3.46 圧縮した名詞句 — 右がいちばん大事 — Epoché
この課でできるようになること ★ 名詞の連鎖 を、右から読み解ける。 ★ 複数の印は最後の語だけ だと分かる。 形容詞の順 を並べられる。 ★ 長すぎる連鎖を of で開ける。 前提 : 3.45 まで。 例文で見る 10 文を並べます。行を押すと音が鳴ります。 右の列は、何がどう並んでいるか です。 英文 日本語訳 並び方 He's a high school student. [1] 彼は高校の生徒です。 ★ 名詞が名詞を修飾する 。 右が正体 A traffic accident happened there. [2] 交通事故はそこで起こった。 同じ形。 右の「事故」が正体 Speeding often causes car accidents. [3] スピードの出し過ぎはしばしば自動車事故のもとになる。 ★ 複数の印は最後の語だけ Do you accept credit cards? [4] クレジットカードは使えますか。 同じ。★ 前の名詞は単数のまま The world population will soon be doubled. [5] 世界の人口はまもなく2倍になるだろう。 二語の連鎖が主語になっている We debated on the question of world population. [6] 我々は世界の人口問題を討議した。 ★ 同じ中身を of で開いた形 I have a big black dog. [7] 私は大きくて黒い犬を飼っています。 ★ 形容詞の順 。 大きさ → 色 There were a few large old wooden houses in the town. [8] その町には大きな古い木造家屋が数軒あった。 ★ 四つ並んでいる 。 数量 → 大きさ → 古さ → 材料 An old wooden box served as table. [9] 古い木箱がテーブルの役目をした。 古さ → 材料 It is difficult to find a well paid permanent job. [10] 終身雇用で給料のよい仕事を見つけるのは難しい。 ★ 分詞 + 形容詞 骨組み ★右が、そのかたまりの正体 英語では、 名詞をそのまま名詞の前に置いて修飾できます 。★ つなぎの語は要りません。 例文の一つめ—— He's a high school student. [1] 。★ high school が student を修飾しています。 ★ この人は 生徒 であって、学校ではありません。 ★ 規則は一つだけ です。★ 並んだ列の いちばん右 が、そのかたまりの正体 。★ 左にあるものは、全部その説明 です。 ★ これは、日本語と同じ向き です。★ 「高校生」も、右の「生」が正体 です。★ だから、二語までなら日本語話者はまず間違えません。 ★三語をこえると、読むのが難しくなる Wikipedia の都市化の記事に、 五語つながった名詞句 があります—— the world urban population growth curve [11] 。 ★ これは何の話でしょうか。 ★ 右から読んでください。 どこから読むか 何が分かるか ★ いちばん右 ★ 曲線の話だ その左 何の曲線か—— 伸びかたの曲線 さらに左 何が伸びるのか—— 人口 さらに左 どの人口か—— 都市の いちばん左 どこの—— 世界の ★ 前から順に読むと、最後の語に着くまで何の話か分かりません。 ★ 「世界の」「都市の」「人口の」……と修飾だけが積み上がっていきます。 ★ だから、読むときは いったん右端へ飛んでから戻る ——★ これがこの形を読む唯一のやり方 です。★ 3.34 型編 で「長い文は主語と動詞だけ探す」と置いたのと、同じ考え方 です。★ 大きさが違うだけ です。 ★ 書く側から言えば、 三語まで が読みやすさの目安 です。★ 四語をこえたら、 of で開いてください。 ★ 例文の六つめが、その開いた形 です—— We debated on the question of world population. [6] 。 ★ 開くと長くなりますが、読む人は前から読めます。 ★ どちらを選ぶかは、 読む人が誰か で決めます ( 10.13 作編 )。★ 同じ分野の人なら、たたんだほうが速い のです。 ★複数の印は、最後の語だけ ★ 前に置かれた名詞は、単数のままにします。 例文の三つめと四つめを見てください—— Speeding often causes car accidents. [3] 。★ 事故は複数なのに、 car には s が付きません。 ★ 理由は、この car が 名詞ではなく、もう形容詞のように働いている から です。★ 英語の形容詞は、数で形を変えません。 ★ 例外は少しだけあります —— sports car 、 systems analyst のように、★ 複数の形で一語になってしまったもの です。★ これは覚えるしかありません。 ★形容詞が並ぶ順 形容詞が二つ以上並ぶときは、★ 順が決まっています 。 どの種類 例の語 何を言っているか 数量 a few ・ three いくつあるか 評価 beautiful ・ difficult ★ 話し手の見かた 大きさ・形 large ・ round 測れること 古さ old ・ new いつのものか 色 black ・ red 見た目 出どころ Japanese ・ urban どこのものか 材料・用途 wooden ・ credit ★ いちばん名詞に近い 例文の八つめは、 四つ並んだ形 です—— There were a few large old wooden houses in the town. [8] 。★ 数量 → 大きさ → 古さ → 材料 の順です。 ★ この順は、学校で習って覚えるものではありません。 ★ 英語話者も規則としては知らず、 逆に並べると気持ち悪い としか言えません。 ★ 覚え方を一つ置きます。 ★ 名詞に近いほど、変わりにくい性質 。★ 材料は変えられませんが、「大きい」は見る人によって変わります。 ★ 変わりにくいものほど、名詞にくっつく のです。 読 E の記事にも並んだ形があります—— the very high recent urbanization rates 。★ 程度( very )→ 大きさ( high )→ 古さ( recent )→ 出どころ( urbanization ) という順です。 日本語ならどう言うか 日本語との差を三つ挙げます。 何が 日本語では 英語では つなぎの語 ★ 「の」で毎回つなぐ ★ 何も置かずに並べる 読む向き 前から順に読める ★ 右から左へ戻る 複数の印 付けない ★ 最後の語にだけ付ける ★ いちばん上が、差の根 です。★ 日本語は「の」でつなぎます ——「世界の都市の人口の伸びの曲線」。★ 英語は何も置かずに並べます。 ★ 「の」があると、どこで切れるかが分かります。 ★ 英語には切れ目の印が無いので、 どこまでが一つのかたまりか を読む人が決めなければなりません。 ★ これが、この形がいちばん読み違えやすい理由 です。★ data collection method は 「データを集める方法」 ですが、★ data と collection method に切ってしまうと 「データという、集める方法」 になってしまいます。 ★ 切り方を決める手がかりは、意味だけ です。★ 形からは決まりません。 ★ だから、分野の知識が無い文章は、この形のところで必ず止まります。 ★ 止まるのは、英語の力が足りないからではありません。 丁寧さの段 ★ この形には、丁寧さというより 読む人の選び方 の段があります。 どの段 どう書くか どんな読み手に ひらく ★ of で全部開く ★ 分野の外の人 中 二語までたたむ 仕事の文書 たたむ ★ 三語以上つなげる ★ 同じ分野の人 ★ たたむほど短くなりますが、読める人は減ります。 ★ これは、丁寧さの段とまったく同じ構造 です——★ 相手によって選ぶ という点で。 ★ 仕事のメールで気をつけてください。 ★ 社内で通じる連鎖を社外へそのまま出すと、 読めない文書 になります ( 11.2 商編 )。 ★ 論文では逆で、開きすぎると くどい と見られます。 ★ 同じ分野の読者が前提だから です。★ 10.13 作編 で「読む人を選んでから書く」と置きました が、★ その選択が、名詞句の作り方にまで及びます。 よくある誤り 三つ挙げます。下の誤文は Epoché の作例です。 前の名詞を複数にする。 a cars accident → a car accident の形に。★ 複数の印は最後の語だけ です。 形容詞の順を逆にする。 a wooden old box → an old wooden box の形に。★ 変わりにくい性質ほど名詞に近い。 連鎖を長くしすぎる。 the student data collection method problem は、★ 文法としては正しくても読めません。 the problem of collecting student data のように開いてください。 ★ 三つめは、誤りというより 書き手の怠け です。 ★ たたむのは、書く側にとって楽だから です。