8.69 秘密の花園 四 — 言ったことが本当になる — Epoché
この篇でできるようになること ★仮定の形で言われたことが、 事実の形で言い直される ところを見つけられる。 大事な知らせが、場面でなく語りで来る理由を言える。 メアリが怒りで返すことの意味を考えられる。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 前提 : 8.68 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に 前の篇で、メアリは「きっと誰かが迎えに来てくれる」と思って待っていました。その続きです。 ★ へびが出てきます。 本文に snake は 3 回 出ます。どこに出るかを、覚えていてください。 出てくる人 誰か Barney バーニー。若い方の男 a large officer 大柄な士官。父と話しているのを見たことがある Mary Lennox メアリ・レノックス 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 491 語、段落は 12 つです。 台詞がとても多い 篇です。 But no one came, and as she lay waiting the house seemed to grow more and more silent. 前の篇の最後の願いに、 一行で答えが出ます ——誰も来ませんでした。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 けれども誰も来ませんでした。横になって待っていると、家はますますしんと静まりかえっていくようでした。ござの上で何かがかさかさいう音が聞こえたので、見下ろすと、小さなへびが一匹、すべるように進みながら、宝石のような目でメアリを見ていました。メアリはこわくありませんでした。それは害のない小さな生きもので、メアリにけがをさせたりはしないし、急いで部屋から出て行こうとしているようだったからです。メアリが見ているうちに、へびは戸の下をすり抜けていきました。 「なんて妙で、静かなんでしょう」とメアリは言いました。「まるでこのバンガローには、わたしとへびのほかに誰もいないみたい」 ほとんどその次の瞬間、敷地の中で足音がし、それからベランダで足音がしました。男の人たちの足音でした。男たちはバンガローに入ってきて、低い声で話していました。誰も出迎えにも、話しかけにも行きませんでした。男たちは戸を開けては部屋をのぞいているようでした。 「なんというありさまだ!」という一人の声が聞こえました。「あのきれいな、きれいなご婦人が! おそらく子どももだろう。子どもがいると聞いていたが、誰も見たことはなかった」 数分後に男たちが戸を開けたとき、メアリは子ども部屋の真ん中に立っていました。みっともない、不機嫌な小さな子に見え、顔をしかめていました。おなかがすきはじめていたし、ひどくほったらかしにされているという気がしていたからです。最初に入ってきた男は大柄な士官で、メアリは前に一度、その人が父と話しているのを見たことがありました。その人は疲れて、困りきったようすでしたが、メアリを見ると、あまりに驚いて、もう少しで跳びのくところでした。 「バーニー!」とその人は叫びました。「ここに子どもがいるぞ! 子どもがひとりきりで! こんなところに! なんということだ、この子は誰だ!」 「わたしはメアリ・レノックスです」と、小さな女の子はつんと背すじを伸ばして言いました。父のバンガローを「こんなところ」と呼ぶなんて、とても失礼な人だと思ったのです。「みんながコレラにかかったとき、わたしは眠ってしまって、今やっと目がさめたところです。どうして誰も来ないの?」 「誰も見たことのなかったあの子だ!」と男は仲間たちのほうを向いて叫びました。「この子は本当に忘れられていたんだ!」 「どうしてわたしは忘れられたの?」とメアリは足を踏み鳴らして言いました。「どうして誰も来ないの?」 バーニーという名の若い男が、とても悲しそうにメアリを見ました。メアリには、その人が涙を払いのけるように目をしばたたいたのが見えた気さえしました。 「かわいそうに!」とその人は言いました。「来る者は、もう誰も残っていないんだよ」 このように奇妙な、突然のしかたで、メアリは自分にもう父も母もいないことを知りました。二人は死んで、夜のうちに運び出されていたのです。そして、死なずにすんだ数少ない土地の使用人たちも、できるかぎり急いで家から逃げ出していました。お嬢様がいることを思い出した者は、一人もいなかったのです。だから、あんなに静かだったのでした。バンガローには、本当にメアリ自身と、かさかさいう小さなへびのほかには誰もいなかったのです。 語釈 帯の外の語は 40 語です。前の三篇と重なる語が多く、 新しく覚える語はほとんどありません 。 語(品詞) 意味 注 Barney en 名 バーニー。男の名 Lennox en 名 レノックス。メアリの姓 Mary en 名 メアリ Missie en 名 Missie Sahib で「お嬢様」 Sahib en 名 サーヒブ。敬っての呼び方 The old servant greeted the sahib respectfully every single morning. 年老いた使用人は、毎朝うやうやしくサーヒブにあいさつしました。 asleep en 形 眠って The tired baby finally fell asleep after a very long day. 疲れた赤ちゃんは、とても長い一日のあとにようやく眠りました。 bungalow en 名 バンガロー。平屋の家 The family moved into a cozy bungalow near the wide river. その家族は、広い川の近くの居心地のよいバンガローに引っ越しました。 cholera en 名 コレラ Doctors worked quickly to stop the outbreak of cholera in the city. 医者たちは、町でのコレラの発生を止めようと急いで働きました。 companions en 名 連れ(複数) The three companions traveled together across the tall mountains for weeks. 三人の連れは、何週間もかけて高い山々を一緒に旅しました。 compound en 名 屋敷を囲った敷地 Armed guards patrolled the walls surrounding the large family compound. 武装した警備員たちが、その大きな屋敷の敷地を囲む壁を巡回していました。 desolation en 名 荒れはてたありさま The abandoned village was a scene of complete and quiet desolation. その見捨てられた村は、まったく静かな荒れはてたありさまでした。 