6.16 中国の高速鉄道(抄) — Epoché
この篇でできるようになること 後れを述べてから発展へ進む、第一段落の順序を読み取れます。 速度の数字を、平均か最高かという条件と一緒に読めます。 引用と地の文の違いを見つけ、比較や必要なものを短い中国語で書けます。 前提 :6.15「四川料理と火鍋(抄)」。本文は別の文書にあります。まず三つの段落を読み、それぞれがどの時期と出来事を扱うかを確かめてください。 後れから発展へ進む第一段落 第一段落は、中国の高速鉄道が一部の先進国より後に歩み始めたことから書き始めます。最初から速さや規模だけを誇る書き方ではありません。後れを述べた後で、市場が大きかったこと、技術を取り入れて発展したことへ進みます。何を先に置き、その後に何を述べたかを見ると、段落の組み立てがつかめます。 较世界上部分发达国家晚 では、中国の発展が一部の先進国より遅いと述べています。 较 の後ろが比べる相手、最後の 晚 が遅いという判断です。 起步较其晚了20至30年 は、歩み始めた時期の差を二十〜三十年と示します。 其 は前の一部の先進国を受けています。比べる相手を中国自身に戻して読まないようにしましょう。 先進国の名前が比較の途中にあるため、そちらが遅かったと読み違えやすい箇所です。遅いのは文の主題である中国の側です。 较 を既習の 比 に置き換えて関係を確かめても、比べる向きは変わりません。 晚了20至30年 の 了 は、ここでは遅れた差を数で述べる部分にあります。文の終わりにあるとは限らないので、位置を見ずに「文末の変化の一字」と決めないようにします。大切なのは、どちらがどれほど遅かったかを、まとまりで読めることです。 後半の 吸收技术并高速发展 は「技術を取り入れ、高速で発展する」という流れです。先に後れを書いたからといって、後半の評価が自動的に正しいと証明されるわけではありません。この記事が発展の経緯をどう説明しているかと、その説明を検証することは分けて考えます。 速度は条件と組にして読む 第二段落では、鄧小平の新幹線乗車の話と、当時の中国の鉄道の状況が並んでいます。数字だけを抜くと、同じ種類の速度が並んでいるように見えます。ところが、平均速度と最高速度が混じっています。数字をノートに書くときは、何の速度かも横に添えましょう。 数字 本文での意味 比較するときの注意 120 当時の中国の旅客列車の最高運転速度 単位は時速キロメートル 43 停車や遅れも含む平均速度 最高速度ではない 210 新幹線〇系の営業最高速度 平均速度ではない 記事では四十三と二百十が並び、速度の隔たりが印象に残ります。ただし、この二つを割って、同じ条件で測った列車の性能差だと言うことはできません。平均と最高という条件が違うからです。百二十と二百十を比べるときにも、記事がそれぞれ何と呼んでいるかを残して読みます。 五万二千という別の数字は、線路の総延長です。速度と同じ単位の文字が一部に見えても、時間当たりの移動距離ではありません。数字の周囲にある 总里程 や 每小时 を確かめると、何を測っているかが区別できます。ここで扱うのは本文に記された当時の数値で、現在の路線や速度の案内ではありません。 発言と地の文の声を聞き分ける 地の文は、出来事や数値を説明する文です。そこへ、かぎかっこの中の発言が入ります。 真快,我们也需要快 は「本当に速い。われわれにも速さが必要だ」という、短く勢いのある言葉です。 我就觉得快 も、話している人の感じ方を前に出しています。 これに対して、 营运最高速度为每小时210公里 は「営業最高速度は時速二百十キロメートルである」という説明です。誰かの驚きではなく、速度の値を述べています。音読では、説明を落ち着いて読み、発言の短い語に重みを置きます。そうすると、文章の中で声が切り替わる場所が分かります。 需要 を日本語の経済用語「需要」のつもりで読むと、発言の意味を取り違えます。 我们也需要快 では、われわれも速さを必要とするという動詞です。必要とする人が前に、必要なものが後ろにあります。 第三段落には本のまえがきの引用があります。その引用は、鉄道を老いた乗り物、新しい発展を生命の契機として表しています。これは速度を数で説明する文とは違う、たとえを使った文です。発言の引用も、まえがきの引用も、地の文と同じ調子にまとめてしまうと、それぞれの書き方の特徴が見えにくくなります。 ただし、この篇は引用の文そのもので終わってはいません。その後に、本が初期の研究に一定の役割を果たしたという地の文が続きます。最後の一文まで戻り、引用の終わりと篇全体の終わりを分けて確かめてください。予測が当たったかどうかを、この文章だけから補って書く必要はありません。 