5.44 速い雑談 — 消えた音は、追いかけない — Epoché
この課で聞き取れるようになること ★ 消える音 があっても、話の筋を落とさずに聞ける。 ★ 話題が替わった ことに、合図なしで気づける。 ★ 相づちの位置 が分かる。 ★ 聞き取れないまま続ける手 を三つ持てる。 前提 : 5.43 まで。 聞く前に ★ 仕事の前後の雑談を聞きます —— 会議の前の数分・休憩・見送り です。★ 台本は 197 語で、 帯の外の語は一つもありません 。 ★ それでも、この課の台本は 1.1 倍の速さ で読まれます (台帳の第 7・8 期の速さ)。 何が速くなるか 耳に何が起きるか 聞く側の手 ★ 語の切れ目 ★ つながって一語に聞こえる ★ 語の数で数えない ★ 短い語 ★ 弱くなって消える ★ 強く鳴った語だけ拾う ★ 話題 ★ 合図なしに替わる ★ 替わったと気づいたら乗る ★ 三つとも、 語を覚えれば直るものではありません 。 ★ この台本には知らない語が無い のに速く感じるのが、その証拠です。★ だから、この課で身につけるのは 語ではなく構え です。 速く感じるのは、語が消えるから ★ 台本の語を数えました。 ★ 197 語のうち 164 語が 1 音節 です—— 83% 。★ 雑談は、短い語でできています。 ★ 短い語が並ぶと、境目が消えます。 ★ 1.9 音編 で連結、 1.10 音編 で脱落と同化を置きました 。★ あのときは一語ずつ確かめました が、★ 雑談ではそれが 一息に五つ六つ 起きます 。 ★ 一段落めの三行めを聞いてください ( It took me an hour to get here. The trains were a mess. [1] )。★ 13 語ありますが、 強く鳴るのは内容語だけ です。★ to ・ the ・ were ・ an のような語は、 弱くなってほとんど消えます 。 ★ それでも意味は取れます。 ★ 1.7 音編 で「内容語を打ち、機能語を弱く」と置きました 。★ 速い雑談は、その規則が いちばんはっきり出る場 です。★ 消えた音は追いかけないでください ——★ 追いかけると、次の内容語を落とします。 話題は、二十語もたない ★ 台本には話題が 十 つあります。 ★ 197 語を 十 で割ると、一つの話題は 19 語ほど しかもちません。 どの区切りか 話題の移り 替わり方 ★ 一段落め ★ 早いか遅いか → 電車 ★ 相手の一言から ★ 二段落め ★ 週末 → 川の水 → 父の言葉 ★ 語をきっかけに飛ぶ ★ 三段落め ★ 雑談 → 会議 ★ 外から切られる ★ 発表や演説では、話題が最後まで一つでした ( 5.40 聞編 ・ 5.42 聞編 )。★ 雑談は逆 です——★ 替わるのが ふつう で、★ 替わり目に合図がありません。 ★ 二段落めの終わりが、いちばん飛んでいます。 ★ 川の水が低いという話から、 父が庭について言っていたこと へ移ります 。★ つながりは「低い」という語だけ です。★ ここで「話がおかしい」と止まらないでください ——★ 雑談では、それが正しい進み方 です。 相づちは、意味ではなく位置で入る ★ 台本には、三語以下の短い受けが 四 つ あります 。★ どれも中身を足していません。 ★ 「聞いている」と知らせるためだけに入ります。 どの受けか どこに入るか 何を伝えるか Really? Again? [1] ★ 相手が困った話をした直後 ★ 驚きと同情 Take your time. [1] ★ 相手が待たせたとき ★ 急がなくてよい Same here. [1] ★ 相手と同じ気持ちのとき ★ 自分も同じだ ★ 位置を外すと、意味が通っても変になります。 ★ だから、覚えるのは語ではなく 入れる場所 です——★ 相手が声を下げたところ です。 ★ 笑いも同じ場所に入ります。 ★ ただし、笑いは 字になりません 。★ だから台本を読むだけでは取れません ——★ 音で聞いて、どこで相手が声を崩したかを探してください。 ★ この課でいちばん、 耳でしか学べないところ です。 聞き取れないまま、続ける三つの手 ★ 五段落めを聞いてください。 ★ 片方が、聞き取れていません。 ★ それでも会話は止まりません。 どの手か 言い方 何が起きるか ★ 最後の語をくり返す The thing on Friday? [1] ★ 相手が言い足してくれる ★ 受けて返す Are you? [1] ★ 問いを相手に戻す ★ 相手に合わせる I will go if you go. [1] ★ 決めずに場を保つ ★ 一つめが、いちばん使えます。 ★ 聞こえた最後の語をそのままくり返すと、 相手が言い換えて足してくれます 。 ★ 台本でも、そのあとに 何の集まりか が出てきます。 ★ ここが 5.43 聞編 の面接と逆になるところ です。★ 面接では、聞き返すのが正しい手 でした——★ 取り違えたまま答えるのがいちばん高くつく からです。★ 雑談では逆 です——★ 止めて確かめるほうが 高くつきます 。★ 伝えるべき中身が、はじめから無い からです。 知っておく語 ★ 帯の外の語はありませんが、 雑談で意味が動く語 があります。 ★ その 六 語を辞書に入れました ので、台本の語をたどれば、この場での意味が出ます。 第 8 期の聞編をまとめる ★ この課で聞編は終わりです。 ★ 第 8 期の五課で置いた手つきを、一つの表にします。 どの課か 何を聞いたか 残る手つき 5.40 聞編 反復・対句・三点構造 ★ 形が先に耳に届く 5.41 聞編 息の長さと拍の打ち方 ★ 切れ目は息か、行か 5.42 聞編 専門語のかたまりと数 ★ 置いておく/書き取る 5.43 聞編 問いの型と答えの長さ ★ 頭の三語で決める ★ この課 消える音と飛ぶ話題 ★ 取れなくても止まらない ★ 五つを一行にすると、こうなります ——★ 「形を先に取り、切れ目を待ち、分からないものは置いておき、長さを決め、止まらない」。 ★ どれも 語を増やさずにできること です。★ 語は語編と読編で増えます。聞編で増やすのは 構え のほうでした。 聞き方 ★ 設計書の手順どおり、シャドーイングまで通します。 ★ この課は 1.1 倍なので、 重ねるのがいちばん難しい はずです。★ 合わなくてかまいません。 ★ 台本を見ずに二回 聞く。★ 一度めは、 話題が何回替わったか だけを数える。 ★ 二度めは、 強く鳴った語だけ を書き取る。 ★ 消えた語は追わない。 ★ 声を重ねて三回 。★ 合わないところは 飛ばして先へ 。