0.4 子音 ① r と l、-er — Epoché
この 課 か でできるようになること 日本語 にほんご の ラ行 らぎょう が 一 ひと つに 束ね たばね ている r と l を、 喉 のど の 奥 おく と 舌先 したさき の 二 ふた つの 音 おと に 分け わけ て 出せる だせる 。 r の 三つ みっつ の 読み よみ 方 かた —— 子音 しいん の r 、 母音 ぼいん 化 か した r 、 語末 ごまつ の -er ——を 綴り つづり の 位置 いち から 判断 はんだん できる。 Bier を「ビール」、 Lehrer を「レーラー」と 読む よむ 癖 くせ の 正体 しょうたい を 知り しり 、 直せる なおせる 。 前提 ぜんてい : 0.3( 母音 ぼいん ② ウムラウトと ei / au / eu ) 母音 ぼいん を 閉じ とじ たので、 子音 しいん に 入り はいり ます。 最初 さいしょ は r と l です。 日本語話者 にほんごわしゃ にとって 子音 しいん の 中 なか でいちばん 目立つ めだつ ずれがここにあります。 理由 りゆう は 単純 たんじゅん で、 日本語 にほんご の ラ行 らぎょう は r でも l でもない 一 ひと つの 音 おと だからです。 英語 えいご で r と l に 苦労 くろう した 記憶 きおく がある 人 ひと も 多い おおい でしょう。ドイツ 語 ご ではそのうち r の 側 がわ が 英語 えいご とまったく 違う ちがう 音 おと で、むしろ 日本語話者 にほんごわしゃ には 作り つくり やすい。 順 じゅん に 見 み ていきます。 なぜ 日本語話者 にほんごわしゃ はここでつまずくのか 日本語 にほんご の「ラ・リ・ル・レ・ロ」は、 舌先 したさき で 上 うえ の 歯茎 はぐき を 一 いち 度 ど だけ 軽く かるく はじく 音 おと です。はじく、という 動き うごき は r とも l とも 違い ちがい ます。 l は 舌先 したさき を 歯茎 はぐき に 付け つけ たまま 離さ はなさ ず 、 息 いき を 舌 した の 両脇 りょうわき から 流し ながし ます。 r は 舌先 したさき を 使わ つかわ ず、 喉 のど の 奥 おく で 出し だし ます。つまり、 ラ行 らぎょう の「はじく」 動き うごき を 封じ ふうじ て、 舌先 したさき を 付け つけ っぱなしにすれば l 、 舌先 したさき を 下げ さげ て 喉 のど に 持っ もっ ていけば r です。 日本語話者 にほんごわしゃ が「 ラ行 らぎょう 」のまま 出す だす と、ドイツ 語 ご 話者 わしゃ にはどちらとも 決め きめ かねる 音 おと に 聞こえ きこえ 、 Reise ( 旅 たび )と leise ( 静か しずか に)の 区別 くべつ が 消え きえ ます。 もう 一 ひと つの 躓き つまずき は、 r が 母音 ぼいん の 後ろ うしろ では 子音 しいん でなくなる ことです。 Bier (ビール)の r は「ル」ではなく、 口 くち を 軽く かるく 開け あけ た「ア」に 近い ちかい 弱い よわい 母音 ぼいん です。「ビーア」。カタカナの「ビール」は、この 音 おと を 日本語話者 にほんごわしゃ が「ル」と 写し うつし た 記録 きろく で、 Bier をそのまま「ビール」と 読む よむ と、ドイツ 語 ご 話者 わしゃ には r が 二 に 回 かい 聞こえる きこえる ような 不 ふ 自然 しぜん さになります。 同じ おなじ ことが Lehrer ( 教師 きょうし )の 語末 ごまつ にも 起き おき 、「レーラー」の 最後 さいご は「ア」です。 l の 作り つくり かた — 舌先 したさき を 付け つけ たまま ① 舌先 したさき を 上 うえ の 前歯 まえば のすぐ 後ろ うしろ 、 歯茎 はぐき に 当て あて ます。②そのまま 離さ はなさ ずに 声 こえ を 出し だし ます。 息 いき は 舌 した の 両脇 りょうわき から 出 で ていきます。③ 次 じ の 母音 ぼいん に 移る うつる ときに 初めて はじめて 舌 した を 離し はなし ます。「ラ」と 言う いう つもりで 舌 した を 歯茎 はぐき に 当て あて た 瞬間 しゅんかん に 止め とめ 、はじかずに 声 こえ を 続ける つづける のが 要領 ようりょう です。 Lied ( 歌 うた )、 Liebe ( 愛 あい )、 laut ( 大きな おおきな 声 こえ で)、 lernen ( 学ぶ まなぶ )。 ドイツ 語 ご の l は、 語末 ごまつ でも 語 ご 中 ちゅう でも 同じ おなじ 明るい あかるい l です。 