1.1 日本語の中のギリシア語 — Epoché
この 課 か でできるようになること 日本 にっぽん 語 ご のカタカナ 語 ご として、すでにギリシア 語 ご の 語 ご を 数百 すうひゃく 知っ しっ ていることを 確かめ たしかめ られる。 知っ しっ ている 語 ご が 現代 げんだい ギリシア 語 ご ではどう 読ま よま れ、どこまで 意味 いみ が 同じ おなじ かを 言える いえる 。 これから 渡る わたる 橋 はし —— 接辞 せつじ ・ 語根 ごこん ・ 語尾 ごび ——の 全体 ぜんたい 像 ぞう を 見通せる みとおせる 。 前提 ぜんてい : 0.10( 多調式 たちょうしき )。 字音 じおん 編 へん で 字 じ と 音 おと を 閉じ とじ たので、ここから 語 ご に 入り はいり ます。 橋 はし 編 へん は「 橋 はし 」です。 まだ 習っ ならっ ていないのに、もう 知っ しっ ている 語 ご を 集め あつめ て 渡し わたし ます。 橋 はし を 先 さき に 架ける かける のは、この 編 へん を 終え おえ た 時点 じてん で 読める よめる 語 ご の 数 かず が 跳ね上がる はねあがる からです。 どれくらい 跳ね上がる はねあがる のか、 先 さき に 数字 すうじ を 出し だし ます。ギリシアの 新聞 しんぶん から 集め あつめ た 頻出 ひんしゅつ 語 ご 8,000 を 調べ しらべ たところ、 そのうち 2,130 語 ご (26.6%) が、 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ がカタカナ 語 ご として 知っ しっ ている 語根 ごこん か 接辞 せつじ を 含ん ふくん でいました。 四 よん 語 ご に 一 いち 語 ご です。 習っ ならっ ていない 語 ご に 出会っ であっ ても、 四 よん 回 かい に 一 いち 回 かい は 見当 けんとう がつく——それが、この 編 へん で 手 て に 入る はいる ものです。 もう 知っ しっ ている 語 ご まず、 確かめ たしかめ から 始め はじめ ます。 次 つぎ の 語 ご はどれも 日本 にっぽん 語 ご にカタカナ 語 ご として 入っ はいっ ています。ギリシア 語 ご の 姿 すがた と、 現代 げんだい 語 ご での 読み よみ 方 かた 、そして 意味 いみ がどこまで 同じ おなじ か を 並べ ならべ ました。 表 ひょう は 十 じゅう 二 に 行 ぎょう です。 カタカナ 語 ご ギリシア 語 ご 現代 げんだい 語 ご での 読み よみ と 意味 いみ カオス χάος ハオスと 読む よむ 。 意味 いみ は 同じ おなじ で、 混沌 こんとん イデア ιδέα イゼアと 読む よむ 。 日本 にっぽん 語 ご より 平凡 へいぼん で、ただの 思いつき おもいつき ロゴス λόγος ロゴスと 読む よむ 。 日常 にちじょう では「 言葉 ことば 」「 理由 りゆう 」の 意味 いみ で 使う つかう テーマ θέμα セマと 読む よむ 。 話題 わだい という 意味 いみ で、 日常 にちじょう 語 ご ドラマ δράμα ズラマと 読む よむ 。 意味 いみ は 同じ おなじ アトム άτομο アトモと 読む よむ 。 原子 げんし のほかに 個人 こじん という 意味 いみ がある ミュージック μουσική ムシキと 読む よむ 。 意味 いみ は 同じ おなじ テレフォン τηλέφωνο ティレフォノと 読む よむ 。 意味 いみ は 同じ おなじ プロブレム πρόβλημα プロヴリマと 読む よむ 。 意味 いみ は 同じ おなじ システム σύστημα スィスティマと 読む よむ 。 意味 いみ は 同じ おなじ クライシス κρίση クリスィと 読む よむ 。 危機 きき のほかに 判断 はんだん という 意味 いみ がある シーン σκηνή スキニと 読む よむ 。 舞台 ぶたい のほかに テント という 意味 いみ がある 三 みっ つのことに 気づい きづい てほしい。 一 ひと つ 目 め は 音 おと のずれ です。0.1 で 扱っ あつかっ たとおり、カタカナ 語 ご は 古典 こてん 語 ご の 音 おと を 英語 えいご 経由 けいゆ で 受け取っ うけとっ ているので、 現代 げんだい 語 ご の 音 おと とは 食い違い くいちがい ます。ドラマの 頭 あたま は 舌 した を 歯 は に 当てる あてる ザ行 ざぎょう 、イデアの 真ん中 まんなか も 同じ おなじ 音 おと 。カタカナのまま 読む よむ と 通じ つうじ ません。 