12.12 アメリカの成り立ち — Epoché
この課で分かるようになること ★ マガフィー読本が何を教えたか を言える。 ★ オズとグリムの差 を言える。 ★ 都市が物語の舞台になった ことが言える。 ★ 読んでいないものについては、位置だけを言う ——この課程の決まりを説明できる。 前提 : 読は 8.104 まで。知は 12.11 まで。 ★この課程が読んだアメリカの英語 どの課 出た年 何か 8.25 読編 〜 8.30 読編 ・ 8.70 読編 〜 8.72 読編 1879 ★ 学校の教科書 (マガフィー読本) 8.41 読編 〜 8.48 読編 オズの魔法使い 1900 ★ アメリカで書かれた童話 8.95 読編 〜 8.96 読編 賢者の贈り物 1906 ★ ニューヨークの短編 ★ 三十年ずつ離れています。 ★ そして、教科書 → 童話 → 都市の短編 と並んでいます。★ この順に見ていきます。 ★教科書が教えたのは、自分で自分を作ること 8.25 読編 から 8.30 読編 までと、 8.70 読編 から 8.72 読編 までは、すべて 同じ本 から来ています—— マガフィー読本 です。★ 十九世紀アメリカの、学校で使われた読本 です。 ★ 何が書いてあったかを、並べてみます。 どの課 何の話か 8.25 読編 ★ 酒を飲みはじめた若者が、身を持ちくずす 8.29 読編 ★ 学校をずる休みして、嘘をつく子 8.30 読編 いちごを自分で食べずに、母のために取っておく子 8.71 読編 ★ 人と競うこと 8.72 読編 ★ 知識とは何か ★どの話も、同じことを言っている 8.25 読編 の若者は、 he fell into bad company [1] で身を持ちくずします。★ その直前に書いてあるのが —— Instead of spending his evenings in reading [1] 。 ★ 「夜を読書に使うかわりに」。 ★ 夜をどう使うかで、一生が決まる と書いてあります。 8.29 読編 の子は、 in the habit of playing truant [2] で、 he would falsely tell his mother [2] です。★ ずる休みと嘘が、ひとつながりに書かれています。 8.30 読編 の子は、いちごを口に運びかけて止まり、 How much mother would like these [3] と思って Shall I save them for her [3] と自分に問います。 どの話も、誰が決めるか 何を教えているか ★ 本人が、自分で決める ★ 自分をどう作るかは、自分の手にある 神や王が決める ★ この読本には出てこない ★ ここが、この読本のいちばんの特徴 です。★ 誰かに従えとは言いません。 ★ 「お前が決めることだ」と言います。 ★競い合いと、知識 8.71 読編 は the subject of competition at school [4] の話です。★ 学校で人と競うことを、正面から扱っています。 そして、 envy is not always connected with it [4] と言います。 ★ 「競うことに、妬みが必ずついてくるわけではない」。 ★ 競争を、よいものとして教えています。 8.72 読編 の題は 「知識は力なり」 です。★ ところが、中身は逆 です。 Knowledge is an excellent thing [5] とくり返す小男に、★ 年上の男が待ったをかけます。 ★ 「何でも少しずつ知っている」ことと、「知っている」ことは違う ——★ そういう話です。 ★ 教科書が、知識を持ち上げてから、自分で水を差しています。 ★ 勤勉・節制・自立・競争。 ★ これが、学校で教えられた国民の形 でした。 ★オズには、王も城も出てこない 8.41 読編 の一文目を見てください。 Dorothy lived in the midst of the great Kansas prairies [6] 。そして、叔父は who was a farmer [6] です。 ★ 「カンザスの大平原の真ん中」「農夫」。 ★ 童話の一文目です。 8.55 読編 で読んだグリムと比べてください。あちらは、 王女 と king [7] の話でした。 どちらの童話か 誰が出てくるか どこが舞台か ★ グリム ★ 王・王女 森と城 ★ オズ(1900) ★ 農夫とその姪 ★ 平原と農家 ★ アメリカには、王がいませんでした。 ★ だから、王の出てくる童話を借りるかわりに、自分たちの童話を作りました。 家の描き方も同じです。 