英語 えいご の 語末 ごまつ の l ( ball の「オゥ」に 近い ちかい 暗い くらい 音 おと )のように 舌 した の 奥 おく を 持ち上げる もちあげる ことはありません。 viel (たくさん)、 Ball (ボール)、 Apfel (リンゴ)の 語末 ごまつ は、 舌先 したさき を 歯茎 はぐき に 付け つけ たまま 終わり おわり ます。 日本語話者 にほんごわしゃ は 語末 ごまつ の l に「ル」の 母音 ぼいん を 足し たし がちなので、 舌 した を 付け つけ たまま 声 こえ を 止める とめる 練習 れんしゅう をしてください。 r の 作り つくり かた — 喉 のど の 奥 おく で 標準 ひょうじゅん 的 てき なドイツ 語 ご の r は、 舌 した の 奥 おく と 喉 のど の 奥 おく の 間 あいだ を 狭め せばめ て 出す だす 摩擦 まさつ 音 おん です。うがいをするときの 喉 のど の 位置 いち がそのまま 使え つかえ ます。① 舌先 したさき は 下 した の 前歯 まえば の 裏 うら に 付け つけ たまま、 動かし うごかし ません。②「ハ」を 喉 のど のいちばん 奥 おく で 言う いう つもりで、 息 いき を 通し とおし ます。③そのまま 声 こえ を 足し たし ます。 rot ( 赤い あかい )、 Reise ( 旅 たび )、 drei (3)、 Brot (パン)、 fahren ( 乗り物 のりもの で 行く いく )。 舌先 したさき で 巻く まく r (イタリア 語 ご やスペイン 語 ご の r )もドイツ 語 ご 圏 けん の 南部 なんぶ やオーストリア、 舞台 ぶたい や 歌 うた では 使わ つかわ れますが、この 課程 かてい では 喉 のど の r だけを 扱い あつかい ます。 作り つくり やすさの 点 てん でも、 日本語話者 にほんごわしゃ には 喉 のど の r のほうが 向い むい ています。 舌先 したさき を 使わ つかわ ないので、 ラ行 らぎょう の 癖 くせ が 出 で ないからです。 r の 三つ みっつ の 読み よみ 方 かた r は 位置 いち によって 三つ みっつ に 読み分け よみわけ ます。 綴り つづり だけで 決まる きまる ので、 規則 きそく として 覚え おぼえ られます。 ① 母音 ぼいん の 前 まえ ( 語頭 ごとう ・ 子音 しいん の 後 あと ) — 子音 しいん の r 。 喉 のど の 奥 おく の 摩擦 まさつ ② 長い ながい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ — 母音 ぼいん 化 か した r 。 弱い よわい 「ア」を 添える そえる ③ 語末 ごまつ の -er ( 強勢 きょうせい なし) — 「ア」 。 e も r も 読ま よま ず、 一 ひと つの 弱い よわい 母音 ぼいん に 位置 いち 例 れい 意味 いみ ① 母音 ぼいん の 前 まえ ( 語頭 ごとう ・ 子音 しいん の 後 あと ) rot [ʁoːt] 赤い あかい ① 母音 ぼいん の 前 まえ ( 語頭 ごとう ・ 子音 しいん の 後 あと ) drei [dʁaɪ̯] 3 ① 母音 ぼいん の 前 まえ ( 語頭 ごとう ・ 子音 しいん の 後 あと ) fahren [ˈfaːʁən] 乗り物 のりもの で 行く いく ② 長い ながい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ Bier [biːɐ̯] ビール ② 長い ながい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ hier [hiːɐ̯] ここ ② 長い ながい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ nur [nuːɐ̯] 〜だけ ③ 語末 ごまつ の -er ( 強勢 きょうせい なし) Lehrer [ˈleːʁɐ] 教師 きょうし ③ 語末 ごまつ の -er ( 強勢 きょうせい なし) aber [ˈaːbɐ] しかし ③ 語末 ごまつ の -er ( 強勢 きょうせい なし) Fenster [ˈfɛnstɐ] 窓 まど ②と③の 音 おと はどちらも 口 くち を 軽く かるく 開け あけ た「ア」ですが、②は 長い ながい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ に 添える そえる だけで 一拍 いっぱく にならず、③は -er 全体 ぜんたい が 一 ひと つの 弱い よわい 音節 おんせつ になります。 