5.4 時間と予定 — 時刻の数と、その前で潰れる小さな語 — Epoché
この課で聞き取れるようになること 待ち合わせの相談を、台本を見ずに要点(何曜日か・何時か・どのくらいかかるか)だけ聞き取れる。 時刻や分の数を、前後の小さな語ごと 1 かたまりで受け取り、そこから数だけを取り出せる。 曜日の前と時刻の前に付く語が弱く流れて鳴らなくても、前後の形から補って聞ける。 終わりが上がる問いと下がる問いを調子だけで見分け、いま自分が答える番かどうかを判断できる。 前提 : 5.3 まで。 聞編 聞の 4 課目です。 5.1 聞編 で自己紹介、5.2 で買い物、 5.3 聞編 で道案内を聞きました。この課は時間と予定です。この場面には 1 つだけ厄介な性質があります。買い物も道案内も、聞き落とせば その場で結果が出ます 。ところが予定の聞き落としは、その場では何も起きません。食い違いが表に出るのは、約束の日に相手が来なかったときです。だからこの場面だけは、聞き取ったつもりの中身を その場で確かめ直す 必要があります。 追うものは 3 つに絞ります。1 つ目は 数 ——曜日と時刻と分です。2 つ目は 弱形 。 1.7 音編 で見たとおり、前置詞や助動詞は文の中で潰れて短くなります。この場面ではそれが、数のすぐ前に来ます。3 つ目は 終わりの上がり下がり で、 1.8 音編 で立てた 2 つの型がそのまま効きます。語と語がつながって 1 かたまりに聞こえることには、この課ではまだ名前を付けません(第 2 期の音の課で正面から扱います)。いまは「つながって聞こえるのがふつう」という構えだけ持てば足ります。 聞く前に 学校の帰り道の立ち話です。話し手を A と B と呼びます。A が B を誘い、出かける日と時刻、それに迎えの段取りまでを決めます。8 段落あり、A から始まって交互に話します。1 段落が 1 人の話す番で、短い文が 1 つか 2 つ入っています。電話ではありません。電話の聞き取りは 5.5 に置いてあります。 聞き取る中身は 3 つだけにしておきます。 何曜日に会うことになったか・何時に会うことになったか・移動にどのくらいかかるか。 この 3 つが取れれば、その相談は聞けたと数えて構いません。ただし、初めの 2 つは 途中で動きます 。A が初めに出した曜日も、B が初めに出した時刻も通りません。最初に聞こえた数をそのまま予定に書き込むと、二重に外します。 決まったのはどれか まで追うのが、この場面の聞き取りです。 知っておく語 先に 5 語だけ音の形を確かめます。「山の位置」の列は 1.6 音編 で立てた黒丸と白丸の印です。黒丸が強く長く言う音節、白丸が弱く短い音節を表します。5 語とも台本に出てきます。意味はどれも既に知っているはずなので、確かめるのは音のほうだけです。見てほしいのは、 5 語とも黒丸が 1 つしかない ことです。時と数にかかわる語はどれも短い。短い、強い、逃げ場がない——だから数は、じつは取りやすいほうなのです。 知っておく語 意味 山の位置と聞きどころ Monday 月曜日 ●○ 前が強く、後ろは軽く落ちる。日本語に入った形より拍が少なく、強い所は 1 つしかない nine 9 ● 1 音節。母音が長く、終わりは鼻に抜ける音で閉じる three 3 ● 1 音節。頭に子音が 2 つ続くので、出だしが詰まって聞こえる minutes 分 ●○ 前が強い。終わりの子音が続けて 2 つ鳴り、そこに母音は入らない late 遅れて ● 1 音節。予定の話でよく出てくる語なので、形を覚えておくと得をする この課で追う 3 つ — 数・弱形・問いの上がり下がり 1 つ目は数です。ここで思い込みを 1 つ外しておきます。 数そのものは聞き取りにくくありません。 上の表のとおり、時刻に使う数は短く、山が 1 つで、はっきり鳴ります。文の中でも数は落とされません——落とすと用が足りないからです。それでも予定の数を取り違えるのは、 数の前に付いている小さな語が消えるから です。その語が聞こえないと、聞こえた数が曜日なのか時刻なのか分の数なのかを決められません。 だから順序をこう決めます。まず 山として立った数を先に押さえる 。それから、その数が何の数だったかを前後の形で決める。この順にすると、消えた語を聞き取ろうとして注意を使い果たすことがなくなります。 前置詞は聞き取るものではなく、埋めるもの —— 5.3 聞編 で立てたこの構えは、時間の側でもそのまま通ります。 2 つ目は弱形です。 3.5 型編 で、 in ・ on ・ at が空間の言い方から時間の言い方へ広がるのを見ました。この課はその 時間の側 を耳で受け取る場面です。