There was no garret [6] と書いてあります。★ 「屋根裏は無かった」。 ★ 無いものを書いています。 ★ 城の広間ではなく、一部屋しかない家 です。 ★ そして、ドロシーは助けを待ちません。 ★ 自分で歩きはじめます。 ★ マガフィー読本が教えたことと、同じ形 です。 ★都市が舞台になる 8.95 読編 の一文目は、 数 です。 One dollar and eighty-seven cents [8] 。 ★ 「一ドル八十七セント」。 ★ 物語が、持っている金の額から始まります。 そして、デラは the shabby little couch [8] に身を投げ出して泣きます。★ 「みすぼらしい小さな長いす」。 三十年で、何が変わったか どう書かれるか ★ 1900 — 平原と農家 ★ 持ちものが少ないが、土地はある ★ 1906 — 都市の借間 ★ 持ちものも土地も無く、あるのは小銭 ★ この本の題は『四百万人』 です。★ 当時のニューヨークに住んでいた人の数を、そのまま題にしています。 ★ 四百万人のうちの二人の話 ——★ そう読ませる題 です。★ 数が大きいほど、一人が小さく見えます。 ★ その小ささを書くのが、都市の物語 です。 ★フランクリン・独立宣言・リンカーンは、次の期で読む ★ アメリカの成り立ちと言えば、ふつうはこの三つ です。★ けれども、この課程ではまだ一篇も読んでいません。 ★ 読んでいないものについて、年や引用を書くことはしません ( 12.11 知編 でディケンズについてしたのと同じです)。★ だから、位置だけを置きます。 何を読むか いつ読むか ★ フランクリン『自伝』 ★ 第 5 期の読 E の一篇目から ★ リンカーンの演説 ★ 同じく第 5 期の読 E ★ 独立宣言 ★ 第 9 期の特別編 ★ この課で見た三つは、その前置きになります。 ★ マガフィー読本が教えた「自分で自分を作る」という考えは、フランクリンから来ています。 ★ だから、次の期でフランクリンを読むと、教科書のほうが後から来たことが分かります。 ★ 順が逆に見えるかもしれません。 ★ けれども、やさしいものから読むという決まりのほうが先 です。★ 教科書は子ども向けに書かれているので、先に読めます。 ★切れ端を、原典の一文に戻す この課でも、語や句を切り出して引きました。原典の一文に戻して並べます。上の五行が読本、六行目が童話、七行目が都市の短編です。行を押して、教科書の声と物語の声の差を聞いてください。 英文 日本語訳 見るところ There, he fell into bad company. [1] そこで、彼は悪い仲間に入ってしまいました。 身を持ちくずす筋が、本人の選びから始まる But, instead of going to school, he was in the habit of playing truant. [2] けれども彼は、学校へ行かずに、ずる休みをするのが癖になっていました。 ずる休みと嘘が、ひとつながりに書かれる "Shall I save them for her?" said he, thinking how much they would refresh her, yet still looking at them with a longing eye. [3] 「これを母さんに取っておこうか」と彼は言いました。どれほど母の気が晴れるだろうと思いながら、それでもいちごを物ほしそうに見つめていました。 自分に問いかけて、自分で決めている He said that he could answer for it that envy is not always connected with it. [4] 競うことに妬みが必ずついてくるわけではない、と彼は請け合いました。 競争を、よいものとして教えている "Knowledge is an excellent thing," repeated he. [5] 「知識はすばらしいものだ」と彼はくり返しました。 持ち上げてから、年上の男が水を差す Dorothy lived in the midst of the great Kansas prairies, with Uncle Henry, who was a farmer, and Aunt Em, who was the farmer’s wife. [6] ドロシーはカンザスの大草原の真ん中で、農夫のヘンリーおじさんと、その妻のエムおばさんと暮らしていました。 王も城も出てこない。農夫と、その姪 One dollar and eighty-seven cents. [8] 一ドル八十七セントでした。 