7.3 語順のまま II — 関係詞で切る — Epoché
この課でできるようになること 関係詞の前で切って、そこから塊ごとに日本語を置ける。 つなぎ目の語が 落ちている 形でも切れる。 主語の中に関係詞が入った文で、動詞を見失わない。 切った塊を つながずに 先へ進める。 前提 : 6.16 まで。 なぜ訳す(訳さない)か 第 1 期で書いたことをもう一度置きます。 読むために訳す必要はありません。 訳文を作るのは、日本語の読者に渡すときだけです。自分が読むだけなら、塊ごとに日本語を 置いて 、置いたら先へ進めば足ります。 長い文になると、この差がはっきり出ます。訳文を作ろうとすると、 文の終わりまで行って、そこから組み直す ことになります。十五語の文なら、十五語を頭に置いたまま並べ替える。これは記憶の仕事であって、読解の仕事ではありません。そして 聞くときには最初から不可能 です。 置くだけなら、記憶は要りません。切って、置いて、忘れて、次へ行く。 置いた日本語は、置いたそばから捨ててかまいません 。残るのは意味だけで、それで読めています。 手順 手順は第 1 期の二課と同じ三つです。 切る・置く・進む 。この課で足すのは、切る場所が一つ増えることだけです。 切る場所に関係詞を足す 第 1 期で置いた切れ目は四つでした。前置詞の前、 to の前、分詞の前、接続詞の前。そこに五つめを足します。 関係詞の前 です。 切れ目 目印になる語 置いたのはどの課か 前置詞の前 in ・ on ・ with など 7.1 to の前 to + 動詞 7.1 分詞の前 動詞の -ing 形・ -ed 形 7.1 接続詞の前 and ・ but ・ because など 7.2 ★関係詞の前 who ・ which ・ that ・ whose ・ where この課 五つのうち、 関係詞の前がいちばん大きな切れ目 です。後ろに来るのが句ではなく 文 だからです。句は数語で終わりますが、文は長さの上限がありません。だから、ここで切れるかどうかが読む速さを決めます。 つなぎ目の語が落ちている形 ここが、この課でいちばん難しいところです。 3.14 型編 で見たとおり、目的語の場所が空いているときは つなぎ目の語が落ちます 。落ちていると、目印が無いので切れません。 落ちている形を見つける手がかりは一つです。 名詞の直後に、別の主語が立っている 。名詞・名詞と続いたら、そこが切れ目です。文法の名前を思い出す必要はありません。 名詞が二つ続いたら切る ——これだけで足ります。 置くときの約束 第 1 期で置いた三つの約束は、そのまま使います。一つ、 日本語らしくしない 。二つ、 語順を入れ替えない 。三つ、 置いたらつながない 。 関係詞のところでは、三つめがとくに効きます。「〜するところの人」のように 関係詞を日本語に訳そうとしない でください。関係詞は日本語に対応物が無い語なので、置く日本語はありません。 切れ目の印としてだけ 扱ってください。 実例 実際の文で見ます。行を押すと音が鳴ります。 関係詞の前で切ってから 聞いてください。 英文 日本語訳 切るところ This is the book that you're looking for, isn't it? [1] これがあなたのさがしている本でしょう。 つなぎ目の語の前で切る This is the key which I have been looking for. [2] これが私がずっと捜していたカギです。 つなぎ目の語が落ちていない形 This is the book you are looking for. [3] これが君の探している本です。 同じ内容でつなぎ目の語が落ちた形 The people whom I meet are kind. [4] 私が出会う人々は親切だ。 主語の中に関係詞が入り、動詞が遠くなる The artist whose paintings you liked is a friend of mine. [5] あなたが気に入った絵を描いた画家は私の友人です。 所有格の関係詞。主語が七語に伸びる Go to those who you are sure will help you. [6] きっと助けてくれると思う人のところへ行きなさい。 関係詞の後ろにもう一つ文が入る 実例 1 — つなぎ目の語がある形 This is the book that you're looking for, isn't it? [1] を切って置きます。 英語の塊 そこに置く日本語 This is the book / これがその本だ that you're looking for, / きみが探している isn't it? だよね 三つの塊に切れました。右の列を上から読むと「これがその本だ / きみが探している / だよね」。日本語としては不格好ですが、 意味は完全に取れています 。そして 返り読みが一度も起きていません 。 実例 2 — つなぎ目の語が落ちた形 同じ内容で、つなぎ目の語が落ちた形を見ます。 This is the book you are looking for. [3] です。 英語の塊 そこに置く日本語 なぜここで切るか This is the book / これがその本だ 名詞で一区切り you are looking for. きみが探している 名詞の直後に別の主語 つなぎ目の語がありません。それでも切れました。 名詞の直後に別の主語が立っている からです。実例 1 と比べてください。切る場所も、置く日本語も同じです。 語が一つあるかないかだけの違い で、読み方はまったく変わりません。 実例 3 — 主語の中に関係詞が入る いちばん厄介なのがこの形です。 The artist whose paintings you liked is a friend of mine. [5] を切ります。 英語の塊 そこに置く日本語 どの規則で切ったか The artist / その画家は 名詞で一区切り whose paintings you liked / その人の絵をきみが気に入った 関係詞の前 is a friend … 私の友人だ 主語が終わって動詞 主語が五語あり、動詞は六語めに来ます。