8.62 ベンジャミン・バニー — 続編は、読者の記憶を借りる — Epoché
この篇でできるようになること ★ 続編が読者の記憶を借りる 書き方に気づける。 二匹の性格の差を、会話から読み取れる。 引用符を使わない間接話法を、地の文の中で見つけられる( 3.19 型編 )。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 前提 : 8.61 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に 前の話で、ピーターは畑で上着とくつをなくしました。この話では、いとこのベンジャミンが それを取り返しに行こう と言い出します。 ベンジャミンは、ピーターより 畑に詳しい うさぎです。父親と一緒に何度も来ているからです。 先に立って教える側 になります。 固有名詞 何を指すか Benjamin Bunny ベンジャミン・バニー。ピーターのいとこ Peter ピーター。前の話の主人公 Mr. McGregor マグレガーさん。畑の持ち主 old Mr. Bunny ベンジャミンの父 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 1149 語、段落は 58 つです。 読 C でいちばん長い篇 です。 One morning a little rabbit sat on a bank. まず 最後まで通して 読んでください。前の話を思い出しながら読むと、速く進みます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 ある朝、小さなうさぎが土手に座っていました。 うさぎは耳をぴんと立てて、ポニーのぽっくり、ぽっくりという足音に耳をすませました。 一頭立ての馬車が道をやって来ました。手綱を取っているのはマグレガーさんで、そのそばには、いちばん上等のボンネットをかぶったマグレガーの奥さんが座っていました。 二人が通り過ぎるとすぐに、小さなベンジャミン・バニーは道へすべり下りて、ぴょん、ぴょこ、ぴょーんと跳ねながら、親類のところへ出かけていきました。親類は、マグレガーさんの畑の裏の森に住んでいたのです。 その森はうさぎの穴だらけでした。そして、その中でもいちばんこぎれいで、いちばん砂の多い穴に、ベンジャミンのおばさんといとこたち、フロプシー、モプシー、カトンテール、ピーターが住んでいました。 年寄りのラビットおばさんは未亡人で、うさぎの毛で手袋や手首当てを編んで暮らしを立てていました(わたしも一度、バザーで一組買ったことがあります)。薬草やローズマリーのお茶、それに「うさぎたばこ」(わたしたちがラベンダーと呼んでいるものです)も売っていました。 小さなベンジャミンは、おばさんにはあまり会いたくありませんでした。 ベンジャミンはモミの木の裏を回ってきて、もう少しでいとこのピーターの上に転げ落ちるところでした。 ピーターは一人きりで座っていました。具合が悪そうで、赤い木綿のハンカチを体に巻いていました。 「ピーター」と小さなベンジャミンはささやきました。「きみの服は誰が持っているの。」 ピーターは「マグレガーさんの畑のかかしだよ」と答えて、畑じゅう追いかけ回されて、くつと上着を落としてきたいきさつを話しました。 小さなベンジャミンはいとこのそばに座って、マグレガーさんは馬車で出かけたし、奥さんも一緒だと請け合いました。しかも、奥さんがいちばん上等のボンネットをかぶっていたから、きっと一日じゅう帰ってこない、と言うのです。 ピーターは、雨が降ればいいのにと言いました。 ちょうどそのとき、うさぎの穴の中から、年寄りのラビットおばさんの呼ぶ声が聞こえました。「カトンテール!カトンテール!カモミールをもっと取ってきておくれ!」 ピーターは、散歩に出たら気分がよくなるかもしれないと言いました。 二匹は手をつないで出かけ、森のはずれにある塀の平らな上にのぼりました。そこから、マグレガーさんの畑を見下ろしました。ピーターの上着とくつがかかしに着せられているのがはっきり見え、その上にはマグレガーさんの古いタモシャンター帽がのせてありました。 小さなベンジャミンは言いました。「門の下をくぐると、服がだめになるよ。中へ入るちゃんとしたやり方は、梨の木をつたって下りることさ。」 ピーターは頭から落ちてしまいました。けれども、なんでもありませんでした。下の苗床はくまででならしたばかりで、とても柔らかかったからです。 そこにはレタスの種がまいてありました。 二匹は苗床じゅうに、小さな変わった足跡をたくさん残しました。とりわけ、木のくつをはいていた小さなベンジャミンの足跡がたくさんありました。 