10.8 比較の段落 — 一文で両方を言う — Epoché
この課でできるようになること ★ 一文で両方 と 二文で両方 を使い分けられる。 ★観点を 弱いものから強いものへ 並べられる。 共通点を 一文で済ませ られる。 ★結びで 「だから何か」 を言える。 前提 : 10.7 まで。論は 9.6 まで。 手本 手本は 「都会と田舎」 の比較です。 81 語、 11 文、 一段落 。行を押すと音が鳴ります。 右の列は、その文が何をしているか です。 英文 日本語訳 その文が何をしているか City and country life are very different. [1] 都会暮らしと田舎暮らしとでは、雲泥の差がある。 ★ 主題文 They have something in common. [2] 彼らは似たところがある。 共通点( 一文だけ ) Life in a small town is boring. [3] 小さな町の生活は退屈だ。 観点 一・田舎の側 The city is beautiful at night. [4] 都会は夜がきれいなんだ。 観点 一・都会の側 Country life is healthier than city life. [5] 田舎の生活は都会の生活より健康的だ。 ★ 観点 二 ——一文で両方 It will do you good to live in the country. [6] 田舎に住むのはあなたにとってよいでしょう。 支え People living in town don't know the pleasures of country life. [7] 都会に住んでいる人たちは、田舎暮らしの楽しみがわからない。 ★ 観点 三 ——一文で両方 I live in the city. [8] 都会に住んでいます。 自分の今 Life in the city has never agreed with me. [9] 都市の生活が、性にあったことは一度もない。 ★ だから何か (一) We're very attracted to the country life. [10] 私たちは田舎の生活にとても引かれている。 だから何か(二) I want to live in the country. [11] 田舎に住みたいな。 ★ 結び 右の列を上から見てください。 主題文 → 共通点 → 観点 三つ → 結び 。★ 9.5 論編 で作った表を、そのまま文章にしたもの です。 型 ★百語なら一段落。だから横割り 9.5 論編 で 縦割り と 横割り を見ました。★ 百語では、横割りしか選べません。 縦割りは、 一方を全部言ってから 他方に移ります。百語でそれをやると、片方が五十語——★ 読む人が前半を忘れます 。 どちらか 百語で使えるか なぜ 横割り ★ 使える 比べる相手がすぐ隣にある 縦割り 使えない ★ 前半を覚えていられない ★ 縦割りが使えるのは、段落を分けられる長さになってから です。第 5 期の 10.14 作編 で、五段落の文章を書くときに出てきます。 ★一文で両方か、二文で両方か 横割りとは、 観点ごとに両方に触れる ことです。触れ方には 二つ あります。 観点 どう書いたか 手本での例 観点 一 ★ 二文で両方 ——田舎を一文、都会を一文 Life in a small town is boring. [3] 観点 二 ★ 一文で両方 ——比較級で並べる Country life is healthier than city life. [5] 観点 三 ★ 一文で両方 ——片方を主語にして、もう片方に触れる People living in town don't know the pleasures of country life. [7] ★ 比較級を使うと、一文で済みます。 Country life is healthier than city life. [5] healthier than の一語で、 田舎と都会の両方 が入っています。 3.14 型編 で比較級を習いました。★ 比較の段落は、比較級のいちばん大きな使い道 です。 では、二文に割るのはどんなときでしょうか。 どんな観点か どう書くか ★ ものさしが同じ (多い少ない、高い低い) 一文で。比較級を使う ★ ものさしが違う (退屈だ/美しい) 二文で。並べて置く 手本の観点 一を見てください。田舎は「退屈だ」、都会は「夜が美しい」——★ 比べているのに、ものさしが違います。 だから比較級にできず、二文になっています。 ★ これは弱いところです。 ものさしが違うと、 読む人が自分でつなげなければなりません 。できるかぎり、 同じものさしで比べて ください。 ★観点は、弱いものから強いものへ 観点を三つ立てたら、 順番を決めます 。 ★ いちばん言いたいことを、最後に置いて ください。 どこに置くか 読んだあとに残るか はじめ ★ あとの観点に上書きされる まんなか いちばん残らない おわり ★ 残る そして、 最後の観点が、そのまま結びにつながります 。手本では、三つめの観点が「都会の人は田舎の楽しみを知らない」で、結びが「田舎に住みたい」。★ つながっています。 8.72 読編 で「例を並べてから言う」のを見ました。★ 並べる順が、結論を用意します。 順を変えれば、 同じ材料で逆の結論も書けます 。 ★ だから、先に結論を決めてから順を決めて ください。順を決めてから結論を考えると、 並べた順に流されます 。 ★共通点は一文で済ませる 9.5 論編 で「共通点が土台を作る」と言いました。★けれども、百語では 土台に三文も使えません 。 They have something in common. [2] ★ 一文です。 何が共通なのかは書いていません。「共通するところもある」とだけ言って、すぐ相違点に移ります。 これでよいのです。★ 長さが決まっているときは、どこを削るかが腕の見せどころ になります。 9.2 論編 で「要約の良し悪しは何を捨てたかで決まる」と言いました。 段落も同じ です。 結びで「だから何か」 9.5 論編 で「比べっぱなしにしない」と言いました。★ ここが、その回収です。 手本の最後の三文は、 比較ではありません 。自分がどこに住んでいて、どう感じていて、どうしたいか——★ 比べた結果、何を思ったか です。 これが無いと、 ただの表を文にしただけ になります。 段落について(予告) この課で書くのは 一段落 です。段落には、もっときちんとした型があります—— 主題文・支持文・結び 。 ★ 第 5 期の 10.13 作編 で、本式に扱います。 この課では、 「はじめに一文、終わりに一文」 だけを守ってください。手本も、そうなっています。 課題 比較の段落を百語 で書いてください。お題は次の三つから 一つ選んで ください。 紙の本 と 画面で読む本 。 読 C の二篇 ( 9.5 論編 の練習で選んだものでよい)。 