切らずに読むと、 動詞まで待たされて息が切れます 。切れば、二つめの塊を置いたところでいったん止まり、そのあと動詞を受け取れます。 この形を読むこつは一つです。 最初の名詞を「主語だ」と決めて、いったん置いておく 。そのあと関係詞の塊を置き、動詞が来たら最初の名詞に戻す。戻すのは 一語だけ なので、記憶の負担はほとんどありません。 置いた日本語を口に出す 置いた日本語は、 声に出してください 。頭の中だけで置くと、置いたつもりで置けていないことがあります。声に出せば、置けていない塊でつかえるので、すぐ分かります。 そして、声に出すのは 練習のあいだだけ です。慣れてくると、置く日本語そのものが消えていきます。英語の塊を見て、日本語を経由せずに意味が立つようになる。そこまで行けば、この課の道具は役目を終えます。 道具は外すために覚えるもの です。 やってみる 二つやります。どちらも 切る位置を日本語で名指しする ところまでやってください。斜線を引くだけでは、引けたかどうかが自分で確かめられません。 Go to those who you are sure will help you. [6] を切って、塊ごとに日本語を置く。切った場所を 日本語で名指しする こと(「関係詞の前」「前置詞の前」のように)。この文には関係詞の後ろにもう一つ文が入っているので、切れ目が三つ以上あります。 第 2 期の読編(7.17 以降)から一段落選び、 関係詞の前だけに斜線を引く 。引いたら、斜線の数を数える。そのあと段落を音読し、 斜線のところで息を置いて 最後まで読めるかを確かめる。 練習 「実例」の 6 文を、行を押して音を聞いてから続けて 音読 する。読むときは 切れ目で一度だけ息を置く 。3 周する。3 周目は 5 番めと 6 番めの 2 文を、音声に重ねて シャドーイング する。この 2 文は主語が長い。 「実例 1」と「実例 2」を続けて音読する。つなぎ目の語があるほうと、落ちているほう。 同じ場所で同じように切れるか を確かめる。落ちているほうで切れなかったら、名詞が二つ続く場所を目で探してから読み直す。 置いた日本語を 声に出しながら 、「実例」の 6 文をもう一度通す。つかえた塊に印を付ける。つかえたのは、切れていないか、置く日本語が決まっていないかのどちらか。 この課のまとめ ★ 関係詞は、読むときのいちばん大きな切れ目。 後ろに来るのが句ではなく文なので、長さの上限がない。 切れ目は五つになった——前置詞の前・ to の前・分詞の前・接続詞の前・ 関係詞の前 。 つなぎ目の語が落ちている形 は、名詞の直後に別の主語が立っていることで見分ける。 名詞が二つ続いたら切る 。 関係詞を 日本語に訳そうとしない 。対応物が無いので置く日本語はない。切れ目の印としてだけ扱う。 主語の中に関係詞が入ったら、 最初の名詞を主語だと決めて置いておく 。戻すのは一語だけなので負担は小さい。 置いた日本語は 声に出す 。頭の中だけだと、置けていないことに気づけない。 道具は外すために覚える。 慣れると置く日本語そのものが消え、英語のまま意味が立つ。 次の課へ 次の課は 7.4 、題は 訳さずに音読で理解する — 再読の技術 です。この課で、長い文を切る道具がそろいました。次の課で扱うのは、 同じ文章を何度も読む やり方です。一度で全部取ろうとせず、三度に分ける。一度目は塊、二度目は音読、三度目は速く。そして、自分の 読む速さを測る 方法を置きます。測れないものは、速くなったかどうかも分かりません。 答え この文の切れ目は、関係詞の前・関係詞の後ろの文の中・前置詞の前の三つ以上です。置く日本語は「行きなさい / そういう人たちのところへ / きみが確信している / きみを助けてくれるだろうと」のようになります。 不格好でかまいません 。つないで一つの文にしようとした人は、この課の三つめの約束を破っています。 斜線の数を数えたら、 一段落に関係詞がいくつあったか が分かります。第 2 期の読編の文章では、一段落に一つか二つがふつうです。三つ以上あった段落は、書き手が意図的に長くしています。そういう段落は、 二度読んでよい ——それが次の課の話になります。 5 番めと 6 番めは、どちらも主語が長い文です。切れ目で息を置けたなら、塊が見えています。置けなかったなら、 関係詞を探しながら読んで います。探すのではなく、 出てきたところで切る ——目が先に行かないようにしてください。 同じ場所で切れたなら、 つなぎ目の語に頼っていない ということです。落ちているほうで切れなかった人は、語を目印にして読んでいます。目印は語ではなく 並び ——名詞の直後に別の主語が立っているかどうかです。 つかえた塊が三つ以内なら十分です。四つ以上なら、切る場所そのものが決まっていません。「手順」の表に戻って、五つの切れ目をもう一度確かめてください。 置く日本語は不格好でよい ので、そこでつかえる必要はありません。 参考文献 Tatoeba 文 #9052501(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/9052501 Tatoeba 文 #56224(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/56224 Tatoeba 文 #1477253(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1477253 Tatoeba 文 #246824(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/246824 Tatoeba 文 #71481(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/71481 Tatoeba 文 #63349(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/63349