14.2 百九十七語で共同体を作る — 約束は一文で書けた — Epoché
この篇でできるようになること ★ 短い文書がどう組まれているか が見える。 ★ 宗教の語で世俗の約束をする 書き方が分かる。 ★ 二つずつ並べる 言い方が拾える。 ★ 綴りが固まっていない英語 が読める。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は どの篇から読んでもかまいません 。★ 1 篇が 1 作品 で、★ 前の篇を読んでいなくても通じるように書いてあります。 ★ これは 千六百二十年 の文書 です。★ 船の名が メイフラワー で、★ その船で渡った人たちが 船の中で署名しました 。 ★ 読む前に、二つ確かめてください。 どちらのことか 確かめること ★ 歴史のこと ★ この人たちがどこから来て、何を持ってきたか( 12.12 知編 ) ★ ことばのこと ★ 英語の書き手が聖書の語をどう使うか( 12.17 知編 ) ★ 12.17 知編 で、 英語には出典を書かずに引かれる本が二つある と置きました。 ★ この篇の要の語 covenant は、 その一つから来て います。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 197 語、段落は 3 です。段落ごとの語数は 38・119・40 語です。 どの段落か 語数と文の数 ★ だれが約束するか ★ 38 語・ 2 文 ★ 何を約束するか ★ 119 語・ 1 文 ★ いつどこで署名したか ★ 40 語・ 2 文 ★ 真ん中の段落が要 です。★ 119 語が ぜんぶ一文 で、★ ここに約束の中身が入っています。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 神の御名において、アーメン。下に名を記したわれらは、神の恩寵により、グレートブリテン、フランス、アイルランドの王、信仰の擁護者等である、畏れ多きわれらの主君ジェームズ王の忠実な臣民です。 われらは、神の栄光とキリスト教の信仰の発展、そしてわれらの王と国の名誉のために、ヴァージニアの北部に最初の植民地を築く航海を企てたので、この証書によって、神の前で、また互いの前で、厳かに、かつ共に誓い、われらを結び合わせて一つの市民の政治体とします。それは、われらのよりよい秩序と保全のため、また前に述べた目的を推し進めるためです。そしてこれにもとづいて、この植民地の全体の善にもっともふさわしく、都合よいと考えられるような、正しく等しい法・取り決め・法令・定め・役職を、そのときどきに制定し、設け、形づくります。われらはそれらに、しかるべき服従と従順をすべて捧げることを約束します。 その証しとして、われらはここにわれらの名を署名しました。ケープコッドにて、イングランド、フランス、アイルランドの王としては第十八年、スコットランドの王としては第五十四年にあたる、われらの主君ジェームズ王の治世、主の年 1620 年 11 月 11 日。 語釈 帯の外の語は 42 語です。★ 三つに分かれます ——★ 王と国の名 ( Sovereigne ・ Britaine ・ Virginia )、★ 祈りと誓いの語 ( Amen ・ Grace ・ solemnly )、★ 取り決めの語 ( Ordinances ・ Submission ・ Obedience )です。★ hereof ・ hereunto のような here- で始まる語は、 いまも契約書に残って います( 12.20 知編 )。 語(品詞) 意味 注 Advancement en 名 広め進めること Advancement of science depends on sharing results openly. 学問を広め進めるには、結果を開いて分け合うことが要ります。 Amen en 間 アーメン。祈りの結び The whole room answered amen and then sat down. 部屋のみんながアーメンと答えて、それから座りました。 Anno en 名 年。 Anno Domini で主の年(ラテン語) Britaine en 名 ブリテン。 Britain の十七世紀の綴り Cape en 名 岬 The ship rounded the cape just before the storm. 船は嵐の直前に岬を回りました。 Christian en 形 キリスト教の The village has a small Christian church beside the river. その村には、川のそばに小さなキリスト教の教会があります。 Cod en 名 たら。 Cape Cod で鱈の岬 We bought fresh cod at the market this morning. 今朝、市場で新しいたらを買いました。 Defender en 名 守る人。 Defender of the Faith で信仰の擁護者 She became the defender of every stray cat nearby. 彼女は近くのすべての野良猫を守る人になりました。 England en 名 イングランド France en 名 フランス Furtherance en 名 後押しすること The money was given in furtherance of the school project. そのお金は、学校の計画を後押しするために出されました。 Generall en 形 全体の。 general の十七世紀の綴り Glory en 名 誉れ The glory of the victory faded within a week. 勝利の誉れは、一週間で薄れました。 Grace en 名 恵み。 by the Grace of God で神の恵みによって She thanked her neighbours for their grace during the flood. 彼女は、洪水のあいだの隣人たちの恵みに感謝しました。 Ireland en 名 アイルランド James en 名 ジェームズ。イングランドの王ジェームズ一世 Lord en 名 主。ここでは国王への呼び方 The servants bowed and called him my lord. 召使たちは頭を下げて、彼を主と呼びました。 Northerne en 形 北の。 northern の十七世紀の綴り Obedience en 名 言うことに従うこと Obedience is easier to teach a dog than a cat. 言うことに従わせるのは、猫よりも犬のほうがやさしいです。 Ordinances en 名 取り決め(複数) The city passed new ordinances about noise at night. 市は夜の騒音についての新しい取り決めを通しました。 