6.30 面接 I — 答えたら、もう一行足す — Epoché
この課で言えるようになること ★ 答えたあとに、もう一行足せる 。 ★志望を 分野から場所へ 、順に具体にできる。 ★ 謙遜が情報にならない ことが分かる。 ★面接で使われる 問いを聞き取れる 。 前提 : 6.29 まで。型は 3.32 まで。不定詞は 3.12、完了形は 3.25。 場面と話し手 この課の場面は、 仕事や学校の面接 です。★ 相手は、こちらを知りたいと思っています。 ★ けれども、時間は決まっています。 ★ だから、相手はこちらが話すのを待っています。 ★一問一答で終わらせない 日本語の面接では、 問いに答えたら、いったん止めます 。相手が次を聞くのを待つ。★ これは礼儀です。 ★ 英語の面接では、これが不利に働きます。 答えたあと 日本語の面接では 英語の面接では ★ 止める ★ 礼儀正しい ★ 「それだけか」と取られる もう一行足す でしゃばりに見える ★ ふつう 三行以上続ける 長すぎる 場合による ★ なぜ差が出るのか。 ★ 相手が、こちらの持ち時間だと思っているから です。問いは 話す機会を渡したもの であって、 答えだけを求めたものではありません 。 ★ だから、黙ると機会を返したことになります。 ★ 返されたほうは、次の問いを出すしかありません。 ★ 問いが増えるほど、時間は減ります。 ★ 足す一行は、長くなくてよい。 ★ 裏づけを一つ足すだけで足ります。 「そこで働きながら学びました」。★ これだけで、答えが事実に立ちます。 分野から場所へ ★ 志望は、いきなり具体にしないでください。 ★ 広いところから、一段ずつ下ろします。 どの高さか その形 外れたときに ★ 関心 I'm interested in history. [1] ★ 弱い 。志望にならない ★ 分野 I want to work in the medical field. [2] ★ 戻れる 。別の場所を出せる ★ 場所 I want to work in a hospital. [3] ★ 戻れない 。そこだけの話になる ★ いちばん下の段がいちばん強い のはそのとおりです。★ けれども、そこから始めると、話が一点で止まります。 ★ 分野を先に言っておけば、そのあとで場所を変えられます。 ★ 順に下ろすのは、逃げ道を残すためではありません。 ★ 相手に、こちらの考えの形を見せるためです。 ★ 広い関心があって、その中でここを選んだ——これが伝わると、選んだことに理由が生まれます。 ★ いちばん上の段には気をつけてください。 「関心があります」は 志望ではありません 。★ これだけで終えると、「まだ決めていない人」に見えます。 ★ 関心を言ったら、必ず下ろす。 謙遜は情報にならない ★ 日本語の面接では、必ず謙遜を置きます。 「まだ未熟ですが」「至らない点もありますが」。★ 英語に直すと、これは何も言っていないのと同じです。 ★ 相手が受け取るのは、「できない」という一点だけ です。★ 謙遜だとは受け取られません。 ★ 日本語では、謙遜だと分かる仕掛けが言い方そのものに入っています。 英語には、その仕掛けがありません。 ★ では、何も言わずに強く出るのか。 ★ そうではありません。 ★ 謙遜の代わりに、「これから学ぶこと」を言います。 ★ 「まだできない」ではなく「これから学びたい」。 ★ 指している中身は同じですが、英語では後のほうだけが情報になります。 ★ 前を向いている言い方に直す ——それだけで、謙遜の役目は果たせます。 対話 A 話者 英文 日本語訳 相手 Why do you want to work here? [4] どうしてここで働きたいの? 学習者 I want to work in the medical field. [2] 医療関係の仕事に携わりたいと思っています。 学習者 I worked and studied. [5] 仕事も勉強もしたよ。 相手 Tell me about it. [6] それについて教えて。 一行めが 面接の問い です。★ この問いは、どの面接でもほぼ同じ形で来ます。 ★ 自分から言うことはないので、聞き取れるようにしておけば足ります ( 6.27 話編 の署名の指示と同じ覚え方)。 二行めが 答え です。★ 分野で答えています。 場所ではありません。★ ここから下ろしていけます。 ★ 三行めが、この課の本体です。 ★ 聞かれていないのに、足しています。 「働きながら学びました」。★ これが「もう一行」です。 ★ 足した一行は、二行めの裏づけになっています。 ★ やりたいと言っただけなら、望みです。 ★ やってきたことを添えると、望みが計画になります。 四行めで相手が もっと聞かせてくれと言っています 。★ これが、足した一行の効果です。 ★ 次の問いが変わりました。 ★ 別の話題に移らず、同じ話を深めてくれている。 ★ 面接では、これがいちばんよい流れです。 対話 B 話者 英文 日本語訳 相手 Tell me about your plan. [7] そちらの計画についてお話しください。 学習者 I want to work in a hospital. [3] 病院で働きたいんです。 学習者 I worked on it day after day. [8] 私は毎日毎日その仕事をした。 相手 Thank you for coming today. [9] 今日は来てくれてありがとう。 一行めで 計画を聞かれています 。★ 「これからどうするつもりか」 ——面接でいちばん多い問いの一つです。 二行めで 場所を言っています 。★ 対話 A より一段下りています。 ★ 計画を聞かれているので、具体に答えるのが正しい のです。★ 志望と計画は、答える高さが違います。 三行めで、また 一行足しています 。「毎日それに取り組んだ」。★ ここでも、望みに事実を添えています。 ★ 対話 A と同じ形です。 ★ 二つの対話を並べて見てください。 問い → 答え → 足す一行 → 相手の受け 。★ 四行の形が同じです。 ★ 面接は、この四行の繰り返しでできています。 四行めは 相手の礼 です。★ 面接の終わりが近いことが分かります。 ★ ここまで来たら、こちらからも礼を言います。 ★ 時間を取ってもらったことへの礼 です( 6.24 話編 で置いた置き換え——「お時間を取らせてすみません」ではなく「お時間をありがとう」)。 言い回し 面接でそのまま使える言い方を六つ挙げます。上の一つが 聞き取る ため、真ん中の四つが 答えて足す ため、下の一つが 締める ためです。 英文 日本語訳 どんなときに Why do you want to work here? [4] どうしてここで働きたいの? ★聞かれる側の問い。言えなくてよい。聞き取れれば足りる I want to work in the medical field. [2] 医療関係の仕事に携わりたいと思っています。 ★志望を分野で言う。まず広いところから I want to work in a hospital. [3] 病院で働きたいんです。 ★志望を場所で言う。一段具体になる I worked and studied. [5] 仕事も勉強もしたよ。 裏づけを足す。★聞かれる前に足す一行 I'm interested in history. [1] 私は歴史に関心がある。 関心を言う。★志望より弱い。これだけで終えない Thank you for your time. [10] お忙しいところ、ありがとうございます。 締めの礼。★時間を取ってもらったことへの礼 ★ 五つめに印を付けました。 ★ 「関心があります」で終えないこと。 ★ これは、足す一行としてなら強い のです——志望を言ったあとに関心を添えれば、 幅のある人 に見えます。★ けれども、これだけを言うと、決めていない人に見えます。 ★ 同じ一行が、置く場所で逆に働きます。 言い換えと丁寧さ 面接の言葉づかいには段がありますが、★ この課で選ぶのは丁寧さではなく「高さ」です。 ★ どの高さで答えるかを、問いによって変えます。 どんな問いか どの高さで答えるか なぜ なぜここで働きたいか ★ 分野 ★理由を語るので、広いほうが説明しやすい これからどうするか ★ 場所 ★計画なので、具体でないと答えにならない 休みの日は何をするか ★ 関心 志望と関わらないところは、広いままでよい ★ 高さを取り違えると、答えがずれます。 理由を聞かれて場所だけ答えると、 理由になっていません 。計画を聞かれて分野だけ答えると、 まだ何も決まっていないように聞こえます 。 ★ だから、問いを聞いたらまず高さを決めます。 ★ 語を探すのは、そのあとです。 ★ 高さが決まっていれば、語が出てこなくても言い換えられます。 ★ 高さが決まっていないと、語が出てきても答えになりません。 この課で使う型 — 型編の復習 この課の八行は、第 3 編で立てた型だけでできています。 型の名 この課での出方 戻る課 不定詞と動名詞 ★ want to work に志望を載せる 3.12 型編 wh 節と間接疑問 なぜここで働きたいか 3.20 型編 完了形 ★足す一行の裏づけ。