台本に出てくる弱い語を下に並べます。どれも 1.7 音編 でいう機能語で、速さの中では山になりません。 弱く流れる語 何を運ぶか 台本での出どころ are 問いの始まりの合図。頭に来るのに強く鳴らない 1 段落目 on 後ろに曜日が来る印。どの日かを運ぶ 1・2・3・8 段落目 at 後ろに時刻が来る印。何時かを運ぶ 4・5・7 段落目 can 「できるか」を問う。後ろの動詞のほうが強い 4・5 段落目 does 疑問詞の問いの中で潰れる。動詞の形を整えるだけ 6 段落目 from 起点。「ここから」と測り始める所 7 段落目 表を見て「これなら全部知っている」と思ったはずです。それでも聞き取れないのは、 知っていることと、消えかけた音から復元できることが別だから です。手がかりは前後にあります。曜日らしい語が聞こえたなら、その前は on です。時刻らしい数が聞こえたなら、その前は at です。聞こえなかった所を空欄のまま残さず、形から埋めてしまってください。 ここで、時刻そのものの言い方も 3 つ見ておきます。下の 3 文は台本には出てきません。英語は時刻を「何時何分」と 1 本で言うほかに、 区切りの時からどれだけ手前か・どれだけ過ぎたか でも言います。数が 2 つ並ぶので、初めて聞くと面食らいます。先に耳を作っておくための見本なので、声に出して読んでから台本に進んでください。 英文 日本語訳 見るところ It's five minutes to nine. [1] 9時まであと5分だ。 数が 2 つ。手前を表す語が間に入り、区切りの時は後ろに来る It is twenty minutes past ten. [2] 10時20分過ぎだ。 同じく数が 2 つ。過ぎたことを表す語が間に入る I'll see you at half past six. [3] 6時半に会おう。 半分を表す語が数の代わりに立ち、区切りの時が後ろに来る 3 つ目は終わりの上がり下がりです。 1.8 音編 で決めたとおり、はい・いいえで答える問いは上がって終わり、疑問詞で始まる問いと言い切りは下がって終わります。台本には問いが 5 つあり、上がるものが 3 つ、下がるものが 2 つ入っています。予定の相談でこれが効くのは、 いま決めていいのは自分か相手か が調子で分かるからです。終わりが上がったなら、相手は決定をこちらに渡しています。下がったなら、こちらから中身を引き出そうとしています。 もう 1 つ、この場面には落としやすい所があります。 断りが「いいえ」の形では来ない ことです。台本の 2 段落目で B は A の出した曜日を断りますが、否定の語は 1 つも使いません。その日は都合が悪いという事実を言い、続けて別の日を出す——それで断りになっています。日本語でも同じことをしますから、聞けば分かる形です。問題は、否定の語を待ちながら聞いていると、その 2 文が通り過ぎた後もまだ「返事待ち」のつもりでいることです。 返事は、こちらの語をなぞらず、別の内容として来る 。 聞き方 この編の課は 音が本体 で、画面の文字はその確かめです。だから台本はこの課の終わり、答えより後ろに置いてあります。先に読むと、文字を追いながら音を聞くことになり、聞き取りの練習になりません。手順は 5.1 聞編 で決めた 4 段と同じで、中身だけをこの課に合わせます。 台本を見ずに 2 回聞く。 1 回目は 数だけ を紙に書き出します。何の数かは決めなくて構いません。聞こえた順に並べるだけにしてください。2 回目に、その数のひとつひとつが曜日なのか時刻なのか分なのかを決めにいきます。 読み上げに声を重ねる(シャドーイング)を 3 回。 台本は見ません。語を正しく言おうとしないでください。数を強く長く出すことと、その前の小さな語を潰したまま流すこと——この 2 つだけを真似ます。小さな語が音にならなくても、この段では正解です。 台本を見て確かめる。 1 段目で書き出した数と突き合わせます。拾えなかった数はどれか、何の数かを取り違えたのはどこか。消えて聞こえた所が上の表の語だったことを、毎回確かめてください。 台本を見ずに、もう 1 回通して声を出す。 この 4 段目だけを 音読判定 にかけ、綴りどおりに返らなかった段落を書き出してください。 判定が返すのは綴りだけですが、この課ではそれで足ります。返りにくいのは、数の前の小さな語を強く言い直してしまった段落です。そこに山を立てると拍が 1 つ増え、判定の側は語がもう 1 つあると受け取ります。 返らなかった所を見れば、自分がどこに余分な力を入れているかが分かる 。 問い 聞き方の 1 段目と 2 段目を終えてから、3 段目より先に答えるのがこつです。