6.19 提案と助言 — 自分の案を人のものにする — Epoché
この課で言えるようになること ★仮定法で 自分の案であることを薄めて 助言できる。 should が 命令ではない と知って使える。 提案を受ける・断る・先延ばしにする言い方を持てる。 誘うときと助言するときで、形を使い分けられる。 前提 : 6.18 まで。 場面と話し手 対話 A は、一緒に行こうと誘って日を決める場面です。気楽な場面で、薄める必要がありません。 対話 B は、助言を求められて答える場面です。こちらは難しく、 言い方が結果を変えます 。 ★自分の案であることを薄める 助言を求められたとき、日本語でも直には言いません。「私なら行きませんね」「やめておいたほうが…」—— 自分の側に引き取って 言います。 英語も同じことをします。しかも道具がはっきり決まっています。 If I were you, I wouldn't do it. [1] ——「私があなただったら」。 ありえないこと を持ち出すことで( 3.22 型編 )、これが自分の立場からの話にすぎないと示しています。 どう言うか その形 決めるのは 言い切る You shouldn't do it. [2] 話し手 自分に引き取る If I were you, I wouldn't do that. [3] 聞き手 主語を逃がす It would be better if you didn't go there. [4] 誰でもない 三行めは 3.24 型編 で見た形です。 it を主語にすると、 そう言っている人が文から消えます 。いちばん角が立たない言い方ですが、そのぶん よそよそしく も響きます。親しい相手には二行めのほうが温かく届きます。 should は命令ではない もう一つ、日本語話者が損をしている点があります。 should を 使わずに済ませてしまう ことです。 学校で「〜すべきだ」と訳すので、強い語だと思ってしまいます。実際の英語の should は かなり軽い 語です。「〜したらいいよ」「〜しないほうがいいよ」くらいの重さで、友人どうしの会話にふつうに出ます。 強いのは must と have to のほうです( 3.11 型編 )。 should はその一段下で、 相手に選ぶ余地を残した助言 です。遠慮せずに使ってください。 対話 A 話者 英文 日本語訳 学習者 How about you come with me? [5] 一緒に来ないか? 相手 I'd love to come with you. [6] 私は君と行きたい。 学習者 How about Friday? [7] 金曜日はどうですか? 相手 Let's do it. [8] やってみましょう。 一行めの誘い方に注目してください。「一緒に来ませんか」を How about で言っています。この形は 後ろに何でも置ける ので便利です——日、時刻、場所、そして文まるごと。 四行めは二語です。提案に乗るときは、これで足ります。長く言う必要はありません。 短く答えるほど、乗り気に聞こえます 。 対話 B 話者 英文 日本語訳 相手 What do you think I should do? [9] 私はどうしたらいいと思う? 学習者 If I were you, I wouldn't do it. [1] 私だったらやらないけどなあ。 相手 You may be right about that. [10] あなたの言う通りかもしれません。 学習者 It would be better if you went by train. [11] 電車で行った方がいいよ。 相手 I'm still not sure about it. [12] まだよく分からないな。 学習者 Let's make it some other time. [13] またの機会にしましょう。 二行めが助言です。「私があなただったら、そうはしない」—— 相手のすべきことを一言も言っていません 。自分ならどうするかを言っているだけです。それでも助言として通じます。 四行めは、別の案を出しています。ここも it を主語にして薄めてあります。 一つめの助言が通らなかったら、二つめを出す ——押すのではなく、選択肢を増やすのが英語の進め方です。 六行めで、学習者が 先延ばし にしています。「またの機会に」。相手がまだ決められないときに、 その場を閉じる 言い方です。押し切らずに終われるので、覚えておくと重宝します。 言い回し 提案と助言の場面でそのまま使える言い方を六つ挙げます。上の三つが誘うとき、下の三つが助言するときです。 英文 日本語訳 どんなときに How about Friday? [7] 金曜日はどうですか? 日を提案する。いちばん短い形 How about calling it a day? [14] 今日はこれでおしまいにしてはどうでしょう。 切り上げようと提案する。会議や作業の終わりに Let's do it. [8] やってみましょう。 相手の案に乗る。二語で足りる If I were you, I wouldn't do that. [3] 僕だったら、それはやめておくな。 自分の案を薄めて助言する( 3.22 型編 ) It would be better if you didn't go there. [4] そこには行かない方がいいよ。 同じく薄める。主語を it に逃がす( 3.24 型編 ) You shouldn't do it. [2] やめといた方がいいって。 はっきり止める。親しい相手に 二つめの「今日はこれで終わりにしませんか」は、会議でも作業でも使える便利な一言です。 終わらせる提案 は言い出しにくいので、形ごと覚えておくと助かります。 言い換えと丁寧さ 丁寧さを上げる型は、第 1 期の 6.1 話編 で決めた三つと同じです。命令文は依頼に、 can は could に、単純過去は現在完了に。この課ではそこに 仮定法で薄める という四つめを足します。 言いたいこと ふつうの段 もっと丁寧な形 やめたほうがいい You shouldn't do it. [2] If I were you, I wouldn't do that. [3] そこへ行かないで You shouldn't go there. [15] It would be better if you didn't go there. [4] 電車で行って Go by train. It would be better if you went by train. [11] 右の列は三行とも 仮定法 です。「もしそうなら」という形を取ることで、 現実の相手に指図していない ことになります。日本語の「私だったら」「〜したほうがよろしいかと」と同じはたらきです。 