14.55 器械が出てこない — 物が消えると、文が長くなる — Epoché
この篇でできるようになること ★ 他人の説 → 難点 → 自分の説 の三段が読める。 ★ 術語をその場で定義する 文型が読める。 ★ we で読者を連れて行く 書き方が分かる。 ★ 物が消えると文が長くなる のを数えられる。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は どの篇から読んでもかまいません 。★ 前の篇を読んでいなくても通じるように書いてあります。 ★ これは 論文の第 1 部「序」 です。★ このあとに式が並び ますが、★ ここには 式が一つも出てき ません ——★ だから 数学が分からなくても読め ます。 どちらのことか 確かめること ★ 科学のこと ★ この時代の科学者がだれに向けて書いたか( 12.14 知編 ) ★ 学術英語のこと ★ いまの論文の書き方との差( 12.15 知編 ) ★ 読むときの心構えを一つ 。★ この序文には いまは信じられていない考え が出てき ます——★ エーテル( ether ) という、★ 空間を満たしているとされた物質 です。★ いまは 無いことになって います が、★ この考えの上に立って書かれた式は、 いまも正しい です。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1621 語、段落は 25 つ、文は 39 本、一文の平均は 41.6 語です。 ★ いちばん長い一文は 111 語 です。★ 節の頭に (1) から (9) まで番号が振ってあり ます——★ 9 節 です。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 (1)電気と磁気の実験でもっとも目につく力学的な現象は、ある状態にある物体どうしが、まだ感じ取れるほど離れているうちに互いを動かす、相互の作用です。ですから、これらの現象を科学の形に整える第一歩は、物体のあいだに働く力の大きさと向きを確かめることです。そして、この力が物体の相対的な位置と、その電気または磁気の状態に一定の仕方でよることが分かると、一見したところ、各物体の中に、静止しているか動いているかする何かがあり、それがその物体の電気または磁気の状態をなしていて、数学の法則に従って離れたところから働くことができる、と仮定してその事実を説明するのが自然に思えます。 このようにして、静電気の数学的理論、磁気の数学的理論、電流を運ぶ導体のあいだの力学的作用の数学的理論、そして電流の誘導の数学的理論が作られてきました。これらの理論では、二つの物体のあいだに働く力は、物体の状態とその相対的な位置だけに関係づけて扱われ、取り巻く媒質ははっきりとは考えに入れられていません。 これらの理論は、多かれ少なかれはっきりと、その粒子が引力や斥力によって離れたところから互いに作用し合う性質を持つ物質の存在を仮定しています。この種の理論でもっとも完全に展開されたのは W・ウェーバー氏の理論で、彼は同じ一つの理論に静電気の現象と電磁気の現象をともに含ませました。 しかし、そうするにあたって彼は、二つの粒子のあいだの力が、その距離だけでなく相対的な速さにもよると仮定する必要があると考えました。 W・ウェーバー氏と C・ノイマン氏によって展開されたこの理論は、きわめて巧みで、静電気、電磁的な引力、電流の誘導、反磁性の現象に当てはめると驚くほど広い範囲に及びます。そしてこの理論は、電気の科学の実際の面で、電気の測定に一貫した単位の体系を導入したことによっても、これまでにない正確さで電気の量を実際に定めたことによっても、大きな進歩をもたらした人の思索を導いてきたのですから、なおさら重みをもって私たちのもとに届きます。 (2)しかし、速さによって変わる力で離れたところから作用する粒子を仮定することに含まれる力学上の難点は、私にこの理論を究極のものとみなすことを許さないほどのものです。もっとも、この理論は現象を整理するのに役立ってきたかもしれず、これからも役立つかもしれません。 そこで私は、事実の説明を別の方向に求めることにしました。すなわち、それらの事実は、帯電した物体の中だけでなく、取り巻く媒質の中でも起こっている作用によって生み出されると考え、感じ取れるほどの距離で直接に作用できる力の存在を仮定せずに、離れた物体のあいだの作用を説明しようと努めることにしたのです。 (3)ですから、私の提案する理論は「電磁場」の理論と呼ぶことができます。それは電気を帯びた物体や磁気を帯びた物体の近くの空間を扱うからです。また、それは「動力学的な」理論と呼ぶこともできます。