6.29 日本を紹介する — 説明しないでおくものを決める — Epoché
この課で言えるようになること ★ 名前はそのまま言い、訳さない 。 ★ 何の仲間か を一行で言える。 ★ 相手が知っている物に寄せられる 。 ★習慣を 「たいてい」の形 で言える。 ★ 説明しないでおくもの を自分で決められる。 前提 : 6.28 まで。型は 3.32 まで。受動態は 3.17、関係代名詞は 3.13。 場面と話し手 この課の場面は、 外国から来た人に、日本のものを説明する ところです。食べ物、行事、決まりごと。★ 相手はまったく知りません。 ★ だからこそ、説明を短くする必要があります。 ★全部説明すると、伝わらなくなる 日本語話者がこの場面でつまずくのは、 英語が出てこないから ではありません。★ 説明しようとしすぎるから です。 たとえば、ある食べ物を説明しようとして、原料・作り方・地域・季節・食べ方を順に言ったとします。★ 相手には、知らない語が五つ並びます。 ★ 一つめで分からなくなると、あとは全部流れます。 どう説明するか 相手が知らない語の数 伝わり方 ★ 仲間を一つ言う ★ 0 ★ だいたい分かる 材料まで言う 1 か 2 まだ分かる 作り方まで言う 3 以上 ★ 分からなくなる ★ だから、説明は「何の仲間か」から始めます。 「食べ物の一種です」——★ これだけで、相手は足場を持てます。 ★ 足場があれば、相手のほうから聞いてくれます。 「何でできているの」「甘いの」。★ 聞かれたことに答えればよい。 ★ 何を説明するかは、相手が決めるほうがうまくいきます。 名前はそのまま言う ★ 日本語の名前は、訳さないでください。 無理に英語にすると、 別の物になってしまいます 。★ そして、訳した先の物のほうが強く伝わります。 ★ 名前はそのまま言って、そのあとに仲間を添えます。 ★ この二つで一組です。 名前だけでは分かりません。仲間だけでは、次に見かけたときに気づけません。 ★ 名前をそのまま言うのは、相手のためでもあります。 ★ 店で頼むときに使えるのは、その名前だけ だからです。訳した言い方を覚えても、 どこでも通じません 。 相手が知っている物に寄せる ★ 仲間の言い方には、幅があります。 「食べ物の一種」は大まかすぎるかもしれない。「パンの一種」なら、★ 相手は口に入れたときの感じまで想像できます 。 ★ 厳密には違っていてもかまいません。 ★ ここが日本語話者のいちばんためらうところです。 「パンとは違うのに、そう言ってよいのか」。★ よいのです。 ★ 紹介の目的は、正確に分類することではありません。 ★ 相手が次の一歩を踏み出せるようにすることです。 違いは、 相手が食べてから言えばよい 。★ そのとき初めて、違いが意味を持ちます。 ★ 順を逆にしないでください。 違いから入ると、 相手には「知らない物」のままです 。★ 似ているところから入って、違いで締める。 対話 A 話者 英文 日本語訳 学習者 This is a kind of food. [1] これは食べ物の一種です。 相手 What's this made from? [2] 何でできているの? 学習者 This is a kind of bread. [3] これはパンの一種だ。 相手 That sounds great. [4] そりゃいいね。 一行めが いちばん大まかな仲間 です。★ 「食べ物の一種です」。 ★ ここから始めています。 二行めで相手が 材料を聞いています 。★ 足場ができたので、次を知りたくなったのです。 ★ 説明が進んだのは、こちらが押したからではありません。 ★ 三行めが、この課でいちばん大事な一行です。 ★ 材料を聞かれているのに、仲間で答えています。 「パンの一種です」。 ★ これは答えをはぐらかしているのではありません。 ★ 材料の名前を言っても、相手は知らない からです。★ 知らない語を渡すより、知っている物に寄せるほうが、相手は遠くまで行けます。 四行めで相手が受け取っています。★ 「よさそうだ」。 ★ これが紹介の成功です。 ★ 正しく分類できたことではなく、相手が食べてみたくなったことが成功です。 対話 B 話者 英文 日本語訳 相手 We usually eat at six. [5] 普段は6時に食べます。 学習者 We usually walk to school. [6] 私達は普通歩いて学校へ行く。 学習者 We always have to follow the rules. [7] ぼくたちはいつも規則を守らなくてはいけない。 相手 I know what you mean. [8] 言いたいことは分かるよ。 ★ こちらは習慣の交換です。 一行めで、相手が 自分の側の習慣 を言っています。★ 紹介は、たいていこの形で始まります。 相手が自分の話をしたら、 こちらの話をする番 です。 二行めと三行めで、学習者が 二行続けて 返しています。★ 一行では釣り合いません。 ★ 相手が一行なら、こちらは二行。 紹介では、 少し多めに返すのがちょうどよい ——相手は 知らないことを聞きたがっている からです。 ★ 二行めの usually に気をつけてください。 ★ これが無いと、「きょう歩いた」という一度の話になります。 ★ 習慣の話だと示す語が要ります。 三行めは 決まりごと です。★ have to を使っています。★ 「したい」ではなく「しなければならない」。 ★ これを使うと、個人の好みではないことがはっきりします。 ★ ここを混ぜないでください。 「みんなそうします」と言うつもりで like を使うと、 みんながそれを好んでいる ように聞こえます。★ 習慣・決まり・好みは、別の語で言い分けます。 言い回し 紹介の場面でそのまま使える言い方を六つ挙げます。上の三つが 物を説明する ため、真ん中の二つが 習慣と決まりを言う ため、下の一つが なぜ寄せるのか の理由です。 英文 日本語訳 どんなときに This is a kind of food. [1] これは食べ物の一種です。 ★まず仲間を言う。いちばん大まかなところから This is a kind of bread. [3] これはパンの一種だ。 ★相手が知っている物に寄せる。足がかりを渡す This box is made of paper. [9] この箱は紙で出来ている。 材料を言う。★聞かれてからでよい We usually walk to school. [6] 私達は普通歩いて学校へ行く。 習慣を言う。★ usually が要る We always have to follow the rules. [7] ぼくたちはいつも規則を守らなくてはいけない。 決まりを言う。★個人の好みではないと示す People usually don't like what they can't understand. [10] 人々は普通、自らの理解できないことは好きではない。 ★寄せる理由。分からないものは好かれない ★ 下の一つは、言うための文ではありません。 ★ 覚えておくための文です。 「人はたいてい、分からないものを好まない」。★ 紹介がうまくいかないときは、たいてい相手が分からなくなっています。 ★ 説明が足りないのではなく、多すぎるのです。 言い換えと丁寧さ 説明の細かさにも段があります。★ ただし、上の段がよいわけではありません。 どの段か その形 相手が知らない語 あっさり This is a kind of food. [1] ★ 無い 。誰にでも通じる ふつう This is a kind of bread. [3] ★ 無い 。足がかりが増える 細かい This is a kind of animal that lives in the sea. [11] ★ 増える 。関係代名詞で説明が伸びる ★ 三段めをよく見てください。 「海に住む動物の一種です」。★ 情報は増えていますが、文が長くなっています。 ★ 話すときには、長さそのものが負担になります。 5.24 聞編 で置いたとおり、 聞く側は長い文を最後まで持ちこたえなければなりません 。★ 知らない話題で長い文を聞くのは、いちばん難しい。 ★ だから、細かい段は「聞かれてから」使います。 ★ 自分から三段めで始めないこと。 ★ 一段めで出して、相手が乗ってきたら二段め、三段めへ上げる。 ★ 紹介の丁寧さとは、相手の分かり方に合わせて段を選ぶことです。 この課で使う型 — 型編の復習 この課の八行は、第 3 編で立てた型だけでできています。 型の名 この課での出方 戻る課 冠詞 III ★ a kind of の a 3.32 型編 受動態 I 何でできているか 3.17 型編 関係代名詞 I ★細かい段で説明が伸びるところ 3.13 型編 wh 節と間接疑問 分からないもの、の what 節 3.20 型編 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Cultural differences and body language - 6 Minute English BBC Learning English (6:12, 2017) 文化の違いと身ぶり。説明しないでおくものを決める手がかりに 練習 対話 A と対話 B を、行を押して音を聞いてから 役を決めて音読 する。