Lehrer には r が 二 ふた つあり、 最初 さいしょ は①の 子音 しいん 、 最後 さいご は③の「ア」—— 同じ おなじ 字 じ が 別 べつ の 音 おと で 読ま よま れる 典型 てんけい です。 短い みじかい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ の r ( Arm [ 腕 うで ]、 Berg [ 山 やま ]、 Wort [ 語 ご ])は①と②の 中間 ちゅうかん で、 軽い かるい 喉 のど の 音 おと が 残り のこり ます。「アルム」「ベルク」と「ル」を 入れ いれ ないことだけ 守れ まもれ ば 通じ つうじ ます。 ③は 語彙 ごい の 中 なか で 非常 ひじょう に 多く おおく 出 で ます。 Vater Mutter Bruder Kinder Zimmer Wasser Butter Lehrer aber —— 名詞 めいし ・ 形容 けいよう 詞 し ・ 副詞 ふくし の 語末 ごまつ に 繰り返し くりかえし 現れる あらわれる ので、ここを「エル」と 読む よむ 癖 くせ が 付く つく と、 話す はなす 言葉 ことば 全体 ぜんたい が 硬く かたく 聞こえ きこえ ます。 逆 ぎゃく に、ここだけ 直す なおす と 一気 いっき にドイツ 語 ご らしくなります。 綴り つづり が 変わる かわる 最小対 さいしょうつい r と l だけが 違う ちがう 組 くみ と、 -e と -er だけが 違う ちがう 組 くみ です。どれも 綴り つづり が 違う ちがう ので、 音読 おんどく の 判定 はんてい で 別々 べつべつ の 語 ご として 返り かえり ます。 r l Reise ( 旅 たび ) leise ( 静か しずか に、 小さな ちいさな 声 こえ で) reiten ( 馬 うま に 乗る のる ) leiten ( 導く みちびく 、 率いる ひきいる ) Rand ( 縁 えん 、 端 はし ) Land ( 土地 とち 、 国 くに ) Rast ( 休憩 きゅうけい ) Last ( 荷 に 、 負担 ふたん ) Rauch ( 煙 けむり ) Lauch (ネギ) Rippe ( 肋骨 ろっこつ ) Lippe ( 唇 くちびる ) -e -er bitte (どうぞ) bitter ( 苦い にがい ) Liebe ( 愛 あい ) lieber (むしろ、〜のほうが 好き すき ) Lehre ( 教え おしえ 、 職業 しょくぎょう 訓練 くんれん ) Lehrer ( 教師 きょうし ) 二 ふた つ 目 め の 表 ひょう は、 語末 ごまつ が「エ」( 弱い よわい e )か「ア」( -er )かだけの 違い ちがい です。 bitte (どうぞ)と bitter ( 苦い にがい )は、レストランで 取り違える とりちがえる と 話 はなし が 変わり かわり ます。「エ」と「ア」の 差 さ なので 日本語話者 にほんごわしゃ にとっては 聞き分け ききわけ やすい 対 たい です。 出す だす ときは、 -er で 舌 した を 巻い まい たり「ル」を 足し たし たりせず、 口 くち を「ア」に 開け あけ て 終わる おわる だけです。 日本語話者 にほんごわしゃ の 近道 ちかみち — カタカナが「ル」と 写し うつし た 場所 ばしょ ドイツ 語 ご からの 外来語 がいらいご をカタカナで 見る みる と、 母音 ぼいん 化 か した r と -er がどう 写さ うつさ れたかが 分かり わかり ます。 カタカナ ドイツ 語 ご 実際 じっさい は ビール Bier [biːɐ̯] 「ビーア」。 r は 母音 ぼいん 化 か ゲレンデ Gelände [ɡəˈlɛndə] 「レ」は l 。 舌先 したさき を 付け つけ たまま アルバイト Arbeit [ˈaʁbaɪ̯t] 「アル」の r は 短い みじかい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ 。「ル」を 入れ いれ ない リュックサック Rucksack [ˈʁʊkzak] 「リュ」は 喉 のど の r 。 舌先 したさき を 使わ つかわ ない バウムクーヘン Baumkuchen [ˈbaʊ̯mˌkuːxn̩] r も l も 無い ない 。 問題 もんだい なし カタカナが「ル」と 書い かい ている 場所 ばしょ を 見 み たら、それは「 母音 ぼいん 化 か した r か、 短い みじかい 母音 ぼいん の 後ろ うしろ の r 」の 印 しるし だと 読み替え よみかえ てください。そこに「ル」を 発音 はつおん しないだけで、 聞こえ きこえ 方 かた が 変わり かわり ます。 逆 ぎゃく にカタカナの「ラ・リ・ル・レ・ロ」が 語頭 ごとう にあるとき(