5.30 学術の議論 — 対話は、交互に来る — Epoché
この課で聞き取れるようになること ★ 交互に来る ことを使って、話し手を追える。 ★ 問いと答えの長さの差 が分かる。 ★ 問い返し が議論を進めることが分かる。 ★ 固有名詞は聞き取れなくてよい と分かる。 前提 : 5.29 まで。型は 3.48 まで。語は 4.64 まで。 聞く前に ★ 対話を聞くとき、いちばん困るのは 誰が話しているか分からなくなる ことです。 ★ 声で見分けようとすると、たいてい失敗します ——★ 読み上げの声は似ているし、実際の録音でも、 途中から聞くと分かりません 。 ★交互に来る、という手がかり 何を頼りにするか どれくらい効くか ★ 声の高さ ★ あまり効かない ★ 交互に来ること ★ いちばん効く ★ 問いか答えか ★ よく効く ★ 二人の対話では、 一人が終われば、次はもう一人 です。 ★ だから、 一つ分かれば、あとは全部分かります 。 ★ けれども、 同じ人が続けて二回言うこともあります ——★ この台本にも一か所あります。 ★ そこで崩れないように、 二つめの手がかり を持っておきます。 ★問いは短く、答えは長い どちらか 長さ 誰か ★ 問う人 ★ 短い ★ エウテュプロン ★ 答える人 ★ 長い ★ ソクラテス ★ これは、この対話に限った話ではありません。 ★ 5.29 聞編 で「質問には三つの型しかない」と置きました ——★ 問いは型があるから短く、答えは型が無いから長くなります。 ★ ただし、この対話では あとで逆転します 。 ★ ソクラテスが問う側にまわると、 ソクラテスの台詞が短くなります ——★ それが、この人のやり方 です。 ★固有名詞は、聞き取れなくてよい ★ この台本には、地名と人名が出ます ——★ リュケイオン、エウテュプロン、アテナイの人びと。 ★ 聞き取れなくても、 話は追えます 。 ★ 名前は、 そこに誰かがいる という印でしかない からです。 聞き取れなくて困る語 困らない語 ★ 動詞 ★ 人名 ★ 否定の語 ★ 地名 ★ 数 ★ 官職の名 ★ これは、 聞くときの手の抜きどころ です。 ★ 全部聞こうとすると、 大事なところで力が尽きます 。 知っておく語 聞き方 三度聞きます。 ★ 一度目は、 何回入れ替わったか だけを数える。 ★ 中身は取らなくてよい。 ★ 二度目は、 どちらが問い、どちらが答えか を分ける。 ★ 同じ人が続けて言うところを見つける。 ★ 三度目に、 告発の中身 を聞く。 ★ 何をしたと言われているのか。 ★ 一度目で中身を取ろうとしないでください。 ★ 5.29 聞編 までで置いたとおり、 形を先に取ると、内容が分からなくても位置が分かります 。 問い 台本を聞いて、答えてください。 ★ 話し手は何回入れ替わったか。 ★ 同じ人が続けて言っているのは、何番めと何番めか。 ★ ソクラテスを訴えているのは、どんな人だと言われているか。 ★ 告発の中身は何か。 ★ 二つ言われています。 ★ この九つの台詞のうち、いちばん長いのはどれか。 ★ そして、誰の台詞か。 練習 台本を 三度聞く 。★ 上の「聞き方」の順で 。 ★ 問いの台詞だけ を音読する。★ 四つあります。 ★ どれも what か who で始まるか、 語順が入れ替わっています 。 ★ 二人で読む 。★ 相手がいなければ、 声の高さを変えて 一人で二役をやる。 ★ 入れ替わりの場所で一拍おいてください。 ★ 最後の台詞をそらで言えるまで 音読する。★ 告発の中身が、ここに全部入っています。 この課のまとめ ★ 対話は交互に来る。 一つ分かれば、あとは全部分かる。声で見分けようとすると、たいてい失敗する。 ★ 同じ人が続けて言うこともある。 だから、二つめの手がかりを持っておく。 ★ 問いは短く、答えは長い。 問いには型があるから短く、答えには型が無いから長くなる( 5.29 聞編 )。 ★ ソクラテスが問う側にまわると、ソクラテスの台詞が短くなる。 それが、この人のやり方。 ★ 固有名詞は聞き取れなくてよい。 名前は「そこに誰かがいる」という印でしかない。 ★ 聞き取れないと困るのは、動詞・否定の語・数。 ★ 全部聞こうとすると、大事なところで力が尽きる。 手の抜きどころを決めておく。 次の課へ 次の課は 5.31 、 セミナーの質疑 です。★ この課では、二人のやりとりを聞きました。 ★ 次は、 三人以上 です ——★ 交互に来る、という手がかりが使えなくなります。 答え 「問い」の五つの答えです。 ★ 七回 です。★ 台詞は九つありますが、 入れ替わりは七回 ——★ 一か所で同じ人が続けて言っている から です。★ 数え方に気をつけてください ——★ 台詞の数から一つ引いたものが入れ替わりの数とはかぎりません。 ★ 三番めと四番め です。★ どちらもエウテュプロンの問い ——★ 「では、ほかの誰かがあなたを訴えているのですか」「それは誰ですか」。 ★ 短い問いが二つ続くのは、 相手の答えが短かったから です。 ★ あまり知られていない若い人 だと言われています。★ ソクラテス自身も「ほとんど知らない」と言っています。 ★ 8.137 読編 の『弁明』では、この人の名が メレトス だと書かれています ——★ ここでは、 名前を聞き取れなくても困りません 。 ★ 二つあります。 ★ 一つは 若い人をそこなっている 、もう一つは 新しい神を作り出し、古い神を否定している 。 ★ 8.137 読編 の『弁明』で、ソクラテスが答えるのがこの二つ です。 ★ いちばん長いのは最後の台詞、ソクラテスのもの です。★ そして、 いちばん大事な台詞でもあります ——★ 告発の中身がここに全部入っている から です。★ 「長い台詞に中身がある」は、 この対話ではおおむね当たります 。 ★ けれども、 いつもそうとはかぎりません ——★ 長いだけの台詞もあります。 台本 答えを出してから読んでください。★ 一段落が一人の台詞 です。 Why have you left the Lyceum, Socrates? [1] Not in a suit, Euthyphro; impeachment is the word which the Athenians use. [1] Then some one else has been prosecuting you? [1] And who is he? [1] A young man who is little known, Euthyphro; and I hardly know him [1] But what is the charge which he brings against you? [1] He says he knows how the youth are corrupted and who are their corruptors. [1] But in what way does he say that you corrupt the young? [1] he says that I am a poet or maker of gods, and that I invent new gods and deny the existence of old ones [1] 参考文献 Plato『Euthyphro』(Jowett 訳)。パブリックドメイン(Project Gutenberg)。