disgracefully en 副 ひどく。ここでは「あんまりな仕打ちで」 The poor animals had been disgracefully neglected by their careless owners. そのかわいそうな動物たちは、不注意な飼い主にあんまりな仕打ちでほうっておかれていました。 exclaimed en 動 声を上げた He exclaimed loudly when he saw the surprise waiting for him. 彼は自分を待っていた驚きを見て、大きな声を上げました。 footsteps en 名 足音(複数) They heard heavy footsteps coming down the old wooden stairs. 彼らは古い木の階段を下りてくる重い足音を聞きました。 frightened en 形 おびえた The frightened rabbit darted quickly into the thick bushes. そのおびえたウサギは、素早く茂みの中に飛び込みました。 frowning en 動 顔をしかめている She stood there frowning silently at the mess left behind. 彼女はそこに立ち、残されたちらかりに黙って顔をしかめていました。 gliding en 動 すべるように進んでいる The swan kept gliding smoothly across the still lake water. その白鳥は、静かな湖の水面をなめらかにすべるように進んでいました。 harmless en 形 害のない The old dog looked fierce but was actually completely harmless. その老犬は恐ろしそうに見えましたが、実はまったく害のないものでした。 hungry en 形 腹のへった The hungry children waited eagerly for dinner to be served. 腹のへった子どもたちは、夕食が出されるのを待ち遠しく待っていました。 hurry en 名 in a hurry で「急いで」 She left the house in a hurry and forgot her keys. 彼女は急いで家を出たため、鍵を忘れてしまいました。 jewels en 名 宝石(複数) The old wooden chest was filled with gold and precious jewels. その古い木の箱は、金と貴重な宝石でいっぱいでした。 mary en 名 メアリ( Mary と同じ語) matting en 名 敷物 Woven straw matting covered the floor of the small hut. 編まれたわらの敷物が、その小さな小屋の床を覆っていました。 mercy en 名 Mercy on us ! で「おやまあ」 Mercy on us, the children have been missing for hours! おやまあ、子どもたちが何時間もいなくなっているのです! neglected en 形 ほうっておかれた The neglected garden had grown wild with weeds and thorns. ほうっておかれた庭は、雑草といばらで荒れ放題になっていました。 nursery en 名 子ども部屋 The old nursery was filled with dusty toys and books. その古い子ども部屋は、ほこりをかぶったおもちゃや本でいっぱいでした。 queer en 形 妙な There was something queer about the way he kept smiling. 彼がずっと笑い続けている様子には、何か妙なところがありました。 rude en 形 無礼な It was rude of him to interrupt her long speech. 彼女の長いスピーチをさえぎるとは、彼は無礼でした。 rustling en 形 かさかさ音をたてる The rustling leaves outside kept her awake all night long. 外のかさかさ音をたてる葉のせいで、彼女は一晩じゅう眠れませんでした。 sadly en 副 悲しそうに She sighed sadly as she watched the ship sail away. 彼女は船が去っていくのを、悲しそうにため息をつきながら見送りました。 servants en 名 使用人(複数) The servants quickly gathered in the hall to hear the news. 使用人たちは知らせを聞くため、急いで広間に集まりました。 silent en 形 しんとした The forest grew silent as the sun began to set. 太陽が沈み始めると、森はしんとなりました。 snake en 名 へび A long green snake slid quietly through the tall grass. 長い緑のへびが、背の高い草の中を静かに進んでいきました。 stamping en 動 足を踏みならして The angry child left the room stamping his feet loudly. 怒った子どもは、大きな足音を踏みならして部屋を出ていきました。 startled en 形 ぎょっとした She was startled when the door suddenly slammed shut. ドアが突然バタンと閉まったとき、彼女はぎょっとしました。 stiffly en 副 つんとして She nodded stiffly and walked away without saying another word. 彼女はつんとしてうなずくと、それ以上何も言わずに去っていきました。 ugly en 形 みにくい The old bridge had become rusty, cracked, and quite ugly. その古い橋は、さびて、ひび割れて、かなりみにくくなっていました。 veranda en 名 ベランダ They enjoyed their morning tea out on the quiet veranda. 彼らは静かなベランダで、朝のお茶を楽しみました。 wakened en 動 目がさめた She wakened suddenly when the loud thunder crashed outside. 外で大きな雷が鳴りひびいたとき、彼女は突然目がさめました。 wink en 動 まばたきする He gave her a quick wink before leaving the