二 ふた つ 目 め は 意味 いみ のずれ です。カタカナ 語 ご は、その 語 ご の 特殊 とくしゅ で 高級 こうきゅう な 意味 いみ だけ を 持っ もっ ていくことが 多い おおい 。ギリシア 語 ご では 日常 にちじょう 語 ご です。イデアは「いい 考え かんがえ だね」と 言う いう ときの 考え かんがえ 、テーマは「 話 はなし が 逸れ それ た」と 言う いう ときの 話題 わだい 。この 落差 らくさ は 第 だい 1.5 課 か でまとめて 扱い あつかい ます。 三 みっ つ 目 め は もう 一 ひと つ 意味 いみ がある 語 ご があることです。 原子 げんし を 表す あらわす 語 ご が 個人 こじん も 指す さす のは、どちらも「これ 以上 いじょう 分け わけ られないもの」だからです。 危機 きき を 表す あらわす 語 ご が 判断 はんだん も 指す さす のは、 元 もと の 意味 いみ が「 分ける わける ・ 決める きめる 」だから。 元 もと の 意味 いみ を 知る しる と、 二 ふた つの 意味 いみ がつながります。 これが 語根 ごこん を 学ぶ まなぶ 効き目 ききめ です。 橋 はし は 三 みっ つの 部品 ぶひん でできている ギリシア 語 ご の 語 ご は、 多く おおく が 三 みっ つの 部品 ぶひん でできています。 接辞 せつじ ・ 語根 ごこん ・ 語尾 ごび です。 たとえば、 上 うえ の 表 ひょう の 危機 きき を 表す あらわす 語 ご には、 判断 はんだん するという 語根 ごこん があります。そこに 前 まえ から 接辞 せつじ を 足す たす と、 批評 ひひょう という 語 ご ができる。 分ける わける という 意味 いみ の 接辞 せつじ を 足す たす と、 識別 しきべつ という 語 ご ができる。 同じ おなじ 語根 ごこん が、 接辞 せつじ を 替える かえる だけで 別 べつ の 語 ご になる——ギリシア 語 ご はこの 組み立て くみたて がきわめて 規則 きそく 的 てき です。 そして 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ は、その 部品 ぶひん を すでにカタカナ 語 ご で 知っ しっ ています 。プロ、エピ、シン、ダイア、アポ、アナ、カタ、ハイパー、ハイポ、メタ、パラ、ペリ、アンチ。どれもギリシア 語 ご の 接辞 せつじ そのままです。 実測 じっそく でも、 接辞 せつじ のほうが 語根 ごこん より 効き きき ます 。 頻出 ひんしゅつ 語 ご 8,000 のうち、 既知 きち の 語根 ごこん を 含む ふくむ 語 ご は 806 でしたが、 語頭 ごとう が 既知 きち の 接辞 せつじ である 語 ご は 1,324 でした。だからこの 編 へん は 接辞 せつじ から 始め はじめ ます 。 課 か 何 なん を 渡す わたす か 1.2 場所 ばしょ と 向き むき の 接辞 せつじ 。プロ、エピ、アポ、アナ、カタ 1.3 関係 かんけい と 程度 ていど の 接辞 せつじ 。シン、ダイア、ハイポ、ハイパー、アンチ、メタ、ペリ、パラ 1.4 語根 ごこん 。デモ、グラフ、ロジー、ポリ、クラシー、スクール、クロノ、セントラル、テクノ 1.5 語尾 ごび が 示す しめす 性 せい と、 意味 いみ のずれた 語 ご 1.6 部品 ぶひん を 組み立て くみたて て 語 ご を 作る つくる 。 古典 こてん 語 ご との 対応 たいおう 頻出 ひんしゅつ 文 ぶん で 通す とおす この 課 か で 見 み た 語 ご が、 実際 じっさい の 文 ぶん でどう 使わ つかわ れるかを 見 み ます。 どれも 日常 にちじょう の 文 ぶん です。 カタカナ 語 ご のイメージにある 堅 かた さは、ギリシア 語 ご にはありません。 訳 わけ は 本 ほん 課程 かてい で 起こし おこし た 日本 にっぽん 語 ご です。 文 ぶん 訳 わけ 見る みる ところ Καλή ιδέα. [1] いい 考え かんがえ だね。 イデアが、 ほめ言葉 ほめことば として 日常 にちじょう で 使わ つかわ れる Έχω μια ιδέα. [2] 考え かんがえ がある。 同じ おなじ 語 ご の 単数 たんすう 。 持っ もっ ている、という 動詞 どうし と 組む くむ Έχω πολλές ιδέες. [3] 考え かんがえ がたくさんある。 同じ おなじ 語 ご の 複数 ふくすう 。 