8.26 Ray And His Kite — 凧と提灯(McGuffey 読本) — Epoché
この篇でできるようになること 段落の頭の時の語 をたどって、話の順を追える。 話の途中から始まる文章でも、 止まらずに 読める。 長い文が 入れ子で伸びているか、横に伸びているか を見分けられる。 ダッシュ( -- )が言い直しの印だと分かる。 前提 : 8.25 まで。 読む前に 題材は 凧に提灯を吊るした少年 の話です。レイという男の子が、夜に灯りをつけた凧を上げました。村の人たちは空に浮かぶ見慣れない光に驚いて、妖のしわざかと言い合っています。——そこから、この篇は始まります。 始まりの部分は入っていません 。レイが凧を作ったところも、灯りを吊るしたところも、村の人が騒ぎ出したところも、この窓の外です。いきなり「ついに男たちのうち何人かが決めた」から始まります。 これは不親切に見えますが、 物語を途中から読むのは、じつはよくあること です。長い小説を途中の章から開いたときも同じことが起きます。そして物語には、途中から入った読み手のための足場があります。 時を表す語 です。 気をつけるところを二つ置きます。 一つめ、 ダッシュ です。一つめの段落に -- が出ます。これは 言い直しの印 で、前に言ったことを「つまり」「たとえば」と 置き直します 。日本語のダーシと同じ働きです。 二つめ、 had + 過去分詞 です。 who had got tired of standing 、 His mother had been wondering ——どれも「 その前に起きていたこと 」を言う形です。型編で組むのは もっと先の期 なので、ここでは had が付いたら一つ前の時 、それだけ覚えてください。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 220 語、六段落です。文はたった 10 本しかありません。つまり 一文が長い ということです。 At last some of the men determined to find out what this strange light was 先に原文だけを、 辞書も語釈も見ずに 最後まで読んでください。途中から始まることに、 驚かずに 読み進めてください。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 ついに男たちの何人かが、この見慣れない光が何なのかを確かめることにしました。空中で踊る妖怪なのか、それとも空から落ちてきた何かなのか。そこで男たちは、できるだけ近くまで行こうと出かけました。 こうしたことが起きているあいだ、立っているのに疲れたレイは、木の陰の、垣根の隅にすわっていました。レイには近づいてくる男たちが見えましたが、男たちにはレイが見えませんでした。 男たちは光の真下まで来て、それが何なのかが分かると、笑いながら顔を見合わせて言いました。「これはどこかの子どものいたずらだ。まんまとだまされたな。秘密にしておいて、この冗談の分け前にあずかろうじゃないか。」 それから男たちはまた笑って、村へ帰っていきました。そして村の素朴な人たちの中には、あの見慣れない光が何だったのか、いまだに知らない人もいます。 男たちが行ってしまうと、レイは自分も帰る時間だと思いました。そこで糸を巻き取り、凧と手提げ灯を拾い上げて、家へ帰りました。母親は、レイはどうしたのだろうと気をもんでいたところでした。 レイが何をしていたのかを聞くと、母親は笑えばよいのか叱ればよいのか、ほとんど分かりませんでした。けれども、たぶん母親は笑って、もう寝る時間ですよとレイに言ったのだと思います。 語釈 帯の外の語は 16 語です。下に 全部 出します。 物語の道具 の名(凧・糸・灯り・垣根)が並ぶのが、説明文との違いです。 語(品詞) 意味 注 Ray en 名 レイ。男の子の名 fence en 名 囲い、垣根 The children climbed over the old wooden fence. 子供たちは古い木の垣根を乗り越えました。 fooled en 動 だました( fool の過去形) He fooled his little sister with a silly joke. 彼は下らない冗談で妹をだましました。 hardly en 副 ほとんど〜ない She could hardly hear the music from outside. 彼女は外からの音楽がほとんど聞こえませんでした。 hobgoblin en 名 いたずらをする小さな妖 The old story told of a hobgoblin hiding in the barn. その昔話には納屋に隠れているいたずら妖精のことが語られていました。 joke en 名 いたずら、冗談 He played a joke on his best friend. 彼は親友にいたずらを仕掛けました。 kite en 名 凧 The boy flew his kite high in the sky. 男の子は凧を空高く飛ばしました。 lantern en 名 手にさげる灯り She carried a lantern through the dark forest. 彼女は暗い森の中を手灯りを持って歩きました。 nicely en 副 うまいぐあいに The plan worked out nicely in the end. その計画は最後にはうまくいきました。 scold en 動 しかる The teacher will scold the noisy students. 先生はうるさい生徒たちをしかるでしょう。 secret en 名 秘密 She kept the secret from her best friend. 彼女はその秘密を親友に打ち明けませんでした。 sky en 名 空 The sky turned a beautiful orange color at sunset. 空は夕暮れ時に美しいオレンジ色に変わりました。 strange en 形 見慣れない We heard a strange noise in the attic last night. 昨夜、屋根裏で見慣れない物音が聞こえました。 string en 名 糸、ひも He tied the package with a piece of string. 彼はひもで小包を結びました。 tired en 形 疲れた The children were tired after the long walk. 子供たちは長い散歩の後で疲れていました。 trick en 名 いたずら、たくらみ The fox played a clever trick on the crow. 狐はカラスに巧妙ないたずらを仕掛けました。 構文の骨 ★段落の頭に時の語がある この篇の段落の頭を、縦に並べてみます。 