8.41 オズの魔法使い(1)— カンザスの灰色 — Epoché
この篇でできるようになること ★ くり返される語 に気づき、それが何を見せているかを言える。 訳を 段落の要旨 で取れる(文ごとに訳さない)。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 第 3 期の読み物の 長さに慣れる 。 前提 : 8.40 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に ボーム( L. Frank Baum 、1856〜1919)はアメリカの作家です。『オズの魔法使い』は 1900 年に出た童話で、アメリカで書かれた童話としては 最初に広く読まれたもの の一つです。それまでの童話はヨーロッパのもの(グリム、アンデルセン)が中心でした。 舞台は カンザス ——アメリカのまん中にある、平らで広い土地です。そこに、農場をやっているおじさんとおばさん、そして少女ドロシーと犬のトトが住んでいます。暮らしは豊かではありません。 12.6 知編 で見たアメリカの学校と暮らしの話が、この百年前の姿でここに出てきます。 固有名詞 何を指すか Dorothy ドロシー。主人公の少女 Toto トト。ドロシーの犬 Uncle Henry ヘンリーおじさん。農場をやっている Aunt Em エムおばさん。その妻 Kansas カンザス。アメリカ中部の州 読む前に一つだけ心構えを。 語釈を全部覚えようとしないでください。 この篇の帯の外の語は 64 語あります。覚えるためではなく、 読み通すため に置いてあります。分からない語が出たら語釈を見て、すぐ本文へ戻ってください。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 546 語、段落は 6 つです。 Dorothy lived in the midst of the great Kansas prairies 読 B と同じく、 まず最後まで通して読んで ください。分からない語があっても止まらないこと( 5.13 聞編 )。二度目に語釈を見ながら読みます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 ドロシーは、カンザスの大草原のまん中で、農夫のヘンリーおじさんと、その妻のエムおばさんと一緒に暮らしていました。家は小さなものでした。家を建てる材木は、何マイルも荷馬車で運んでこなければならなかったからです。四つの壁と床と屋根があって、それで部屋が一つできていました。この部屋には、さびたように見える料理用のかまどと、食器を入れる戸棚と、テーブルと、椅子が三つか四つと、ベッドがありました。ヘンリーおじさんとエムおばさんは一方の隅に大きなベッドを置き、ドロシーはもう一方の隅に小さなベッドを置いていました。屋根裏部屋はまったくなく、地下室もありませんでした――ただ、地面に掘った小さな穴があり、それは竜巻用の地下室と呼ばれていました。行く手のどんな建物でも押しつぶすほど強い、あの大きなつむじ風が起こったときに、家族が逃げこめるところです。そこへは床のまん中にある上げぶたから入るようになっていて、そこからはしごが、小さく暗い穴の中へと下りていました。 ドロシーが戸口に立ってあたりを見まわすと、どちらを向いても、大きな灰色の草原のほかには何も見えませんでした。四方八方、空の果てまで広がる平らな土地の大きな広がりを、木一本、家一軒さえぎっていませんでした。日は耕した土地を焼いて灰色のかたまりにし、そこには小さなひび割れが走っていました。草さえも緑ではありませんでした。日が長い葉の先を焼いて、どこにでも見えるのと同じ灰色にしてしまったからです。家もかつてはペンキが塗られていましたが、日がペンキをふくれ上がらせ、雨がそれを洗い流してしまい、いまでは家も、ほかのすべてのものと同じように、くすんだ灰色でした。 エムおばさんがここへ住みに来たときは、若くてきれいな妻でした。日と風は、おばさんも変えてしまいました。目からきらめきを奪って、落ち着いた灰色の目にしてしまい、頬と唇から赤みを奪って、それも灰色にしてしまいました。おばさんはやせて骨ばっていて、いまではちっとも笑いませんでした。みなしごのドロシーがはじめておばさんのところへ来たとき、エムおばさんは子どもの笑い声にとてもびっくりして、ドロシーの陽気な声が耳に届くたびに、悲鳴をあげて手を胸に押し当てたものでした。そしていまでも、この小さな女の子が何か笑うことを見つけられるのを、ふしぎそうに見ていました。 ヘンリーおじさんはけっして笑いませんでした。朝から晩までせっせと働き、喜びというものを知りませんでした。おじさんもまた、長いあごひげから粗末な長靴まで灰色で、きびしく重々しい顔つきをしていて、めったに口をききませんでした。 ドロシーを笑わせ、まわりのほかのものと同じように灰色になってしまうのを救ってくれたのは、トトでした。トトは灰色ではありませんでした。トトは小さな黒い犬で、長い絹のような毛をしていて、おかしな小さな鼻の両側で、小さな黒い目が陽気にきらきら光っていました。トトは一日じゅう遊んでいて、ドロシーもトトと一緒に遊び、トトをとてもかわいがっていました。 けれども、きょうは二人とも遊んでいませんでした。ヘンリーおじさんは戸口の段に腰かけて、いつもよりもっと灰色の空を心配そうに見上げていました。ドロシーはトトを腕に抱いて戸口に立ち、やはり空を見上げていました。エムおばさんはお皿を洗っていました。 語釈 帯の外の語は 64 語です。下に 全部 出します。覚えるためではなく、読み通すために使ってください。 語(品詞) 意味 注 Aunt en 名 おば。ここでは Aunt Em として名の一部 Aunt Mary visits us every summer with gifts. おばのメアリーは毎年夏、贈り物を持って私たちを訪ねてきます。 Dorothy en 名 ドロシー。主人公の少女 Dorothy’s en 名 ドロシーの Henry en 名 ヘンリー。おじの名 Kansas en 名 カンザス。アメリカ中部の州 Toto en 名 トト。ドロシーの犬 Uncle en 名 おじ。ここでは Uncle Henry として名の一部 Uncle Tom always tells us funny old stories. おじのトムはいつも私たちに面白い昔話をしてくれます。 anxiously en 副 心配そうに She anxiously waited for the test results. 彼女は試験の結果を心配そうに待ちました。 aunt en 名 おば My aunt lives in a small countryside town. 私のおばは小さな田舎町に住んでいます。 baked en 動 焼いた。日が土を焼くことにも使う The sun baked the dry ground all summer. 太陽が夏の間ずっと乾いた地面を焼きました。 