小さなベンジャミンは、まずピーターの服を取り返さなくちゃ、そうすればハンカチが使えるようになるから、と言いました。 二匹はかかしから服を取りました。夜のあいだに雨が降っていたので、くつには水がたまり、上着は少し縮んでいました。 ベンジャミンはタモシャンター帽をかぶってみましたが、大きすぎました。 それから、おばさんへのちょっとしたおみやげに、ハンカチにたまねぎをつめていこうと言い出しました。 ピーターは楽しんではいないようでした。物音が聞こえてばかりいたのです。 ベンジャミンのほうは反対に、すっかりくつろいで、レタスの葉を一枚食べました。日曜日のごちそうにするレタスを取りに、いつもお父さんとこの畑に来ているのだと言いました。 (小さなベンジャミンのお父さんの名は、年寄りのベンジャミン・バニーさんといいました。) レタスは、たしかにとても見事なものでした。 ピーターは何も食べませんでした。家に帰りたいと言いました。そのうち、たまねぎを半分落としてしまいました。 小さなベンジャミンは、野菜を背負って梨の木をのぼって戻るのは無理だと言いました。そして、畑の反対の端のほうへ、ずんずん先に立って歩いていきました。二匹は、日の当たる赤れんがの塀の下の、板を敷いた小道を進みました。 ねずみたちが戸口に座って、さくらんぼの種をかじって割っていました。ねずみたちはピーター・ラビットと小さなベンジャミン・バニーに目くばせをしました。 まもなく、ピーターはまたハンカチを放してしまいました。 二匹は、植木鉢や苗床の枠や桶のあいだに入りこみました。ピーターにはこれまでよりもっと恐ろしい物音が聞こえ、目は棒つきキャンディーのように大きくなりました! ピーターはいとこより一、二歩前を歩いていましたが、急に立ち止まりました。 その角を曲がったところで、小さなうさぎたちが見たのはこれです! 小さなベンジャミンはひと目見ると、あっという間もないうちに、自分とピーターとたまねぎを、大きなかごの下に隠しました……。 猫は起き上がって伸びをすると、やって来て、かごのにおいをかぎました。 たまねぎのにおいが好きだったのかもしれません! とにかく、猫はかごの上に座りこみました。 猫はそこに五時間座っていました。 * * * * * かごの下のピーターとベンジャミンの絵は、描いてあげることができません。真っ暗だったうえに、たまねぎのにおいがひどくて、ピーター・ラビットも小さなベンジャミンも泣いてしまったからです。 お日さまは森の向こうへ回り、午後もずいぶん遅くなりました。それでも、猫はまだかごの上に座っていました。 とうとう、ぱたぱた、ぱたぱたという音がして、上の塀からしっくいのかけらがいくつか落ちてきました。 猫が見上げると、年寄りのベンジャミン・バニーさんが、上の段の塀の上を勇ましく歩いてくるのが見えました。 バニーさんはうさぎたばこをパイプでふかし、手には小さなむちを持っていました。 息子を捜していたのです。 年寄りのバニーさんは、猫などまったく問題にしていませんでした。 バニーさんは塀の上からものすごい勢いで跳んで猫の上に飛び乗り、猫をかごから殴り落として、温室の中へけりこみました。そのとき、ひとつかみほどの毛をむしり取りました。 猫はあまりにびっくりして、引っかき返すこともできませんでした。 年寄りのバニーさんは猫を温室に追いこむと、戸に鍵をかけました。 それからかごのところへ戻ってきて、息子のベンジャミンの耳をつかんで引っぱり出し、小さなむちで打ちました。 それから、おいのピーターを引っぱり出しました。 それから、たまねぎを包んだハンカチを取り出して、畑から堂々と出ていきました。 半時間ほどしてマグレガーさんが帰ってくると、首をかしげることがいくつも目につきました。 まるで誰かが木のくつをはいて畑じゅうを歩き回ったように見えました。ただ、その足跡がばかばかしいほど小さすぎるのです! それに、猫がどうやって温室の中に自分を閉じこめ、しかも戸の外から鍵をかけたのか、さっぱり分かりませんでした。 ピーターが家に帰ると、お母さんはピーターを許しました。くつと上着を見つけてきたのを見て、とてもうれしかったからです。カトンテールとピーターはハンカチをたたみ、年寄りのラビットおばさんは、たまねぎをひもでつないで、薬草の束やうさぎたばこと一緒に台所の天井からつるしました。 語釈 帯の外の語は 118 語で、読 C でいちばん多い篇です。 名前・衣服・植物の語 が大半で、覚えなくても読み進められます。 語(品詞) 意味 注 Aunt en 名 おば Her aunt always brings sweets when she visits. 彼女のおばはいつも訪ねてくるときにお菓子を持ってきます。 Benjamin en 名 ベンジャミン Benjamin's en 名 ベンジャミンの Bunny en 名 バニー。