ただし、 薄めすぎにも注意 が必要です。危ないことを止めるときは、一行めの言い切りのほうが正しい。 急ぐときは薄めない —— 6.18 話編 の依頼と同じで、場面が段を決めます。 この課で使う型 — 型編の復習 この課の十行は、第 3 編で立てた型だけでできています。 型の名 この課での出方 戻る課 条件文 I 薄める If I were you 3.22 型編 助動詞 II 助言の should 3.11 型編 there / it 主語を逃がす It would be better 3.24 型編 wh 節 助言を求める「どうしたらいいと思うか」 3.20 型編 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 How to give advice in English British Council | English (4:51, 2022) 助言のしかた。ブリティッシュ・カウンシル 練習 対話 A と対話 B を、行を押して音を聞いてから 役を決めて音読 する。相手の役と学習者の役を両方やる。3 周する。3 周目は対話 B を、音声に重ねて シャドーイング する。読むときは 仮定法の前半を軽く 言う。重く言うと、かえって押しつけに聞こえる。 ★ 三段で助言する練習 。同じ助言を三通りで言う。①言い切る ②自分に引き取る( If I were you )③主語を逃がす( It would be better )。助言の中身は何でもよい。三つ言えたら、 相手が親しい人なら どれを選ぶか、 目上の人なら どれを選ぶかを決める。 翌日、 should を三回使う と決めて一日を過ごす。独り言でかまわない。「〜したらいいよ」くらいの軽さで言えたら、この語の重さの見当が変わる。日本語話者がこの語を避けるのは、 訳語が重いから であって、英語が重いからではない。 この課のまとめ ★ 提案は相手のためでも、決めるのは相手。 踏み越えると押しつけになる。 ★薄める道具は 仮定法 ( 3.22 型編 )。「私があなただったら」と言えば、決めるのは相手のまま。 主語を it に逃がすと、言っている人が文から消える( 3.24 型編 )。角は立たないが、よそよそしくも響く。 ★ should は命令ではない。 「〜したらいいよ」くらいの軽さ。遠慮せずに使う。 強いのは must と have to のほう( 3.11 型編 )。 How about は後ろに何でも置ける。日・時刻・場所・文まるごと。 提案に乗るときは 短く答える ほど乗り気に聞こえる。 一つめの助言が通らなかったら 二つめを出す 。押さずに選択肢を増やす。 ★ 急ぐときは薄めない。 場面が段を決める。 次の課へ 次の課は 6.20 、題は 比較と選択 — 二つ並べて決める 。提案が通らなかったとき、次にすることは 並べて比べる ことです。こちらのほうが安い、あちらのほうが早い。 3.15 型編 で比較の形は扱いましたが、話すときには 順序 がもう一つ要ります。英語は 選んだほうを後に言う —— 3.24 型編 で見た「重いものは後ろ」が、ここでも効いてきます。 答え 仮定法の前半(「私があなただったら」)は、英語では 速く軽く 言われます。ここをゆっくり重く言うと、これから重大な忠告が来るように聞こえます。対話 B の二行めをシャドーイングして、 前半を流して後半に置く 言い方をまねてください。 親しい人なら②、目上の人なら③を選ぶ人が多いはずです。①は、危ないことを止めるときにだけ取っておきます。ただし②は 親しさを前提にした形 でもあるので、初対面の相手に使うと馴れ馴れしく響くことがあります。 ③はいつでも安全 、と覚えておくとよいでしょう。 三回使えたなら、 should の重さの感覚が少し変わっているはずです。この語を避けている人は、助言の場面で言うことが無くなってしまい、結果として 何も言えない人 に見えます。軽い語として使えるようになると、会話に参加できる場面が増えます。 参考文献 Tatoeba 文 #30621(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/30621 Tatoeba 文 #10581203(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/10581203 Tatoeba 文 #3408858(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/3408858 Tatoeba 文 #12598509(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/12598509 Tatoeba 文 #3096339(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/3096339 Tatoeba 文 #257056(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/257056 Tatoeba 文 #1358780(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1358780 Tatoeba 文 #413788(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/413788 Tatoeba 文 #2954135(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2954135 Tatoeba 文 #70706(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/70706 Tatoeba 文 #2268821(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2268821 Tatoeba 文 #5244070(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/5244070 Tatoeba 文 #32655(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/32655 Tatoeba 文 #503840(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/503840 Tatoeba 文 #9653525(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/9653525