★ 語の順を考えなくて済みます。 ★ 開くときは、 関係を決めなければなりません 。 ★ of なのか、 for なのか、 in なのか。 ★ それを決めるのが面倒なときに、人は名詞を並べます。 ★ そして、決めなかったぶんの仕事が読む人に回ります。 実文で通す 読 E の二篇から、名詞句を四つ引きました。★ 左から右へ、だんだん長くなるように並べてあります。 どの篇から 原文 何語つながっているか 8.127 読編 urban planning [12] 二語 。日本語なら「都市計画」 8.128 読編 majority rule [13] 二語 。★ rule が正体 8.127 読編 the very high recent urbanization rates ★ 形容詞が三つ +名詞 8.127 読編 the world urban population growth curve ★ 五語 。 右端は curve ★ 二つめに注意してください。 ★ majority rule は 「多数決」 です。 ★ 正体は rule (きまり)のほうで、 majority はその説明 です。 ★ ここを取り違えると、 「多数派の支配」 と読めてしまいます。 ★ どちらの読みも文法上は可能 です。★ 決めているのは、 民主主義という分野の知識 のほう です。 ★ 三つめと四つめを比べてください。 ★ 三つめは 形容詞 が並び、四つめは 名詞 が並んでいます。 ★ 形容詞は順が決まっているので、慣れれば読めます。 ★ 名詞の連鎖には順の決まりが無く、 意味でしか切れません 。 ★ だから、読むときに手がかかるのはいつも名詞の連鎖のほう です。★ 第 6 期の読 F では、この形がさらに増えます ——★ 哲学の文章は、 考えに名前を付けて積む ことでできているから です( 3.33 型編 )。 練習 「例文で見る」の 10 文を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。★ 連鎖はひとかたまりで、切らずに言う。 ★ the world urban population growth curve を、 of を使って開いてみる。 ★ 開いた形と、たたんだ形の語数を数える。 ★ 10.14 作編 で書いた文章を読み返し、名詞が三つ以上続いているところを探す。 ★ 見つけたら、分野の外の人に読ませるつもりで開き直す。 この課のまとめ ★ 英語は、名詞を名詞の前に並べて修飾できる。 ★つなぎの語は要らない。 ★ 並んだ列のいちばん右が、そのかたまりの正体。 ★左にあるものは全部その説明。 ★ 読むときは、いったん右端へ飛んでから戻る。 ★前から順に読むと、最後の語に着くまで何の話か分からない。 ★ 複数の印は最後の語だけ。 ★前の名詞は、もう形容詞のように働いている。 ★ 形容詞の順は「変わりにくい性質ほど名詞に近い」。 ★数量 → 評価 → 大きさ → 古さ → 色 → 出どころ → 材料。 ★ 三語までが読みやすさの目安。 ★四語をこえたら of で開く。 ★ 日本語の「の」は切れ目を示すが、英語には切れ目の印が無い。 ★どこまでが一つのかたまりかを、読む人が決めることになる。 ★ 切り方を決める手がかりは意味だけ。形からは決まらない。 ★分野の知識が無い文章がここで止まるのは、英語の力の問題ではない。 ★ たたむのは書く側にとって楽。 ★開くには関係( of か for か)を決めなければならない。★決めなかったぶんの仕事は、読む人に回る。 次の課へ 次の課は 3.47 、 指示と照応 です。★ this ・ these ・ such ・ the former ・ the latter 。 ★ この課では、一つの名詞句の中を見ました。 ★ 次の課は、 段落をまたいで前を指す 話です。 ★ 指す先がずれている文章は、何度読んでも分かりません。 答え 「練習」の三つの答えです。 ★ 連鎖の途中で切ると、聞く人は そこで名詞句が終わった と受け取ります。 ★ high school と student のあいだで切ると、 「高校。生徒だ」 と二つに聞こえます。 ★ ひとかたまりで言えるかどうかは、 どこまでが一つのかたまりか分かっているか の試しになります。 ★ 開くと、たとえば 「世界の都市人口が伸びていく曲線」 のように、 of を二つ三つ使うことになります。 ★ 語数はだいたい倍になります。 ★ 倍になったぶん、 関係がはっきりします ——★ 何が何に属しているかが、 of で明示されるから です。 ★ 自分の文章では、分野の語を並べたところが必ず出てきます。 ★ 開き直すと、 自分でも関係が決まっていなかった こ