今住んでいる町 と 前に住んでいた町 。 手順は五つです。 ★ 結論を先に決める 。どちらがよいと言いたいのか、日本語で一行書く。 観点を三つ 立てる。★ いちばん強いものを最後 に並べ替える。 観点ごとに、★ 一文で両方言えるか を確かめる。言えるなら 比較級 で。言えないなら二文に割る。 共通点を 一文だけ 書いて、頭のほうに置く。 ★ 結びを二文 書く。比べた結果、 何を思ったか 。 一つめが、この課の山です。★ 結論を決めずに書き始めると、観点の順が決まりません。 そして、順が決まらないまま書くと、 最後に書いたものが結論になって しまいます。 練習 手本の 11 文を、行を押して音を聞いてから 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。★ 観点が変わるところで、一拍おいて 読む。段落の中の切れ目が、耳に見えてきます。 ★ 観点の順を入れかえて 読んでみる。三つめを一つめに持ってくると、 結びが浮いて聞こえる はずです。順が結論を用意していた証拠です。 書いた自分の段落を音読して、★ 比較級を使った文を数える 。一つも無ければ、 全部を二文で書いています 。一つは比較級に直してみてください。 AI への頼み方 比較の段落は、★ 整って見えるのに中身が無い ことがいちばん多い書きものです。頼み方を三つ置きます。 何を頼むか 頼み方の型 ★観点を取り出させる 「この段落で 比べている観点 を、出てくる順に挙げてください。 片方にしか触れていない観点 があれば、そう言ってください」 ★結論とのつながりを見させる 「最後の結びは、 どの観点から出てきていますか 。どの観点からも出ていない場合は、そう言ってください」 逆の結論を書かせる 「同じ観点のまま、 逆の結論 になるように順番だけを並べ替えてください」 ★三つめをやってみてください。 同じ材料で逆の結論が書けてしまう ことが分かります。 それは、 比較が弱い ということではありません。★ 順番が、それだけ効いている ということです。だから、 順番は自分で決めてください 。 自己点検表 点検すること 合格の目安 語数 九十〜百十語 段落の数 ★ 一つ ★観点の数 三つ ★片方にしか触れていない観点の数 ゼロ ★比較級を使った文の数 一つ以上 共通点に使った語数 ★ 十語以下 ★結びの文の数 二つ以上 ★いちばん強い観点の位置 最後 第 3 期の作編は、これで終わりです。★四課で書いたのは—— 人の話の骨 ( 10.5 作編 )、 自分の考え ( 10.6 作編 )、 人にさせる動き ( 10.7 作編 )、 二つを並べた考え (この課)。 ★ どれも百語です。 長さを変えずに、 中身の形だけを変えて きました。第 4 期では、 百五十語・二百語 と長くしていきます。 この課のまとめ ★ 百語なら一段落。だから横割りしか選べない ( 9.5 論編 )。 ★ 比較級を使えば、一文で両方を言える ( 3.14 型編 )。 ものさしが同じなら一文、違うなら二文。★ できるかぎり同じものさしで比べる。 ★ 観点は、弱いものから強いものへ。 最後に残った印象が、そのまま結びになる。 ★ 並べる順が、結論を用意する。 同じ材料で逆の結論も書ける( 8.72 読編 )。 ★ だから、結論を先に決めてから順を決める。 ★ 共通点は一文で済ませる。 長さが決まっているときは、どこを削るかが腕( 9.2 論編 )。 ★ 結びで「だから何か」を言う。 無ければ、表を文にしただけ( 9.5 論編 )。 AI に 逆の結論を書かせて みる。順番がどれだけ効いているかが分かる。 次の課へ 次の課は 12.7 、 知編 ——日本語で読む背景知識です。第 3 期の知編は三課。★ 英語そのものではなく、英語の外にあること を扱います。この期に読んだ十九世紀の物語は、 知らないと読み違える約束ごと の上に立っていました。それを、まとめて見ます。 答え よくある失敗を四つ 置きます。 ★ 片方にしか触れていない観点がある。 「田舎は静かだ」と書いて、都会について何も言わない。★ それは比較ではなく、説明です。 比較の段落では、 どの観点にも両方が出て いなければなりません。 比較級が一つも無い。 全部を二文で書いている。★ 語数が足りなくなります 。一文で言えるものを二文で書くと、観点が二つしか入りません。★ 比較級は、場所を節約する道具 でもあります。 ★ 結びが観点とつながっていない。 三つの観点はどれも都会寄りなのに、結びで「田舎がよい」と書く。★ 読む人は、どこから出てきたのか分かりません。 結びは、 最後の観点から出てくる のがいちばん自然です。 共通点を書きすぎている。 土台が大事だと聞いたので、三文も書く。★ 百語のうち三十語が共通点 になると、相違点を書く場所が残りません。★ 大事なことと、長く書くことは別 です。 参考文献 Tatoeba 文 #10306195(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/10306195 Tatoeba 文 #306754(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/306754 Tatoeba 文 #682212(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/682212 Tatoeba 文 #7850439(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/7850439 Tatoeba 文 #279096(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/279096 Tatoeba 文 #279085(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/279085 Tatoeba 文 #279429(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/279429 Tatoeba 文 #848987(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/848987 Tatoeba 文 #279434(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/279434 Tatoeba 文 #1715078(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1715078 Tatoeba 文 #655683(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/655683