0.6 子音 ③ 語末無声化と z/s/ß/v/w — Epoché
この 課 か でできるようになること 語末 ごまつ の b d g が「プ・ト・ク」と 澄む すむ 語末無声化 ごまつむせいか を 知り しり 、 Tag を「ターク」と 読める よめる 。 ローマ 字 じ 読み よみ と 食い違う くいちがう 五 いつ つの 字 じ —— z =ツ、 s = 母音 ぼいん の 前 まえ でズ、 ß =ス、 v =フ、 w =ヴ——を 正しく ただしく 読める よめる 。 Rad ( 自転 じてん 車 しゃ )と Rat ( 助言 じょげん )が 同じ おなじ 音 おと になる 理由 りゆう を 説明 せつめい でき、 Räder / Räte で 聞き分け ききわけ られる。 前提 ぜんてい : 0.5( 子音 しいん ② ch と sch / sp / st ) この 課 か で、 綴り つづり と 音 おと がずれる 子音 しいん を 全部 ぜんぶ 片づけ かたづけ ます。ドイツ 語 ご の 綴り つづり はほぼ 規則 きそく どおりですが、ローマ 字 じ 読み よみ の 癖 くせ がそのまま 出る でる 字 じ が 五 いつ つと、 綴り つづり に 書い かい ていない 音 おと の 変化 へんか が 一 ひと つあります。 後者 こうしゃ が 語末無声化 ごまつむせいか で、 日本語話者 にほんごわしゃ にとっては「そんな 規則 きそく があるとは 知ら しら なかった」 種類 しゅるい の 躓き つまずき です。 なぜ 日本語話者 にほんごわしゃ はここでつまずくのか 一 ひと つ 目 め はローマ 字 じ です。 z は「 ザ行 ざぎょう 」、 v は「ヴ」、 w は「 ワ行 わぎょう 」——ローマ 字 じ ではそう 読み よみ ます。ドイツ 語 ご ではどれも 違い ちがい 、 z は「ツ」、 v は「フ」、 w が「ヴ」です。つまり 一文 いちぶん 字ずつずれている 。 Vater ( 父 ちち )を「ヴァーター」と 読む よむ 、 Wasser ( 水 みず )を「ワッサー」と 読む よむ 、 Zeit ( 時間 じかん )を「ザイト」と 読む よむ 、という 三つ みっつ の 誤り あやまり は、どれも 英語 えいご やローマ 字 じ の 読み よみ をそのまま 持ち込ん もちこん だものです。 二 ふた つ 目 め は、 綴り つづり に 現れ あらわれ ない 変化 へんか です。 Tag ( 日 にち )は g で 終わり おわり ますが、 読み よみ は「ターク」で、 k の 音 おと です。 Hund ( 犬 いぬ )は「フント」、 halb ( 半分 はんぶん )は「ハルプ」。 語末 ごまつ では 濁る にごる 子音 しいん が 澄む すむ 。 日本語 にほんご には「 語末 ごまつ の 濁音 だくおん が 澄む すむ 」 規則 きそく が 無く なく 、そもそも 日本語 にほんご の 語 ご は 子音 しいん で 終わら おわら ないので、この 現象 げんしょう に 出会う であう 機会 きかい がありません。 綴り つづり を 信じ しんじ て「ターグ」「フンド」と 読む よむ と、ドイツ 語 ご 話者 わしゃ には 不 ふ 自然 しぜん に 聞こえ きこえ ます。 三つ みっつ 目 め は、そのせいで 綴り つづり が 違う ちがう のに 同じ おなじ 音 おと になる 語 ご があることです。 Rad ( 自転 じてん 車 しゃ )と Rat ( 助言 じょげん )はどちらも「ラート」。 聞い きい ただけでは 分から わから ず、 文脈 ぶんみゃく で 決め きめ ます。 逆 ぎゃく に 複数形 ふくすうけい にすると Räder ( 自転 じてん 車 しゃ )と Räte ( 助言 じょげん )で d と t が 母音 ぼいん の 前 まえ に 来 き て、 濁り にごり が 戻り もどり 、 区別 くべつ が 復活 ふっかつ します。 語末無声化 ごまつむせいか — 語 ご の 終わり おわり で 濁り にごり が 消える きえる 規則 きそく は 一 ひと つです。 b d g が 語末 ごまつ (または 音節 おんせつ 末 まつ )に 来る くる と、 p t k の 音 おと で 読む よむ 。 s と v の 濁っ にごっ た 読み よみ も 同じく おなじく 澄み すみ ます。 綴り つづり は 変わり かわり ません。 