★ 止まって戻らないのが、この課の練習です。 ★ 台本を見て確かめる 。★ 書き取れなかった語に印を付け、 それが機能語かどうか を見る。 ★ もう一度、見ずに通す 。★ こんどは 笑いと相づちの位置 だけを聞く。 問い 台本を聞いて、答えてください。 ★ 一段落めで、遅れそうだった理由は何か。 ★ 二段落めで、話題は何から何へ移ったか。 ★ 雑談を切ったのは、どちらの話し手か。何と言って切ったか。 ★ 四段落めで、二人は何を聞き取れなかったと言っているか。 ★ 五段落めで、聞き取れなかった側は何をしたか。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 How to look confident during a presentation British Council | English (2:20, 2023) British Council。自己紹介から雑談へ入るところ。 練習 台本を 上の「聞き方」の五段どおりに通す 。★ 合わなくても止まらない。 ★ 短い受けを音読する 。上の 四 つを、 相手が声を下げたつもりで 三度言う。★ 強く言わないこと。 ★ くり返して続ける 。相手の言った最後の語だけをくり返す形を、 三通り 作って声に出す。 ★ 話題を飛ばす 。身近なことを一つ決め、 そこから三つ先まで話題を飛ばして 書く。★ つながりは語一つでよい (台本の「低い」と同じ)。 この課のまとめ ★ 台本 197 語に帯の外の語は 0 語 ——★速さは語ではなく、 消える音 から来る(1 音節が 83%)。 ★ 消えた音は追いかけない ——追うと次の内容語を落とす( 1.7 音編 ・ 1.9 音編 ・ 1.10 音編 )。 ★ 話題は 19 語ほどで替わる ——★合図は無い。替わるのがふつう。 ★ 相づちは意味ではなく位置 ——相手が声を下げたところ。★ 笑いは字にならない ので耳で取る。 ★ 続ける手は三つ ——最後の語をくり返す/受けて返す/相手に合わせる。 ★ 雑談は聞き返さないほうが速い —— 5.43 聞編 の面接と逆。★伝えるべき中身が、はじめから無いからです。 次の課へ ★ 聞編はこれで終わりです。 ★ 第 8 期の学習順では、聞の次は 話 です。次の課は 6.54 話編 、 第 6 編「話」の第 8 期のはじめ です。★ ここまで五課、 聞く側 で来ました。 ★ こんどは、 同じ場で自分が話します 。 答え 「問い」の五つの答えです。 ★ 電車が乱れていて、一時間かかった からです( It took me an hour to get here. The trains were a mess. [1] )。★ 強く鳴った語だけで理由は取れます ——★ 「一時間」と「電車」が聞こえれば十分 です。 ★ 週末 → 川の水 → 父の言葉 です。★ 最後の飛びのつながりは 「低い」という語だけ です。★ 意味ではつながっていません。 ★ 迎えた側 です( Right, shall we get started? Everyone is here now. [1] )。★ 雑談は 外から切られます ——★ 切れ目は話題の中ではなく、 時間の側 から来ます。 ★ 直前の話の最後の部分 です。★ 片方が Thanks. I did not catch the last part of that. [1] と言い、もう片方も Nor did I. [1] と受けています。 ★ 二人とも取れていない のに、★ 会話は止まっていません。 ★ 聞こえた語をそのままくり返しました ( The thing on Friday? [1] )。★ すると相手が 何の集まりかを言い足して くれました。 ★ 聞き返す形をとっていないのに、 答えは返ってきています 。 台本 ★ 六つの区切り で、 1.1 倍の速さ で読まれます。★ 会議の前・会議のはじめ・休憩・見送り です。 Morning. Am I early? [1] No, you are right on time. The others are still coming. [1] It took me an hour to get here. The trains were a mess. [1] Really? Again? [1] Same as last week. [1] Well, you made it. Did you get any rest at the weekend? [1] Some. I took the children to the river. [1] That is a good idea. Was the water low? [1] Very low. You could walk across it. [1] My father used to say that about our garden. [1] Right, shall we get started? Everyone is here now. [1] One second. Let me put my phone away. [1] Take your time. [1] Is there any coffee left? [1] There should be. It is by the window. [1] Thanks. I did not catch the last part of that. [1] Nor did I. [1] Then we are even. [1] So, are you going to the thing on Friday? [1] The thing on Friday? [1] The party for the new office. [1] That one. I am not sure yet. Are you? [1] I will go if you go. [1] Well, I should let you get back to it. [1] Same here. [1] It was good to see you. I will walk you out. [1] No need. I know the way. [1] Take care. See you on Friday. [1] 参考文献 Epoché の作例(仕事の前後の雑談)。CC BY 4.0。★会社も人も架空、数はすべて仮。https://epoche.app/