Politick en 形 政の。 Body Politick で政治の体=国 Preservation en 名 守り保つこと The town spends little on the preservation of old houses. その町は、古い家を守り保つことにほとんどお金を使いません。 Raigne en 名 治世。 reign の十七世紀の綴り Scotland en 名 スコットランド Sovereigne en 形 君たる。 sovereign の十七世紀の綴り Submission en 名 身を委ねて従うこと His silence looked like submission, but it was patience. 彼の沈黙は身を委ねて従っているように見えましたが、じつは辛抱でした。 Virginia en 名 ヴァージニア。当時の英国の植民地(北米の東岸) Voyage en 名 航海 Their voyage across the Pacific lasted almost three months. 太平洋を渡る彼らの航海は、三か月近く続きました。 aforesaid en 形 前に述べた The aforesaid witness never appeared at the second hearing. 前に述べた証人は、二度目の審理に現れませんでした。 civill en 形 市民の。 civil の十七世紀の綴り doe en 動 する。 do の十七世紀の綴り domini en 名 主の。 Anno Domini で主の年(ラテン語) dread en 形 畏るべき A dread silence fell over the crowded hall. 畏るべき静けさが、人でいっぱいの広間を覆いました。 equall en 形 等しい。 equal の十七世紀の綴り etc en 略 など Bring a pen, a notebook, etc., to the first class. 最初の授業には、ペンやノートなどを持ってきてください。 fiftie en 形 五十。 fifty の十七世紀の綴り hereof en 副 このことの。 by Virtue hereof でこれによって The terms hereof apply to every branch of the company. 本書の条項は、会社のどの支店にも当てはまります。 hereunto en 副 これに。 hereunto subscribed でこれに署名した The two parties have hereunto set their hands and seals. 両当事者はこれに署名し、印を押しました。 meete en 形 ふさわしい。 meet の十七世紀の綴り solemnly en 副 厳かに She solemnly promised to keep her friend's secret. 彼女は友人の秘密を守ると厳かに約束しました。 unto en 前 〜へ。 to の古い形 The old book was handed unto the youngest daughter. その古い本は、いちばん下の娘へ手渡されました。 whereof en 接 そのことについて In witness whereof, the two sides signed the agreement. そのことの証として、両者は合意に署名しました。 約束は一文で書けた ★ 真ん中の段落を、 四つに割って みます。 ★ 119 語ありますが、 骨は四つだけ です。 どの部分か 何をしているか Having undertaken for the Glory of God ★ なぜ来たかを先に置く covenant and combine ourselves together into a civill Body Politick ★ 約束の中身。一つの体になる to enact, constitute, and frame, such just and equall Laws ★ そのために何をするか unto which we promise all due Submission and Obedience ★ 作った法に従うと約束する ★ 順が大事 です。★ 「一つの体になる」→「法を作る」→「その法に従う」 ——★ これが 国の作り方の骨 で、★ 14.4 英語の名文 の憲法も 同じ順 です。 ★ 主語と動詞を探してください ( 3.34 型編 )。★ 主語は 第一段落の We で、★ 動詞は doe (いまの do )です。 ★ 段落をまたいで 一つの文がつながって います ——★ だから、 途中で切ると主語が見えなくなり ます。 宗教の語で、世俗の約束をする ★ covenant は ふつうの「契約」ではありません 。★ 神と人との約束 を言う語です。 どの語か どこの語か ★ contract ★ 商いと法の語。破れば償う ★ covenant ★ 聖書の語。神の前で結ぶ( 12.17 知編 ) ★ 本文は、 その語を人と人のあいだに使って います。 solemnly and mutually in the Presence of God and one of another, covenant and combine ourselves together ★ in the Presence of God and one of another —— 「神の前で、そして互いの前で」 。★ 神と人を 並べて置いて います ——★ これが、 宗教の語で世俗の取り決めをする ということ です。 ★ いまの英語にも残っています ——★ covenant は 土地の約款 や 労働協約 の語として使われます。 ★ もとの重さが、 語に付いたまま です。 二つずつ並べる ★ この文書は、 語を二つずつ並べる 書き方で通しています。 本文の並び 日本語 solemnly and mutually ★ 厳かに、そして互いに covenant and combine ★ 誓い、そして結び合う just and equall Laws ★ 正しく、等しい法 Submission and Obedience ★ 身を委ね、言うことに従う ★ どの組も、 二つの語の意味がほとんど重なって います 。★ なぜ重ねるのでしょうか 。 どんな理由か 何が起きるか ★ 抜け道をふさぐ ★ 片方の語で言い抜けられなくなる( 12.20 知編 ) ★ 声にしたときに重くなる ★ 誓いとして読み上げる文書だから ★ これは、いまの契約書の terms and conditions ・ null and void と 同じ癖 です。★ 12.20 知編 で「なぜ契約書は長いのか」を置きました が、★ 理由の一つが この二語ずつ です。 ★ 三つ並べるところも一か所あります —— enact, constitute,