9.28 思考の道具箱 — 二十七を、詰まりから引く — Epoché
この課でできるようになること ★ 詰まりの形から、戻る課を引ける 。 ★ 道具を二つ以上組んで使える 。 ★ 自分に足りていない道具を名指しできる 。 ★ この編で持ち歩く英語の形を決められる 。 前提 : 9.27 まで。読は 8.192 まで。語は 4.88 まで。 道具 道具箱の一覧は、★ 前から順に読むものではありません 。★ 引くもの です。★ 引き方は一つ ——★ いま詰まっている形から引きます 。 ★ だから、 一覧より先に逆引きを置きます 。 ★ 「何が書けないか」から 戻る課 へ 。 何が書けないか どこへ戻るか ★ 言いたいことが一文にならない 9.2 論編 ★ 語の意味で揉めて進まない 9.3 論編 ・ 9.14 論編 ★ 根拠が弱いと言われた 9.1 論編 ・ 9.23 論編 ★ 数字をどこまで信じてよいか分からない 9.21 論編 ・ 9.22 論編 ★ 長くなって筋が見えなくなった 9.13 論編 ・ 9.23 論編 ★ 読んだ論文をどう評していいか分からない 9.26 論編 ★ この表の使いどころは、 書いている途中 です。 ★ 書き終わってから引くと、 直すところが多すぎて手が止まります 。 道具は、二つ以上を組んで使う ★ 一つで足りる場面は、まずありません 。★ この編の課が 互いを名指ししている のはそのため です。 どんな場面か どの二つを組むか ★ 会議で数字が出た 9.21 論編 で検め、 9.22 論編 で論じる ★ 提案書を書く 9.16 論編 で序を立て、 9.23 論編 でまとめる ★ 研究を始める 9.10 論編 で問い、 9.25 論編 で計画にする ★ 相手と噛み合わない 9.27 論編 で定義を求め、 9.20 論編 で型を見る 足りていない道具を、名指しする ★ 一覧のもう一つの使い道 が、★ 自分の欠けを探すこと です。★ 「使ったことがない道具」は、 だいたい決まった場所に固まります 。 どこが固まっているか 何が起きているか ★ 第 4 期の四つ ★ 反対を先に考える癖が付いていない ★ 第 5 期の五つ ★ 人に渡す前提で書いていない ★ 第 7 期の四つ ★ 決める人向けに書いたことがない 二十七の一覧 ★ 期ごとに並べます 。★ この順は 積んだ順 です ——★ うしろの道具は、 前の道具を使える前提で 組んであります。 第 2 期の二つ — 論の入口 どの課か 何をする道具か 9.1 論編 主張と根拠を見分ける 9.2 論編 一文で要約する 第 3 期の四つ — 言葉を操る どの課か 何をする道具か 9.3 論編 定義する 9.4 論編 分ける — 分類と基準 9.5 論編 比べる — 共通点と相違点 9.6 論編 原因と結果を言い分ける 第 4 期の四つ — 疑う どの課か 何をする道具か 9.7 論編 反対意見を先に想定する 9.8 論編 事実と意見を分ける 9.9 論編 数字を読む 9.10 論編 問いを立てる 第 5 期の五つ — 人に渡す どの課か 何をする道具か 9.11 論編 出どころを示す 9.12 論編 限界を書く 9.13 論編 長い論の地図を描く 9.14 論編 争われている語を使う 9.15 論編 論を人に渡す 第 6 期の五つ — 論文の形で読む どの課か 何をする道具か 9.16 論編 論の序 — 領域・隙間・占有 9.17 論編 先行研究を運び、位置を決める 9.18 論編 方法と結果を読む 9.19 論編 議論 — 解釈・限界・含意 9.20 論編 誤謬の十二の型 第 7 期の四つ — 決める人に渡す どの課か 何をする道具か 9.21 論編 数字を検める — 四つ問う 9.22 論編 数で論じる — 相関・基準・捨てたもの 9.23 論編 まとめて書く — 要旨・本体・但し書き 9.24 論編 決めたことを残す 第 8 期の三つ — 問いを立てる側へ どの課か 何をする道具か 9.25 論編 研究計画の骨を組む 9.26 論編 査読の四つの問い 9.27 論編 定義を求める問答 ★ 二十七のうち、 最後まで残るのは三つ だと思います。 ★ 主張と根拠を分けること、限界を書くこと、そして 定義を求めること 。 ★ ほかの二十四は、 この三つを場面ごとに言い換えたもの です。 実例 ★ 逆引きを、 三つの場面で通してみます 。 ★ どれも、 道具を一つ引いただけでは止まってしまう 場面 です。 一つめ — 報告に「言えることが弱い」と返された ★ まず引くのは 9.1 論編 です。★ 言い切っている文を抜き出し、 支える根拠を書き添える ——★ 9.26 論編 で人の論文にやったことを、自分の報告にやります。 ★ 書き添えられない文が出たら、 次に引くのは 9.12 論編 です。 ★ 落とすのではなく、 言える範囲まで弱める ——それが限界の書き方 です。 ★ 第 8 期に読んだ論文の、 止め方の一文 をここで思い出します。 warrant prospective evaluation [1] 「先を追う形での評価に値する」。★ 「やるべきだ」と言わずに、 次に確かめると書く ——★ これで所見はひとつ消えます 。 二つめ — 会議で「それは相関でしょう」と言われた ★ 引くのは 9.22 論編 です。★ ただし、 これだけでは言い返せません 。 ★ 相関だと認めたうえで 何が言えるか を示す必要があります。 ★ そこで 9.25 論編 を組みます 。★ 「いまは相関までです。因果を見るには こういう調べ方が要ります 」——★ 計画の形で返す のがいちばん強い。 ★ そして、 測っていないものを自分から言う 。 While cognitive reserve itself was not directly measured [2] 「蓄えそのものは、じかには測っていないが」。★ 先に言えば、 指摘されることが無くなります 。 三つめ — 相手と話が噛み合わない ★ いちばん多いのに、 いちばん道具が引かれない場面 です。 ★ 引くのは 9.27 論編 ——★ 定義を求めます 。 the general idea which makes all pious things to be pious [3] 「敬いのあるものすべてを敬いのあるものにしているその一般の考え」。★ 例ではなく、 貫く一つ を求める形 です。 ★ そのときに外せない一言 が、これです。 let us examine what we are saying [3] 「私たちが言っていることを調べてみよう」。★ 「私たちの」にしておくと、 定義が崩れても相手が負けたことになりません 。 ★ 9.24 論編 の「組み入れる」と同じ考え です。 ★ それでも噛み合わないなら、 9.20 論編 を引きます 。 ★ 噛み合わないのが 言葉のせいではなく運びのせい だった——という場合があるから です。 言い回し ★ 第 8 期に読んだ三つの原本から、 道具箱に入れて持ち歩く六つ を選びます。 ★ 六つとも、 言いすぎないための形 です。 書くときに持ち歩く三つ どんな形か どの道具か comparatively less attention has been directed [2] 9.16 論編 ・ 9.25 論編 の隙間 Existing studies of loneliness and mortality face methodological limitations [1] 9.17 論編 の位置づけ While cognitive reserve itself was not directly measured [2] 9.12 論編 ・ 9.23 論編 の但し書き 話すときに持ち歩く三つ どんな形か どの道具か warrant prospective evaluation [1] 9.19 論編 の含意の止め方 let us examine what we are saying [3] 9.27 論編 の一拍め you have not answered the question which I asked [3] 9.27 論編 の判定 ★ 最後の形だけは、 使うときに気をつけてください 。 ★ 強い言い方 です。★ 言う前に、 ほんとうに問いに当たっていないのか をもう一度見る ——★ 9.26 論編 の最後の手順と同じ です。 やってみる ★ 一覧を見て、 使ったことのない道具に印を付ける 。 ★ 印が期ごとに固まっていないかを見てください 。★ 固まっているなら、 抜けているのは道具ではなく場面 です。 ★ 直近に書いた文書を一つ選び、 使った道具を数える 。 ★ 三つ以下なら、 組み合わせを一つ足せます 。 ★ 逆引きの表から一つ引いて、当ててください。 ★ 逆引きの表に、自分の行を三つ足す 。★ 自分がよく言われる指摘 を左の欄に書き、★ 戻る課を右の欄に書く 。★ 右が書けない指摘が、 この編に無い道具 です。 ★ 持ち歩く六つの英語を、 三つに絞る 。 ★ 絞る基準は一つ ——★ この一月のうちに 言う場面があったか 。 ★ 無かった形は、 いま覚えても出てきません 。 練習 「言い回し」の六つを 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ 書くときの三つと話すときの三つを、 別の速さで音読 する。 ★ 書くときの形はゆっくり、話すときの形はふつうの速さで 。★ 話す形は、 詰まらずに出せて初めて道具になります 。 ★ 「実例」の三つめに引いた二文を、 そらで言えるまで 音読する。 ★ 定義を求める形と、二人のものにする形 。★ この二つは 続けて使う ので、続けて覚えてください。 AI への頼み方 ★ 道具箱は、 AI に引かせることができます 。 ★ ただし、 AI はこの課程の課を知りません 。 ★ だから、 一覧をこちらから渡す のが前提 です。 何を頼むか 頼み方の型 ★詰まりから道具を引かせる 「次に 二十七の見出しの一覧 を貼ります。私がいま詰まっているのは〈ここに詰まりを一文で〉です。★ 当たる見出しを二つだけ 選び、 なぜその二つかを一行ずつ 書いてください。★ 一覧に無い助言は書かないで ください」 ★使った道具を数えさせる 「この文書を読み、 一覧のどの見出しが使われているか を挙げてください。★ 使われていると言うときは、その根拠になる箇所を本文から引いて ください」 ★足りない道具を指させる 「この文書に 一覧のうち足りていないもの を三つ挙げ、 足すとどこがどう変わるか を一行ずつ書いてください。★ 文書は書き直さないで ください」 ★ 一つめの「一覧に無い助言は書かないで」が要点 です。★ 外すと、 一般的な書き方の助言 が十行ほど返ってきます ——★ 読む分には悪くありませんが、 戻る場所が示されません 。 ★ 二つめの「根拠になる箇所を引いて」も同じ理由 です。★ 引かせないと、 使っていない道具まで「使っています」と返ってきます 。 ★ 9.26 論編 の査読の定型と、 同じ一言 です。 ★ そして、 道具を足させないこと 。 ★ 「二十八番めの道具」を作ってもらうことはできますが、 それは戻る課を持ちません 。 ★ この一覧の値打ちは、 一つ一つに戻って読み直せる課がある ことです。 この課のまとめ ★ 一覧は覚えるためではなく、引くためにある 。引き方は「いま何が書けないか」から。 ★ 引くのは書いている途中 。書き終わってから引くと、直すところが多すぎて手が止まる。 ★ 道具は二つ以上を組んで使う 。この編の課が互いを名指ししているのは、そのため。 ★ 使ったことのない道具は、期ごとに固まる 。抜けているのは道具ではなく、場面。 ★ 並びは積んだ順 。うしろの道具は、前の道具を使える前提で組んである。 ★ 最後まで残るのは三つ ——主張と根拠を分ける・限界を書く・定義を求める。 ★ ほかの二十四は、その三つの言い換え 。場面が変わると同じことが別の名で要る。 ★ 持ち歩く形は六つでよい 。書くための三つと、話すための三つ。 ★ 六つとも、言いすぎないための形 。論の道具はほとんど、強く言わないための道具。 ★ AI に道具を足させない 。一覧の値打ちは、一つ一つに戻れる課があること。 次の課へ 論編はこの課で終わりです。★第 8 期の学習順では、論の次は 作 です。次の課は 10.25 、 第 9 編「作」の第 8 期のはじめ です。★ この編で置いた二十七は、 読むための道具でもあり書くための道具でもあります 。 ★ 作編では、 手で動かす側 に回ります ——★ 道具箱を開けたまま書きはじめてください。 答え 「やってみる」の四つの答えです。 ★ 印は、たいてい 第 4 期と第 7 期 に固まります。 ★ どちらも 自分ひとりでは場面が作れない 道具 です——★ 反対されること、決める人に渡すこと。 ★ 固まっていたら、 道具を覚え直すより場面に出るほうが早い です。 ★ 数えると、 三つ以下がふつう です。 ★ 少ないのは悪いことではありません ——★ 短い文書に七つ入れると 読みにくくなります 。 ★ 足すなら、 9.12 論編 の限界 を選んでください ——★ 一段足すだけで、 どんな文書でも強くなります 。 ★ 右が書けない指摘は、 二通りあります 。 ★ 一つは ほかの編にある ——読みにくい、長い、といった指摘は 作編 の仕事 です。★ もう一つは、 そもそも論の指摘ではない ——「もっと前に相談してほしかった」は書き方の話ではありません。 ★ 分けておくと、 直せない指摘に時間を使いません 。 ★ 絞ると、たいてい 書くための三つ が残ります。 ★ 話す形は、 場面が来るまで出てきません 。 ★ だから残らなくてよいのです ——★ この課の一覧に戻れば、 場面が来たときに引ける ——★ それがこの課の役目 です。 参考文献 Oluwasegun Akinyemi ほか, "Loneliness and all-cause mortality in the United States",