段落 頭に立つ時の語 場面 一つめ At last 村の男たちが、ついに確かめに行く 二つめ While this was taking place そのあいだ、レイは垣根の陰にいる 三つめ When they were directly under the light 男たちが光の真下に着く 四つめ Then they laughed again 笑って村へ帰る 五つめ When the men had gone 男たちが去ってから、レイも帰る 六つめ When she heard what he had been doing 母が話を聞く 六段落すべてが、 時を表す語句で始まって います。偶然ではありません。 物語は時で進む ので、段落の頭で「今どこの時にいるか」を告げるのがいちばん親切なやり方だからです。 だから読み方も決まります。 段落の頭の時の語だけを拾って、縦に読む 。それだけで話の順が取れます。上の表の右の列が、まさにそれです。途中から始まる話でも、これができれば迷いません。 8.18 読編 で「段落の頭の一文に主題がある」と置きました。説明文の主題は 何の話か でしたが、物語の主題は いつの話か です。文章の種類が変われば、段落の頭に立つものも変わります。 ★横に伸びた長い文 五つめの段落は、一文が 29 語あります。 8.23 読編 で切った長い文に近い長さです。ところが、読んだ感じはまるで違うはずです。 When the men had gone, Ray thought it was time for him to go; so he wound up his string, picked up his kite and lantern, and went home. うしろ半分を見てください—— he wound up his string, picked up his kite and lantern, and went home 。動詞が三つ並んでいるだけです。糸を巻いて、凧と灯りを拾って、帰った。 入れ子はゼロ 。一つ読んだら次、次を読んだら次で、 前に戻る必要が一度もありません 。 伸び方 どんな文になるか 読む側に起きること 入れ子で伸びる 名詞のうしろに節、その中にまた節 途中で前に戻らないと分からなくなる 横に伸びる 動作が「〜して、〜して、〜した」と並ぶ 前に戻らない。 長さは苦にならない 8.25 読編 で数えたとおりです。読本は 横に並べるつなぎ の側に寄っています。だから文が長くても読める。 長さを見て身構えるのをやめて、伸び方を見てください 。 ダッシュは言い直しの印 一つめの段落に、ダッシュが出ます。 whether it was a hobgoblin dancing in the air, or something dropped from the sky この前に what this strange light was があります。「この見慣れない光が何なのか」と言ったあと、ダッシュを打って 言い直して います——「つまり、空で踊る妖なのか、空から落ちてきた何かなのか」。 ダッシュのうしろは 前の言い方の置き換え です。新しい話が始まるのではありません。だから、 前が分かっていれば飛ばしてよく、前が分からなければここで分かります 。読む側にとって、ダッシュは 助け船 です。 こちらの引用符は閉じている 三つめの段落に、男たちの言葉が引用符で出てきます。 This is some boy's trick; and it has fooled us nicely. 8.25 読編 では引用符が閉じていませんでした。こちらは ちゃんと閉じています 。違いは簡単で、 その段落の中で話し終えているかどうか です。段落をまたがないなら、開いて閉じる。それだけです。 訳 第 2 期の読み物に 文ごとの訳は付けません 。段落ごとの要旨だけを置きます。 段落 その段落が言っていること 一つめ ついに男たちの何人かが、あの見慣れない光の正体を確かめに行くことにした。空で踊る妖か、空から落ちた何かか。できるだけ近づこうと出かけた 二つめ そのあいだ、立ち疲れたレイは垣根の隅、木の陰にすわっていた。近づく男たちが見えたが、男たちにレイは見えなかった 三つめ 光の真下に来て正体が分かると、男たちは顔を見合わせて笑った。「どこかの子のいたずらだ。まんまとだまされた。黙っていて、われわれもこの冗談の分け前をもらおう」 四つめ また笑って村へ帰った。村の素朴な人たちの中には、いまだにあの光が何だったか知らない者もいる 五つめ 男たちが去ってから、レイも帰りどきだと思い、糸を巻き、凧と灯りを拾って、家へ帰った。母はどうしたのかと気を揉んでいた 六つめ 何をしていたのかを聞いて、母は笑うべきかしかるべきか分からなかった。だが、たぶん笑って、もう寝る時間だと言ったのだろう 最後の文の「たぶん〜だろう」に気づいてください。語り手が 自分の推しはかりを混ぜて います。百科事典には出てこない書き方です。 物語には語り手がいる ——そのことが、ここではっきり表に出ます。 音読 この篇は 段落の頭を強く 読んでください。時の語が段落の頭に立っているので、そこを立てると 場面の切り替わりが音で分かります 。 五つめの段落の長い文は、 読点ごとに軽く区切って 読んでください。糸を巻いて/凧と灯りを拾って/家へ帰った。区切りながら読むと、 横に並んでいること が体で分かります。息が続かないなら、区切りで吸ってかまいません。横に伸びた文は、どこで切ってもこわれません。 三つめの段落の男たちの言葉は、 笑いながら 言ってください。原文にそう書いてあります。 この篇で使う型 型の名 この篇での出方 戻る課 接続詞と副詞節 When they were directly under the light 。時の枠を先に置く 3.16 型編 関係代名詞 Ray, who had got tired of standing 。コンマで挟んだ「ついでの説明」 3.13 型編 進行形 While this was taking place 。続いている最中 3.7 型編 不定詞と動名詞 determined to find out ・ whether to laugh or scold 3.12 型編 比較 as near it as they could 。できるかぎり近く 3.15 型編 助動詞 I He could see the men 。できた 3.10 型編 二つめの型に注意してください。コンマで挟まれた関係詞は ついでの説明 で、 外しても文が立ちます 。 Ray was seated in a fence corner ——これで文になります。挟まれた部分は「ちなみにレイは立ち疲れていた」という添え書きです。 練習 段落の頭の時の語を、 六つ縦に書き出す 。その横に、日本語で 場面を一言ずつ 書く。六行で話の順ができたら、それがこの篇の筋です。 五つめの段落の長い文を、 読点ごとに区切って 音読する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。区切って読んでも 意味がこわれない ことを確かめる。 二つめの