上升到了 の 到 は、ここでは到達したところを示します。物が上下に移動する話ではなく、協力をどのような位置づけにまで高めたかを述べています。注: 让 と 以…的方式 を使う形は後の課で学びます。 語表 語 品詞 意味 日本語との差 例文 訳 发展 名詞・動詞 発展・発展する 中国便开始关注境外高铁的发展。 中国は国外の高速鉄道の発展に注目し始めた。 需要 動詞 必要とする 日本語の経済用語「需要」と同じに読まない 需要时间 時間が必要だ 起步 動詞 出発する・歩み始める 起步较其晚了20至30年 歩み出しはそれより20〜30年遅かった 技术 名詞 技術 吸收技术 技術を取り入れる 平均 名詞・形容詞 平均・平均の 平均速度 平均の速度 速度 名詞 速度 客运列车最高运行速度为每小时120公里 旅客列車の最高運行速度は時速120キロだった 关注 動詞 注目する 中国便开始关注境外高铁的发展。 中国は国外の高速鉄道の発展に注目し始めた。 以来 方位詞 以来 自21世纪以来 21世紀に入ってから 曾经 副詞 かつて 曾经去过 前に行ったことがある 研究 名詞・動詞 研究・研究する 研究高铁 高速鉄道を研究する 前言 名詞 まえがき 书中前言中也写道 本のまえがきにもこう書かれている 作用 名詞 働き・役割 起作用 役割を果たす 发展 と 技术 は第一段落、 关注 は第二段落の始めに出ます。 起步 は歩み始めること、 以来 はある時点から後を示します。 平均 と 速度 は一緒に読み、平均の速さだという条件を落とさないようにします。 曾经 はかつてのことを示します。 前言 は本のまえがきです。最後の 研究 と 作用 は、その本が研究に果たした役割を述べるところにあります。新しい語を単独で覚えるだけでなく、段落のどこで何を説明していたかと結び付けましょう。 対訳 中国の高速鉄道の分野での発展は、世界の一部の先進国より遅く、出発はそれらより二十年から三十年遅れました。しかし市場が巨大だったため、二十一世紀に入ってからは、公開の入札というやり方で、日本、フランス、ドイツ、カナダから技術の移転を引き出すことに成功し、高速鉄道を導入する助けのもとで技術を取り込み、急速に発展しました。 一九六四年、日本の新幹線が開通したあと、中国はすぐに国外の高速鉄道の発展に注目しはじめました。一九七八年十月、当時の中国共産党中央副主席兼国務院副総理であった鄧小平が日本を訪れ、日本側の手配で東海道新幹線に乗って東京から京都へ向かいました。その途中で彼はこう述べています。「風のように速い。われわれは今まさに走る必要がある」「本当に速い。われわれにも速さが必要だ」「速いと感じる。人をせき立てて走らせるような意味がある。われわれにはちょうどこういう車に乗るのがふさわしい」。当時、中国の鉄道の総延長は五万二千キロメートルで、高速鉄道の路線は無く、旅客列車の最高運転速度は時速百二十キロメートル、しかも停車が多く、たびたび遅れが出たため、平均の速度は時速四十三キロメートルしかありませんでした。加えて中国には広大な国土と非常に多い人口があり、改革開放ののちに急速に発展した経済と社会は、高速で、大規模で、電化された速い鉄道を必要としていました。いっぽう鄧小平が乗った新幹線〇系電車の営業最高速度は時速二百十キロメートルでした。これ以後、一九八〇年代のはじめに、中国の鉄道当局は高速鉄道の建設の計画に着手しはじめました。当時、日本で学び研究していた鉄道系統の当局者・張曙光は、鄧小平が新幹線を視察した映像を見たあと、高速鉄道の計画に着手しようという考えを持ち、中国人にも高速鉄道に乗れるようにしたいと述べました。また中国の指導者はその後、日本を訪れるたびに、双方が必ず新幹線について話し合い、日本側も必ず新幹線への乗車と見学を手配して、同時に中日の高速鉄道建設の面での協力を「日中友好の象徴」という高みにまで押し上げました。 一九八四年、中国鉄道部第四測量設計院の著、中国鉄道出版社の刊行による『高速鉄道』という本が、中国で最初の高速鉄道の書物となりました。この本は日本、フランス、ドイツなどの国の高速鉄道の発展の状況を整理したもので、まえがきにはこう書かれています。「かつて老いた旅客輸送の手だてと呼ばれてきた鉄道は、高速鉄道によって新しい生命の契機を得る」。この本もまた、初期の中国が高速鉄道を建設するための研究に、一定の役割を果たしました。 練習 比べて書く 第二段落の百二十・四十三・二百十を、最高運転速度・平均速度・新幹線〇系の営業最高速度に対応させてください。 第一段落を閉じ、 起步较其_了20至30年 の空欄を中国語で埋めてください。 第一段落を閉じ、 起步较其晚_20至30年 の空欄に一字を入れてください。 