8.120 問いを置いて、あとで答える — ろうそくの科学(2) — Epoché
この篇でできるようになること ★ 問いを置いて先送りにする 運びが読める。 ★ 聞き手の声を書く 手つきが分かる。 ★ 美しいものが良いとはかぎらない と言う構えが見える。 ★ 道具の工夫を褒める ことの意味が言える。 前提 : 8.119 まで。型は 3.40 まで。 読む前に ★ 前の篇では、ろうそくの材料を見せました。 ★ この篇は、作り方と、形の話です。 ★ そして最後に、この講義全体の問いが出ます ——★ 「固いろうが、どうやって炎のところまで上っていくのか」。 ★ ファラデーは、その問いに答えません。 ★ 「のちほど調べましょう」と言って、次へ行きます。 ★ この篇には、問いが 6 個 あります。★ どれが答えられ、どれが先送りにされたかを見ながら読んでください。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1142 語、文は 56 本、一文の平均は 20.4 語、いちばん長い一文は 62 語です。 書き出しは、問いです。 And how are these candles made? ★ 「では、これらのろうそくはどうやって作られるのでしょうか」。 ★ 自分で問いを立てて、自分で答えます ——★ この篇の前半は、その答えです。 そして、途中でこう言います。 Candles cannot always be cast. ★ 「ろうそくは、いつも鋳られるとはかぎりません」。 ★ 五語です。 ★ 直前に、聞き手が驚く声が書かれています。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 では、これらのろうそくはどのように作られるのでしょうか。浸しろうそくのことはお話ししました。今度は型ろうそくがどのように作られるかをお見せしましょう。ここにあるろうそくのどれかが、鋳ることのできる材料でできていると考えてみましょう。「鋳る、ですって!」とみなさんは言うでしょう。「だって、ろうそくは溶けるものです。溶かせるのなら、鋳ることもできるはずでしょう。」そうではないのです。ものを作る工程が進むなかで、また求める結果を生むのにいちばんふさわしい手段を考えるなかで、前もっては予想もしなかったことが出てくるのは、驚くべきことです。ろうそくはいつも鋳られるとはかぎりません。蜜蝋のろうそくは決して鋳ることができません。それはある特別なやり方で作られますが、そのやり方は一、二分で説明できます。でも、そこにあまり時間をかけるわけにはいきません。蝋というものは、ろうそくの中であんなによく燃え、あんなに簡単に溶けるのに、鋳ることはできないのです。とはいえ、鋳ることのできる材料を取り上げてみましょう。ここに枠があり、たくさんの型が取りつけてあります。まずすることは、それらにしんを通すことです。ここに一本あります——編んだしんで、しんを切る必要がありません[原注3]——細い針金で支えてあります。しんは底まで通り、そこで栓で留められます。その小さな栓が木綿のしんをぴんと張り、穴をふさいで、液体が何も流れ出ないようにするのです。上の部分には、小さな棒が横に渡してあり、それが木綿のしんを引っぱって型の中に保ちます。それから獣脂を溶かし、型を満たします。しばらくして型が冷めたら、余った獣脂を一つの隅から流し出し、それからすっかりきれいに取り除き、しんの端を切り落とします。すると型の中にはろうそくだけが残ります。あとは、いま私がしているように、ひっくり返すだけで、ろうそくは転がり出てきます。ろうそくは円錐の形に作られていて、上が下より細くなっているからです。ですから、その形と、ろうそく自身が縮むこととで、少し揺するだけで落ちてくるのです。ステアリンやパラフィンのこうしたろうそくも、同じやり方で作られます。蜜蝋のろうそくがどのように作られるかを見るのは、興味深いことです。ここでご覧のように、たくさんの木綿のしんを枠につるし、その端を金属の留め具で覆って、その部分に蝋がかからないようにします。これを加熱器のところへ運び、そこで蝋を溶かします。ご覧のとおり、枠は回るようになっています。そして枠が回るにつれて、一人の男が蝋の入った器を持ち、まず一本に、それから次の一本、また次の一本と、順に蝋を注いでいきます。一回りして、最初のものが十分に冷めていれば、それに二度目の層をかけ、こうして全部が求める太さになるまで続けます。こうして衣を着せられ、あるいは養われて、その太さになったら、枠から外して別の所に置きます。ここに、フィールド氏のご好意で、こうしたろうそくの見本がいくつかあります。これはまだ半分しか仕上がっていないものです。それから、ろうそくを下ろし、目の細かい石の板の上でよく転がします。そして、円錐形の先端は、ちょうどよい形の管で形を整え、底は切り落として整えます。これがとても見事に行われるので、この方法で、ちょうど一ポンドに四本、あるいは六本、あるいは好きな本数になる重さのろうそくを作ることができるのです。 けれども、単なる製造の話にこれ以上時間を取ってはいけません。もう少し本題に踏みこみましょう。ろうそくのぜいたく品のことには、まだ触れていませんでした(ろうそくにもぜいたく品というものがあるのです)。これらがどんなに美しく色づけられているか、ご覧ください。ここには、モーヴやマゼンタなど、最近取り入れられた化学染料の色がすべて、ろうそくに使われているのが分かります。いろいろな形が使われていることにも気づくでしょう。ここに、とても美しい形をした溝つきの柱形のろうそくがあります。また、ここにはピアソール氏が送ってくれたろうそくもあり、表面に模様の飾りがついています。そのため、燃えると、いわば上には輝く太陽が、下には花束があるように見えるのです。けれども、立派で美しいものがすべて役に立つわけではありません。この溝つきのろうそくは、きれいではありますが、悪いろうそくです。外側の形のせいで悪いのです。それでも、四方の親切な友人たちから送られてきたこれらの見本をお見せするのは、この方向、あの方向で何がなされているか、何がなされうるかを見てもらうためです。もっとも、さっきも言ったとおり、こうした凝った工夫になると、役に立つという点を少し犠牲にせざるをえないのですが。 さて、ろうそくの光についてです。一本か二本に火をつけ、本来の働きをさせてみましょう。ろうそくはランプとはまったく違うものだということに気づくでしょう。ランプでは、少し油を取って器を満たし、苔か、人の手で用意した木綿を少し入れ、それからしんの先に火をつけます。炎が木綿を伝って油のところまで下りると、炎は消えてしまいますが、その上の部分では燃え続けます。さて、きっとみなさんはこう尋ねるでしょう。それ自体では燃えない油が、どうやって木綿の先まで上がって、そこで燃えるのか、と。それはまもなく調べることにします。けれども、ろうそくが燃えることについては、これよりもずっと不思議なことがあります。ここには、それを入れる器も無い固体があります。