見えました。 He took the last train at ten. 彼は十時の終電に乗りました。 light en 名詞 明かり。 black in the last light で「最後の明かりの中で黒く」。「軽い」という別の意味もあるが、ここは日の光のほう The water went by under us, black in the last light. 水が足もとを流れていき、最後の明かりの中で黒く見えました。 take en 動詞 (乗り物に)乗る。 He took the last train at ten で「十時の終電に乗った」。「手に取る」が芯だが、電車・道・時間を