川の文言と、プラトンの紹介 — Epoché
解説 伝わる短い文言 ποταμοῖσι τοῖσίν αὐτοῖσιν ἐμβαίνουσιν ἕτερα καὶ ἕτερα ὕδατα ἐπιρρεῖ 訳:同じ川々に入る人々のところへ、次々と別の水が流れてくる。 エウセビオス『福音の準備』15.20.2に伝わる節。「同じ」を川々にかけた訳だが、入る人々にかける読みもある。自筆原本ではなく、この節に「二度」「入れない」はない。 出典1 別の古代の紹介 λέγει που Ἡράκλειτος ὅτι πάντα χωρεῖ καὶ οὐδὲν μένει, καὶ ποταμοῦ ῥοῇ ἀπεικάζων τὰ ὄντα λέγει ὡς δὶς ἐς τὸν αὐτὸν ποταμὸν οὐκ ἂν ἐμβαίης. 訳:たしかヘラクレイトスは、すべては移り、何もとどまらないと言っている。そして存在するものを川の流れになぞらえて、同じ川に二度は入れないだろうと言う。 プラトン『クラテュロス』402aで、作中のソクラテスが紹介する発言。ヘラクレイトス本人の確実な逐語引用として扱わない。「川」を「水」へ変えない。 出典2 文言と、紹介を分ける 前者は、同じものと異なる水を並べる。後者は、すべてが移るという説明と、二度は入れないだろうという表現を含む。残る言葉と、後代の紹介を分けて読む。 違いだけで、どちらが思想の全てかは決めない。前者に続く魂の文言は、今回の引用へ混ぜていない。 出典1 ・ 出典2 同じ川でも、残る文言を分ける 見る点 伝わる川の文言 プラトンの紹介 同じもの 川々と読む候補/入る人々の読みも 川(単数) 変化の表現 別の、また別の水が流れる すべては移り、何もとどまらない 二度・否定 この節にはない 二度は入れないだろう 伝わり方 エウセビオスが伝える文言 作中のソクラテスによる紹介 異なる伝承を一つの発言に合成しない。この短い組だけでヘラクレイトスの思想全体を決めない。 参考文献 [1] Eusebius伝/Dindorf編・Leipzig First1KGreek/Digital Divide Data転写・符号化。訳・区切りは本教材「ヘラクレイトスの川の文言(伝承)」。 出典 CC BY-SA 4.0(改変あり) [2] Plato/Burnet編。原版402aから本教材が転写・訳・区切りを作成「プラトン『クラテュロス』402a」。 出典 本教材の翻案 CC BY-SA 4.0(原典は古代の文言)