字 じ 母音 ぼいん の 前 まえ ( 濁る にごる ) 語末 ごまつ ( 澄む すむ ) b halbe ( 半分 はんぶん の) [ˈhalbə] halb ( 半分 はんぶん ) [halp] d Hunde ( 犬 いぬ ・ 複数 ふくすう ) [ˈhʊndə] Hund ( 犬 いぬ ) [hʊnt] d Kinder ( 子ども こども ・ 複数 ふくすう ) [ˈkɪndɐ] Kind ( 子ども こども ) [kɪnt] g Tage ( 日 にち ・ 複数 ふくすう ) [ˈtaːɡə] Tag ( 日 にち ) [taːk] g Züge ( 列車 れっしゃ ・ 複数 ふくすう ) [ˈtsyːɡə] Zug ( 列車 れっしゃ ) [tsuːk] s Häuser ( 家 いえ ・ 複数 ふくすう ) [ˈhɔʏ̯zɐ] Haus ( 家 いえ ) [haʊ̯s] 単数 たんすう と 複数 ふくすう で 語末 ごまつ の 子音 しいん の 読み よみ が 変わる かわる 、というのがこの 表 ひょう の 中身 なかみ です。 Hund は「フント」で、 Hunde は「フンデ」。 Tag は「ターク」で、 Tage は「ターゲ」。 綴り つづり の g は「この 語 ご の 複数形 ふくすうけい では g の 音 おと が 戻る もどる 」という 情報 じょうほう を 持っ もっ ていて、だから 語末 ごまつ でも k と 書き換え かきかえ ない、と 考える かんがえる と 綴り つづり の 理屈 りくつ が 見え みえ ます。 音節 おんせつ 末 まつ でも 同じ おなじ ことが 起き おき ます。 Abend ( 晩 ばん )は「アーベント」で、 -b- は 次 つぎ の 母音 ぼいん に 続く つづく ので 濁っ にごっ たまま、 語末 ごまつ の -d だけ 澄み すみ ます。 Obst ( 果物 くだもの )は「オープスト」で、 b の 後ろ うしろ が 子音 しいん なので 澄み すみ ます。 複合語 ふくごうご では 前半 ぜんはん の 語末 ごまつ も 語末 ごまつ と 数え かぞえ 、 Handschuh ( 手袋 てぶくろ )は「ハントシュー」です。 語末無声化 ごまつむせいか は、この 課程 かてい の 音読 おんどく 判定 はんてい では 判定 はんてい できません。 認識 にんしき 器 き は 綴り つづり を 返す かえす ので、 Rad と Rat をどちらで 発音 はつおん しても 文脈 ぶんみゃく の 合う あう 綴り つづり が 返っ かえっ てきます。ここだけは 自分 じぶん の 耳 みみ で 確かめ たしかめ てください。 再生 さいせい して 聞け きけ ば、 語末 ごまつ が 澄ん すん でいることは 十分 じゅうぶん に 分かり わかり ます。 ローマ 字 じ とずれる 五 いつ つの 字 じ 字 じ と 読み よみ 例 れい ローマ 字 じ 読み よみ の 誤り あやまり z ツ( 常 つね に) [ts] Zeit ( 時間 じかん ) 「ザイト」 tz ッツ( 前 まえ の 母音 ぼいん は 短い みじかい ) [ts] Katze ( 猫 ねこ ) 「カツェ」と 短く みじかく 切ら きら ない s 母音 ぼいん の 前 まえ で ズ [z] Sonne ( 太陽 たいよう ) 「ソンネ」 s 語末 ごまつ ・ 子音 しいん の 前 まえ で ス [s] Haus ( 家 いえ ) — ss / ß ス( 濁ら にごら ない) [s] Fuß ( 足 あし ) 「フーズ」。 ß を B と 読ま よま ない v フ(ドイツ 語 ご 本来 ほんらい の 語 ご ) [f] Vater ( 父 ちち ) 「ヴァーター」 v ヴ( 外来語 がいらいご ) [v] Vase ( 花瓶 かびん ) — w ヴ( 上 うえ の 歯 は を 下唇 したくちびる に) [v] Wasser ( 水 みず ) 「ワッサー」 整理 せいり すると、こうなります。 z は いつでも「ツ」 。「ザ」の 音 おと はドイツ 語 ご では s が 担当 たんとう します。 zehn (10)「ツェーン」、 zwei (2)「ツヴァイ」、 Zucker ( 砂糖 さとう )「ツッカー」。 s は 母音 ぼいん の 前 まえ で「ズ」 、それ 以外 いがい で「ス」。 Sonne 「ゾンネ」、 sie ( 彼女 かのじょ は)「ズィー」、 Sohn 「ゾーン」。 語末 ごまつ の Haus 「ハウス」は 澄み すみ ます( 語末無声化 ごまつむせいか )。 ß と ss は 常 つね に 澄ん すん だ「ス」 。 音 おん 編 へん 1 課 か で 見 み たとおり、 ß の 前 まえ は 長く ながく ( Straße 「シュトラーセ」、 groß 「グロース」)、 ss の 前 まえ は 短い みじかい ( Fluss 「フルス」)。 