台本を見てから答えると、聞けたのか読めたのかが分からなくなります。1 から 3 が予定の中身、4 が調子、5 と 6 が書き取り、7 がシャドーイングの仕上げです。 二人は結局、何曜日の何時に会うことになったか。それぞれ何段落目で決まったかも書く。 A が初めに出した曜日はどれか。B はそれをどう断ったか。断りの中に「いいえ」に当たる語は使われているか。 時刻は初めの案から動いている。誰が何時を出し、誰が何時に変えたか。移動にどのくらいかかると言っているか。 台本には問いが 5 つある。終わりが 上がる のはどれか。何段落目かで答える。残りは下がる。その理由も 1 行で書く。 書き取り。 4 段落目の文を書き取る。5 語ある。はっきり鳴るのは 2 語だけで、残り 3 語は弱く流れる。 書き取り。 7 段落目の 1 つ目の文を書き取る。8 語ある。はっきり鳴るのは 4 語で、残り 4 語は弱く流れる。その 4 語を落とさない。 シャドーイング。 聞き方の 4 段目を 8 段落すべてで行い、 音読判定 にかける。綴りどおりに返らなかった段落を書き出す。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Let's Learn English Lesson 17: Are You Free on Friday? VOA Learning English (5:00, 2016) 曜日と時刻で待ち合わせを決める この課のまとめ 予定のやりとりで取るのは 3 点だけ——何曜日か・何時か・どのくらいかかるか。しかも初めに聞こえた数は動くので、決まったのはどれかまで追う。 数そのものは短く強く鳴るので取りやすい。取りにくいのは数の前に付く小さな語のほうで、聞こえた数が何の数かは、その語が決めている。曜日の前と時刻の前に入る語はそれぞれ 1 つしかないので、聞き取るのではなく形から埋める。 はい・いいえの問いは上がって終わり、疑問詞の問いは下がって終わる。上がったら、決定はこちらに渡されている。 断りは「いいえ」の形では来ない。都合の悪さを言い、続けて別の案を出す形で来るので、否定の語を待っていると断りを聞き落とす。 次の課へ 次は 5.5 電話です。同じ「予定を決める」やりとりを、こんどは 相手の顔が見えない状態 で聞きます。この課で使った手——数を先に押さえ、その前の語は形から埋め、終わりの調子で自分の番かどうかを決める——は、そのまま持っていってください。電話ではそれ以外の手がかりが全部無くなるので、この課で身に付いたぶんが、そのまま聞き取れる量になります。 答え 日曜日の 3 時。曜日が決まるのは 3 段落目の Let's meet on Sunday. [4] で、時刻が決まるのは 5 段落目の I can come at three. [5] を 6 段落目で That's all right. [6] と受けたところ。8 段落目の See you on Sunday. [7] が最後にもう一度、曜日だけを言い直している。予定の話は終わりに要点を繰り返すので、最後の段落は聞き逃さないほうがよい。 月曜日。1 段落目の Are you free on Monday? [8] で A が出している。B は 2 段落目で I have work on Monday. [9] と都合の悪い理由を言い、続けて I'm free on Sunday. [10] と別の日を出す。「いいえ」に当たる語は 1 つも使われていない。断りは否定の語ではなく、 別の内容を出すこと で運ばれている。 先に 9 時を出したのは B で、4 段落目の Can you come at nine? [11] 。3 時に変えたのは A で、5 段落目の I can come at three. [5] 。移動は 7 段落目の It's about ten minutes by car from here. [12] が答えていて、車で 10 分ほど。同じ段落の I'll pick you up at three. [13] で、迎えに行くことまで決まっている。 上がるのは 1 段落目の Are you free on Monday? [8] 、4 段落目の Can you come at nine? [11] 、5 段落目の 2 つ目 Is that too late? [14] の 3 つ。どれも はい・いいえで答える問いである。下がるのは 3 段落目の What time would be good? [15] と 6 段落目の How long does it take? [16] 。