1.1 母音を入れない — strike は 1 音節 — Epoché
この課でできるようになること strike を「ス・ト・ラ・イ・ク」の 5 拍でなく 1 音節で言える。 子音が続くところ( st ・ str ・ nd ・ lp )と語末の子音( t ・ k ・ p ・ d )に母音を足さない 3 つの規則を知る。 自分の音読を判定にかけ、語末の子音が届いているかを綴りで確かめられる。 前提 : 0.1 まで。 音編に入ります。この編の題は「カタカナを脱ぐ」です。新しい音を一から覚える編ではありません。あなたはすでに、英語の基本語の 6 割をカタカナで持っている。問題はその形です。カタカナは日本語の音の単位—— 子音のあとに必ず母音がつく「拍」 ——で英語を写すので、英語には無い母音がたくさん足されています。 strike という語を見てください。英語では 1 音節、つまり母音は真ん中の 1 つだけです。カタカナの「ストライク」は ス・ト・ラ・イ・ク の 5 拍。母音が 4 つ足されています。この課程が使う基本語 2,809 語を音の辞書(CMUdict)で数えると、 子音が続く語が 57%、子音で終わる語が 76% ありました。そしてカタカナで知っている 1,630 語の拍数は、英語の音節数の平均 2.4 倍です。つまり「知っている語ほど、余計な母音を抱えている」。この課はその母音を抜きます。 日本語との差 日本語の音の単位は拍(モーラ)で、「ん」と「っ」を除けば、拍は子音 1 つと母音 1 つの組です。子音が 2 つ続くことも、子音で語が終わることもありません。だから外来語を取り込むとき、日本語は続く子音の間と語末に母音を入れます。入れる母音はだいたい決まっていて、 t と d のあとは「オ」(ストップ・ハンド)、それ以外は「ウ」(スポーツ・ミルク)です。 英語の単位は音節で、母音が芯です。芯の前後に子音がいくつ付いてもよく、前に 3 つ( str )、後ろに 3 つ( nds )まで珍しくありません。芯が 1 つなら 1 音節。だから英語の語は、カタカナで書いたときより必ず短くなります。 英語の語 カタカナ(拍) 英語(音節) strike ストライク(5) 1 street ストリート(5) 1 first ファースト(5) 1 next ネクスト(4) 1 friend フレンド(4) 1 school スクール(4) 1 test テスト(3) 1 hand ハンド(3) 1 表の右の列を見てください。8 語とも 1 音節です。左の列は 3〜5 拍。この差が、あなたの英語が「通じにくい」「聞き取れない」の最大の理由の一つです。相手は 1 音節を待っているのに、5 拍が来る。逆に、相手が 1 音節で言った語を、あなたは 5 拍の形でしか持っていないので、聞いても一致しません。 母音を入れないための 3 つの規則 規則 1: 続く子音は一息で。 st ・ str ・ sp ・fr・ nd ・ nt ・ lp ・ sk のように子音が並ぶところは、間に何も入れず、息を止めずに一続きで出します。「ス」と言いかけて母音の「ウ」に行かず、 s の摩擦のまま次の t へ移る。最初は口の形だけ作って声を出さない練習が効きます。 規則 2: 語末の子音は「止める」だけ。 test の最後の t 、 help の最後の p 、 hand の d は、舌や唇をその位置に置いて息を止めれば終わりです。「ト」「プ」「ド」と開放して母音を出さない。英語の母語話者も、語末の破裂音はしばしば開放しません。開放しなくても、その前の母音の長さで語が分かるからです(この長短の話は 1.11 でもう一度扱います)。 規則 3: 弱い母音は短く。 語の中に母音を「入れない」ことと、弱い母音を「潰さない」ことは別です。 about の a のような弱い母音(曖昧母音)は短く軽く出す。これは 1.6 音編 と 1.7 音編 の強勢の課題なので、この課では「足さない」ことだけに集中します。 語表 この課の 16 語は、すべて第 1 期の語彙(NGSL 上位 600 語)にあり、すべてカタカナで見たことがあるはずの語です。「カタカナとの差」の列に、拍と音節の数を書きました。意味は書いていません——語を押せば辞書が出ます。 強勢の型 の ● は強く言う音節、○ は弱い音節です。 street en 名詞 ● [stɹˈit] カタカナとの差 ストリート → ● (5 拍を 1 音節に) 連語 across the street It's across the street. [17] 通りを渡って向こう側です。 The street is full of cars. [1] その通りは車でいっぱいだ。 first en 形容詞・副詞 ● [fˈɚst] カタカナとの差 ファースト → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 at first Do this first. [18] 最初にこれをして。 I was the first in line. [2] 列の先頭でした。 next en 形容詞・副詞 ● [nˈɛkst] カタカナとの差 ネクスト → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 next week Who is next? [19] 次は誰。 May I sit next to you? [3] 隣に座っても良いですか。 test en 名詞・動詞 ● [tˈɛst] カタカナとの差 テスト → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 take a test How was the test? [20] テストの感触は? He has a test next week. [4] 彼は来週試験を受けます。 best en 形容詞 ● [bˈɛst] カタカナとの差 ベスト → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 do your best Do your best! [21] 最善を尽くしなさい。 It's best if you go. [5] 行った方がいいよ。 world en 名詞 ● [wˈɚld] カタカナとの差 ワールド → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 in the world The world has changed. [22] 世の中は変わってしまった。 The world is a warm place. [6] 世の中、ホカホカなのよ。 help en 動詞・名詞 ● [hˈɛlp] カタカナとの差 ヘルプ → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 help me Can I help? [23] 手伝おうか? May I help you ma'am? [7] 何をさしあげましょうか、奥様。 stop en 動詞・名詞 ● [stˈɑp] カタカナとの差 ストップ → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 stop talking He stopped talking. [24] 彼は話をやめた。 