その空間には動いている物質があり、それによって観察される電磁的な現象が生み出されると仮定するからです。 (4)電磁場とは、電気または磁気の状態にある物体を含み、取り巻いている空間の部分です。 それはどんな種類の物質で満たされていてもかまいません。あるいは、ガイスラー管やそのほかのいわゆる真空の場合のように、それからあらゆる粗い物質を取り除いて空にしようと努めることもできます。 しかし、それでも光と熱の波を受け取って伝えるだけの物質は、いつも残っています。そして、測れるほどの密度を持つ透明な物体をいわゆる真空の代わりに置いても、これらの放射の伝わり方が大きくは変わらないからこそ、私たちは、その波はエーテルという物質の波であって粗い物質の波ではなく、粗い物質があってもエーテルの動きを何らかの仕方で変えるだけだ、と認めざるをえないのです。 ですから私たちには、光と熱の現象から、空間を満たし物体にしみ通っているエーテルの媒質があり、それは動かされることができ、その動きを一部から別の一部へ伝えることができ、さらにその動きを粗い物質に伝えて、それを熱したりさまざまな仕方で影響を与えたりできる、と信じるいくらかの理由があります。 (5)さて、物体を熱するときにその物体に伝えられるエネルギーは、それより前には動いている媒質の中にあったはずです。なぜなら、波は物体に届くしばらく前に熱の源を離れていたのであり、そのあいだ、エネルギーは半分が媒質の動きの形で、半分が弾性の復元の形であったはずだからです。こうした考察から、W・トムソン教授は、媒質は粗い物質の密度と比べられるほどの密度を持つはずだと論じ、さらにその密度の下限まで示しました。 (6)ですから私たちは、いま扱っている科学の部門とは別の、独立した部門から得られた所与として、小さいけれども確かな密度を持ち、動かされることができ、その動きを一部から別の一部へ、大きいけれども無限ではない速さで伝えることのできる、行きわたった媒質の存在を受け入れてよいでしょう。 したがって、この媒質の各部分は、一つの部分の動きが残りの部分の動きに何らかの仕方でよるように、つながっていなければなりません。そして同時に、これらのつながりは、ある種の弾性的なたわみができなければなりません。動きの伝わりは瞬時ではなく、時間がかかるからです。 ですからこの媒質は、二種類のエネルギーを受け取って蓄えることができます。すなわち、その各部分の動きによる「現実の」エネルギーと、変位から弾性によってもとに戻るときに媒質がする仕事からなる「位置の」エネルギーです。 波の伝わりとは、この二つの形のエネルギーがかわるがわる一方から他方へと移り変わり続けることです。そしてどの瞬間にも、媒質全体のエネルギーの量は等しく分けられていて、半分が動きのエネルギー、半分が弾性の復元です。 (7)このような成り立ちを持つ媒質は、光と熱の現象を生み出す動きや変位のほかにも、別の種類の動きや変位ができるかもしれません。そしてそのうちのいくつかは、それが生み出す現象によって私たちの感覚に示されるような種類のものかもしれません。 (8)さて、私たちは、光を伝える媒質がある場合には磁気の作用を受けることを知っています。ファラデーが見つけたように、平面偏光の光線が、近くの磁石や電流が生み出す磁力線の向きに透明な反磁性の媒質を通り抜けると、偏光面が回転させられるからです。 その後ヴェルデ氏は、反磁性の物体の代わりに、塩化第二鉄のエーテル溶液のような常磁性の物体を置くと、回転が逆の向きになることを見つけました。 さて W・トムソン教授は、ただ光の振動だけを動きとして持つ媒質の各部分のあいだに働く力を、どのように配置しても、これらの現象を説明するには足りず、光をなしている振動の動きに加えて、媒質の中に磁化によって決まる動きがあることを認めなければならない、と指摘しました。 たしかに、磁気による偏光面の回転は、かなりの密度を持つ媒質でしか観察されていません。しかし、磁場の性質は、一つの媒質を別の媒質や真空に置き換えても、密な媒質がエーテルの動きをただ変える以上のことをしていると考えてよいほどには変わりません。ですから私たちには、磁気の効果が観察されるところではどこでも、エーテルの媒質の何らかの動きが起こっているのではないかと問う正当な根拠があり、そしてこの動きは、磁力の向きを軸とする回転の動きだと考えるいくらかの理由があります。 (9)では、電磁場で観察されるもう一つの現象を考えてみましょう。物体が磁力線を横切って動かされると、それはいわゆる起電力を受けます。物体の両端は互いに反対の電気を帯びようとし、電流が物体の中を流れようとします。