6.34 討論 II — 反論は一点に絞る — Epoché
この課で言えるようになること ★ 反論を一点に絞れる 。 ★ 反例 を一つ出して、「すべて」を崩せる。 ★ 根拠を問う ことができる( 5.29 聞編 )。 ★ 崩したら、条件を足して戻せる 。 前提 : 6.33 まで。論は 9.10 まで。 場面と話し手 ★ 6.33 話編 と同じ討論の続き です。★ こんどは、相手が主張する側 になります。 ★反論は、一点に絞る どう反論するか 相手は 聞いている人は ★ 全部おかしいと言う ★ どこを直せばよいか分からない ★ 何も受け取らない ★ 一点に絞る ★ そこを答えるしかない ★ 争点が見える ★ 10.10 作編 で「譲歩は一つだけ」と置きました。 ★ 反論も同じ です。★ 二つ以上出すと、相手は弱いほうだけに答えます。 ★反例が、いちばん短い反論 ★ 相手が「すべての〜は」と言ったら、当てはまらない例を一つ出すだけで崩れます。 相手の主張 必要な反論 手間 ★ すべての〜は ★ 当てはまらない例を一つ ★ 軽い ★ たいていの〜は ★ 数を示す ★ 重い ★ だから、相手が「すべて」と言うかどうかを聞いてください。 ★ 言ったら、そこが弱点 です。 ★ 逆に、自分が主張するときは「すべて」と言わない ことです( 3.36 型編 のヘッジ)。★ ヘッジは、反例で崩されないための守り でもあります。 ★日本語との違い ★ 日本語の討論では、反論の前置きが長くなりがちです。 ★ 「おっしゃることはよく分かりますし、たしかにその通りだと思うのですが、ただ一点だけ、気になるところがございまして」。 ★ ここまでで、まだ何も言っていません。 ★ 英語では、前置きは一文 です。★ 「もっともな点です」——それだけ。 ★ そして、すぐに一点を出します。 ★ 前置きが長いと、「言いにくいことを言おうとしている」と受け取られます ( 10.12 作編 )。 ★ もう一つの違いは、日本語では反論を問いの形にすることが多い ことです。★ 「〜ではないでしょうか」。 ★ 英語でも問いにはできますが、それは根拠を問うとき です( 5.29 聞編 の三つめの型)。★ 反例を出すときは、問いにしないで言い切ってください。 ★崩したら、戻す ★ 反論して終わりにしないでください。 ★ 相手の主張に条件を足して返します。 ★ 「つまり、その主張には条件が要りますね」。 ★ これで、討論が前に進みます。 ★ 崩しただけでは、どちらも何も得ていません。 対話 A 話者 英文 日本語訳 相手 Every student should take this class. [1] 学生はみな、この授業を取るべきです。 学習者 That is a fair point, but it misses one thing. [2] もっともな点ですが、一つ見落としがあります。 学習者 Here is one case that does not fit. [3] 当てはまらない例が、一つあります。 相手 That may be true in one case, but not in all. [4] 一つの場合には当てはまっても、すべてではありません。 ★ 二行目が「受け」、三行目が「反例」 です。★ 受けを先に置くのは、 6.26 話編 の「先に認める」 です。 ★ 相手の四行目に注目してください。 ★ 反例を認めて、自分の主張を限定し直しています。 ★ これが、よい討論の形 です。 対話 B 話者 英文 日本語訳 学習者 What is the evidence for that claim? [5] その主張の証拠は何ですか。 相手 We don't know much. [6] 私たち、あまり分かってないの。 学習者 So the claim needs a condition. [7] つまり、その主張には条件が要ります。 相手 Well, you may be right. [8] なるほど、君の言うとおりかもしれない。 ★ 一行目の「証拠は何ですか」が、 5.29 聞編 の三つめの型 です。★ ここでは前置きがありません。 ★ 討論では、それが許される場 だからです。 ★ 相手は「よく分かっていません」と答えました。 ★ これは負けではありません ( 3.36 型編 ・ 8.104 読編 )。★ 分からないと言える人は、分かったことも正直に言います。 