してきたこと 3.25 型編 接続詞と副詞節 働きながら学んだ、の and 3.16 型編 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 How to prepare for an interview - 01 - English at Work has the answers BBC Learning English (4:35, 2016) 面接の備え Answering interview questions - 02 - English at Work helps. BBC Learning English (3:51, 2016) 全編。6.30 は答えたあとに一行足すところを見る(同じ回) 練習 対話 A と対話 B を、行を押して音を聞いてから 役を決めて音読 する。相手の役と学習者の役を両方やる。3 周する。3 周目は対話 A を、音声に重ねて シャドーイング する。★ 答えと足す一行のあいだで、間を空けない こと。空けると、そこで相手が話し始める。 ★ 足す一行を作る練習 。自分への問いを三つ書き、 答えを一行ずつ 書く。★ そのあと、それぞれに一行足す。 ★ 足す一行は、必ず「してきたこと」にする。 ★ したいことを二度言っても、裏づけにはなりません。 ★ 謙遜を書き直す練習 。日本語で言いそうな謙遜を三つ書き、 「これから学びたいこと」の形に直す 。★ 「まだできない」を「これから学びたい」に。 ★ 直せたら、声に出して言ってみる。 ★ 口が慣れていないと、面接では謙遜のほうが先に出ます。 この課のまとめ ★ 聞かれたことに答えたら、必ずもう一行足す。 黙ると「それだけか」と受け取られる。 ★ 問いは、答えを求めたものではなく、話す機会を渡したもの。 黙ると機会を返したことになり、問いが増えて時間が減る。 ★ 足す一行は「してきたこと」にする。 やりたいと言っただけなら望み、やってきたことを添えると計画になる。 ★ 志望は分野から場所へ、順に下ろす。 いきなり具体にすると、話が一点で止まる。 ★ 「関心があります」で終えない。 同じ一行でも、志望のあとに置けば幅になり、単独なら迷いに見える。 ★ 謙遜は、英語では情報にならない。 受け取られるのは「できない」の一点だけ。 ★ 「まだできない」を「これから学びたい」に直す。 指している中身は同じで、英語では後のほうだけが情報になる。 ★ 問いを聞いたら、まず高さを決める。語を探すのはそのあと。 高さが決まっていれば、語が出てこなくても言い換えられる。 次の課へ 次の課は 6.31 、 数字を伝える です。★面接では、 足す一行 が効きました。★数字は、それ自体が足す一行になります。★ ただし、英語の数字は日本語と区切りが違います ——三桁で区切るか、四桁で区切るか。★ そこで詰まると、話の途中で止まることになります。 答え 「練習」の三つの答えです。 ★ 間を空けないと、二行が一つの答えに聞こえます。 ★ それが狙いです。 ★ 二つの発言ではなく、一つの答えにする。 ★ 空けてしまうと、そこで相手が次の問いを出します ——★ 足す一行を言う機会が、そこで消えます。 ★ 足した三行が、全部「してきたこと」になっているかを確かめてください。 ★ 見分け方は形で分かります——過去形か完了形で書けているか ( 3.25 型編 )。★ 「〜したいと思っています」が混じっていたら、それは答えの言い直し で、裏づけになりません。★ 三つとも書けなくてかまいません。 ★ 一つでも事実を添えられた問いは、その一問だけ強くなります。 ★ 面接は四行の繰り返しなので、強い一問が一つあれば流れが変わります。 ★ 直しの型は一つです——「まだ〜できません」を「〜を学びたいです」に。 ★ ただし、三つのうち一つは直せないはずです。 ★ 「至らない点もありますが」のたぐいは、中身が無いので直す先がありません。 ★ 直せないものは、捨ててください。 ★ 捨てても何も失われません ——★ もともと、情報を運んでいなかった一行 です。 参考文献 Tatoeba 文 #262259(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/262259 Tatoeba 文 #10616098(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/10616098 Tatoeba 文 #5661463(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/5661463 Tatoeba 文 #2013690(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sen