物語が、持っている金の額から始まる やってみる ★ 8.25 読編 ・ 8.29 読編 ・ 8.30 読編 の三つを読み直し、 ★ 「誰が決めているか」をそれぞれ一行で書く。 ★ 三つとも同じ答えになるはずです。 ★ 8.41 読編 の一段目と 8.55 読編 の一段目を、続けて音読する。 ★ 出てくる名詞を五つずつ書き出して 、★ 並べて見比べてください。 ★ 8.95 読編 の一文目をそらで言えるまで音読する。 ★ 数で始まる物語 は、この課程でここだけです。 日本の小学校の教科書に載っていた話を一つ思い出し、★ それが何を教えようとしていたか を一行で書く。★ マガフィー読本と比べてみてください。 この課のまとめ ★ マガフィー読本(1879)が教えたのは、自分で自分を作ること。 勤勉・節制・自立・競争。★ 神や王は出てこない。 ★ 「夜をどう使うか」で一生が決まる と書いてある( 8.25 読編 )。 ★ 教科書は、知識を持ち上げてから自分で水を差す ( 8.72 読編 )。「何でも少しずつ知っている」ことと「知っている」ことは違う。 ★ オズ(1900)には王も城も出てこない ——平原と農家。★グリムとの差( 8.55 読編 )。 ★ アメリカには王がいなかったので、自分たちの童話を作った。 ★ドロシーは助けを待たずに歩きはじめる。 ★ 賢者の贈り物(1906)は、持っている金の額から始まる。 ★三十年で、平原から都市の借間へ。 ★ 『四百万人』という題 ——数が大きいほど、一人が小さく見える。★その小ささを書くのが都市の物語。 ★ フランクリン・リンカーンは第 5 期の読 E、独立宣言は第 9 期の特別編で読む。 ★ 読んでいないものについては、位置だけを言う ( 12.11 知編 )。 次の課へ 知編の第 4 期はここで終わりです。★第 4 期の学習順では、知の次は 復 です。次の課は 13.7 、 第 4 期の学びの地図 です。★ この期に読めるようになったものを並べ直して、短文・書き取り・音読で確かめます。 答え 「やってみる」の四つの答えです。 ★ 三つとも「本人が決めている」 です。★ 酒を飲みはじめるのも、ずる休みをするのも、いちごを取っておくのも、誰にも命じられていません。 ★ そして、結果も本人に返ってきます。 ★ これを百年くり返し教えた国が、どういう国になるか ——★ それが、この課の問いです。 ★ オズ側は「平原・農夫・家・部屋・寝台」 のような、★ 手で触れるもの ばかりです。★ グリム側は「王女・王・森・泉・金の毬」 ——★ 半分は、物語の中にしか無いもの です。★ 名詞を並べるだけで、世界の作りが違うと分かります。 ★ 言えるようになったら、なぜこの一文目なのかを考えてみてください。 ★ 「貧しかった」と書くかわりに、額を書いています。 ★ 9.9 論編 で扱ったとおり、数は比べる相手があって意味を持ちます。 ★ ここでは、読む人が自分の財布と比べます。 ★ 答えは人によります。 ★ ただ、「何を教えようとしていたか」がすぐ言えたなら、その話は教えるために書かれています。 ★ すぐ言えないなら、それは物語として載っていた ということです。★ どちらがよいという話ではありません。 ★ 教科書には、両方が要ります。 参考文献 原文の出所: William Holmes McGuffey『McGuffey's Third Eclectic Reader』(1879), "Beware Of The First Drink"。パブリックドメイン(Project Gutenberg #14766)。原文は 1 字も変えていない。https://www.gutenberg.org/ebooks/14766 原文の出所: William Holmes McGuffey『McGuffey's Third Eclectic Reader』(1879), "The Truant"。パブリックドメイン(Project Gutenberg #14766)。原文は 1 字も変えていない。https://www.gutenberg.org/ebooks/14766 原文の出所: William Holmes McGuffey『McGuffey's Third Eclectic Reader』(1879), "George S Feast"。パブリックドメイン(Project Gutenberg #14766)。原文は 1 字も変えていない。https://www.gutenberg.org/ebooks/14766 原文の出所: William Holmes McGuffey『McGuffey's Fourth Eclectic Re