言い換えと丁寧さ 直な言い方 討論での言い方 何が変わるか ★ それは間違いです ★ 一つ見落としがあります ★ 全体でなく一点を指す ★ 証拠がない ★ 証拠は何ですか ★ 問いにすると、相手に手が残る ★ あなたは言いすぎです ★ すべての場合ではありません ★ 範囲の話にする ★ 三つとも、人ではなく主張を指しています ( 6.33 話編 )。 言い回し 英文 日本語訳 どんなときに Well, you may be right. [8] なるほど、君の言うとおりかもしれない。 ★ 認めてから、自分を言う ( 10.10 作編 ) However, there's a problem. [9] だけど、問題があります。 ★ 一点に絞る合図 Even so, there are risks. [10] それでも、リスクはある。 ★ 相手を認めたまま進む We don't know much. [6] 私たち、あまり分かってないの。 ★ 分からないと認める ( 3.36 型編 ) That depends on the context. [11] それは文脈次第だね。 ★ 場合による と返す この課で使う型 — 型編の復習 型の名 この課での出方 戻る課 ★ ヘッジ may be true ・ not in all 3.36 型編 譲歩と反論 but の折り返し 10.10 作編 ★ 条件 needs a condition 3.30 型編 練習 対話 A と B を 音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ 「すべての学生は〜すべきだ」に対する反例を、英語で一文書く。 ★ 自分が 10.10 作編 で書いた主張に、自分で反例を出す。 ★ 出せたら、その主張にヘッジを足してください。 ★ 「崩して、戻す」を一往復やる。 ★ 反論のあとに、必ず条件を足した言い直しを置く。 この課のまとめ ★ 反論は一点に絞る。 ★全部おかしいと言うのは、何も言っていないのと同じ。 ★ 二つ以上出すと、相手は弱いほうだけに答える ( 10.10 作編 )。 ★ 反例が、いちばん短い反論。 ★「すべて」と言った主張は、例を一つ出せば崩れる。 ★ だから、自分が主張するときは「すべて」と言わない。 ★ヘッジは、反例で崩されないための守りでもある( 3.36 型編 )。 ★ 崩したら、戻す ——相手の主張に条件を足して返す。 ★ 崩しただけでは、どちらも何も得ていない。 ★ 「分かっていません」は負けではない ( 8.104 読編 )。 ★ 人ではなく主張を指す ( 6.33 話編 )。 次の課へ 次の課は 6.35 、 質問を作る です。★ 5.29 聞編 では、質問を聞きました。 ★ 次の課では、作ります。 ★ 閉じた問いと開いた問い ——★ どちらを使うかで、返ってくる答えの長さが変わります。 答え 「練習」の四つの答えです。 ★ 反例の一文だけ、少し速く読んでみてください。 ★ 短い反論は、短く言うほど効きます。 ★ 「働きながら学んでいる学生は、その時間に授業を取れない」 のような形です。★ 一つで足ります。 ★ 二つ出すと、弱いほうを突かれます。 ★ 自分の主張に反例が出せたなら、その主張は「すべて」と言いすぎています。 ★ ヘッジを足すと、反例では崩れなくなります。 ★ そのかわり、主張は弱くなります。 ★ この取引を、毎回することになります。 ★ 戻せたかどうかが、この課の要 です。★ 「つまり、〜という条件が要りますね」 まで言えたら、討論が一歩進んでいます。★ 言えなければ、相手を黙らせただけ です。 参考文献 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Tatoeba 文 #13474094(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/13474094 Epoché の作例です。 Tatoeba 文 #36255(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/36255 Tatoeba 文 #12463698(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/12463698 Tatoeba 文 #10987888(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/10987888 Tatoeba 文 #1535863(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1535863