8.57 ルンペルシュティルツキン(1)— 三度のくり返し — Epoché
この篇でできるようになること ★ 三度のくり返し という型に気づける。 なぜ三なのかを、自分の言葉で言える。 一つの嘘が話を動かす仕掛けが分かる。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 前提 : 8.56 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に 紡ぐ ( spin )とは、わたや麻をよって糸にすることです。糸車( spinning-wheel )を使います。わらを金に紡ぐことは、もちろんできません。 話の始まりは、粉屋の 自慢 です。王の前で、娘はわらを金に紡げると言ってしまいます。 一つの嘘が、話を動かします 。 固有名詞 何を指すか miller 粉屋。麦をひく仕事の人 king 王 dwarf 小人。この話の相手 manikin 小さな人。同じ者を指す別の言い方 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 616 語、段落は 8 つです。 By the side of a wood, in a country a long way off, ran a fine stream of water; 読むときに一つ試してください。 同じことが何度くり返されるか を数えながら読む。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 遠く離れたある国の、森のそばを、きれいな川が流れていました。そしてその川の上に、水車小屋が一つ建っていました。粉屋の家はすぐ近くにあり、その粉屋には、実はたいそう美しい娘がいました。娘はそのうえ、とても抜け目がなく利口でした。粉屋は娘がとても自慢だったので、ある日、森へよく狩りに来ていたその国の王に、娘はわらを紡いで金にすることができると話してしまいました。さて、この王はたいそうお金が好きでした。粉屋の自慢を聞くと欲深さをかき立てられ、娘を自分の前に連れてくるよう使いを出しました。それから娘を宮殿のある部屋に連れていきました。そこにはわらが山と積んであり、王は娘に糸車を与えて言いました。「命が惜しければ、朝までにこれを全部紡いで金にするのだ。」気の毒な娘は、それは父親のばかげた自慢にすぎず、わらを紡いで金にするようなことは自分にはとてもできないと言いましたが、むだでした。部屋の戸には鍵がかけられ、娘はひとり残されました。 娘は部屋の隅に座り、自分のつらい運命を嘆き始めました。すると突然戸が開き、おかしな姿の小さな男が足を引きずりながら入ってきて、言いました。「やあ、こんにちは、お嬢さん。何を泣いているのかね?」「ああ!」と娘は言いました。「このわらを紡いで金にしなければならないのに、そのやり方がわからないのです。」「わしが代わりにやってやったら、何をくれるかね?」と小鬼は言いました。「わたしの首飾りを」と娘は答えました。小男は娘の言葉どおりに首飾りを受け取り、糸車の前に腰を下ろすと、口笛を吹き、歌いました。 「くるくる回れ、くるくる回れ、見よ、ごらん! 巻け巻け、巻いてゆけ、わらは金に!」 すると糸車は楽しげにくるくる回り、仕事はすぐに終わって、わらはすっかり紡がれて金になりました。 王はやって来てこれを見ると、たいそう驚き、喜びました。けれども王の心はますますもうけに欲深くなり、気の毒な粉屋の娘をまた新しい仕事とともに閉じ込めました。娘はどうしてよいかわからず、また座りこんで泣きました。けれどもまもなく小人が戸を開けて言いました。「おまえの仕事をしてやったら、何をくれるかね?」「指にはめているこの指輪を」と娘は言いました。そこで小さな友だちは指輪を受け取り、また糸車で仕事を始め、口笛を吹き、歌いました。 「くるくる回れ、くるくる回れ、見よ、ごらん! 巻け巻け、巻いてゆけ、わらは金に!」 そして、朝になるずっと前に、また何もかも終わりました。 王はこのきらきら光る宝を見てたいそう喜びました。けれども、それでもまだ足りませんでした。そこで王は粉屋の娘をさらに大きな山へ連れていき、言いました。「今夜これを全部紡ぐのだ。紡ぎ終えたら、おまえを妃にしよう。」娘がひとりになるとすぐに、あの小人が入ってきて言いました。「三度目も金を紡いでやったら、何をくれるかね?」「もう何も残っていません」と娘は言いました。「それなら約束するのだ」と小男は言いました。「おまえが妃になって最初に生まれる小さな子どもを、わしにくれると。」「そんなことは起こらないかもしれない」と粉屋の娘は思いました。そして、仕事を片づけるほかの方法を知らなかったので、言われたとおりにすると言いました。糸車はまたあの古い歌に合わせて回り、小男はもう一度その山を紡いで金にしました。王は朝にやって来て、望んだものが全部そろっているのを見ると、約束を守らないわけにはいきませんでした。そこで王は粉屋の娘と結婚し、娘は本当に妃になりました。 語釈 帯の外の語は 46 語です。下に 全部 出します。 紡ぐことに関わる語 がこの話の中心にあります。 語(品詞) 意味 注 Alas en 間 ああ。嘆きの声 Alas, the poor girl had no straw left to spin. ああ、その気の毒な娘には紡ぐわらがもう残っていませんでした。 Lo en 間 見よ(古い言い方) Lo, a strange little man stood beside the spinning wheel. 見よ、奇妙な小さな男が糸車のそばに立っていました。 Straw en 名 わら Straw filled the small chamber from floor to ceiling that night. その夜、小さな部屋は床から天井までわらでいっぱいでした。 astonished en 形 ひどく驚いた The king was astonished to find a heap of gold instead of straw. 王はわらの代わりに金の山盛りを見つけてひどく驚きました。 behold en 動 見よ(古い言い方) Behold, the straw had turned to shining gold by morning. 見よ、そのわらは朝までに輝く金に変わっていました。 bewail en 動 嘆く The poor miller's daughter started to bewail her unhappy fate that night. その貧しい粉屋の娘はその夜、自分の不運な運命を嘆き始めました。 boast en 動 自慢する Her foolish father liked to boast about his daughter's skill. 彼女の愚かな父親は娘の腕前について自慢するのが好きでした。 chamber en 名 部屋 The miller's daughter was locked inside a small stone chamber. 