ß は 長く ながく 大 だい 文字 もじ を 持た もた ず、 大 だい 文字 もじ で 書く かく ときは SS としてきました(2017 年 ねん に 大 だい 文字 もじ の ẞ が 正式 せいしき に 加わり くわわり ましたが、まだ SS のほうが 普通 ふつう です)。 v はドイツ 語 ご 本来 ほんらい の 語 ご で「フ」。 Vater 「ファーター」、 viel 「フィール」、 vier 「フィーア」、 Vogel ( 鳥 とり )「フォーゲル」、 von (〜から)「フォン」。 外来語 がいらいご では「ヴ」( Vase 「ヴァーゼ」、 Universität 「ウニヴェルジテート」)。 w は「ヴ」。 上 うえ の 前歯 まえば を 下唇 したくちびる に 軽く かるく 当て あて て、 声 こえ を 出し だし ながら 息 いき を 通し とおし ます。 Wasser 「ヴァッサー」、 Wein (ワイン)「ヴァイン」、 wir ( 私 わたくし たちは)「ヴィーア」、 wo (どこ)「ヴォー」。 英語 えいご の w ( 唇 くちびる を 丸める まるめる )とは 違い ちがい ます。 この 五 いつ つは、 覚え おぼえ てしまえば 例外 れいがい がほとんどありません。ローマ 字 じ の 癖 くせ が 出る でる のは 最初 さいしょ の 数 すう 週間 しゅうかん だけで、 綴り つづり を 見 み た 瞬間 しゅんかん に「ツ」「ヴ」が 出る でる ようになれば 終わり おわり です。 綴り つづり が 変わる かわる 最小対 さいしょうつい v / w 、 s / z 、 ss / s の 対 たい と、 語末無声化 ごまつむせいか で 同じ おなじ 音 おと になる 対 たい です。 最初 さいしょ の 三 さん 組 くみ は 綴り つづり も 音 おと も 違う ちがう ので 判定 はんてい に 乗り のり ます。 最後 さいご の 二 に 組 くみ は 同じ おなじ 音 おと なので 判定 はんてい できず、 複数形 ふくすうけい にして 区別 くべつ します。 語 ご 対 たい になる 語 ご Wein (ワイン) fein ( 上等 じょうとう な) Wort ( 語 ご ) fort ( 去っ さっ て) so (そう、それほど) Zoo ( 動物 どうぶつ 園 えん ) reisen ( 旅 たび をする) reißen ( 裂く さく ) Rad (=ラート)( 自転 じてん 車 しゃ 、 車輪 しゃりん ) Rat (=ラート)( 助言 じょげん ) Räder ( 自転 じてん 車 しゃ 、 車輪 しゃりん ( 複数 ふくすう )) Räte ( 助言 じょげん 、 評議 ひょうぎ 会 かい ( 複数 ふくすう )) reisen ( 旅 たび をする)と reißen ( 裂く さく )は s が 母音 ぼいん の 前 まえ で 濁る にごる か、 ß で 澄む すむ かの 差 さ です。「ライゼン」と「ライセン」。 日本語 にほんご の「 ザ行 ざぎょう 」と「 サ行 さぎょう 」の 差 さ なので、 日本語話者 にほんごわしゃ には 出し だし やすい 対 たい です。 日本語話者 にほんごわしゃ の 近道 ちかみち — 「ツ」と「ヴ」は 日本語 にほんご にある z の「ツ」は 日本語 にほんご の「つ」の 子音 しいん そのものです。「ツァ・ツィ・ツェ・ツォ」は 日本語 にほんご にも 外来語 がいらいご で 入っ はいっ ている 音 おと なので、 作れ つくれ ないことはありません。 問題 もんだい は 綴り つづり を 見 み て 反射 はんしゃ 的 てき に「ザ」を 出す だす 癖 くせ だけです。 Zeit を 見 み たら「ツ」と 口 くち に 出す だす 、を 数 すう 回 かい やれば 直り なおり ます。 w の「ヴ」も、 日本語 にほんご の「ヴァイオリン」「ヴェルサイユ」で 見 み 慣れ なれ ています。ただし 多く おおく の 日本語話者 にほんごわしゃ はこれを「バ」で 発音 はつおん していて、 上 うえ の 歯 は を 下唇 したくちびる に 当て あて ていません。 w は 必ず かならず 歯 は を 唇 くちびる に 当て あて 、 b ( 両 りょう 唇 くちびる を 閉じる とじる )と 区別 くべつ します。 Wein (ワイン)と Bein ( 脚 あし )を 続け つづけ て 言っ いっ て、 唇 くちびる の 動き うごき が 違う ちがう ことを 確かめ たしかめ