起電力が十分に強く、ある種の化合物に作用させられると、それはその化合物を分解し、その成分の一方を物体の一方の端へ向かわせ、もう一方を反対の向きへ向かわせます。 ここに、抵抗があるにもかかわらず電流を起こす力の証拠があります。その力は、物体の両端を互いに反対の仕方で帯電させます。この状態は起電力の作用によってだけ保たれ、その力が取り除かれるとすぐに、等しく反対向きの力で、物体の中に逆向きの電流を起こし、物体のもとの電気の状態を取り戻そうとします。そして最後に、十分に強ければ、その力は化合物を引き裂き、その成分を反対の向きへ運びます。しかもその成分の自然な傾向は結びつくことであり、それも逆向きの起電力を生み出せるほどの力で結びつくことなのです。 つまりこれは、物体が電磁場の中を動くことによって、あるいはその場そのものの中で起こる変化によって、物体に作用する力です。そしてその力の効果は、電流を起こして物体を熱するか、物体を分解するか、そのどちらもできないときには、物体を電気分極の状態に置くかのいずれかです。電気分極の状態とは、向かい合う両端が互いに反対の電気を帯びた、拘束された状態で、物体は乱す力が取り除かれるとすぐに、そこから解き放たれようとします。 語釈 帯の外の語は 56 語です。★ 三つに割れ ます——★ 人の名 ( Faraday ・ weber ・ thomson )、★ 電気と磁気の語 ( electromotive ・ diamagnetic )、★ 光と媒質の語 ( luminiferous ・ undulations )。★ 人の名は覚えなくてよい です——★ どれも 「この人がこう言った」 という形で出てくるだけ です。 語(品詞) 意味 注 Dynamical en 形 動きの。力と運動でとらえる The professor explained the dynamical behavior of planets orbiting the sun. 教授は、太陽を回る惑星の動きの様子を、力と運動の面から説明しました。 Electromagnetic en 形 電磁の The motor relies on an electromagnetic field to spin its shaft. そのモーターは、軸を回すために電磁の場に頼っています。 Faraday en 名 ファラデー。電磁誘導を見つけた実験家 Geissler’s en 名 ガイスラーの。中を抜いたガラス管を作った人 MM en 略 お二人の。フランス語 Messieurs の略 alternately en 副 かわるがわる The two dancers stepped forward alternately throughout the entire performance. 二人のダンサーは、公演の間ずっとかわるがわる前に出ました。 ascertain en 動 確かめる The inspector visited the site to ascertain the cause of the fire. 検査官は、火事の原因を確かめるためにその現場を訪れました。 conductors en 名 電気を通すもの(複数) Silver and copper are both known as excellent electrical conductors. 銀と銅は、どちらも電気をよく通す優れた導体として知られています。 continual en 形 たえず続く The continual dripping of the faucet kept her awake all night. 蛇口からのたえず続く水滴の音が、彼女を一晩中眠らせませんでした。 decompose en 動 分けて別のものにする Fallen leaves gradually decompose and enrich the forest floor's soil. 落ち葉は、少しずつ分けて別のものになり、森の土を豊かにします。 decomposes en 動 分けて別のものにする(三単現) Sunlight gradually decomposes certain plastics left outdoors for years. 日光は、屋外に何年も置かれた特定のプラスチックを少しずつ分解します。 diamagnetic en 形 磁石に弱く反発する Bismuth is a well-known diamagnetic metal that weakly repels magnets. ビスマスは、磁石を弱く反発するよく知られた反磁性の金属です。 electrified en 動 電気を帯びさせられた The fence around the