粉屋の娘は小さな石造りの部屋に閉じ込められました。 clever en 形 利口な The clever girl guessed the little man's name at last. その利口な娘はついにその小さな男の名前を言い当てました。 droll en 形 おかしな The little man had a droll way of walking and talking. その小さな男は歩き方も話し方もどこかおかしなところがありました。 dwarf en 名 小人 A strange dwarf appeared suddenly beside the spinning wheel. 奇妙な小人が糸車のそばに突然現れました。 fate en 名 運命 She wept quietly, fearing what her fate might be. 彼女は自分の運命がどうなるのか恐れて静かに泣きました。 fond en 形 be fond of で「好んでいる」 The queen grew fond of her clever young daughter. 女王はその利口な若い娘を好むようになりました。 glittering en 形 きらきら光る A heap of glittering gold lay on the chamber floor. 部屋の床には山盛りのきらきら光る金が置かれていました。 greatly en 副 大いに The miller was greatly pleased to hear the king's kind words. 粉屋は王のやさしい言葉を聞いてたいそう喜びました。 greediness en 名 欲深さ His greediness for gold soon caused him great trouble. 金への欲深さがまもなく彼に大きな困難をもたらしました。 greedy en 形 欲の深い The greedy king wanted more gold spun every single night. その欲の深い王は毎晩もっと多くの金を紡がせたがりました。 heap en 名 山盛り A heap of straw lay untouched beside the old wheel. わらの山が古い糸車のそばに手つかずのまま置かれていました。 hobbled en 動 足を引きずって歩いた The old man hobbled slowly across the mill yard. その老人は水車小屋の庭をゆっくりと足を引きずって歩きました。 hobgoblin en 名 いたずら好きの小鬼 The village children whispered stories about a tricky little hobgoblin. 村の子どもたちはいたずら好きの小鬼についての話をひそひそと語りました。 hunt en 動 狩りをする The queen sent messengers to hunt for the little man's name. 女王はその小さな男の名前を探し回らせるために使者を送りました。 lass en 名 娘 A poor lass sat weeping beside the tall spinning wheel. 貧しい娘が背の高い糸車のそばで泣きながら座っていました。 maiden en 名 おとめ A poor maiden once lived quietly beside the old stone mill. 貧しいおとめがかつて古い石造りの水車小屋のそばで静かに暮らしていました。 manikin en 名 小さな人 A tiny manikin knocked softly at the chamber door. 小さな人が部屋の扉をそっとたたきました。 merrily en 副 陽気に The little man danced merrily around the fire that night. その小さな男はその夜、火のまわりを陽気に踊りました。 mill en 名 水車小屋・製粉所 Smoke curled gently above the old stone mill. 古い石造りの水車小屋の上には煙がやわらかく渦を巻いていました。 miller en 名 粉屋 The poor miller told the king a foolish, boastful lie. その貧しい粉屋は王に愚かで自慢げなうそをつきました。 miller's en 名 粉屋の The miller's daughter sat alone beside the spinning wheel. 粉屋の娘は糸車のそばに一人で座っていました。 morrow en 名 Good morrow =こんにちは(古いあいさつ) He promised to return again upon the morrow. 彼は翌日にまた戻ってくると約束しました。 necklace en 名 首飾り She offered her pearl necklace in exchange for his help. 彼女は彼の助けと引き換えに真珠の首飾りを差し出しました。 palace en 名 宮殿 Years later, she became queen of a great palace. 数年後、彼女は大きな宮殿の女王になりました。 queen en 名 王妃 The queen promised to keep her word to the little man. 女王はその小さな男との約束を守ると誓いました。 reel en 動 くるくる回る( Reel away ) Thread wound tightly around the small wooden reel. 糸が小さな木の糸巻きにきつく巻きつけられていました。 shrewd en 形 抜け目のない The shrewd little man guessed her secret plan at once. その抜け目のない小さな男はすぐに彼女の秘密の計画を見抜きました。 silly en 形 ばかな It was silly to promise something she could not keep. 守れないことを約束するなんて彼女はばかなことをしたものでした。 spin en 動 紡ぐ。糸による She was ordered to spin the straw into gold by dawn. 彼女は夜明けまでにわらを金に紡ぐよう命じられました。 spinning en 動 紡いでいる The little man sat spinning straw all through the night. その小さな男は夜通しわらを紡いでいました。 spun en 動 紡いだ( spin の過去分詞) By morning, all the straw had been spun into gold.