相手の役と学習者の役を両方やる。3 周する。3 周目は対話 A を、音声に重ねて シャドーイング する。 ★ 削る練習 。日本のものを一つ選び、 説明したいことを日本語で五つ 書き出す。★ そのうち四つを消す。 ★ 残した一つを、仲間の形で英語にする。 ★ 消すのがつらいものほど、たいてい相手には要らないものです。 ★ 寄せる練習 。同じものについて、 相手が知っていそうな物を三つ 挙げる。「パン」「スープ」「祭り」のような大まかな物でよい。★ 三つのうち、どれがいちばん近いかを選ぶ。 ★ 厳密さでは選ばないこと。 ★ 相手がいちばん想像しやすいもの を選ぶ。 この課のまとめ ★ 紹介で難しいのは、何を説明しないでおくかを決めること。 全部説明すると、知らない語が並んで伝わらなくなる。 ★ 説明は「何の仲間か」から始める。 足場があれば、相手のほうから聞いてくれる。 ★ 何を説明するかは、相手が決めるほうがうまくいく。 ★ 名前はそのまま言い、訳さない。 訳すと別の物になる。店で使えるのは、その名前だけ。 ★ 名前と仲間で一組。 名前だけでは分からず、仲間だけでは次に気づけない。 ★ 相手が知っている物に寄せる。 厳密には違っていてよい。違いは相手が触れてから言えばよい。 ★ 似ているところから入って、違いで締める。 逆にすると、相手には「知らない物」のままになる。 ★ 習慣・決まり・好みは言い分ける。 usually ・ have to ・ like 。 ★ 細かい段は、聞かれてから使う。 知らない話題で長い文を聞くのが、いちばん難しい( 5.24 聞編 )。 次の課へ 次の課は 6.30 、 面接 I です。自己紹介と志望。★紹介では、 相手が知らないもの を渡しました。面接で渡すのは 自分 です。★そして、 面接には持ち時間があります 。★ この課で身につけた「削る」ことが、そのまま効いてきます。 答え 「練習」の三つの答えです。 ★ 対話 A は四行しかないので、三周はすぐ終わります。 ★ そのぶん、一行めを何度も口に通してください。 ★ 「〜の一種です」の形が、考えずに出るかどうかで紹介は決まります。 ★ 三行めも同じ形 です——★ 一つの対話に同じ形が二度出ているのは、それだけ使うから です。 ★ 残した一つが「仲間」になっているかを確かめてください。 ★ 材料・作り方・季節を残した人は、もう一度消し直します。 ★ この課で最初に言うのは、仲間だけ です。★ そして、消すのがつらかった四つを見てください。 ★ たいてい、自分が面白いと思っているところ です。★ 相手が知りたいところとは別 で、 相手が知りたいところは聞かれた形で分かります 。 ★ 選んだものが、三つのうちいちばん厳密でないものになっていることが多いはずです。 ★ それで合っています。 ★ 選ぶ目安を書いておきます——その語を聞いて、相手が味・形・大きさを思い浮かべられるか 。★ 分類の上では正しいが想像できない語は、この場では役に立ちません (「発酵食品」「郷土料理」のような言い方)。★ 想像できる語を選んで、違いは相手が口にしてから言えばよい。 参考文献 Tatoeba 文 #55568(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/55568 Tatoeba 文 #2835762(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2835762 Tatoeba 文 #55848(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/55848 Tatoeba 文 #1839561(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1839561 Tatoeba 文 #9942799(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/9942799 Tatoeba 文 #263265(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/263265 Tatoeba 文 #1044958(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1044958 Tatoeba 文 #17198(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/17198 Tatoeba 文 #57497(CC BY 2.0