この固体は、どうやって炎のある所まで上がっていけるのでしょうか。液体でもないのに、この固体はどうやってそこへ届くのでしょう。あるいは、液体にされたとして、それならどうしてまとまっていられるのでしょう。これが、ろうそくの不思議なところなのです。 ここはかなり風が入ってきます。それは説明のいくつかでは役に立ちますが、ほかのものでは邪魔になります。そこで、少し秩序立てて、話を簡単にするために、静かな炎を作ることにします——本題と関係のない障害が途中にあっては、誰が物事を研究できるでしょうか。ここにあるのは、行商人か、市場の露天商が、土曜の夜、青物やじゃがいもや魚を売るときに、ろうそくを風から守るために考え出した巧みな工夫です。私はしばしばこれに感心してきました。彼らはろうそくのまわりにランプのほやをかぶせ、それを一種の受け台で支えます。受け台はほやをつかんでいて、必要に応じて上げ下げできます。このほやを同じように使えば、揺れない炎が得られます。それなら眺めることも、注意深く調べることもできます。ぜひみなさんも、家でそうしてみてください。 語釈 帯の外の語は 57 語です。★ 作りの語が並びます ——★ mould (型)・ wick (しん)・ plaited (編んだ)。 ★ shew は show の古い綴り です。 語(品詞) 意味 注 Mr en 名 〜さん( Mister の略) Mr. Anderson volunteers at the animal shelter every weekend afternoon. アンダーソンさんは毎週末の午後、動物保護施設でボランティアをしています。 aperture en 名 あな Light streamed through a small aperture in the old wooden shutter. 光が古い木製の鎧戸の小さな穴から差し込んでいました。 beautifully en 副 きれいに The garden bloomed beautifully after the long spring rains. その庭は長い春の雨の後、きれいに咲き誇りました。 beforehand en 副 前もって She always plans her weekly meals beforehand to save time. 彼女はいつも時間を節約するため一週間の食事を前もって計画します。 bouquet en 名 花束 He handed her a bouquet of roses at the train station. 彼は駅で彼女にバラの花束を渡しました。 candle en 名 ろうそく A single candle flickered softly on the windowsill at midnight. 真夜中、窓辺で一本のろうそくが静かに揺れていました。 candles en 名 ろうそく The bakery display was lined with tiny birthday candles. そのパン屋の陳列棚には小さな誕生日用ろうそくが並んでいました。 clasps en 名 留め具 The old suitcase had two brass clasps to keep it shut. その古いスーツケースには閉じておくための真鍮の留め具が二つ付いていました。 clothed en 動 まとわされた The children were warmly clothed before playing in the snow. 子どもたちは雪の中で遊ぶ前に暖かく着せられました。 conical en 形 円すいの The old tent had a tall conical roof of woven reeds. その古いテントには編んだ葦でできた高い円すい形の屋根がありました。 costermonger en 名 屋台の行商人 The costermonger sold fresh apples from his cart every morning. その屋台の行商人は毎朝新鮮なリンゴを荷車で売っていました。 cotton en 名 木綿 The dress was made entirely of soft, lightweight cotton. そのドレスは柔らかく軽い木綿だけで作られていました。 cottons en 名 木綿の糸 The weaver dyed several cottons in bright shades of blue. その織り手は木綿の糸を数色の鮮やかな青に染めました。 dips en 名 浸して作ったろうそく Villagers once made their own dips by hand each winter. 村人たちはかつて毎冬、自分たちの手で浸しろうそくを作っていました。 extinguished en 動 消える・消された A sudden gust of wind extinguished the campfire within seconds. 突然の突風がキャンプファイヤーを数秒で消しました。 fastened en 動 取り付けられた She fastened the heavy shutters before the storm arrived. 彼女は嵐が来る前に重い鎧戸をしっかり閉めました。 flame en 名 炎 A tiny flame flickered at the tip of the match. マッチの先端で小さな炎がゆらめいていました。 fluted en 形 たて溝のついた The ancient temple stood on tall fluted marble columns. その古代の神殿はたて溝のついた高い大理石の柱の上に建っていました。 glowing en 形 赤く光る The blacksmith pulled a glowing iron rod from the forge. 鍛冶屋は炉から赤く光る鉄の棒を取り出しました。 heater en 名 熱する道具 She turned on the heater to warm the cold living room. 彼女は寒い居間を暖めるため熱する道具のスイッチを入れました。 invention en 名 考え出すこと The steam engine was a remarkable invention of the era. 蒸気機関はその時代における驚くべき発明でした。 kindness en 名 親切 Her kindness toward strangers made her well loved in town. 見知らぬ人々への彼女の親切さは、彼女を町でとても愛される人にしました。 lamp en 名 ランプ He carried a small lamp to light the dark cellar stairs. 彼は暗い地下室の階段を照らすため小さな行灯を持って行きました。