第二段落を閉じ、 真快,我们也_快 の空欄を中国語で埋めてください。 第二段落を閉じ、 客运列车最高运行速度为每小时_公里 の空欄を数字で書いてください。 「われわれにも速さが必要だ」を、本文の発言と同じ中国語で書いてください。 第一段落の 中国在高速铁路领域的发展较世界上部分发达国家晚 (本文)を、 较 を 比 に替えて中国語で書き直してください。比較相手は本文に挙がる日本に絞り、一文を短くしてかまいません。比べる向きは変えません。 第二段落の 平均速度仅有每小时43公里 と 营运最高速度为每小时210公里 を根拠に、 比 を使い、新幹線の営業最高速度が当時の中国の列車の平均速度より高いと中国語で書いてください。「平均」「営業最高」の条件を両方残します。二つの数値を別々の短文で示し、三文目で前者と後者を比べてください。 自分の町の交通について、 需要 を使う文と 比 を使う文を一つずつ中国語で書いてください。 我们也需要快 (第二段の発言)の必要なものを、自分の町で必要なものに替えられます。比較は二つの交通手段や同じ条件の速度を選びます。 本文の 自21世纪以来 と 吸收技术并高速发展 (第一段)を手がかりに、 以来・发展 を使って鉄道の変化を中国語で二文書いてください。本文の言い方を使い、本文にない数値は足しません。 発言の引用・まえがきの引用・地の文から、それぞれ特徴の分かる語を挙げ、日本語で違いを説明してください。 戻り語 文章で使われている語を思い出し、その語を含む中国語の文を作ります。日本語で説明するだけで終わらず、中国語で書いてください。 发展・以来・技术 を一語ずつ使い、第一段落の経緯を中国語で三文説明してください。 需要・速度・平均 を一語ずつ使い、第二段落の交通の必要性と速さを中国語で三文説明してください。 研究・情况・作用 を一語ずつ使い、第三段落の本の内容と役割を中国語で三文説明してください。 关注・安排・表示 を一語ずつ使い、第二段落の中国側の動きや訪日の出来事を中国語で三文書いてください。 市场・成功・部分 を一語ずつ使い、第一段落の比較と技術導入を中国語で三文説明してください。 音読 第二段落の地の文と発言を読み分けます。 真快,我们也需要快 の二つの「速い」を表す語に同じ強さを置き、驚きと必要性を続けて読みます。 この篇のまとめ 第一段落は、後れを述べてから技術の導入と発展へ進みます。 速度は、数字だけでなく平均・最高の条件と組にして読みます。 発言、まえがき、地の文では語の選び方が変わります。引用の範囲を確かめます。 数字を条件と組にして読むこと、名前の列をいったん飛ばして文の骨組み(主語と動詞)を先に読むことは、この段の文章で続けて使ってきた読み方です。 次の篇へ 次は10.7「王朝の名を順に言えるようにする」です。夏から清までの王朝名を中国語の音でたどり、それぞれが続いた長さの感覚をつかみます。 答え 百二十が当時の中国の旅客列車の最高運転速度、四十三が平均速度、二百十が新幹線〇系の営業最高速度です。 晚 。本文(第一段)は 起步较其晚了20至30年 です。 了 。本文(第一段)は 起步较其晚了20至30年 です。遅れた差を数で述べる部分に置かれています。 需要 。本文(第二段)の発言は 真快,我们也需要快 です。 120。本文(第二段)は 客运列车最高运行速度为每小时120公里 です。 我们也需要快 (第二段の発言)。 短い解答例: 中国的高铁比日本起步晚。 短い解答例: 平均时速是43公里。 / 营运最高时速是210公里。 / 后者比前者高。 短い解答例: 我们也需要公交车。 / 坐车比走路快。 短い解答例: 21世纪以来,高铁有变化。 / 中国高铁高速发展。 発言の 真快 は短く直接的な驚き、まえがきの 新的生命契机 は生命にたとえる表現です。地の文の 营运最高速度为每小时210公里 は数値を説明しています。引用がすべて同じくだけた文体なのではありません。 短い解答例: 中国高铁高速发展。 / 21世纪以来,高铁有变化。 / 中国吸收了国外技术。 短い解答例: 我们也需要快。 / 当时最高时速是120公里。 / 平均时速只有43公里。 短い解答例: 这本书帮助了高铁研究。 / 这本书整理了高铁发展情况。 / 这本书起到了一定作用。 短い解答例: 中国关注境外高铁。 / 日方安排了这次行程。 / 邓小平表示需要快。 短い解答例: 中国的市场很大。 / 中国成功引进了高铁技术。 / 部分国家起步比中国早。 参考文献 中文維基百科の執筆者『中国の高速鉄道』。CC BY-SA 4.0。本文は抄。「中国高速鉄路」の記事から後発の経緯、一九七八年の新幹線試乗、最初の高速鉄道の本について抜いた。出所:h