語末 ごまつ が 女性 じょせい の 複数 ふくすう の 形 かたち Ακούω μουσική. [4] 音楽 おんがく を 聞く きく 。 ミュージックの 元 もと の 語 ご 。 語末 ごまつ は 女性 じょせい 単数 たんすう の 印 しるし Αγαπάει τη μουσική. [5] 彼 かれ は 音楽 おんがく が 好き すき だ。 同じ おなじ 語 ご に 冠詞 かんし が 付い つい ている Έχεις τηλέφωνο; [6] 電話 でんわ を 持っ もっ ていますか。 テレとフォンの 二 ふた つの 部品 ぶひん でできている Έχετε κινητό τηλέφωνο; [7] 携帯 けいたい 電話 でんわ を 持っ もっ ていますか。 同じ おなじ 語 ご に、 動く うごく という 形容 けいよう 詞 し が 付く つく Πάμε θέατρο; [8] 劇場 げきじょう に 行き いき ませんか。 シアターの 元 もと の 語 ご Έλα στο θέμα. [9] 本題 ほんだい に 入っ はいっ て。 テーマの 元 もと の 語 ご 。 話題 わだい という 日常 にちじょう の 意味 いみ Έλυσα το πρόβλημα. [10] 問題 もんだい を 解い とい た。 プロブレムの 元 もと の 語 ご 。プロという 接辞 せつじ が 付い つい ている 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ の 近道 ちかみち この 編 へん を 始める はじめる にあたって、 一 ひと つ 心構え こころがまえ を。 カタカナ 語 ご を 思い出す おもいだす ことは、ずるではありません。 語彙 ごい を 増やす ふやす 最短 さいたん 路 ろ です。 ただし、 思い出し おもいだし たあとに 二 ふた つの 作業 さぎょう が 要り いり ます。 音 おと を 現代 げんだい 語 ご に 直す なおす こと と、 意味 いみ の 幅 はば を 確かめる たしかめる こと 。カタカナ 語 ご は、 元 もと の 語 ご の 意味 いみ の 一部 いちぶ だけを 切り取っ きりとっ て 持っ もっ てきています。ギリシア 語 ご のほうが 広い ひろい 場合 ばあい が 多い おおい ——それは、ギリシア 語 ご ではその 語 ご が 日常 にちじょう 語 ご だからです。 この 二 ふた つを 毎回 まいかい やれば、 橋 はし は 安全 あんぜん に 渡れ わたれ ます。やらずに 渡る わたる と、 堅い かたい 言葉づかい ことばづかい で 話す はなす 外国 がいこく 人 にん になります。 練習 れんしゅう 練習 れんしゅう 1 — ギリシア 語 ご の 姿 すがた を 当てる あてる 次 つぎ のカタカナ 語 ご は、どのギリシア 語 ご から 来 き ていますか。 上 うえ の 表 ひょう から 選ん えらん でください。 答え こたえ はこの 課 か の 最後 さいご にあります。 テーマパークのテーマ カオス 理論 りろん のカオス システムエンジニアのシステム ドラマチックのドラマ アトミックのアトム 練習 れんしゅう 2 — 意味 いみ の 幅 はば 次 つぎ の 語 ご には、カタカナ 語 ご には 無い ない 意味 いみ があります。それは 何 なん ですか。 άτομο κρίση σκηνή 練習 れんしゅう 3 — 音読 おんどく 頻出 ひんしゅつ 文 ぶん の 十 じゅう 文 ぶん を、 音声 おんせい のあとについて 声 こえ に 出し だし てください。 カタカナ 語 ご の 読み よみ が 口 くち から 出 で ていないか を 確かめる たしかめる こと。とくにドラマの 頭 あたま とイデアの 真ん中 まんなか は、 舌 した を 歯 は に 当てる あてる 音 おと です(0.4)。 この 課 か のまとめ 頻出 ひんしゅつ 語 ご 8,000 のうち 26.6% が、 知っ しっ ている 語根 ごこん か 接辞 せつじ を 含む ふくむ 。 四 よん 語 ご に 一 いち 語 ご 。 カタカナ 語 ご は 音 おと が 古い ふるい 。 現代 げんだい 語 ご の 音 おと に 直し なおし てから 使う つかう 。 カタカナ 語 ご は 意味 いみ が 狭い せまい 。ギリシア 語 ご では 日常 にちじょう 語 ご で、 意味 いみ の 幅 はば が 広い ひろい ことが 多い おおい 。 語 ご は 接辞 せつじ ・ 語根 ごこん ・ 語尾 ごび でできている。 接辞 せつじ のほうが 語根 ごこん より 効く きく ので、そこから 始める はじめる 。 次 つぎ の 課 か へ 第 だい 1.2 課 か では、 場所 ばしょ