10.22 報告書を書く — 七つの節 — Epoché
この課でできるようになること ★ 七つの節 を、決まった順に置ける。 ★ 動かなかったものにも一節を割ける 。 ★ 危険を、名指しで数えられる 。 ★ 見通しを、幅と理由で書ける 。 前提 : 10.21 まで。論は 9.24 まで。読は 8.192 まで。語は 4.76 まで。 手本 ★ 手本は、 8.191 読編 の四半期報告 です。★ 七つの節でできています。 どの節か 何を書くか ★ 一 要旨 ★ 三文 ★ 二 売上 ★ 製品群と地域で割る ★ 三 費用 ★ 上がった理由 ★ 四 新しい取り組み ★ 数と、その範囲 ★ 五 現金と借入 ★ 動いた額 ★ 六 危険 ★ 名指しで、数えて ★ 七 見通し ★ 幅と、幅の理由 一 — 要旨の三文 Sales for the quarter were 4,180 million yen, an increase of six per cent on the same quarter last year [1] ★ 一文めに 実数・率・基準 ( 9.22 論編 )。 ★ 二文めが利益、三文めが落ちた理由 です。 The fall in profit came from the cost of materials, which rose faster than our prices [1] ★ 要旨は 五文で終わって います。 ★ これより長い要旨は、 要旨ではありません 。 二 — 動かなかったものを書く ★ 売上の節で、 いちばん値打ちのある一行 はこれ です。 Dry goods were almost flat; the group has not had a new product since 2024 [1] ★ 「乾物はほぼ横ばい。この群には二〇二四年から新しい製品が無い」。 何を書くか 読む人に何が渡るか ★ 伸びたものだけ ★ よい四半期だった、という印象 ★ 動かなかったものも ★ どこに手を打つべきかが渡る ★ 横ばいには、 理由が付いています ——★ 新製品が無い 。 ★ 数を書いただけでは、 読む人は動けません 。 三 — 打った手を、一行で We have begun to send goods to the west in full loads rather than in part loads, which should show in the next quarter [1] ★ 「西へは、半端な積みではなく満載で送り始めた。次の四半期に現れるはずである」。 ★ 費用が上がった節に、 手を打ったことを一行足す ——★ これで、 次の報告の宿題が自分で決まります 。 四 — 危険は、数えて名指す Three risks are worth naming [1] ★ 「三つの危険が、名を挙げるに値する」。 ★ 数を先に言うのは、 10.21 作編 の条件と同じ です。 ★ そして、 四つめが足されます 。 A fourth point is worth naming although it is not yet a risk [1] ★ 「まだ危険ではないが、四つめの点も名を挙げるに値する」。 どう書くか 何が起きるか ★ 危険だけ三つ ★ 四つめは次の四半期に突然出る ★ 「まだ危険でない」を足す ★ 出たときに、予告済みになる ★ これが、 報告書のいちばん値打ちのある一行 です。 ★ 9.24 論編 の 開いたまま と同じ働き をしています。 五 — 見通しは、幅と理由 We expect sales for the full year of between 16,800 and 17,200 million yen [1] This range is wider than usual because of the price of materials [1] ★ 幅を出し、 なぜ広いか を書き、★ いつ狭めるかまで書く ——★ 三つで一組 です( 9.22 論編 )。 型 ★ 七つの節を、 骨だけ にしておきます。 どの節か 何行か 要るもの 一 要旨 ★ 三〜五文 ★ 実数・率・基準/決めてほしいこと 二 売上 ★ 二段落 ★ 割り方を二通り(製品・地域) 三 費用 ★ 三段落 ★ 上がった理由と、打った手 四 取り組み ★ 二段落 ★ 数と、その範囲 五 現金 ★ 二段落 ★ 動いた額と、残高 六 危険 ★ 数えて ★ まだ危険でないものも 七 見通し ★ 一段落 ★ 幅・理由・いつ狭めるか 節ごとの言い回し どんな形か どの節で使うか … were …, an increase of … on … ★ 一・二 … was almost flat ★ 二 The main causes were … ★ 三 We have begun to …, which should show in … ★ 三 These numbers come from …, so they cannot yet be used to … ★ 四 Three risks are worth naming ★ 六 We expect … of between … and … ★ 七 ★ 七つを順に使えば、 報告書の骨はできます 。 ★ 残るのは、 数を入れること だけ です。 課題 ★ 一本の報告書を書きます。 ★ 四百〜五百語 、七つの節 。 ★ 題材を決める 。★ 自分の仕事の四半期でも、 読んでいる本の冊数 でも、家計でもよい。 ★ 数が三か月ぶん手元にあるもの にする。 ★ 要旨を先に書かない 。★ 第 2 節から第 7 節まで書いてから、 最後に要旨 を書く。 ★ 9.16 論編 で置いたとおり、 序はたいてい最後に書きます 。 ★ 第 2 節を、二通りに割る 。★ 製品群と地域、あるいは 種類と時期 。 ★ 二通りに割ると、 違う話が見えます 。 ★ 第 6 節に、 まだ危険でないもの を一つ入れる 。★ 「いまは問題ないが、二年動いていない」の形。 ★ 第 7 節を、 幅・理由・いつ狭めるか の三つで書く 。★ 幅の理由が書けないなら、 幅が広すぎます ( 9.22 論編 )。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 How to write a business report UniSC: University of the Sunshine Coast (5:53, 2017) 同じ主題をサンシャインコースト大学から Business report: structure Academic Skills, The University of Melbourne (5:01, 2017) 報告書の節の組み立て。メルボルン大学 練習 「手本」に引いた四文(要旨/横ばい/危険/見通し)を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ Three risks are worth naming を そらで言えるまで 音読する。 ★ worth naming の 二語をひとかたまり で読んでください。 ★ 自分の書いた要旨を、 声に出して読む 。 ★ 五文を超えていたら、 超えた分を本体へ移す 。 ★ 要旨は、 一息で三つ言える 長さまでです。 AI への頼み方 ★ 報告書は、 数を持っている人にしか書けません 。 ★ AI に頼むのは、 組み立てと、抜けの点検 です。 何を頼むか 頼み方の型 ★節の抜けを指させる 「この報告書に、 要旨・売上・費用・取り組み・現金・危険・見通し の七つがそろっていますか。★ 無い節を挙げて ください」 ★横ばいを探させる 「この数のうち、 動いていないもの を挙げてください。★ 本文で触れられていないもの を先に」 ★四つめの危険を出させる 「この報告書で、 まだ危険ではないが二年以上動いていないもの があれば挙げてください」 ★ 二つめが、 人には見つけにくいもの です。 ★ 動いたものは目に付き、 動かなかったものは目に入りません 。 ★ 三つめは、 手本の第 6 節の四つめを作る頼み方 です。 ★ 「まだ危険でない」は、 定義として気づきにくい ——★ だから、 年数で探させます 。 自己点検表 点検すること 合格の目安 語数 ★ 四百〜五百語 節の数 ★ 七つ ★要旨の長さ 五文まで ★要旨を書いた順 最後に書いた ★実数と率 両方ある ★基準 against の句で書いた ★横ばいの節 ある ★打った手 一行ある ★危険の数 先に言った ★まだ危険でないもの 一つある ★見通しの幅の理由 ある この課のまとめ ★ 報告書は七つの節 ——要旨・売上・費用・取り組み・現金・危険・見通し。 ★ 要旨は五文まで。そして最後に書く ( 9.16 論編 )。 ★ 売上は二通りに割る 。製品群と地域で割ると、違う話が見える。 ★ 動かなかったものにも一節を割く 。横ばいには理由を付ける——手本は「新製品が無い」と書いた。 ★ 費用の節には、打った手を一行足す 。次の報告の宿題が、自分で決まる。 ★ 危険は数を先に言ってから名指す 。 ★ まだ危険でないものを、一つ足す 。出たときに、予告済みになる( 9.24 論編 の「開いたまま」)。 ★ 見通しは幅・理由・いつ狭めるかの三つ ( 9.22 論編 )。 ★ 数の範囲は、その節で閉じる 。 These numbers come from …, so they cannot yet be used to … ( 9.21 論編 )。 ★ 動いたものは目に付き、動かなかったものは目に入らない 。だから、横ばいは意識して探す。 次の課へ 次の課は 10.23 、 提案書を書く です。★ 報告書は 起きたこと を書きました。 ★ 提案書は、 これから起こしたいこと です ——★ だから、 選択肢を並べ、費用を出し、納めるものを数えます 。 答え 「課題」の五つについての答えです。 ★ 題材に迷ったら、 家計 を勧めます。 ★ 数が 三か月ぶん必ずあり、 横ばいの費目もある から です。★ そして、 自分が決める立場にいる ——★ 報告書の「決めてほしいこと」を書く練習になります。 ★ 要旨を最後に書くと、 書きやすい と分かります。 ★ 本体を書き終えた時点で、 いちばん大きな話がどれかが決まっている から です。★ 先に書くと、 書きたかった話 が要旨に入ります ——★ それは、たいてい違う話です。 ★ 二通りに割ると、 片方でしか見えない話 が出ます。 ★ 手本では、製品群で割ると「冷蔵品が伸びた」、地域で割ると 「西の二社に乗っている」 ——★ 後者のほうが危うい話 です。★ だから、 二通り割る 。 ★ 「まだ危険でないもの」は、 探すと必ず見つかります 。 ★ 見つからないなら、 年数で探して ください ——★ 「二年変わっていないもの」。 ★ 変わっていないことは、 それ自体が知らせ です。 ★ 幅を書くと、 自分が何を分かっていないか が見えます。 ★ 幅の理由が「材料の値」のように 一つに絞れたなら、よい報告書 です。 ★ 絞れず「いろいろあるから」になったなら、 第 6 節に戻って危険を数え直して ください。 参考文献 原文の出所: Epoché, "四半期報告書"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/