He didn't stop the car. [8] 彼はその車をとめなかった。 start en 動詞・名詞 ● [stˈɑɹt] カタカナとの差 スタート → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 start working I started working. [25] 私は働き始めた。 I'll start with a beer. [9] まずビールからはじめよう。 last en 形容詞・副詞 ● [lˈæst] カタカナとの差 ラスト → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 at last She came last. [26] 彼女は最後にきた。 At last the jig is up. [10] ついに年貢の納め時が来たか。 just en 副詞 ● [dʒˈʌst] カタカナとの差 ジャスト → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 just do it Just do it. [27] いいからやれよ。 It's not just a pen. [11] そんじょそこらのペンじゃない。 friend en 名詞 ● [fɹˈɛnd] カタカナとの差 フレンド → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 make friends Are they friends? [28] 彼らは友達なんですか。 Is he a friend of yours? [12] 彼はあなたの友達なの? school en 名詞 ● [skˈul] カタカナとの差 スクール → ● (4 拍を 1 音節に) 連語 go to school Go to school. [29] 学校へ行きなさい。 I go to school by bus. [13] バスで学校に行きます。 hand en 名詞 ● [hˈænd] カタカナとの差 ハンド → ● (3 拍を 1 音節に) 連語 hand it over Hand it over! [30] それを寄越せ! I handed a map to him. [14] 彼に地図を手渡した。 strong en 形容詞 ● [stɹˈɔŋ] カタカナとの差 ストロング → ● (5 拍を 1 音節に) 連語 look strong He looks strong. [31] 彼は強そうにみえる。 I'm as strong as before. [15] 私は相変わらず健康です。 ask en 動詞 ● [ˈæsk] カタカナとの差 — 連語 ask her Let's ask her. [32] 聞いてみようよ。 I need to ask my mom. [16] 母さんに聞いてみないとな。 実文で通す 16 語を、実際に使われた短い文で通します。1 文ずつ読み上げを聞き、続けて音読してください。「見るところ」に、母音を足しやすい場所を書きました。 英文 日本語訳 見るところ It's across the street. [17] 通りを渡って向こう側です。 across の ss と street の str 。「アクロス・ザ・ストリート」にしない Do this first. [18] 最初にこれをして。 first の rst は 3 子音。 t で止める Who is next? [19] 次は誰。 next の xt 。「ネクスト」の ト を出さない How was the test? [20] テストの感触は? test の st と、 was の s Do your best! [21] 最善を尽くしなさい。 best の st 。「ベスト」の ト を出さない The world has changed. [22] 世の中は変わってしまった。 world の rld と changed の d Can I help? [23] 手伝おうか? help の lp 。 p は唇を閉じるだけ He stopped talking. [24] 彼は話をやめた。 stopped の pt は 2 つとも止める I started working. [25] 私は働き始めた。 started の st 、 working の ng She came last. [26] 彼女は最後にきた。 last の st 、 came の m Just do it. [27] いいからやれよ。 just の st 。「ジャスト」にしない Are they friends? [28] 彼らは友達なんですか。 friends の fr と nds Go to school. [29] 学校へ行きなさい。 school の sk 。「スクール」の ス に母音を入れない Hand it over! [30] それを寄越せ! hand の nd と over の r He looks strong. [31] 彼は強そうにみえる。 looks の ks 、 strong の str と ng Let's ask her. [32] 聞いてみようよ。 let's の ts 、 ask の sk 読み上げと音読 読み上げを聞くときは、 語の長さ に耳を向けてください。カタカナで言うより短い。次に同じ文を、聞きながら声を重ねます(シャドーイング)。3 回重ねたら、文字を見ずにもう一度。最後に「音読」を押して判定にかけます。判定は綴りで返るので、 best が bes や bet と返ったら語末の t が届いていません。 street が treat と返ったら、語頭の s が母音に負けています。 うまくいかない語は、口の形だけを作って息を止める練習から始めてください。声を出さないで st ・ str ・ nd の形を 5 回作り、それから声を乗せる。母音を「入れない」のは、口を次の子音の位置へ先に動かしておくことです。 もっと深く — 時間のあるときに じっくり取り組みたい人向けの、長めの講義や原典の解説です。この課を進めるのに見る必要はありません。長さを見て、興味のあるところだけ選んでください。 BOX SET: The complete guide to English Pronunciation 👄 Learn ALL 44 sounds of English in 75 minutes! BBC Learning English (75:43, 2020) 英語の 44 音を通しで。76 分。頭から見なくてよい——子音の連なりのところだけでよい 練習 語表の 16 語を、読み上げに続けて 音読 し、音読判定で綴りどおりに返った語に印をつける。返らなかった語を書き出す。 「実文で通す」の 16 文をシャドーイング(聞きながら声を重ねる)で 3 回ずつ。そのあと文字を伏せて(聞き取りを入れて)聞き、語末の子音が聞こえるかを確かめる。 次の 6 語を、カタカナの拍数と英語の音節数で分ける: desk ・ milk ・ sports ・ text ・ spring ・ strong 。(拍|音節) この課のまとめ 日本語の単位は拍(子音+母音)、英語の単位は音節(母音が芯、前後に子音が並ぶ)。カタカナは母音を足して拍にする。 規則 1: 続く子音は一息で。規則 2: 語末の子音は止めるだけで開放しない。規則 3: 弱い母音は短く(足