beard en 名 あごひげ The old sailor had a thick gray beard. その老いた船乗りは濃い灰色のあごひげを生やしていました。 blades en 名 (草の)葉。刃の意味もある Fresh blades of grass covered the entire field. 新鮮な草の葉が畑全体を覆っていました。 blistered en 動 (塗りが)ふくれて剥がれた The old paint blistered badly in the sun. 古い塗料は日光でひどくふくれて剥がれました。 boots en 名 長靴 He wore thick boots to walk through mud. 彼はぬかるみを歩くために厚い長靴を履きました。 cellar en 名 地下室 They stored potatoes in the cool cellar. 彼らは涼しい地下室にジャガイモを保存しました。 cheeks en 名 ほお Her cheeks turned red from the cold. 彼女のほおは寒さで赤くなりました。 cookstove en 名 料理用のストーブ The old cookstove kept the kitchen warm and cozy. その古い料理用ストーブは台所を暖かく心地よくしていました。 cracks en 名 ひび割れ Deep cracks appeared in the dry desert ground. 乾いた砂漠の地面に深いひび割れが現れました。 crush en 動 押しつぶす Do not crush the delicate flowers in the box. 箱の中の繊細な花を押しつぶさないでください。 cupboard en 名 戸棚 She kept the dishes inside the wooden cupboard. 彼女は木製の戸棚の中に食器を保管していました。 cyclone en 名 竜巻。この章の題 A powerful cyclone destroyed several houses in town. 強力な竜巻が町のいくつかの家を破壊しました。 dearly en 副 心から。深く She loved her grandmother dearly all her life. 彼女は生涯、祖母を心から愛していました。 doorstep en 名 戸口の踏み段 A package was left on the doorstep this morning. 今朝、荷物が戸口の踏み段に置かれていました。 doorway en 名 戸口 He stood quietly in the doorway watching them. 彼は戸口に静かに立って彼らを見ていました。 dorothy en 名 ドロシー( Dorothy と同じ語) dug en 動 掘った The dog dug a hole in the yard. その犬は庭に穴を掘りました。 dull en 形 さえない。くすんだ The sky looked dull and gray all day. 空は一日中さえない灰色に見えました。 gaunt en 形 やせこけた The stray dog looked gaunt and very hungry. その野良犬はやせこけてとても空腹そうに見えました。 garret en 名 屋根裏 The poet lived alone in a small garret. その詩人は小さな屋根裏部屋にひとりで住んでいました。 grass en 名 草 The children played happily on the green grass. 子どもたちは緑の草の上で楽しそうに遊びました。 joy en 名 喜び Her face filled with joy at the news. その知らせに彼女の顔は喜びでいっぱいになりました。 ladder en 名 はしご He climbed the ladder to fix the roof. 彼は屋根を直すためにはしごを登りました。 laughter en 名 笑い声 Their laughter filled the room during the party. パーティーの間、彼らの笑い声が部屋いっぱいに響きました。 lips en 名 くちびる She smiled with her lips slightly trembling. 彼女はくちびるを少し震わせながらほほえみました。 lumber en 名 材木 They used lumber to build a new fence. 彼らは新しいフェンスを作るために材木を使いました。 merrily en 副 陽気に The children sang merrily around the campfire. 子どもたちはキャンプファイヤーの周りで陽気に歌いました。 merry en 形 陽気な Everyone wished each other a merry Christmas. 皆がお互いに陽気なクリスマスを祈り合いました。 midst en 名 まん中 Right in their frightened midst, one small dog stood brave. そのおびえた群れの真っただ中で、一匹の小さな犬だけが勇敢に立っていました。 mighty en 形 力の強い The mighty river flowed swiftly through the valley. その力強い川は谷を勢いよく流れていました。 nose en 名 鼻 The dog sniffed the ground with its nose. その犬は鼻で地面のにおいをかぎました。 orphan en 名 みなしご The orphan was raised by kind neighbors nearby. そのみなしごは近所の親切な人々に育てられました。 plowed en 動 (土を)すきで起こした The farmer plowed his field early that spring. その農夫はその春早くに畑をすきで耕しました。 prairie en 名 大草原 Wild horses ran freely across the open prairie. 野生の馬たちが開けた大草原を自由に走り回りました。 prairies en 名 大草原(複数) Vast prairies stretched endlessly beneath the summer sky. 広大な大草原が夏の空の下どこまでも広がっていました。 rarely en 副 めったに〜ない He rarely eats sweets or drinks soda. 彼はめったにお菓子やソーダを飲みません。 roof en 名 屋根 Snow covered the roof of the old barn. 雪が古い納屋の屋根を覆いました。 rough en 形 粗末な・ご