うさぎの姓のように使われる Cotton en 名 カトン。 Cotton-tail (カトンテール)の一部 Cousin en 名 いとこ Cousin Anna taught the children how to bake bread. いとこのアンナは子どもたちにパンの焼き方を教えました。 Flopsy en 名 フロプシー Mopsy en 名 モプシー Mr en 名 〜さん Mr Davies repaired the fence along the back garden. デイビスさんは裏庭のフェンスを修理しました。 Mrs en 名 〜さん(既婚の女性) Mrs Carter knitted a warm scarf for winter. カーターさんは冬のために暖かいマフラーを編みました。 Peter en 名 ピーター Peter's en 名 ピーターの Rabbit en 名 ラビット。うさぎの姓のように使われる amongst en 前 〜の中に The kitten curled up amongst the soft cushions. 子猫は柔らかいクッションの中で丸くなりました。 assured en 動 請け合った She assured her friend that everything would be fine. 彼女は友人にすべて大丈夫だと請け合いました。 aunt en 名 おば My aunt lives in a small village nearby. 私のおばは近くの小さな村に住んでいます。 basket en 名 かご He carried a heavy basket of vegetables inside. 彼は野菜でいっぱいの重いかごを中に運びました。 bazaar en 名 慈善市 The village held a bazaar to raise money for the school. 村は学校のためのお金を集めるために慈善市を開きました。 benjamin en 名 ベンジャミン( Benjamin と同じ語) beside en 前 〜のそばに She sat quietly beside her grandmother on the porch. 彼女は祖母のそばで静かに座っていました。 boldly en 副 大胆に The small dog boldly faced the much larger cat. その小さな犬は大胆にもずっと大きな猫に立ち向かいました。 bonnet en 名 ひもで結ぶ婦人帽 She tied her bonnet under her chin before leaving. 彼女は出かける前にあごの下で婦人帽のひもを結びました。 brick en 名 れんが The old house was built entirely of red brick. その古い家はすべて赤れんがで建てられていました。 bunches en 名 束(複数) She arranged the flowers into three neat bunches. 彼女は花を三つのきちんとした束にまとめました。 bunny en 名 うさぎ A tiny bunny hopped across the garden path. 小さなうさぎが庭の小道を跳びはねて渡りました。 camomile en 名 カモミール He drank a warm cup of camomile before bed. 彼は寝る前に温かいカモミールを一杯飲みました。 ceiling en 名 天井 A spider slowly crossed the kitchen ceiling. くもがゆっくりと台所の天井を渡っていきました。 chased en 動 追いかけられた The dog was chased by an angry farmer through the field. その犬は怒った農夫に畑の中を追いかけられました。 cherry en 名 さくらんぼ She picked a ripe cherry from the tall tree. 彼女は高い木から熟したさくらんぼを摘みました。 clogs en 名 木底の靴(複数) The farmer wore wooden clogs while working in the mud. その農夫は泥の中で働く間、木底の靴を履いていました。 contrary en 形 on the contrary で「それどころか」 I am not angry; on the contrary, I am pleased. 私は怒っていません